日々の戯言
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7月2日(木) デジコン委 (第55回) 感想あれこれ [この記事]
今日も、来週月曜(7/6)もデジコン委があるので、第55回の感想を書く時期としては微妙なのですが。一応傍聴時に考えていたこと等を忘れないうちに残しておきます。
前回の報告を聞くまで、てっきりもうソフトウェア方式の導入は既定路線なのだとばかり思い込んでいたのですが、第55回の報告とワーキンググループ参加委員の発言を聞いていると、まだソフトウェア方式の導入を諦めるというオプションも5%程度の確率ではありだったりするのかなと思えたりします。
実際の所、ソフトウェア方式をアナログ停波に役立てようと思ったら、新方式に対応した放送の開始と受信機の販売開始のデッドラインは、2011年7月24日の半年前になる1月24日か、一年前の2010年7月24日か、大体それぐらいの範囲の日付しか取れないのだから、導入の目標時期自体は簡単に設定できそうに思えて、ワーキンググループではその辺も具体的な数字を挙げた上で議論されているだろうと思うのですが、各委員から指摘があるように、何故そのレンジが委員会の席で表に出てこないのかが不思議だったりします。
村井主査の発言にあったような、中間答申ギリギリの時期まで日付を秘密にして表に出さないことで、なし崩し的に中間答申に日付を盛り込もうとしているというようなことは無いだろうと信頼したいところなのですが……こういう状況では技術ワーキンググループに参加していない委員から陰謀論ビリーバーじみた発言が出てくるのも仕方がないことのように思えてきます。
この回では、とうとう椎名委員からも陰謀論ビリーバー風味の発言 (現状のB-CASから利益を得ている方がいるのかという視点で議論を聞いていきたい) が飛び出したので……ニュアンスが伝わるかどうかアレですが「あいたたた」というような気分になりました。
まー有料放送事業者やNHKは、課金インフラの構築コストを無料広告放送事業者に一部肩代わりさせることができているので現状のB-CASから利益を得ていると言えなくもないです。実際、2011年からのアナログBS跡地とBS-17/19/21/23は難視聴対策と放送大学以外は全て有料放送で認可が下りたりして、総務省もB-CAS社の維持に必死だなぁと邪推していたりもするのですけれど。
その辺は地上放送には当面関係が無いので置いておくことにして、実際の所、新方式の議論でなかなか具体的な案が出てこないのは、単にかける労力と得られる結果が釣り合ってないからだと私は考えています。
極論になりますが、例えば権利者団体が一致団結して、現状B-CASシステムの維持に使われている年間100億を肩代わりして、さらに新方式の開発と導入にかかるコストも丸抱えして、それを破る方法が出てきたときには訴訟等で戦っていき、例え国民全員を訴えることになろうともそうした努力を続けるというのであれば、新方式もさくさくと決まっていくことでしょう。それで権利者団体と個々の権利者が仕合せになれるかどうかは別ですが。
ところが実際は「技術は判らない」ということだし、年間100億を肩代わりすることも経済的に不可能だし、ましてや開発・導入・維持コストを負担することなど不可能の上に不可能を重ねるようなものという状況では、そりゃ現状維持をベースに申し訳程度に改善努力を示してみせるポーズぐらいしか、国内大手家電メーカと在京キー局からは出てこないだろうなぁと。
受信機メーカは、現状のB-CASでも鎖国維持には十分だし、コピー制御が (ザルとはいえ) あることで補償金徴収協力を拒む言い訳にもなるしと、現状である程度満足しているので特に鍵漏洩に対策する為のコスト負担を負ってまで新方式を導入する価値があるか微妙な立場です。放送事業者にしてもB-CASシステムの維持コストに加えて、放送設備改修のコストを負担しなければいけないことを思えば、なるべく自分たちの負担は少なくしたいというのが本音でしょう。
そうした所の綱引きが方式検討での6.5色とか7.5色というところの意味なんだろうなと私は邪推しています。
◆◇◆
6月29日(月)にいきなり「ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム」での検索が増えていたので何があったのかと不思議だったのですが、毎日新聞が妙な記事 [URI] を出していたのですね。今更感の漂う微妙な内容だなぁというのが正直な感想です。
それでもこの記事から、おそらくIT Proの記事 [URI] まで到達して、さらに上記キーワードでの検索を試みる人が30人以上居たというのは……新聞社の影響力って意外とまだまだ大きいのですね。
7月7日(火) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第56回) [この記事]
昨日開催の第57回も傍聴は済ませたので、後で傍聴レポートの形にまとめますが、とりあえず前回、7/2開催の第56回の傍聴レポートです。今回の議題は、技術検討WGと取引市場WG、二つを統合した中間答申の骨子案全体の披露 (第54回・第55回の議論を反映した) と意見交換という形で、議事自体は次の流れで進みました。
- 村井主査 (慶応義塾大学) からの開会の挨拶
- 小笠原課長からの配布資料確認 & 答申骨子案説明
- 村井主査からの補足説明
- 上記を受けての各委員のコメント
- 村井主査からのまとめ
- 小笠原課長からの次回に向けての案内
- 村井主査からの閉会の挨拶
いつものように、定型文状態の開会挨拶と資料確認は飛ばして、小笠原課長からの骨子案説明部分から議事を追いかけていきます。説明は、次のような内容のものでした。
- 取引市場と技術検討ワーキングからの報告、それぞれ骨子を議論して頂いたが、その時の議論を踏まえて修正したものが資料1なので、修正点について一通り説明する
- まずコピー制御に関わるエンフォースメントの在り方について、主に11ページ以下、エンフォースメントの今後の改善の在り方というところに意見を頂いた
- その時に頂いた議論と、その後に頂いた意見を踏まえて、12ページ以下を若干修正している
- 12ページ、13ページはそれぞれ提案の骨子ということになっているので、復習を込めて説明する
- このエンフォースメントの在り方ということについては、箱の中にある通り
- 地上デジタル放送の円滑な移行ということの目的の下に、利用者に対してB-CASと並ぶ新しい選択肢を拡大する
- それが望ましく、かつ、可能な限り早期にそういった追加する選択肢の具体化および導入をはかる必要がある
- この点については異論がなかった
- また、箱の②にあるように、方向性としては二つあり
- 二つの方向性の双方で、新たな選択肢の検討・導入を進めることが適切ではないかということで
- 現行のB-CASカードの小型化、あるいは事前実装ということを進めて頂いて、現在の枠組みの中で利便性向上を図って頂くということが一点と
- 二点目は、B-CASカードとは全く異なる枠組みだが、コンテンツの保護に係るルールを順守するという人には、全てコンテンツ保護に係る技術仕様を開示するそういったやり方
- この二つの方向で新たな選択肢を検討して頂ければ良いのではないかということ
- このB-CASカードの小型化・事前実装といった従来の枠組みに関しては、既に民間ベースで具体的な取り組みが開始され、特に小型化については実現していくといった報道発表も行われている
- こうした動きは、さらに加速推進していくことが当然ながら期待されている
- 今までと違う、仕様開示を制限しないという考え方について、この委員会で、色々と議論があったところで
- 下に、技術・契約と分けて書いてある前提に配慮して、民々で検討・導入をということをはかって頂くのが望ましいとなっている
- 技術・契約の所で少し配意事項を書いているけれど、ここの内容は次の13ページと関連があるので、先に13ページを説明させて貰う
- 13ページの箱の中だが、この①にある通り、この2011年7月24日という期限を前に、可能な限り早期に新たな仕組みの運用が開始されることが望ましい
- こういった大枠の枠組み、大枠の目標、これについて特に異論が無かったところで
- そしてこの新たな方式について、今後の進め方の大枠の枠組みとして、まず新方式の運用開始を目指して
- この技術と契約ということで対処できる範囲の検討を進めて、新方式の内容の早期明確化をはかる
- その後、新方式の運用開始までに適切な場で、技術と契約以外の制度の実効性を検証し、補完的制度の要非を含めて検討を開始し進める
- これが進め方の大枠と言うことで、この技術と契約という新方式の内容の明確化がどういうことかということを③に書いている
- 下記のプロセス、下に大雑把な図で書いてあるこのプロセスについて、関係者がスケジュール感を共有していく
- そして、新方式の導入・運用といった動きを加速推進していく
- これが期待されることである
- 基本的にはこの場にいる方のコンセンサスということが目標にあるので、放送事業者・受信機メーカ等々、関係者の全体が共同して進めていくということを基本的な考え方としている
- そして④以下、ここが前回の議論を踏まえて付け加えた所で
- 関係者でスケジュールを共有というところをブレークダウンするとどうなるかをさらに書いた部分になる
- 特に前回以降議論があった、TODOリストで誰が何をやっていくかを明記することが必要ではないかという指摘を踏まえて書かせて頂いた
- 関係者が協力して作業を進めていくことが、下の1)、2)について必要ということなのだが
- それぞれ、主語と動詞をある程度、明らかにした
- 逆に言えば、ここであがっている主語の方々に対して、当審議会としては作業の進捗をお願いすることになる
- まず1)として、前の12ページにそれぞれ技術・契約ということに書いてある概要の提言に沿ってARIBにおいて新方式に関する標準規格を見直す
- それと共に、Dpaにおいて、見直された技術方式にそった運用規定の策定をはかる
- これがTODOリストの一つである
- 次にこうした技術方式、運用規定と併せて、放送事業者等関係者の方々において、技術規格の規定を踏まえた契約を進める
- そういった技術・運用・契約、その下に、受信機の製造販売が可能かどうかとについて、受信機メーカ等に対して意見を求めていく
- そうした結果を踏まえて、ライセンス発行・管理機関を設置に取り組んでいく
- そうしたことを放送事業者等関係者の方々にお願いできないかということである
- 当然ながら、このライセンス発行・管理機関に係る関係者の方については、これが設置されたのちに可能な限り速やかに鍵の配布等々の業務の開始の実現に向けて取り組んで頂きたいということである
- 前回の議論の、誰が何をということにつきましては、このような形で明らかにさせて頂いた
- 可能な限り早期にという所に関する工夫として、既に新方式についてある程度技術的な蓄積があるARIB、Dpaにおいて
- 蓄積され、公開されている新たな規格に関する情報を十分に活用して、今回の答申の配意事項を踏まえて見直して頂く
- そうしたことを行うことで作業の時間を短縮し、可能な限り早期にということの実現に資するのでないか
- そういった観点から、1) を書かせて頂いた
- 既存資産の最大限の活用ということを踏まえて、12ページの所を今一度、見直して頂く
- 例えば技術の所では、全てそういった前提の元に配意事項ということで考慮頂いている訳だが
- 大雑把に言えば、この④の、やはり既存の受信機の互換性ということを常に念頭に置くと
- かつ、互換性を念頭に置くことから、③に書いてある、あるいは⑤に書いてあるような、そうした既存の受信機との互換性ということを考えて案を作り、技術的な方式を検討頂きたい
- それから互換性と言うことを言えば、8番に書いてあるように
- デジタル放送の場合、全ての受信機が同じような動作をすることが必要という観点から、様々な諸法令・あるいはルールとの整合性をとって
- それぞれ放送事業者・受信機メーカに技術規格の促進と指摘させて頂いている訳だから、そういった諸法令やルールの中身について細かく
- 例えば電波法との関連諸規定や、あるいは規制改革3ヶ年計画の閣議決定とか、その中でも受信確認メッセージ等に関わるような、いわゆるデジタル放送に関連した部分で
- こうした法令・ルールと整合性を取れたものにするということを引き続きやって頂けないか
- あるいは、ARIB・Dpa今名前の出た機関でも、様々なデジタル放送に関わる標準方式を策定・公表されている
- そうした、今まで守られてきたルールに関して引き続き、配慮頂くということで
- 既存の受信機との互換性、あるいは既存のこういった検討の成果物の活用によって、検討の時間の短縮を図ると
- そういったことに取り組んで頂けないかと言うことである
- 従って、13ページに書いた通り、ARIBやDpaでの作業や契約条件の策定を放送事業者等の関係者でやって頂く時には、この12ページの技術・契約に書いたところに配慮しながら検討して頂けないかと、そういうことで纏めている
- エンフォースメントについては、この12ページ・13ページの所が基本的に議論を頂いて修正した所であって
- 後、今日は間に合っていないが、委員からの指示で12ページよりも前の所で
- 前回、この新方式を導入した時に、どういった商品企画の広がりが出てくるかという期待感を、三菱総研さんから報告頂いたが
- そういった期待感ということについても、情報として付加しておく方が良いのではないかという指摘を頂いたので
- それについてはそのように、答申本文の作成の時に取り図らせて頂きたいと思う
- エンフォースメントについては、以上の通りとなる
- 次に前々回に議論を頂いた、15ページ以下のコンテンツの取引市場の形成の所について
- これについても、提言の所で様々な指摘を頂いたところであって、それを活かした修正を30ページの提言以下の所でやらせて頂いた
- 順次説明するが、まずは31ページの所になる
- この前まで、コンテンツ流通の促進と言う観点から、放送事業者・権利者団体・番組制作者そういった関係者の取り組みの現状ということで色々と紹介をして
- それについて、委員の方々からどういった評価があったか、これからどういった課題を検討していかなければならないか
- そういったことについて議論を頂いた訳である
- そういったこれまで皆様の取り組みや、そういった評価という議論の中から、何が一番重要なエッセンスとして考慮するべき事項なのかまとめてくくりだしたのが、この31ページの所になる
- 主に、以下の三点と考えられる
- 一つ目が、いわゆるコンテンツ流通促進の為の制度に関する議論が随分と顕在化してきて、この委員会の場においても、いわゆるネット法と言われる提案者の方々に出席を頂いて、何回か意見交換をしてきた
- 二番目が、権利処理円滑化に向けた民間主導の取り組みで、この場でも、映像コンテンツ権利処理機構といった権利処理に向けた民間主導の取り組みについて、報告を頂いた
- それから、コンテンツ制作環境の昨年来の急速な変化、この三点に、提言をしていくにあたって主として配慮をするべきではないか
- 簡単に言うと、まず制度の議論の顕在化と言うことで言えば、許諾権の制限の是非ということが、論点として随分と顕在化をしてきたという所が上げられるかと思う
- つまりインターネットでコンテンツの流通をさらに促進していくということを考えた場合、権利者の許諾権制限と言うことをやっていく必要があるのではないかと、そういった立場の議論があった
- そういったことの是非ということについて、本委員会を含めて、非常に議論が盛り上がった
- その時の、制度が必要と言う方々の論拠の一つが、民間で色々取り組まれていることは重々承知しているけれど、グローバルな市場には、今のままではついていけないのではないかといったことが、一つの論点の在り方ではないかと思う
- それから二点目が、そうした議論がある中で、特に今年に入ってから、権利処理の円滑化ということに向けて、民間主導の取り組みが極めて活性化をした
- 例えば、3月の著作権情報集中機構、それから6月の映像コンテンツ集中管理機構
- まあ、音楽・映像双方の分野において、権利処理の効率化ということを目的とした組織が設立された
- こうした機関の設立があり、かつ、その業務も進んでいくと、これまでにも著作権等管理団体はあり、そこの団体の方々が、権利処理の円滑化に取り組まれていた訳ではあるが
- そういった既存の組織の活動と併せて、こういった集中処理のための組織が稼働しはじめると、権利処理がさらに飛躍的に効率化される可能性といことも、出てきたのではないか
- これがやはり去年以降の状況と大きく異なる状況と言えるのではないか
- 最後の3点目に関して、この一方で、制作環境の急速な変化を受けて、昨年来の広告市場の縮小ということのあおりで、国内の番組制作市場が大きく縮小している
- これはもう否めない事実ということである
- 当然ながら、制作費の削減、それから番組制作機会が大きく縮小されたということで、国内のコンテンツ制作力の減退が著しい
- その一方で、放送事業者・番組制作事業者を始めとして、コンテンツ制作に取り組む方々が、国内のみならず、海外、新たなウィンドウの開拓に取り組まれているということもこの場で報告があった
- 以上3点の状況を認識したうえで、何をやっていくべきかということをまとめたのが32ページである
- 基本的な考え方としては箱の中にある通り、今のような状況を考えると、放送コンテンツの取引は引き続き、民間主導による試行錯誤・創意工夫その積み重ねで促進する
- これが昨年の基本的な考え方であった訳だが、その基本的なスタンスを変える必要は無いのではないかということが最初の気持ちである
- 元々、このコンテンツ取引促進のための法制度の在り方は諮問事項に含まれているのだが、それに対しての現段階の一つの考え方は、やはり民間主導の試行錯誤と相違工夫が大事ではないかということである
- ただし、その中にあって質が高く競争力のあるコンテンツの制作・流通ということが実現されていくことが望ましいのだが
- その為には何と言っても、コンテンツの創造に関与した方々に対して、恒常的かつ適正な対価の還元が行われ、これによって創造的インセンティブがさらに向上していくこと、これが不可欠である
- これは昨年からの引き続きとして考え方を確認してある訳で
- さらにこういったことを考えた場合は、当面は箱の下に書いてある三点、これを進めていくことが急務と考える
- しかし当然ながら引き続き、この委員会の方々全体として引き続き、視聴者の利便性の向上、それからクリエイターに対する創造的インセンティブの向上の双方に配慮して
- それを促進する具体策を、不断に模索検証していくということが必要ではないか
- 当面はこの三点
- すなわち、権利処理の円滑化をさらに促進するための支援を行っていく
- それから、番組制作者の間で、非常に制作力の疲弊が進んでいる訳だが、それを再生・強化するための取り組みを進めていく
- またそれに留まらず、新たな市場開拓に取り組んでいくのを支援していくことが必要ではないか
- この三点を当面の重点として進めていくべきではないかということである
- 特に冒頭で、権利処理の円滑化に向けた取り組みの促進ということに関して言うと
- 最後の3ポチ目にあるように、コンテンツ流通促進について、法的対応の検討が適時必要になっていくこと自体は否定する必要がないかと思う
- また、今度の知的財産推進計画でも適時、デジタル・コンテンツ時代に対応した法的制度を検討していくということ自体は記載された訳ではあるが
- ただ問題は、その法的対応の検討ということをやるにあたって、その検討の場では、先に申し上げた、権利処理に関する民間の取り組みの変化といったことを重々に踏まえて
- かつ、そういったことに取り組んでる方々、主として今は権利者団体の方々だが、そういった方々から意見を十分に聞く機会を確保する
- それによって、クリエイターの利益を不当に害しないという観点から結論を得られるよう配慮することが必要ではないかということである
- また33ページ以下で、今のような考え方に立った時、何をやっていくべきかということについて
- 前回、特に21年度補正予算等々の関係で特にこうしたことに配意して進めていくべきではないかという指摘を頂いたので、主なものを書き出し、それを活かした本文の記載としていきたいと思う
- まず、番組制作者・放送事業者のコンテンツ制作力の再生・強化という点だが
- 配慮事項というところに、3つほど、この前頂いた意見等を書かせて頂いた
- 何よりも、今回21年度補正等々でやっていく施策について、緊急避難的な措置に留まらないように、コンテンツ創造に関与した方々に恒常的に対価が還元されていく仕組みに繋げていくということが必要ではないか
- それから次の○にある通り、特に単なるカンフル剤的なバラマキにならないように、持続的な制作環境の拡充、こういったことに繋がる仕組みが大事ではないか
- それから、特に海外発信といった時に、今後ビジネスとして継続しうる仕組み作りに繋がるような、そういった配慮が必要ではないか
- そういった指摘を頂いたところであって、このコンテンツ制作力の再生・強化ということを謳う時には、こういった事々に配慮した方々に対して支援が行われるように
- そういった提言として参りたいと思う
- 次に、円滑化の為の体制整備支援というところだが、これも前回・前々回の議論で、特に今回の映像コンテンツ権利処理機構の設立ということで、実演家の権利処理窓口が一本化されるということになると
- これまで以上に権利処理業務が効率化され、時間とコストの短縮ということが期待される訳である
- そのこと自体は、コンテンツ制作流通に携わる供給者と視聴者、全体にとって歓迎すべきことである以上、全体としてそういったことを支援していくことが大事ではないか
- それから次のページで、新たなチャネル・プラットフォームの開拓ということについて
- 特に、日本のユーザが持つ高度な利用環境、様々なプラットフォームの端末機器、そういったことに向けたマルチユースということに取り組み、色々なプロジェクトについても支援が必要ではないか
- あるいは「いわゆる」と付けた、CGMのことだが「素人」と言われてきた人々が制作するコンテンツ、この質が急速に向上してきている
- 従って、そういったいわゆる、これまで「素人」といわれてきた人たちのコンテンツ制作力が上がって来ている状況で、そういった人材の育成を行うには
- やはり一定のコストと時間を使って、コンテンツの人材に対して、制作機会の付与を行っていくことが必要ではないか
- そんな指摘も頂戴している
- 従って、33ページ・34ページでそれぞれ具体的な施策を提言する時には、こういった具体的な配意事項についても盛り込んだ案文としていきたいと思う
- 取引市場の所につきましては、以上、説明した骨子の所を文章化したものを資料2として、席上に配布させて頂いた
- 以上が事務局として作成した所であるが、特に真ん中の第2節の所について、皆から頂戴した意見をなるべく幅広く拾うという作業をやらせて頂いた
- ただし、答申という関係上、かなり言葉の上では短縮、それから平準化ということを図っているので、ちょっと趣旨が違ってくるのではないかとか気付いた点があれば指摘を頂きたいと思う
- これに限らず、今説明させて頂いた骨子と、この答申の案文について、整合性が取れていない部分、あるいは事実関係として直した方が良い部分、そういったことに気づいた所があったら、是非、補足、あるいは意見を頂ければと思う
- 簡単ではあるが、資料1、答申全体の骨子として事務局が作成した資料についての説明は以上である
以上が小笠原課長からの説明でした。引き続き、村井主査から次のような内容の補足説明が行われました。
- 今「中間答申骨子(案)」ということで、1章が技術保護のエンフォースメントの在り方と、2章がコンテンツ市場の形成についてということで説明を頂いた
- それで、このエンフォースメントの第1章のところは、前回の委員会で大分議論をして頂いたということで
- 地上デジタル放送への円滑な移行という目的を前提にしているということ
- それから新方式の早期導入に向けた必要性の基本的な考え方ということ
- 関係者の間で、技術検討ワーキンググループでも議論をして頂いて、この本委員会でも確認をして頂いた点ではないかと思う
- それで、前回の委員会に、この検討プロセスを明確化するとか、時期を明確化するというお話をさせて頂いて、技術検討ワーキングでもそうした議論をさせて頂いた訳だが
- この、13ページの部分をちょっと見て頂いて
- この、具体的なプロセスというところで、この運用開始のタイミングと一番右側にあり
- それから手順的に、策定、ライセンス発行・管理機関の設置、それから放送局の側の設備の改修と受信機の開発がライセンスの契約等々が終わって進められるということで
- それで放送が開始されて、この受信機の販売・普及が開始されると言う順番で
- この一番右側が、ここの表現では「2011年7月24日のデジタル全面移行の時期までに可能な限り早期に運用を開始されること」と書いてある
- この開始時期は可能な限り早い、でも7月24日よりも前となっている
- 当然ながら、この新法式が役に立つ為には、ここが左側と言うか、7月からどこまで前倒せるかということが一つの課題であって
- いずれにしても、ゴールができるだけ大きな、そしてデジタル完全移行に貢献できるか、こういう為に議論をしてきたということは合意されていると思う
- そこのタイミング感というか、逆算をしていくという議論をずっとして頂いて
- 前回も浅野委員等々に指摘をして頂いたと思うのだが
- この技術方式、この④の所で、1)と2)という先ほど説明をして頂いた
- ARIBにおいて、新方式に関する標準規格をこの前提に沿って見直すと共に
- Dpaにおいて、見直された技術方式に沿った運用規定を図ると
- つまり一番左の下の箱が1)で
- それを踏まえて、放送事業者等関係者によってこのa)、b)、c)ということで、これが2)ということになる
- これが丁度ライセンス発行・管理機関の設置と言う真ん中の長丸になる
- それで一応私の理解では、この議論、技術検討ワーキンググループの議論の経緯から考えると
- この1)、2)というのは、年内ということで話を頂いたと思うので、そうすると13ページの④の所の「以下の1)、2)について」と書いてある真ん中の所の後ろに、年内の目標ということを答申の中に入れて良いのではないかと考えている
- 今の事務局の説明にそれを含めた上で議論して頂ければと思う
- それからもう一個、放送コンテンツの取引市場に関する部分が第2章だが、昨年以降、放送コンテンツの流通促進に関する制度による解決という提言等が出されていて
- 何度かその立場の方に出席頂いて、議論頂いたという経緯である
- その中で、権利者団体の方々から、権利処理の効率化を図るための映像コンテンツ権利処理機構の設立という御報告を頂いた
- この民間の取り組みによって、コンテンツの流通をまずは促進するというこの委員会での議論を正面から受け止めて頂いたということではないかと思う
- この後半の部分では、この組織の設立に努力頂いた権利者団体の方々、委員の関連の方々がいるので、改めて、答申に沿って受け止めて頂いたということでお礼を申し上げたいと思う
- そういった、私からのコメントを述べさせて頂いたうえで、この件に関する今の説明も含めて、それからこの時期等も含めて、意見を頂いて、意見交換に移らせて頂こうと思う
以上が村井主査からの補足説明でした。ここから意見交換に移り、村井主査からの指名という形で進んで行きました。最初に指名されたのは河村委員(主婦連)で、その発言は次のような内容のものでした。
- 先ほど主査が言われた、13ページの④の一行目の真ん中あたりに「年内」という言葉が入ると
- 本当に何回もこのページを見てきて、初めて、具体的な時期を耳にした
- なぜ書いてないのだろうと、その辺が良く判らないのだが
- ここのページにスケジュールを共有しと書いてあるのに、スケジュールが無ければ意味がないと思う
- なので、是非書き込んで頂くということで
- 策定も設置も年内ということで、私は大変素晴らしいと思うので、これは是非書き込むということで、やって頂ければと思う
- それから、今まで色々と検討の過程で申し上げてきた意見なのだが
- ちょっと確認としてもう一回申し上げたい
- 放送コンテンツ取引促進に向けた基本的考え方の所にある、四角の中の②の、対価の還元についてなのだが
- コンテンツの創造に関与した者に対する適正な対価の還元とこれによる創造インセンティブの向上、もう全く賛成で、この通りだと考えている
- そのようにあるべきだと思っている
- ただ消費者としては、確認の為に、前の意見と重なる、同じことを申し上げるが
- 放送コンテンツに関しては、無料放送であれば、広告の中で、私達消費者が買ったお金が企業に行って広告放送になっているし
- 例えば放送コンテンツがDVDになれば、それを金を出して買うし
- もし有料の二次利用のサービスがあれば、ネットを通じて、有料で見るかもしれない
- そういう形で、そこに参加していく
- それ以外の何か対価の還元の当時者であるということは納得できないということをもう一度申し上げる
- 先ほど出たB-CASにしても、B-CASに替わるものにしても
- 権利者の権利を守る為の仕組みに係るコストも全部、機器の費用の中とはいえ払っているし
- それによって作られた制限や不便さも全部受け止めて消費者が負担している
- なので、それ以外の対価の還元の当事者ということにはならないだろう
- なってはならないだろうと考えている
以上が河村委員からの意見でした。次に指名されたのは長田委員(東京都地域婦人団体連盟)で、その発言は以下のような内容のものでした。
- 13ページの所は河村委員が言われた通り、口で言うのならば、書いて置けばそれでと思うぐらいで
- 年内ということで是非書き込んで頂かないと、次のステップには進まないかなと思う
- 是非書き込んで頂きたいと思う
- その上で、年内にそれが出来たら、その後も可能な限り早期に
- 本当に私どもがそういう新しい受信機を手にすることができるようにさくさくと進んでいってくれれば良いと思っている
- もう一つは後半部分のコンテンツ取引市場の形成について、一つ、小笠原さんの説明の中で、完全に忘れられてしまっているものがあるのではと思う
- 私と放送局の皆は御存知だが、放送局と、それから制作の現場の皆と、それから学識経験者の皆と一緒に
- 放送コンテンツの制作取引の適正化ということに関するガイドラインを作る作業に、私は殆ど座ってるだけだったが参加させて頂いて
- 皆の非常な努力で、ガイドラインが出来あがって、それに付け加えるものの議論が続いているけれども、出来上がっていて
- それを今、皆が努力して、それぞれの関係業界に周知徹底を色々と努力している所だと思う
- そのことが書かれていないのは、同じ事務局でありながら、忘れてしまったのかと思う
- とても色々と難しい議論を超えてガイドラインが出来た訳なので
- それが出来たということでその紹介と、それからその周知徹底を含めて、是非書き込んでおいて頂きたいと思う
- そのことが先ほど河村委員の言われた、適正な対価の還元の、一つの大きな答えになると思うので、是非、是非書いて頂きたいと思う
以上が長田委員からの意見でした。次に指名されたのは高橋委員(ジャーナリスト)で、その発言は以下のような内容のものでした。
- まず1つは13ページの点について、先ほど河村委員が言われたように、年内ということを村井先生が示されたということで
- 多分これは運用開始から逆算したらもうそこしかないだろうという当然の帰結だと思うので、きちんと明記して頂きたいと思う
- 私達が求めていた、何時・誰がということの「何時」というのはそこで解決するのだが
- 誰がという点について、ここの記述は「関係者が」となっていて、関係者は誰を含むのか、注記でよいので列挙して頂きたいと思った
- 一番気になるのは、消費者にとっては、このライセンス発行・管理機関が設置されても
- その設置のされ方と、運用開始以降、その後の運用の中で、消費者への視聴者が不利益にならないように、きちんと、評価・監視していくということが必要だと思う
- その中に視聴者や消費者、国民がどのように組み込まれていくのかということが書かれていないので、しっかりと明記していく必要があるのではないかなと思っている
- もう一つ、そことも関係するのだが、遅れてきてしまったので説明を聞きそびれてしまったので
- 8ページの所の基本的な考え方の所で、前回ソフトウェア方式であった所が、技術開示方式という表現になっていて
- 私はやはりソフトウェアが一番良いのではないかと主張していた部分で、二つ目のポチのところに「受信機製造者は当該仕様に沿った機能をソフトウェア化、あるいはチップ化したものを受信機に搭載して出荷」と書いてあって
- 何か後退したような印象があるのだが、そこの所は大丈夫だろうかと伺いたい
- 色々と、インターネット等で過去の民放連の議論等を見ると2007年12月の時点で「ソフトウェア化を数年前から検討してきたけれども、受信機の急速な普及や今後の普及ピーク時を考えて開発導入が間に合わないから断念」と書いてあって
- 「チップ化に関してはかなり有力で、大量生産すれば、カード分テレビのコスト安になる」と書いてあった
- その後どうなったのかということが良く判らないのだが、チップ化について色々言われている割に、ソフトウェア化についての情報が殆ど私共が入手することができないので
- これが二つ並んだ時、書かれては居たけれど、チップだけになってしまうということが、無いとは思うのだが、無いのだろうかという懸念を持った
- 2011年7月以降に、選択肢の拡大という意味ではB-CASの小型化カードを含めて選択肢が増えていることは確かだと思うが
- ここでそのソフトウェア化とチップ化という二つのもので決めたとして、開発しやすくコストの安いチップ化の方で最初動いて
- 諸々の事を考えていくと、ソフトウェアの方がいいと先々進んでいった場合に、消費者・視聴者が何か不利益をこうむることがないのかとか
- 価格の所で視聴者・消費者の選択をゆがめるようなことが無いのか
- その辺のソフトウェア化とチップ化のメリット・デメリット、将来の見通しまで見越してここは書かれていると思うので
- どういう風になっていくという絵が描かれていてこの二つが書かれているのかについて、当事者の方、あるいは検討委員会の主査の先生に説明して頂きたいと思う
以上が高橋委員からの意見でした。これを受けて、村井主査から以下のような内容の回答が行われました。
- 私からまず今の質問の説明をさせて頂く
- 技術検討委員会に参加していた方には、後でフォローして頂く時に、またその時に説明頂ければと思う
- とりあえずQUICKに私の理解していることを説明する
- 技術検討委員会では、ソフトウェア方式とチップ方式というのを分けてずっと検討していて、この親委員会で過去に示したものも分けていたことがあった
- 技術検討委員会の方で議論をしていた中で、技術的な方式と言うか仕組みとしては、作り方の問題であって
- ソフトウェアとチップで供給するというプロダクションの方向に関しては技術的には同じことを言っているので、ひとまとめにしようと
- そういうことで、ある時点からここで技術検討委員会から示ししていた資料で、二つに分かれていたものを一本化した
- その時にタグとして、今「技術開示方式※」とこの8ページに書いてあるのだが、これは多分、私の記憶では前回はソフトウェア方式と書いてあったと思う
- これは、ソフトウェア方式とチップ方式をBINDした、その時に私の方から説明したと思うのだが
- 技術的には一緒で、製造の方法が違うだけなので、製造の選択肢のうちだろうと、技術的にはそういう説明をしたということで
- このソフトウェア方式とチップ方式をBINDして、その本質は何なのかと言うと、その技術の方式に関して、それを製造する方には誰でも技術方式を開示するという方針が共通している
- なので、名前に混乱があるのではという指摘が技術検討グループであり
- つまり、ソフトウェア方式という名前だと混乱があるのでは、本質は技術を開示するところにあるのではと、こういうことになったので
- 技術開示方式と言うSEMANTICSにあわせた、意味にあわせたタグに変えたというのがこの経緯だと思う
- もう一点私の方から、多分技術ワーキンググループの担当と言うか主査として説明しておくと
- 13ページを見て頂いて、多分高橋委員が指摘された、かつてソフトウェア方式として検討されて実現しなかった方式の、その時の非常に経験や検討の蓄積、そうしたものがあるので
- このスケジュールはかなり技術的には苦しく運用的にも無理な所があるのだけど
- 先ほど私が年内にと言ったのに対して、色々と支持は頂いたのだけれども、それはあくまでも目標であって、どれぐらいで押せるか、それぞれの担当者のどちらに皺寄せが来るかという所があるので
- それをどのタイミングで今回の答申の中に日付を明記するかというのは、いくつかの選択肢があったかと思う
- その中で、この一番左の所はこの策定をするのに、できるだけ早くしたいという中で、かつて検討して色々な経験・議論、あるいはその検討等の蓄積があった、ソフトウェア方式の蓄積・経験を応用して策定をしていけば、早期に確定できるだろうと
- こういうことだろうと思う
- そういったことを技術検討ワーキングの中で議論した
- 従ってそちらの方式や、その他、これは11ページの所で新方式の前提条件の中で、いくつかの条件が書いてあるが
- こういった中で主な、コアな部分というのは既に、ある意味で検討して自信のある、実績のある技術的方式を採用してるということだと思う
- そういった意味で、この製造の方式がチップかソフトウェアかという部分に関しては
- 技術検討ワーキンググループの議論の中では、その二つに政策というか、そういう意図があった議論だとは私は理解していない
- つまり方式をどう作るかと言うことで、それは早くできる方でやって頂ければ良いことで
- これは余計なことかもしれないが、ソフトウェアやチップで作ると言った時に、技術的な蓄積やラインの大きさに依存する話で
- どちらが早いか、どちらが安いかということは、本当に細かなスケール、規模、時期、そうしたことを検討しないと判らないので、本当にFIXすることはできない
- 従って、製造の選択肢として両方式を残すことが適当だと、こういう議論をしたと私は感じている
- 私からの説明は以上だが、一応担当者の方から後ほどあるので、またその時にも答えて頂きたいと思う
- もし私の言っていることが違ったら指摘して頂きたいと思う
以上が村井主査からの回答でした。次に指名されたのは椎名委員(CPRA)で、その発言は次のような内容のものでした。
- エンフォースメント、B-CASに関しては「年内に」というのが入ると言うことで、アップグレードということで、特段何もない
- スピード感を持って、粛々と進めて頂ければと思う
- それで全貌がもうすこし良く判るような形になれば良いかなと思う
- それから、取引市場に関連する部分については、我々の真意や、縷々申し上げた意見もきちんと取り上げて頂いて、非常に有り難いと思っている
- それから、対価の還元について、ちょっと河村さんが言ったことが良く判らなかったのだが
- 確認という風に言われたので、僕も確認の意味で言っておく
- 少なくとも、ダビング10にかかるコピーの対価の部分の戻し方について、当検討委員会は宿題を背負っていると思う
- 消費者は既に支払っていると言われたが、支払っている部分のお金の戻し方について、非常におかしなことが生じて、そのことが期待できない
- 補償金制度があって、そのことによる対価の還元が期待できないけれど、ダビング10をやろうということを決めた
- そのことでは、ひょっとしたら補償金制度によらない対価の還元があるかもということで、話を決めたはず
- そこでいう対価の還元とはまさしく、コピーの緩和に関する対価の還元であった訳で、そこでもう話がもう全部済んでいるのだという趣旨であれば、それは間違っていると言わざるを得ないと思う
- それから、取引市場関連の話として、関連する話として、一昨日開かれた知財本部の会合でNHKから、NHKオンデマンドの詳しい費用構成の発表があった
- そこで述べられたのは、著作権以外の要素として、例えば神社仏閣に対する許諾の申し入れが非常に困難を極めるという事情が細かく述べられた
- そうした交渉に要したマンパワーや費用が、これは全て権利処理の費用と言うことになってしまう
- 非常に大きな負担になっているということなのだが、こういう部分の費用は、法的な制度、たとえばネット権等を制定したとしても解決する部分では無い
- また、絵画や写真といったコンテンツについては、出版社や新聞社が絡む場合には、非常に高額な使用料を請求されるケースが多くて、その配信のビジネスモデルから得られる対価に見合わないということが言われていた
- 少なくとも放送番組というコンテンツをネットという新しいメディアに流そうとする場合に、そのことをやるパイオニアであればあるほど様々なハードルが存在して費用がかさむことが予想される
- しかし、それが全て権利処理のコストだと言われてしまうと、それは違うのではないかと思う
- この検討委員会でも、何故流通しないのだということを色々と追い込んでいった所、ビジネスモデルが成立しにくい収益性の悪さという所に一回行ったと思う
- まさに数字をもってそのことを証明する内容であったのではないかと思う
- 答申にも触れて頂いた我々の、実演家の権利処理機構については、6月19日に法人登記を完了して、今後具体的な中身の詰めの作業に入って行く訳だが
- こうした試みが一定の評価を受けて、いわゆる流通促進のための法的対応の必要性に関する議論が下火になることはとても嬉しい限りではある
- しかし実は、大事なことはそんなことではなくて
- やっぱり、如何にネットというものを産業や生活や文化にとって、有効な形で活用していくべきなのか
- 如何に収益性を良くしていくことができるのかということについて、もはや議論するべきであるし、誰よりもそうした役割が負わされているのがこの検討委員会なのじゃないか
- 検討委員会の名前を見るだにそういう風に思う
- そうした議論に入っていくことはできないのかなと、この答申を見てつくづく思う
- 突出した利害の調整だけで終わってしまって本当に良いのだろうかということを思う
以上が椎名委員からの意見でした。次に指名されたのは堀委員(音事協/ホリプロ)で、その発言は次のような内容のものでした。
- 毎回言っていることと重複するかもしれないが、許して欲しい
- 中間答申まで行ったことは本当に、この長い時間がかかっても、ここまで行ったことは良かったのではないかなと思う
- ただその、技術的なB-CASに替わること云々ということは
- まあ我々は素人なので、そのライセンス発行・管理機関を設置しようと言われても
- 具体的に、ここに書いてある、具体的に鍵を発行するとか、鍵の生成・管理というのは、一体どのような仕事なのだろうということが全然想像がつかない
- 透明に、透明にと言っても、言っていることが良く判らないのに、透明というのは、どういうふうにしたら皆が判るようになるのか
- その為に、わざわざもう一つ団体を作ってしまうのだろうか
- そうすると、我々がそこに入っても良く判らないということで、本当に良いのか
- その団体を作るコストもまたかかって来る訳で、じゃあ既存の団体でこの仕事の業務を増やすことはできないのか
- 今、私的録画補償金管理協会のような所には、各業界の団体も、有識者の方も理事として入っているので、そういう所でできないものなのかと、そういう素朴な疑問がある
- だから、透明性を増すというのは、どんな仕事をやっているのかがはっきりしないと、もう一つ、なにか訳の判らん団体ができてしまったと、そういうことは無い方が、皆納得するのではないかと思う
- いわゆる流通に関して言えば、非常に分厚い資料で、何となく判ったような、判らないような感じなのだが
- 最終的に流通が進めば、どうマーケットが広がるのかということが、全く書いていない
- 相変わらずゼロサムの話で、コンテンツのことを言っているはずなのに、チップ型の新しい機械ができれば、メーカさんは商品が売れるかもしれないが、具体的にコンテンツはどうマーケットが広がるのだということが全く見えていない
- 見えていないというか、先送りになっている
- しかし、現実的にはネット社会というのが始まっていて、ネットに流通させれば巧く行くのだと
- 何となく権利者に対しても、色々な団体に対しても提言されているのだけど、その先に何が見えているのかということが、全く希望が見えていないというのは残念だ
- しかし現実的にはネット社会というのは国境も時差もない、嘘も本当も入り混じっているものが、もう出来上がってしまっている
- PCレベルでやるのか、モバイルでやるのか
- モバイルでやるにしても、日本の国内モバイルは世界でも圧倒的に進んでしまったという現状が果たしてどうなのか
- 前にも言ったが、avexとNTT DOCOMOがやったBeeTVというのは、もう既に有料会員が40万人居る
- たった数カ月で、無料のサービスサイトから40万人が入るというのは異常なこと
- でもそこには、地上波の放送の番組は一つも流れていない
- 良いコンテンツがあって、魅力的であればこういうことがおこる
- でもノベタン(この部分聞き取り不明瞭)で何でも十把一絡に議論しているコンテンツの話は何となく難しく書いて
- 利害関係がぶつかっているということがはっきりしただけで、マーケットが広がっていることは、広がりそうなことがどこにも書いていないということはどうなのか
- ダビング10や、先ほども話があった私的録画補償金のことを言っているのだと思うが、無い方が良いと
- じゃあ、具体的にはその分はどうやってマーケットが広がっていくのか
- 国内でマーケットがダウンしていくというのは前も話したけれど、その補完はどこでするのか
- 先ほどの、DVDを買えば消費者は対価を払っているというようなことも、良く判って難しいのだが
- けれどもあれは現実には製造物を買っているのであって
- 工場の経費とか販売促進の経費とか、製造の過程で、4000円で買ったDVDのほとんどはそこでコストとして出ていって
- 実際のコンテンツのクリエイターだとか出演者の対価はほんの数千円になる
- でも現実には、一次的に買ったと言うことで、対価は払っているというレベルでまだ、議論していくのか
- そこが、すごく、コンテンツに関わっているものとすると非常に厳しい
- 現実的に海外の話も出ているが、今までに日本が知財の分野というか、コンテンツで世界第二位だったというのは、非常に保護されていたからで
- 日本語以外のソフトに関しては排他的であったし、海外のマーケットで戦わなくてもちゃんと勝てるようになっていた
- でも、あの2chですらシンガポールに売られてしまった
- 日本人が日本語でせっせと打ちこんでいるものが、シンガポールの物な訳だ
- それがネットの社会だということに何時までも気が付かずに
- いつまでもゼロサムの論争を何年も何年も続けていくことの無駄にそろそろ気がついて欲しい
- シンガポールと言うのは世界中から優秀な技術者・クリエイターを世界中から集めている
- 同じ資源の無い国として、シンガポールは国策としてそちらに向かって行っている
- 日本のビジョンはどちらにあるのか、どの役所の審議会でも、何も提案されていない
- 何時までこれは続くのかなというハテナが、相変わらず続く
- するとじゃあ日本のソフトで勝てるものは何か
- 日本語がマイナスだということをことさら強調するつもりは僕は無い
- 丁度今時分フランスでJAPAN EXPOをやっているけれど、15万人が来る
- ここは、アニメと戦隊物のヒーローショーとか、ゴスロリのファッションショーとか、おおよそここでは議論しないような物の為に15万人が集まっている
- でもフランスに来れない人は一体何十万人・何百万人いるのだろうと思った時
- その話をしないで、ダビング10の話を一生続けることの瑣末さ
- そこをもう少し考えて、もうちょっと研究したら良いのじゃないか
- コンテンツに関してのどの審議会の話を聞いていても、コンテンツに関してのセンスが非常に低いように思う
- 数字とか統計とか、諸外国の情勢とか、主観でこう思いますという事ばかりが並べたてられているだけで
- 実際に世界で買いたいと思っている人の事の情報があまりにも出ない
- 多分ここで僕がゴスロリと言っても、どんなものかなと判らない人の方が多いのだと思う
- ゲームに関しても、ケームは世界で売れているかもしれないけれど
- 国際大会で日本のゲームを使ってコンテストをやっているというケースがどんどん少なくなってきている
- そういう実態をちゃんと見極めて欲しい
- それでコンテンツ立国ということを考えないと、皆で尻尾を食っている間にマーケットが無くなって
- 全部外に出ていってしまうと、そういう警鐘を是非鳴らして欲しいなと思う
以上が堀委員からの意見でした。次に指名されたのは福田委員(民放連/テレビ朝日)で、その発言は次のような内容のものでした。
- 私の方からはエンフォースメントを中心に意見を申し上げたいと思う
- 私も若干、前々回と重複することがあることを許して頂きたいと思う
- 前回申し上げたことだが、民放事業者は一昨年の12月に、それまで開発をしていた、その当時言っていた新方式について断念をした
- それが先ほど主査の方からあったように、蓄積になって残っているので
- 今議論されている方式について役立つということに繋がったのならば、効果があったということになるかと思う
- その時にB-CAS方式の低廉化を含め、これでしばらく行くのだと機関決定している
- 改めて今、皆の意見の中で、各分野の方が新しい方式で併存する形の物を探して行こうとなったので
- 民放事業者としても、前回は私個人の意見として申し上げたが、民放全体として検討に入っていきたいと申し上げたいと思う
- ただしこれからは、民放事業者が単独でやるということはないと思うので
- 関係者の皆の協力がないとできないと思う
- 先ほど関係者とは誰かという指摘もあったが
- 何時、誰が、加えて何をするかについての明確さをやっていかなかればいけないだろうと思っている
- しかしながら、その検討の後にもハードルがいくつもあると認識している
- 一点は、先ほどの資料の11ページにあるように、今回の方式について、技術レベルでは⑥「早期に仕様の策定が出来る、受信機の市場への導入が出来て、簡便な運用ができる」という一方で
- 右側の契約の留意事項の①「受信機実装に必要な秘密情報が漏洩するリスクが存在する」と
- そういうことについて覚悟する必要があると既に指摘されている
- 数回前の会議で、当然ながらこれを埋める、穴を埋めたり補完するものとして、制度的な整備が必要であると主張をしているので
- 私共はこれをスタートするにあたっては、そこの担保がなければ非常に、後々に禍根を残すものになるだろうと思っている
- そういう意味で、足りないものを補う制度を作っておくというのは、何事にとっても自明の理なので、そこは理解を頂きたいと思う
- 先ほど、ライセンス発行・管理機関は何をするのかということがあったが
- これは後に技術の方から説明を頂きたいと思う
- これまで、B-CASに対する色々な疑問が出されていたので新しい方式の管理もB-CASに任せるのではないよねということで
- それはどこかに記載されていたと思うけれど、そうすると新たに作るのか、それとも既存の組織を使うのかといったことを含めて
- ここまでやってきた以上は、関係者の皆に参加して頂いたうえで
- 透明に進めていくべきではないかと思っている
- その上で、具体的にどういう仕事があり、どういうことをするのだという運用の説明がされていくのだろうと思っている
- それから先ほど、高橋委員からあったけれども
- チップなのか、ソフトウェアかということについては、主査の方から一括説明があったので、これについては省くけれど
- この方式について、短期間に応募して頂けるメーカの方があるのかどうかということもこれは非常に大きいと思う
- この中で、2011年7月よりも可能な限り早くという設定をしても
- あるいは早めにモノの策定ができたとしても
- その技術に応募される方がなければ絵に描いた餅になってしまうということが一つ
- さらには機関ができたとしても、メーカがこれに進んで頂けるのかどうか
- 主として数社あるし、今日もメーカは2社出席されているけれども
- これを聞いてしまうと、ある意味で営業行為には差し障りが出るということは知っているが
- 我々としては応募して頂いて作った方式を誰も搭載をしてくれないということであれば
- 前回の新方式と、全く同じ、二の舞を踏むということになる
- そこに関してメーカの意見を伺いたいと思う
- これについては、13ページにおいてb)の所で「可能性についてメーカさん等の意見を求める」とあるので
- これは極めて婉曲な表現にされているのではないかと思うが
- それをそこそこ作るよということでは非常に困るし
- かつてメーカさんが仰ったように、ある意味ではロット数の問題もあるが
- 逆にロット数が出ないと、我々にとっても数のメリットが出てこないという、裏返しになろうかと思うので
- そこの所は確認させて頂きたいと思う
- さらに我々の仕事として、13ページの放送局、送信設備の改修というのがあるが
- これは当然ながら放送事業者の責務であるが、民放だけでも127社、NHKの放送局が54局
- そうすると、ここの全部の放送局の設備改修がどの程度必要なのか
- これは二つあって、コストと期間の問題で
- その一方で、これに関わるメーカは2乃至3と申し上げていいかと思うが
- 皆が、どういう形でこの意義を理解されて、短期間に集中的に取り組んで頂けるかと言うことと
- さらにコストの面で、御存知のように、民間放送事業者は当社も含めて、相当数が08年度においては赤字決算に落ち込んでいる
- 当然地デジの費用は織り込んでいるが、それに加えて100年に一度という未曽有の不景気に来ているので、市況は相当悪い
- その中で、平成新局といわれる平成になってから出来た放送局は沢山あるし
- そうした所に過重な負担を強いるということになると、これは相当抵抗が出てくるだろう
- これは恥を忍んで申し上げるしかないと思う
- そういう意味で、年内という括りで、どこまでを指すのかということは後ほど改めて
- ④の1)、2)、a)、b)、c)の所どこまでかということは明確にしておく必要があると思うが
- そのあとに実はまだまだ問題があるのだと認識頂きたい
- 関係者等という表現であったが、我々をどこまで含むのかというのがあるが
- 先ほど申し上げたように、今回の新方式についてここに出席されている各分野の委員の皆が色々な所で協力をして頂けると確信をしている
- その中で、どうやれば目標である2011年7月よりも相当早く実施できるかということについて
- これはこうできないか、あるいはこちらから行くとこうだけれどもといったことも含めて
- アイデアを出して頂きながら、早急に進めていきたいと思っている
- 我々も、何時までに設定をする、何時までに始める目標を立てようということは
- 逆に言うと、目標設定があるということは非常にやりやすいというふうに思うので
- それに対して異論を唱えるものでは全くない
- それからもう一つ、コンテンツ市場であるが、先ほど長田委員の方から色々と指摘があったけれど
- 我々もそちらの方では悪者あつかいされているが、立場上表現できないものを含めて、なかなか苦労している所があって
- 既にガイドライン等が出来たり、別の分野でこれからできるということがあるけれども
- この委員会があって、色々とワーキングが作られてきて、成果物ができているというのは確かだと思うので
- そこについての記述は、私の方からもした方がよいと賛成したいと思う
- それから堀委員が常々言っているが
- 何のためにやっているのかというのは、議論の為の議論ではないので
- 市場拡大ということは、イコールお金になることをどうするかということで
- お金になることは我々としてもやっているし
- 委員限りの資料であるが、当社においても、動画の配信で見逃し視聴のサービスを先月、09年の6月に始めている
- それが何故かと言うと、市場拡大はまだ出来ていないものの、手をつけて行かないと遅れを取るということで
- それぞれビジネスとして考えているところがあるので2年ぐらい前からの意見と重複する所はあるかもしれないが
- 皆、金になることは、当然ながらやっていくということが一つ
- ただしそのために、これからビジネスのチャンスを持とうと思う方には、それぞれの負担をして頂くしかないと
- 先行投資も含めてやっていくしかないのだろうと思っている
- そこは共通理解ができているのではないかと思っている
福田委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは関委員 (Dpa/フジテレビ) で、その発言は次のような内容のものでした。
- 民放の事業者としての意見は福田委員から話されているので
- 若干違うところから、感想というか、そういう観点で言わせて頂く
- 13ページにもあり、色々な意見の中にも出てきているように、とにかく新方式の内容の早期明確化が無いと一歩も先に行かないのではないか
- この図の下の左側の所の策定と、④の2)のa)を、いわゆる契約条件の策定の所までを早く、早期に明確化を図る必要があるだろうと思っている
- 1)にあるように、これまでの蓄積もあるが
- とにかく早期にやれと言われて、ちょっと……
- 「はい頑張ります」ということしかないのだが
- 年内を目標ということで、先生からも提案を頂いたので、そうしたことで推進を図っていきたいと思う
- これに関しては福田委員からも、また、他の委員からも出たことだが
- やっぱり関係者に協力して推進しなければ、本当に、一年半前と同じことになってしまうと思っているので
- よろしくお願いする
- また、チップとソフトの話で、先生から説明頂いた、その通りだと思っている
- これは検討のプロセスであった、先生の言われた通りなので、もし誤解を生むのであれば、そうした記述をしなくても良いのではないかと感じている
関委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは藤沢委員 (NHK) で、その発言は次のような内容のものでした。
- もう、ほとんど福田委員と関委員に言って頂いたので
- ほとんど重複することになるかもしれないが、私なりの理解で話をさせて頂く
- 13ページを見て頂いて、具体的なプロセスの図面を見て頂いて
- 真ん中のライセンス発行・管理機関というものの右側は非常に単純作業なのだが、先ほど福田委員からあったように数があって大変と
- 左側は、今度は逆に色々とやることがあって大変という特徴なのだろうと思う
- 左側の話をすると、繰り返しになるかもしれないが、とにかく技術方式と運用規定を早く作ってしまって、契約条件を作ってしまおうと
- その二つが出来上がれば、メーカさんが作ってくれるかが判るだろうということと
- ②にあるような補完制度が必要か必要でないのかということが判るだろうということで
- それらを踏まえて、ライセンス発行機関の設置という段階に入れるのだと、そういう話だと思う
- ということで、非常に色々な関係者の方々が色々な作業をやらなければいけないといことで
- 多分これを終わったらこれということではなく、年内ということであれば、色々なところをオーバーラップして、相当工夫して進めていく必要が、関係者で協力してやっていく必要があるだろうと思っている
- そういうことで、NHKとしても頑張ってやっていきたいと思っている
- それから、チップとソフトウェアという件で、先ほど村井主査の方で説明して頂いた通りなのだが
- もしかしたら14ページを見て頂ければもっと判りやすいかなと思った
- 要は、14ページの真ん中にライセンス発行・管理期間というのがあって
- 今までソフトウェア方式と言っていたものでは、受信機メーカにライセンス契約で色々な秘密情報を提供して、受信機を作ってもらうということなのだが
- もしかすると受信機メーカは自分のところでチップを作って受信機を作るかもしれない
- メーカによっては他の所でチップを作って貰って、それを使って受信機を作りたいメーカもいるかもしれないということで
- その下に、受信機メーカと同列のような形で、チップを作るメーカもいるかもしれない
- そこにもライセンス機関はライセンスをして
- チップを作ってもらって
- ちゃんとコピー制御情報に従って受信機を作ってくれるメーカには、製造業者から買ってもらってもいいじゃないか
- その二つのやり方が混在するので、技術開示方式という形でまとめたと、そういう経緯だと私は理解している
藤沢委員からの意見は以上でした。次に氏名されたのは田胡委員(JEITA/日立製作所)で、その発言は次のような内容のものでした。
- 私で多分最後なのではないかと思うのだが
- ほとんど話が終わっているので、何とも申し上げることがないのだが
- やはり年内を目標にという記述が入ることが大きなポイントかなと
- それに向かって、やはり技術方式、運用規定の策定等々において、当然メーカとしても協力をさせて頂くと思っている
- また、チップかソフトかもやはりメーカとして説明しなければいけないかなと思っていたのだが
- 藤沢さんからきちんと解説して頂いたので、あまりもう、これ以上言うことが無い
- チップかソフトかということは、全部手段であって
- ソフトと言っても最後はチップと言うか、メモリに格納しなければいかないということで
- そういう意味では商品企画の自由度、それから製造の……開発というか、生産状態の自由度がB-CASに比べて格段に増えるという理解を頂ければ良いと思う
- B-CASはもう固定していて、あれしかやることがないけれども
- 今回は、A社はソフト、B社は例えばA社がチップ化したものを買ってくるとか、色々な選択肢があり
- そうした選択肢が増えることで、色々なメーカさんがいるので、そのメーカの開発の選択肢が大きく増えると、多様になると理解をしている
- これがまさに、生産の選択肢・開発の選択しの拡大につながる
田胡委員からの意見は以上でした。ここで村井主査からの指名は一巡して、以降は発言を希望された方が自由に意見を出していくという形になりました。
最初に発言を希望したのは浅野委員(IBM)で、その内容は次のようなものでした。
- この13ページの所に関して、皆随分発言されていたけれど
- 前回も私がちょっと発言したように、これは目標時期を設定するのであって、あくまでも不確定要素があるという前提のもとにやる訳で
- 絶対に、何時何時までにできるという場合であれば、それは絶対にできるのだから、目標時期とは言わない
- ある程度不確定要素はある中においても、この時期を目標にして関係者が皆努力していこうと
- これは社内みたいな形で目標時期を決めているのであれば、もしそれが実現できなかったら、それは大変なことになる
- あるいはお客様との間の契約ということで目標時期を設定したのであれば、それができなければ大変なことになる
- 皆で協力して合意形成の下でやっていこうという形での目標設定で、それに向かって努力していこうということなのだから
- あまりにも慎重になって、その時期ができるかどうかを気にする必要はないのではないか
- 私は中間答申を出していく上において、やはりTODOリストということでは「何を、誰が、何時までに」という時期が明記されていないとTODOリストとしての体裁を満たしていないので
- 中間答申においては、ここの時期が、年内を目標にという、その時期が入ることを信じている
- そういうことで、関係者の皆も、そういう時期を入れるということにおいては、目標時期に向けて努力していくというベストエフォート型で考えてやっていけばいいのじゃないかと思う
- 高橋委員の発言にあったチップとソフトウェアということに関してなのだが
- 田胡さんや他の皆も言われたような形で、あくまでも技術仕様でどのように実装するかという所で
- その技術仕様をどこまでをハードウェアにやらせて、どこからソフトウェアにやらせるという形で見ると
- IMPLEMENTATIONの仕方としては全てソフトウェアでやる形と、全てチップでハードウェアでやる方法と、ソフトウェアとチップの組み合わせでやるといった、色々なバリエーションがある
- そこはメーカの方にどういったIMPLEMENTATION、あるいは実装を使っているかということに対しての自由度を与えた方が良いと思う
- メーカにメリット・デメリットを聞いた時に、ソフトウェア方式でやった方が良いと言うに決まっている
- またチップでやっているメーカはハードウェア方式が良いと言うに決まっているから
- そこの所に関しての自由度は、メーカの方に与えておくという形で良いのじゃないかと思う
浅野委員からの意見は以上でした。次に発言を希望したのは三尾委員(弁護士)で、その内容は次のようなものでした。
- 中間答申の規定に関して、ちょっと言わせてもらいたいのだが
- 12ページをちょっと見て頂きたい
- 契約という項目の中で留意事項という点が何点か書いてあるが
- 14ページを見て頂ければ明らかなように
- スキームとして、放送事業者やメーカが、ライセンス発行・管理機関とライセンス契約を締結することが前提になっていると思う
- このライセンス発行・管理機関というのは、今までのお話だと単独というか、ひとつと言うか
- 複数ないという形になるので、競争原理からすると、非常に独占禁止法違反の疑いが強いという状況にあると言わざるを得ないと思う
- ライセンス契約の内容によっては、端的に独占禁止法や、公取が規定しているライセンス契約に基づくガイドラインに抵触する恐れがある
- なので、独占禁止法や関連の法規等に留意するという一言を12ページのところに入れて置いた方が良いのじゃないかと思う
- その点を看過しているとなると、後で問題かと思うので、内容については詳細が決まらなければライセンス契約も何も決まらないと思うので
- 一応、危険性があるということで、その点を留意するということは入れておいた方が良いのではないかと思う
三尾委員からの意見は以上でした。次に発言順が回ったのは岩浪オブザーバ(AMD/インフォシティ)で、その発言は次のような内容のものでした。
- この13ページの話に関しては、皆の意見と大体同じ意見なのだが
- 8ページに関して、実はうちの会社も、パソコン上のソフトウェアであるとは言え、受信ソフトというか、受信機、受信システムを売っていた
- そうしたものを売っていた所から言わせて頂くと、村井先生や田胡さんも言っていたことだが
- 多様な選択肢で自由度があがるということで、理想的なことではないか
- この技術開示方式を、そういうことだと素直に理解すると、この後参入するかどうか、多分しないとは思うが、非常によろこばしいことだと感じた
- ソフトウェアかチップかという議論は、ちょっと僕は判らないところがあったのだが
- いずれにせよ、特に強度が変わる訳ではないし浅野さんが言われたようにに実装の方法論の話であって
- そこは優劣という話ではない
- そのように理解しているので、いずれにしても、こうした多様な選択肢が出て
- 受信機にも色々なバリエーションの受信機が出て、それが価格や形状に出てくるだろうということで
- ユーザにとっては、購入の選択肢や、必要な機械や、視聴場所も含めて選択肢が増えるではと思う
- それに関して、非常に良い、喜ばしいことだと感じた
- もうひとつ別件の、取引市場の方に関して、取引市場に関してと言うよりも、堀委員の意見について
- これはまったく大賛成で、堀委員が仰る通りだと思っていて
- コンテンツビジネスをもっとICTを使って拡大していこうという話で本委員会は始まったと思うので
- 堀委員が言うような事態は実際におこっていると思う
- 以前ここで、映像関係についてだけだが、アメリカやイギリスの情勢を発表させて頂いて
- その際にちょっと触れたように、シンガポールの例えばメディアコープの話をしたように
- 相当世界的には動いているし、先ほどちょっとBeeTVの話も出たけれど
- それと同じではないし比較する訳でもないが、新しいマーケットはあっという間に出来る状態になっていると思う
- これは日本としてはどうかという所はあるが、iPhoneの発売と共に、AppleStoreという新しい市場が昨年の7月にできて
- 1年まだ経っていない訳だが、もう5億本以上のアプリケーションが世界中で開発されて、果たして4月に、もうダウンロード数が10億に達したと
- 一年も経たない内に、あっという間に新しいマーケットができるという時代になっている
- 折角こうしたところで議論をするのだから、そちらの議論も沢山したいと、した方が良いと思う
岩浪オブザーバからの意見は以上でした。ここで発言を希望する人がいなくなったのと、終了の時間も近づいたということで、村井主査から次のような内容のまとめが行われました。
- 時間になってきたので、本日の議論はここまでにしたいと思う
- 本日は大変貴重な意見を頂いた
- 最初に高橋委員から指摘頂いたこと、それから三尾委員から指摘頂いたこと
- これは色々な関係者の方から発言して頂いたように、技術開示方式のプロセスの節目節目がこの13ページで出てきて
- その所で、今のお二方の意見に関係することが、例えばどういった関係者がどういう役割をしていくかという、チェックポイントのようなことが出てくるのだと思う
- 多分、今回の答申の段階では、時期とプロセスそのものを答申の内容として含めていくということが、浅野委員から指摘頂いたように、一番大事なことだろう
- 当然この中間答申なので、今後のプロセスがこの検討委員会に参加している各方面からの視点で
- このプロセスをきちんと見守っていくとか、あるいはそこでまた色々な議論をさせて頂くと言うことが
- それぞれ指摘頂いたことの具体化に今後なっていくのではないかと私は考えている
- そういう訳で、今日皆から頂いた議論を踏まえて、この答申本文を、全体に関して作成をして頂きたいと考えている
- 本文の案は今日一部分(委員のみと言うことで配布されていた取引市場関連の答申本文(案)のこと)あるけれども、これからできるということで
- これを7月6日の情報通信政策部会で、諮られるということで報告させて頂くということになる
- その前に、当委員会を開催させて頂いて皆さんにお諮りしたいので、その本文には今日話させて頂いた目標時期も、反映したものになるだろうと思う
- これの開催は7月6日当日、政策部会の当日ということになるが委員の方々に参加頂いて
- 議論して、チェックして頂いて、その六日の午後に情報通信政策部会で私の方から報告させて頂くという
- ウルトラスケジュールというか、そういうことで、事務局の方は大変苦労だと思うが、委員の皆さんも意見があれば事務局に伝えて頂ければと思う
村井主査からのまとめは以上でした。この後、事務局の小笠原課長から「審議は7月6日の後一回になったが、答申案も委員の皆の了承が得られるように努力していきたい」との案内があって、今回の会合は終了しました。
◇◆◇
多少、感想を書いておきたい部分もあるのですが、昨日の第57回で、受信確認メッセージに関連してかなり面白い話が聞けた為、そちらのまとめを優先したほうがよいだろうと判断しました。今回の感想はその後でまとめて片付けることにします。
7月10日(金) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第57回) [この記事]
7/6に開催された第57回の傍聴レポートです。今回は中間答申案を提示して皆で承認して終了というセレモニーだけだろうと予想をしていたのですが……それなりに白熱した議論が行われていました。議事自体は次の流れで進みました。
- 村井主査 (慶応義塾大学) からの開会の挨拶
- 小笠原課長 (総務省 コンテンツ振興課) からの配布資料確認 & 答申案説明
- 上記を受けての各委員のコメント (自由発言方式で)
- 村井主査からのまとめ
- 小笠原課長からのこれまでの審議に対する感謝
- 村井主査からの閉会の挨拶
いつものように定型文状態の開会挨拶と資料確認は飛ばして、小笠原課長からの答申案説明部分から議事を追いかけていきます。説明は次のような内容のものでした。
- 骨子について、前回の意見を踏まえて修正をしたところを中心に説明したいと思う
- まずは12ページの契約の①に関して
- ライセンス機関の所について、「独禁法等関係法令との関係で問題となることがあり得るので、その点についてそうした抵触が起こらないように」と、明記しておくべきではないかと指摘を頂いた
- 12ページの契約の①の所だが「ライセンス発行機関等については、基幹放送に係る公共的な業務に関わることに鑑み」これは何度もこの委員会で指摘を頂いたところで「その公共性との関係で、組織運営上の透明性が担保されることが重要」と
- それで、「独禁法等関連諸法令の順守や、非営利性の確保等に配慮した運営が必要」と趣旨を明記させて頂いた
- 併せて本文の方では17ページに、独禁法関係での国会での質疑を、公正取引との関係のやり取りを抜き出させて頂いた
- 17ページの上の所で質疑としてライセンス機関のB-CAS社のこと、「公正な取引に関して疑義があることについてどうか」ということについて
- 公正取引委員会の答弁として、一般論としてということではあるが「カード発行会社が一社だけだと言うこと、それ自体が独占禁止法上問題となるのではない」という答弁
- それから「但し、新規参入を阻害するという行為がある場合は問題が生ずることとなる」という答弁を公正取引委員会から頂いている
- 参考までにその件について記載させて頂いた
- いずれにしても、ライセンス発行・管理機関には独占禁止法等関連諸法令の順守ということが当然に求められる
- そうしたこと踏まえて、きちんと運営していくべきではないかといったことを明記させて頂いた
- それから、この前多少触れた所だが、技術の⑧について
- 骨子の方で「デジタル放送に係る諸法令やルールと整合性が取れた方式」と書かせて頂いて
- これから新方式について、技術・運用規定を考えて頂く際に、当然ながらこれまで電波法や放送法、関連の省令とか
- 或いは「規制改革推進の為の三カ年計画」等々、これは閣議決定で
- その中で例えばデジタル放送に関係した部分では、受信確認メッセージの活用といったことの検討も含まれている
- それからARIB・Dpaといった機関が策定・公表をしている標準方式、こうした公の所で定められた法令・ルール
- こういった物を引き続き遵守して、規格・運用規定の策定にあたって頂ければということを記載している
- それから13ページの所だが、再三に渡って指摘を頂いた、目標時期について
- ④の冒頭で「以下1)、2)について」ということで「年内を目途に」と目標時期を明記をさせて頂いた
- 従って下の箱で言うと、技術方式の運用規定の作成という箱と、ライセンス発行・管理機関の設置という箱、この二つの概ねの目標時期を年内というふうにさせて頂いた
- 技術方式・運用規定の策定という箱については、1)の所で「ARIBにおいて新方式に関する標準規格を本中間答申が提言をする前提に沿って見直す」と書いた
- これは、先ほど説明をした前のページで、技術と契約について、色々と配慮して頂きたいことを書いているが、これをそうした前提で見直して頂くことと
- Dpaにおいて、その技術方式にそった運用規定の策定、この二つをお願いしたいということが書かれている
- こういった技術方式・運用規定と併せて「放送事業者等関係者において」という所で三つほど
- まず、この技術と運用ということを踏まえて契約を策定して頂くこと
- それから、契約が明確になった後、受信機の製造販売の可能性について、受信機メーカ等に対して意見を求めること
- その結果を踏まえて、ライセンス発行・管理機関の設置に取り組むこと
- こうした三点がある
- これが、このライセンス発行・管理機関の設置と言う箱にあたる訳だが、これについても、年内を目途にということで日付を明記させて頂いた
- そして、放送事業者等関係者に関してCLEARIFYが必要ではないかという指摘について
- 答申案30ページから31ページにかけて、資料2の答申案の30ページを開いて頂ければと思う
- 30ページの下から6・7行目の所「放送事業者等関係者」に米印を打って、31ページの冒頭の米印に放送事業者等関係者の中身を明記をさせて頂いた
- 従来から議論があった通り、業務の公共性という観点でこのライセンス発行・管理機関には中立性・透明性が求められる
- 従って、それに取り組む関係者とは誰かと言うと、それは可能な限り、幅広い者の参加を得られることが望ましい
- ここでは放送事業者等と書いてあるが、放送事業者の他に
- 例えば権利者団体などコンテンツ保護に関わる事業者の団体の方
- あるいはエンフォースメントに関わる技術・法令、これに関係する有識者の方
- あるいは消費者と、当然ながら、この委員会を構成している視聴者・消費者の方々を含めていて
- そうした方々が考えられると、その例示を明記させて頂いた
- それから、④の下の今度は⑤だが、これは新たに追加させて頂いた
- ⑥の所で冒頭に書いたように、前回の意見で、色々と作業を進めていくにあたって、下にあるように放送局送信設備の改修や受信機の開発等、いずれにしても時間がかかることがある
- そういった様々な検討課題がこれからも現れてくるだろう
- 従って、様々な検討課題の存在を明らかにして頂いて、この審議会として、こういった作業がどう進捗していくか
- それから進捗にあたってどのような課題が出てくるか、そういったことを関係者の方々や
- 例えばARIB、Dpa放送事業者の関係者と、マーキングを明確にしている訳だが
- そうした方々に説明をお願いし、それに応じて、作業の加速推進をやるために何をやっていくか
- あるいはもし課題があって、それが為に、なかなか作業が進めることが難しいという問題があるのであれば
- それが明らかになった時点で、その解決方策について
- それから前回指摘があった通り、何よりもこれから理解を得ていかなければならない視聴者等関係者の意見を求める機会を十分に確保しつつ
- 所要な審議を行っていくというふうにして
- 当然ながら、これから色々と課題や議論をしなければいけないことがあるかもしれない
- そういったことについては、ここの審議会、委員会の場で十分に情報を共有し
- そしてその情報共有の過程で、課題がもし明らかになるようなことがあるのであれば
- 視聴者の参加を得てこの場で所要の審議を行っていき
- これから課題が明確になってきたら、この場の皆で、知恵を出し合って色々と考えていくと
- そうした所の趣旨を明記させて頂いた
- 本文で言うと31ページ、一番最後の所にこれをほぼそのまま書いてある
- なぜこうなるかというと、すぐ上に「そして以下」の所で書いている
- これは審議の過程で再三再四指摘頂いた訳だが、地上デジタル放送が、国内のほぼ全ての世帯の視聴者に影響を及ぼす、こうしたことである以上
- こういった作業プロセス、進捗状況、それから課題、そういった検討状況について視聴者と情報共有し
- 情報を開示していき、その理解と協力を得て作業を進めていくことが不可欠
- こういった観点から、一番下に書いてある通り、当審議会の構成員を含めた、視聴者等関係者の意見を求める機会を十分に確保しつつ
- 適時、所要の審議を行っていくという所を明記させて頂いた
- 従前から指摘を頂いた時期については骨子の13ページ①にある通り、2011年7月24日のデジタル全面移行の時期までに可能な限り早期にということで運用開始を念頭に置き
- そして、具体的な作業のステップとして、技術方式・運用規定の策定、それからライセンス発行・管理機関の設置ということについては、年内を目途にということで
- それを目標値として作業をお願いするということが提言の内容になっている
- 以上がエンフォースメントに関わる議論で、本文中、ページ数で言うと18ページ以下の、エンフォースメントの改善の在り方の検討というところだが
- そこで、これまでの議論の経緯を21ページの(2)以下に、数ページを費やして記録をしている
- この部分については、作業が不十分な所があり、重複・順序等と、指摘を頂いているので着実に作業を進めていきたいと思っている
- 今の内容に関わるところとして、本文の18ページに、選択肢のまとめの表ということを載せている
- そこの左側は、前回から技術開示方式というふうに修正をさせて頂いた
- 前回、こちらで何度か指摘を頂いた通り、技術開示方式と言うことが、この新たな方式の性格を端的に表わすのであって
- それで、実際に開示された仕様をソフトウェアという形で取り扱うか、あるいはチップと言う形状にして取り扱うか、これは商品企画の自由度ということで
- あくまで新方式の特徴は技術開示ということを行っていくことで
- それを端的に表わす名称とした方が、誤解が無く判りやすいのではないかという指摘もあり、こうした所にまとめさせて頂いている
- エンフォースメントについては、大雑把に言えば以上のようになっている
- 次に、取引市場について、まず骨子のところで33ページを見て頂きたい
- 前回指摘を頂いた、番組制作者との関係の部分について、33ページの箱の下にあるが
- 2月25日に公表させて頂いた取引適正化についてのガイドライン、これの周知を行っているところであると
- 前回頂いた意見に従って、33ページの一番下に記載させて頂いた
- 放送コンテンツの制作取引の適正化の為のルール、これを関係者に徹底して
- 制作者に適正な対価が支払われる、こうすることが対価の還元の有効な施策の一つではないか
- 従って、今検討し、周知広報に努めているガイドラインについては、その旨も明記すべきではないかという意見を頂戴した
- それで、放送コンテンツの制作取引適正化のガイドラインの周知、それから実際の取引状況のフォローアップ
- そういったことを実施して、公正かつ適正な放送コンテンツの制作取引を促進するということを明記し、追加させて頂いた
- それからもう一点、34ページの(4)だが、前回、今後について幾つかの意見を頂いた
- これまで、ダビング10にせよ今回の問題にせよ、色々と考えの異なる方々の調整をこの委員会で審議して頂いてきた
- さらに進んで、世界に求められるコンテンツの姿
- あるいはそれをどう流通させれば収益が上がるのか
- あるいは具体的にどうマーケットが広がっていくのか
- そういった戦略的なビジョンという議論が足りなかったのではないか
- あるいは、コンテンツ流通の課題として、これまで権利処理に随分フォーカスがあたってきたが
- 映像コンテンツ権利処理機構という権利者団体の設立で、そうしたことだけにフォーカスしていく段階はもう終わったのではないか
- 例えば、ネットによる収益性をどうしたら向上させることができるか、そうした本質的な問題に議論を移していく必要があるのではないかといった指摘を頂いた
- 今後の課題の一つとして、例えば個人のクリエイターの持つ創造性をどうやって活かしていくか
- あるいは、IPTV・サイネージ、そうした新たなプラットフォームをどう使っていくか
- それでそうしたものを使って、どうやって収益を上げていけば未来が開けていくのか
- 等々、そういった将来な市場の展望を含めて、コンテンツビジネスに関する総合的なビジョンと戦略ということを議論の課題として意識していく必要があるのではないか
- そうしたことで、コンテンツビジネスの将来性に関する検討推進ということで追加をさせて頂いた
- これについて42ページ以下から数ページに渡って、この検討委員会で頂戴した議論について、かなり詳細に抜き出させて頂いた
- これに関しても、非常に前向きな、貴重な指摘を頂いているところで
- ワープロミスのようなものまで委員の皆さんに指摘して頂いて申し訳ない
- やはり重複や表現ぶり等々、貴重なご意見を頂戴しているので、こうした所については、今全力で訂正している
- ということで簡単ではあったが、以上のように骨子を、この前議論頂いた所を踏まえて修正させて頂いた
- それから本文については、今説明したように適時、この前頂いた意見を可能な限り本文中に反映すると言う形で作成させて頂いた
- ちなみに、時期のところについては、本文では30ページから31ページにかけて、最後の(3)の「関係者における取組および目標時期について」という所で、ほぼ今説明した内容をそのまま記載している
- 以上、簡単ではあるが、前回の議論を踏まえた答申の修正、それから本文の関連部分は以上の通りとなる
小笠原課長からの説明は以上でした。ここから、希望順の形で意見交換となるのですが、その前に、村井主査から次のような内容のコメントがありました。
- 今説明にあったように、資料の1と2、骨子案と本文案ということで、本文と、その概要版ということになっている
- 今日の午後に、私の方からこれを使って説明をさせて頂くために
- 前回の意見を踏まえて、前回の意見を入れるように修正した内容を (小笠原課長から) 説明して頂いた
- 取引市場の関係、それからエンフォースメントの関係と、二部構成になっているので、今日は、意見があればそれを伺うということで進めたい
- 前回も特にエンフォースメントの所で、技術検討ワーキンググループの説明が求められる場面があったので
- そういった質問が出たら、後で、技術検討ワーキンググループの参加者の方や、あるいは私も含めてコメントをしつつ、確認をしていきたい
という村井主査からの簡単なコメントの後で「如何でしょうか」と発言の呼びかけが行われ、それに最初に応えたのが石橋委員(日本CATV連盟)でした。石橋委員の発言は、次のような内容のものでした。
- 本文の中にその趣旨も入っているので、特段ここで申し上げるべきことではないとも思うのだが
- 今回の新エンフォースメントの導入にあたっては、ケーブル側でも一定の一定の設備改訂といった必要性がある
- 打ち合わせ等はあるにしても、基本的には、そうしたことをやっていかなければいけない
- 内容は当然ながら、まだ全然判っていないが、これから、先ほど説明されていた案の作業が進んでいくので
- その過程において、できるだけ、我々関係するものには教えて頂きたいと思う
- 片方だけ、地デジのみの導入になるということなので
- デジアナ変換とか、ケーブル側で色々やらなければいけないことがあって、必ずしも、ケーブル事業者単独で考えると歓迎すべきことではない部分もある
- そういう中で、今回こうしたことを新たにやっていくことになるので、是非、彼らになるべく早く覚悟をさせて
- こういうと他人事のように聞こえるかもしれないが、そのつもりで進んでもらうしかないという、必要性があるので、是非、配慮して頂きたい
以上が石橋委員からのコメントでした。このコメントに対しては、村井主査から次のような内容の回答がありました。
- 色々な統計を見ても、ケーブルの数字は地デジの視聴の中で多くを占めている
- 今回の話が、その方々にどういう関係があるのか、色々と精査に詰めたり、コミュニケーションに気を付けることも大事だと思う
- どうもありがとう
このやり取りの後で、次に発言を希望したのは高橋委員 (ジャーナリスト) で、ここから受信確認メッセージに関しての、少し多くの方を巻き込んだやり取りが始まりました。まず、高橋委員からの最初の発言は次のような内容のものでした。
- 質問させて頂く
- 資料の方の12ページに、基本的な考え方の技術の所の⑧という所に「以下のようなデジタル放送に関わる諸法令やルールと整合性が取れたものとする」と書いてあるが
- その一つ目の所に、閣議決定のことが書いてある
- これは閣議決定した後、受信確認メッセージをどういうふうにしようと、どこで検討されて、今回これはどういう扱いになるのか教えて頂きたい
この質問に対して、まず、村井主査から次のような内容の回答が行われました。
- 一応この件は、技術検討ワーキングで検討された話が入っているので、私の方からその時の議論の内容を説明して
- もし必要であれば、補足を専門家の方にして頂きたいと思う
- 当該の、この規定と言うのは、いくつかのことを含んでいるかと思う
- その中で、地デジの普及に関して、こうしていこうということが書いてある
- その中に幾つかのことが入っているかと思うが
- 実は私は、この「受信確認メッセージ」だけはここに明記して欲しいと技術検討ワーキンググループで指摘をして、それでこれが記載されている
- その時の関係者の説明で私が伺ったことでは、受信確認メッセージのメカニズム自体は、B-CASその他、エンフォースメントのメカニズムの中に、そういった制御のできるポテンシャルを受信機で備えている
- 私の現在の理解が正しいとすると、有料・BS対応の赤いB-CASカードと、地上波専用の青いB-CASカードがあると思う
- その中で、実際に地上波用の青いB-CASカードで受信確認メッセージの機能を実際に使うという運用はされていないと私は考えている
- しかしながら、この受信確認メッセージそのものの色々な確認がどうやってできるかというと、画面の中にメッセージが出るということで、使い方や運用に関しては、また別途決まることだろう
- それで、このエンフォースメントの仕組みはスクランブルの放送をして、それで受信機が色々な約束をどのように取り込み、果たしているかということを考える為に入っていると理解している
- まとめた意味で、そのメカニズムに含まれていることの部分に関してはその仕様をそのまま継続することが良いだろう
- 一方で、その機能が運用としてどのように使われていくか、特に地上では使われた実績がないと私は理解している
- その時に、どういう目的でこの機能が使えるのか、使えないのかという議論は、この委員会とは別の所で、地上デジタルの受信機を作る時に、この国の中で決められているポリシーが別にあって
- それに従った他のルール、他のデジタル放送に関わる様々な標準のルール、こういったことを組み込んで作ることは、今までと同様の部分がある
- そういう意味で、その認識をこの中に入れ、どの部分が技術的にきちんと作る部分なのかときちんと明記をして頂きたいとお願いするために、ここに入れていること
- そのことは前回、こうした色々なプロセスが決まっていった時に、今質問頂いたことが、実は私たちにあまり判っていなかった
- それをどういう理由で、どこに今入れているのかということを考える中で
- 先ほど説明して頂いたように、今後色々とそれを運用していったり
- 契約が13ページのようなプロセスで進んでいく時に、前回指摘して頂いたように「関係者等」というのは具体的にどういったものなのかという話や
- そういうところの中で、技術ワーキンググループとして、それぞれの参加者というか、議論の参加者の方々がきちんと理解できるような形で透明に表現していく必要があるだろうと
- あるいは、この委員会も含めて、色々な、運用に関してどういうふうになるとか、契約に対してどうなるということを、オープンに議論できることが必要だろうという視点からも
- この8の所を少し詳しく書くことが必要だろうと、技術検討ワーキンググループで相談して、その結果、こうした記述となっている
村井主査からの回答は以上でした。この回答を受けて、高橋委員から次のような内容の追加発言が行われました。
- 確認させて頂きたいのだが
- 閣議決定では「検討すべき」という所までしか決まっていないので、今、色々と検討をしているという形であると
- 今回の新方式においてもB-CASが一応備えているようなものを新方式でも出せるように
- 受信確認メッセージが出せるような方式を取ろうというコンセンサスが、技術ワーキングとして出来ているということなのだろうか
この質問に対しては、やはり村井主査から、次のような回答が行われました。
- 基本的には仰る通りだと思う
- この閣議決定の原文については、事務局の方から、検討やその他の文言の趣旨を説明して頂いた方がよいと思う
ということで、小笠原課長から次のような説明が行われました。
- 今の規制改革会議の該当部分は
- 平成19年6月22日の閣議決定「規制改革3ヶ年計画」での、事項名としては「公共放送の在り方の検討」という中で
- 「措置内容について、地上放送についても、公平負担の徹底を図る観点から、何らかの、受信確認メッセージの実施可能性について検討する」ということであった
- それから今質問にあった、これは平成19年6月の閣議決定だったが、その後の検討の場所は何処かという質問の答えは
- 平成19年6月から総務省に於いて「公平負担の為の受信料体系の現状と課題に関する研究会」ということを開催した
- そのメンバーは事業者や当事者の方々ではなく、基本的には学識経験者の方々と、それから利用者代表の方々に参加を頂いて
- 船田立教大学教授を座長として、学識経験者、それから利用者の方々、それぞれにオブザーバという恰好で参加して頂いて検討をして
- この時は、平成20年7月4日に「地上放送にも受信確認メッセージ機能を利用するということも今後の検討課題である」と、この時は報告を頂いた
- 事実関係としては、以上になる
小笠原課長からの説明は以上でした。その後、村井主査から「という内容にもとづいた、技術仕様の議論を、技術検討ワーキングでした」とのフォローがありました。さらに高橋委員の質問が続きます。
- そちらの研究会は私もオブザーバとして出たことがあるが
- あくまでも検討課題であるということであって、結論は出ていない
- その後、私はNHKの衛星チャネル権と言われるところとか、公平性の議論のところとか、三つぐらいまたいでこの部分に関連した
- しかし、まだ何も決まっていないという認識を持っている
- なのだけれども、B-CASと同じ方式を新方式にも一応実装しようということなのかと、今、確認をさせて頂いている
この質問に対する村井主査の回答は次のようなものでした。
- 基本的には仰る通りそういうことで、
- 検討の結果、どちらになったとしても可能となる技術仕様になっている
この回答に対する高橋委員からの確認は、次のような内容のものでした。
- そうすると、今、落としておいて、新たにそうなったから載せるというよりも
- 一応できる形にしておいて
- 無料放送である地上波に受信確認メッセージは必要ないと思っている人が多いと思うのだが
- そうなったら落とすという仕組みで、そういう対応をしようということが技術ワーキングで話し合われたのだろうか?
この質問に対する村井主査からの回答は次のようなものでした。
- はい
- 基本的には運用していない限り何も起こらないので、何のメッセージも出ない
- 私の理解では、これはB-CASカードでも全く同じだと、実装してあるけれどそれが起動されることはない、という歴史があると思う
- 今後の検討は今後の検討なので、それがどうなった時でも、今後の検討の結果如何に関わって、全ての受信機を改変しなければいけないということがないように
- そうなると新しいコストが必要になるので、そうしたことがないように
- 運用の意思決定のポリシーが決まれば、そのことを受け止められる技術基盤を用意しておくという話だったと思う
以上の回答を受けて、高橋委員から最後の確認ということで、次のような内容の発言が行われました。
- 長くなって恐縮だが、最後の確認として
- 「年内に」といった物では、受信確認メッセージを出せる形でやっていくと
- その時に、新たなソフトウェアの開発等で、これを入れることで、何かコストが発生するとか、あるいは時期が遅れるとか、そういう負担が発生するのではないかという疑問と
- これを入れることで、何らかの、公正な競争が阻害されて、消費者利益が損なわれるようなことがないのか
- そこだけ確認させてほしい
この確認に対して、村井主査から「専門家に補足をして頂きたいと思うが……」という泣きが入りつつ、以下ような内容の回答が行われました。
- 基本的に、技術検討ワーキンググループで話されたことと、運用に関することと、技術の設計のことを分けて考えるとすると
- 一番目の質問については、現行でその機能を含ませていることから、受信機でPERMISSIONをするということで新たな開発等々が生じないことから、そのことに対する特別な工程といった負担は発生しないと思う
- それから、今の高橋さんの発言で、メッセージを出すということが決まった訳ではなくて
- メッセージを出せる機能が、中のLOGIC(回路)に入っているかどうかということで
- それをどういうふうに運用するかは全く別のLOGIC(論理)だと思う
- 従って、何度も繰り返すが、今はそういうメッセージを表示するという機能は使われていないし
- そういった意味でEXTRA COSTが発生することは、技術検討ワーキンググループでは考えていない
- また、地上放送の公正な受信に関するPOLICYと、別の場所で議論されるような公平な負担と言うことに対しての政策議論というか、そうした問題とは独立した問題だと思っている
- そこに何かのバイアスをかけるような技術ではないということを確認して、技術ワーキンググループの中で、この文言を入れたと、理解して頂きたい
以上の回答で、このやり取りは一度終了しました。後でまた再燃・再再燃するのですけれども、とりあえず議事の順に追いかけていきます。
次に発言を希望したのは福田委員(民放連/テレビ朝日)で、その発言は次のような内容のものでした。
- 別の件だが、一応エンフォースメントの方でいくつか発言したいと思う
- 課題整理をして頂いたので、この課題については、関係者の皆さんが、共同で取り組んで頂けるという認識を持っている
- さらに想定を超えるものがこれから出てこないとも限らない
- そのことについては、事務局の方から、その都度解決をしていくということが確認されている
- これを、中間答申を超えるものが、言外にあるということについて理解をしている
- なので、是非そうなって頂きたいと思う
- それから二点目、年内に④の1)、2)とあるが、これは結局は、2011年7月よりも可能な限り早い実現を目指すということの為に設定されている
- 目標としては、色々な効果を考えると、2011年7月24日の、デジタル放送の完全以降の円滑さを担保する上でもメリットがあると思うので
- 書かれていない日付の方も非常に大事ではないかと思っている
- また、先ほどの骨子の12ページ
- これは秘密が漏れる可能性があることが前提なので、前回の会議でも申し上げた通り、それを補完することも大事ではないか
- 今回は、12ページの契約の欄で、②がさらに書かれていて、漏洩性、一定のリスクの存在を前提として、諸条件を検討することが必要と書いてある
- これは契約についての記述で、次の13ページのスケジュールでは④の2)のa)で契約条件の策定とある
- 一方、さかのぼって、12ページの契約の②で、補完的制度の要否を含めて検討を開始とある
- これは適切な場で、新方式の運用開始までにとある
- 従って、契約とこれの補完的な仕組みというのは、どういう位置関係にあるのかを、非常に明確にしておく必要があるだろう
- それから、適切な場とあるので、いわゆる民々ではないのだろうと考えているが
- これについても早急に、どういう場が相当であるかと、明示された方が良いのではないかと思う
- 従って我々としては、秘密が漏れる覚悟でやろうと関係者の皆が合意をした上で、この方式に取り組もうということで、
- 先ほど説明があったように、方式そのものが技術開示方式となっている以上、漏れるのが当然なので
- それをさらにどういう形で顕現して、守っていくかということは非常に大事だと思う
- そこの観点は重ね重ね申し上げておきたいと思う
- これを踏まえて、我々も検討に入っていく訳だが
- 残る所半年弱の間に④の、1)、2)どこまで進められるかは、その都度どういう問題が発生して、どういう解決を皆さんの中で見出していけるかに尽きるだろうと思っている
福田委員からのコメントは以上でした。次に発言を希望したのは河村委員(主婦連)で、受信確認メッセージについてのやり取りが再発火となりました。発言は次のような内容のものでした。
- 先ほどの高橋委員の疑問について、もう少し教えて頂きたい
- 主査の説明は理解できる
- 受信確認メッセージの機能が入っていたからといって、(運用されていない以上) 受信確認メッセージが出る訳でも、個人情報と共に何かが管理される訳でもない
- 運用が決まっている訳では全然ないので、何も起こらないと言われたことは、理解した
- しかし、その技術を入れるという要件にすることで、使われなくても、作る側からすればある程度技術のハードルが上がるのではないか
- シンプルさという点から言うと、そうではない方に決まったのだなと、私は解釈している
- 以上は、私の意見で
- 一点確認させて頂きたい
- 技術方式・運用規定の策定というところで、以前に検討されていて採用はされなかった、過去の遺産ではないが、そういったものがあるから、それを利用すれば早くできるのではという話を伺っていた
- その、日の目を見なかった時の技術方式は、その受信確認メッセージが含まれていたのかどうか、それを確認させて欲しい
以上の河村委員の意見と質問に対して、まずは村井主査から、次のような内容の回答が行われました。
- まず一点目について、これは純粋に技術的な話で申し訳ないのだが
- 放送で個人情報が、例えば受信確認メッセージが「ここに連絡してください」といって電話をすると、番号のつけ直しがあるとか
- そういうやり取りというのは、これは非常に運用上の問題で、メッセージの中に何が出るかとか、そうしたことだと思うが
- この受信確認メッセージと言っている技術の話と言うのは、そうした、一方向の、放送局から受信機に流れるメッセージがどのように表示されるかという問題なので
- それは、あらゆる放送の表示の中で行われていることなので、私は、その為に技術的な負担、例えば開発コストがかかるとか、開発がDELAYするとか、そうしたことがおこるとはないと理解している
- 例えば、(情報が)戻っていくとか、個人情報に脅威があるとか、そういう話には技術的になりえないのではないか
- つまり、そのままの場合は少なくとも、放送の一方的な表示の問題なので
- これは例えば、今は「アナログ」という表示が出ているけれど、色々とそういった放送局からの表示の話で、技術的にはそういった内容だろうと私は理解している
- それと同様に、放送技術そのものは、そういった表示をどのように放送局側が制御するかという技術は、私の理解では一般に持っていると思うので
- 検討された中で、特にそのことが触れていたとは理解していないが、私の理解では、全くそこに依存しないとは思うが
- 前回検討した中(ARIB STD-B25 第三部)で特にそのことに触れている部分があるかないかは、技術の担当の方に伺うしかない
以上の村井主査からの回答を引き継いで、村井主査の指名はDpa技術担当の関委員(フジテレビ)だったのですが、藤沢委員(NHK)が回答に立ちました。まず、次の確認から入りました。
- 今 ARIB とか TR の中で規定されているものに入ってるかどうかというそういう意味だろうか?
この確認に対して、河村委員から「以前検討された、新方式と言われているもの」との指定があり、引き続き藤沢委員の回答が行われていきました。
- まず、純粋に技術的な話から申し上げると
- メッセージとそれからRMPの為の、コンテンツ保護の為のエンフォースメントというのは技術的にまったく独立と思って頂いて良い
- たまたまそれが、B-CAS方式の場合は、同じB-CAS方式の中で両方とも実現できるものだった
- そういうふうに理解頂ければと思う
- 今この委員会の場で検討しているのは、コンテンツ保護の為の、エンフォースメントについて議論してきて
- 私たちもそうした認識で参画をしてきた
- それで、以前に似たような方式について議論をしたことがあるが
- それはいわゆるコンテンツ保護の為の、エンフォースメントに関する技術について議論をしていた
- それを実現する段階になったら、今日のこのような状況になるのかもしれないが
- その時は、そこまでいかなかったという状況だと
- 私はそのように理解している
藤沢委員からの回答は以上でした。この後、村井主査から「よろしいだろうか?」との確認があり、河村委員は「とりあえず」と一度引きました。
次に発言を希望したのは椎名委員(CPRA)で、その発言は次のような内容のものでした。
- いつものことながら、ギリギリまで答申案の策定に努力頂いて御苦労さまと申し上げたいと思う
- とりわけ、取引市場に関して、最後の最後まで(意見を)拾って頂いて、ありがたい
- エンフォースメントに関して、年内を目途にということがはっきりと書いてあるので、スケジュールについて、皆合意したということだと思う
- その上は
- 放送事業者もメーカも、まずは技術と契約のその中身を
- ずっと、外側の骨組しか我々は見せて頂いていないので
- その中身について、早く決めて、我々に見せて頂きたいと思う
- その後の実現に向けては、これはもう何度も、我々は申し上げていることだが
- 権利者としても利便性の確保、あるいは利便性の高い方法論ということにネガティブに考えている訳ではない
- 基本的に賛成なので、見せて頂いたうえで意見は申し上げるが、できる協力はしていきたいと思っている
- 是非、よろしくお願いしたいと思う
椎名委員からのコメントは以上でした。次に発言を希望したのは元橋オブザーバ(NHK)で、その発言は次のような内容のものでした。
- エンフォースメントの話とコンテンツ流通の促進の話と、二部構成になっていると先ほど村井先生が言われたが
- 通奏低音というか全体を貫くコンセプトは、ずっとこの委員会でやってきた、コンテンツのリスペクトとか、クリエイターあるいはパフォーマーへの
- 実際に汗をかいた人への利益の還元がきちんとはかられる
- そのための色々な、エンフォースメントの議論であったり、コンテンツ流通の議論であったというふうに理解をしている
- 特に、エンフォースメントのことで言えば、ダビング10という一定のコンテンツ保護が必要だと
- 地上デジタルの円滑な移行あるいは、コンテンツ流通という視点から、そういうことがこの委員会でずっと語られてきたわけで
- そのダビング10というその、コンテンツ保護のルールをより、確かにする為の仕組みとしてのエンフォースメントだと
- ということで言えば、B-CASに替わる、あるいはB-CASに追加的に加わるその他の新しい技術方式が提起されたというのは良いことだと思うのだが
- 提起されて、中間答申が出ると言うのは決して終わりではなくて
- あくまでも通過点というか、その新しいエンフォースメントに対する付加像だと思っている
- もちろん、今、椎名さんが言われたように、利便性の高いエンフォースメントで、色々な受信機器の多様な物が出てきて、それが普及に繋がっていく、それが低コストで実現するということはすごくいいことだと思うのだが
- 一方でその、エンフォースメント本来の役割、つまりコンテンツ保護を確かなものたらしめるということが
- おざなりになるというか、その、そのレベルが低下してしまうと、本来のエンフォースメントの役割を果たさなくなってしまう
- 先ほど福田さんが言われたことの繰り返しになるけれども
- 年内を目途とかあるいは2011年7月24日よりも早期にという数値目標
- そのスケジュール感のところはもちろん、それはそれで大事なのだが
- やはりエンフォースメントとしての効力、実効性をちゃんと担保していくということは
- 是非、皆に関心を、引き続き持ち続けて頂きたいと思う
- 今後の議論の中でも意見を言っていくふうに、先ほど椎名さんが言われたけれど
- 消費者委員の方含めて、このエンフォースメントの議論が、技術方式ができて契約ルールができてというプロセスの中で
- あるいは実際に運用が始まるまでのプロセスの中で、本当にこのエンフォースメントで、そのダビング10という我々が決めたこのルールがちゃんと守られることになるのだろうか
- 違法受信機が排除されて、善良な受信機を作っておられるメーカさんの活動がちゃんと守られるということを含めて
- その為のエンフォースメントなのだということは、是非皆さんの理解をして頂いて
- 今後の議論を、今日が終りではなくて、引き続き、そうした視点でお願いをしたいと思う
元橋オブザーバからのコメントは以上でした。次に発言を希望したのは浅野委員(IBM)で、その発言は次のような内容のものでした。
- まず、エンフォースメントに関して、TODOリストと村井主査が言われたように、何を、誰が、何時までにということに対して
- その体裁が整って推進していく時に、年内を目途にというきちんとしたターゲット、目標時期が入ったということに対して、非常に歓迎したい
- また、ここまでの合意形成の上において、関係者の皆の努力に敬意を表したいと思っている
- ただ先ほど、なぜこのタイミングになって、急にその受信確認メッセージというのがこんなに話題になるのか
- その背景が良く判らないのだけども、ここだけはちゃんと確認しておけば良いのではかと思うのは
- 多分放送局からは受信機に対してはこれだけではなくて、沢山のメッセージが降ってくるはずで
- それ中で、これだけを取り出すのではなく
- その他にも沢山降ってくるはずだから、その時に、端末がそのメッセージに対してどう反応するかということは非常に重要なことであって
- そこに対して、消費者が今不安を持っていることに対して
- そういうことは無いのだと
- メッセージが降ってきて、端末自身の認識をした後、端末機器がどういうふうな行動を取るのだということが
- そこにおいて消費者が心配しているようなことがないのだと
- はっきり言えれば、ここでは問題がないのじゃないかと思っているので
- そこのところがはっきり確認できれば、消費者の皆さんは安心できるんじゃないかと私は思うので、
- そこの所を確認しておきたいと思うのだが、そこのところはどうなのだろうか
浅野委員からのコメント兼質問は以上でした。この質問部分に対して、村井主査から次のような内容のコメントが行われました。
- これも後で補足して頂く前提になるが、言われた通りの趣旨である
- それと同時に、やはりこうしたことが下敷きとなって、技術開発をしていくので
- 先程も言ったことになるが、その内容に関して議論となりうるポイントは、今後の運用の中で議論になってくることだと思う
- それは他の場との関係で、そうしたことの関係が、きちんとこういう所で表現されていること
- 頭出しと言うか、隠れていないと言うか、透明感と言うか
- そういうところが必要だということで
- 無理にお願いをしたので、かえって色々なことを、しかもタイミング的に意識をして頂くというか
- そういうことになってしまったけれど
- 基本的には、私は(透明さが)この委員会ではとても大事なことだと思っているので
- そういった意思で
- 技術的には浅野委員から言われた通りだと思っている
村井主査からのコメントは以上でした。次に、高橋委員が再度の発言を希望して、次のような内容の質問を行いました。
- もう一点、ライセンス発行・管理期間に関してご質問させて頂きたい
- 資料2の方では31ページ、先ほど小笠原課長から説明があったけれど
- 中立性・透明性等を高める観点からということで、前回の質問に答えて頂いて
- 関係者について少し明記して頂いたということなのだが
- 例えば権利者団体等コンテンツ保護に関わる事業者の団体
- エンフォースメントに係る技術や諸法令に関する有識者
- 消費者等とのことなのだが
- この消費者等が何を示すのかが、少し判らない
- この審議会の場である我々を指すのか
- もっと違う、もう少し層の厚いところを指していくのか
- 少し、その辺りを補足して教えて頂きたいと思う
- それと、これは設置に取り組む関係者という表現なのだが
- 設置に取り組む関係者というのは、その後の設置機関ではないという解釈になるのだろうか
- どうも今までの話の中からいくと、この関係者というのは、放送事業者を主体にして
- いわゆる当事者達が作る機関なのであって、そこの実効性を確保するために
- 第三者も少し入れようというような感じにとれるのだけれど
- ここの組織がどういう形態を取るのかに、私は非常に関心がある
- まさに国策である、地デジに関する機関なので、それは政策機関であってもいいぐらいのものではないかと思っている
- それを独禁法という名のもとにB-CAS社が一個だと違反だから他が欲しいねと
- それに対して、ここは三尾委員に補足があったら伺いたいのだが
- 前回、新方式が一つでもやっぱりまずいのじゃないかという意見もあり
- そんなに沢山作ることがそもそも効率的なのかということも含めて
- この管理機関に関して、少し皆との意見の交換ができたらと思っている
- 私自身の考えとしては、透明性や中立性ということを言うのであれば、きちんと監査が働くような組織にして頂きたいと思っている
高橋委員からの発言は以上でした。この質問に対して、これまで同様に村井主査から次のような内容の回答が行われました。
- 今のは質問だということなので
- これも、技術検討ワーキンググループの立場でどういう議論がされているかということを
- 基本的に、技術検討ワーキンググループでの設置の議論でのポイントは
- 契約の内容を決めていく際に、今、指摘のあったような意見を入れるような形で、伺いながら進めていくということで
- 一方で、この契約のエンフォースメントは、機器メーカに対するエンフォースメントの契約になる
- その際に当事者の立場が分かれるので、放送事業者、つまり放送する側を中心にした関係者と書かれているのは、そうした背景だと私は理解している
- さらにもう一点、そのプロセスに関心を持って頂けているということなので、是非、そうした方の意見が入るようにということでできている
- それから独禁法に関して、いくつかの役割があろうかと思うが
- これはUNIQUEな鍵を安全に管理をしていくという
- つまり世界に一つだけしかない鍵を、どうやって間違いなく管理していくかということなので
- これは、IDの付与を一つのメカニズムでやらなければいけない
- それから、一方ではそれが事業として、あるいは業務として競争がどのように入るかという話で
- どういうものを作っていくかという議論は、十分に尽くされていなければいけない
- そういった意味で、組織の性格を議論していくということも含めて
- 至急、年内に検討して頂きたいということが、この技術検討ワーキンググループ
- あるいは答申の中で言っていることで
- そういった意味で、今回、この間三尾委員の指摘して頂いたことを入れてある
- そうした技術的な背景があるということと
- それからプロセスとして、そういった方々の御意見を入れること
- あるいはその放送事業者の主体性、その放送そのものと、
- 放送を受信する機器内の要素であること
- この辺りを鑑みて、こうした表現になっていると私は理解をしている
村井主査からの回答は以上でした。次に、発言を希望したのは河村委員で、その発言は次のような内容のものでした。
- ほとんど、高橋委員が言われたことと似たようなことではあるが
- やはり今後は設置に取り組むだけではなく、監視していくというような意味でも、消費者・ユーザという視点は必ず必要かと思う
- この技術ワーキングの検討過程というのは、私達の技術が判らないからの一つで済まされてしまう訳なのだが
- ただどうしても、理解できるように話せない訳ではないのに、出てこない話があるような気がしたりしている
- 最後の今日に、受信確認メッセージが何故という話が出ているが
- 利害がすごく絡んでいるのだと思うが、そうしたことも含めて、やはり過程過程で判るように話をしてほしい
- やはり、あるべき姿を見れる視点を常に入れるようにして、消費者・ユーザを今後も入れて頂きたいと思う
- それから、浅野委員が言われたことについて、一点だけ
- ちょっと誤解があるように思ったので
- 別に、受信確認メッセージがくるのではないかとか、管理がされるのではないかというものは、もちろん消費者としてあるが
- 今、ここで問題にしているのはそういうことではなくて、地上波の放送にどのようなエンフォースメントが必要か
- 新方式が必要と話されてきた中には、いみじくも藤沢委員が言われたように、エンフォースメントと受信確認メッセージは全く別物であると
- 要するにそれは、無くてもいい事物とも言える訳で
- 限定受信で、受信確認メッセージの特定は限定受信があるから受信確認が個別に出せる訳で
- それを使うか使わないかは運用の話だが、私達が問題にしているのは、そうした限定受信の機能を入れることにしたのだなと
- それが新しい方式として、シンプルなものを求めていた消費者側の意見と合わない気がして
- 意見を申し上げているということで
- 運用でどうなるということを言っているとは、また別のことを申し上げている
以上が河村委員からの発言で、この発言に対して、村井主査から「受信確認メッセージと限定受信は別の機能ではないか」との疑義が出されて、小笠原課長に「もう一度、閣議決定の文章を読み上げてもらえないか」との依頼が出されました。為念、小笠原課長の読み上げたのは次のような内容でした。
- 地上放送についても、公平負担の徹底を図る観点から、何らかの受信確認メッセージの実施可能性について検討をする
これらのやり取りを受けて、河村委員から、判る所までということで次のような補足が行われました。
- では、折角だから判る所まで説明して頂く
- もし、誤解であればそれが誤解であると言って頂ければと思う
- 私の理解している受信確認メッセージと言うのは
- 全員に対して出せるものならば、受信確認メッセージと言うのはことさら出す必要も、かける必要もない訳で
- この人には出したい、この人には出したくない、何らかのそういうことができるからこそ、受信確認メッセージと言う言葉になっている訳で
- 受信確認メッセージをそのように出すためには、個別の機器を、要するに、IDENTIFYしなければいけない
- それを使うか使わないかは別だが、個別の機器をIDENTIFYすること自体が限定受信で、
- それがなければことさら受信メッセージと、要するに全てに降るようなアナログとかそういうメッセージで有れば、そこに書くことではない
- 私の理解では、言葉の意味という点から、それはセットなのだなと
河村委員からの補足は以上でした。以上の発言を受けて、村井主査から次の釈明が行われました。
- 仰る視点は判った
- 私の表現が十分ではなかったのは申し訳ない
- それで今、今日説明して頂いた、限定受信をどうするかという議論は別の場があると私は理解している
- それで、その技術を、今回地デジの普及を2011年7月までにする受信機を作る中の技術仕様でそのことを全く今できなくすると
- そうするとその検討が進んだ時に、別の場で検討が進んでいった時に、対応ができなくなる可能性があるということもある
- 従ってそのことを含めて、仕様の中にその事が入っているということだと思う
- 今仰られたような視点・主張がいくつかあろうかと思うが
- その事に従ったスペックを今の時点で決めることは
- 少なくとも、この委員会、技術検討委員会の範疇ではないと私は思っている
- 従って、受信確認メッセージが必要だと
- 準備を検討する中で、今までと機能は変えないということで
- そうした機能がスペックの中に含まれることになるだろうと
- あえて抜き出して明記をしてあるということだと思う
- 従って、やっぱり今、大体質問の意図は判って、理解できたような気がするのだが
- 今の段階でその事をこの場で、少なくとも技術検討ワーキンググループの議論では
- 本委員会に諮る内容の中に、それをどうするべきかということが含まれていなかったと思う
- つまり、それは他の場所で検討されていると伺っている
村井主査からの発言は以上でした。次に発言を希望したのは三尾委員 (弁護士) で、その発言は次のような内容のものでした。
- 先ほどの高橋委員の指摘に関連して、私の前回の発言の補修をしたいと思う
- 独禁法違反の問題が関係するということを申し上げたのは、ライセンス発行機関が一社であるということではなくて
- ライセンス発行機関が例えば放送事業者や受信機メーカとライセンス契約を締結する
- その際、例えばライセンス発行機関が一つなので、言うことを聞かない放送事業者・受信機メーカに対して、一方的に、ライセンス契約を解除できるというような条項が入っていた場合
- これは、あきらかに独禁法違反となる
- ライセンス契約を考える際に諸条件を、独禁法や関係諸法令に合致するように検討しなければいけないという点で
- 割と細かく契約条項を見る必要があるのではないかということから申し上げた
- B-CASが一社であることで、非常にその可能性が高いということになるので
- 慎重に検討しなければいけないということになるが、一社であるからということだけで、独禁法に違反するということではない
- 先ほど主査が言ったように、チェックする必要があり、集中して管理する必要があるので、一社でIDを作ることについては合理的な理由があると思う
- なので、契約内容をチェックして、その内容についての透明性をはかった上で合理的なものにすることが重要ではないかという意味で、申し上げていた
以上が三尾委員からの発言でした。次に発言を希望したのは高橋委員で、その発言は以上のような内容のものでした。
- 補足ありがとう
- よく理解することができた
- それで今の話もそうなのだが、細かく契約条項を見るとか
- 私は組織形態の事を非常に気にしている訳なのだが
- この、速やかに設置について検討し、設置したら速やかに業務を開始するということになっているこれが
- それに対してどう進むのかということが、私には良く読み取れない
- 具体的なプロセスが、その資料の方の⑥を読むと
- 以上のような作業を進めていくにあたって、放送設備の改修にかかるコストや時間等、様々な検討課題が存在するので
- そうしたところで審議会として関係者に説明を求めたりしながら、所要の審議を行っていくという条項が入ってきたのだが
- ここが、適宜、的確にできるのかということの担保が取れるのかということを心配しているということが一点
- それと、管理機関に関しては、執行だから関係者が中心になってやることは確かなのだが
- 組織論と言っているのは、それをちゃんと監督する人達が必要だろうと、そしてその監督する人達を監査する人達が必要だろうと
- これは国家の大きなプロジェクトの中の一つなので、その仕組みをきちんと作ると
- それを審議会として確認して頂きたいということなのだ
以上が高橋委員からの発言でした。ここで追加して発言を希望する人はいなくなりました。村井主査から「技術ワーキングの関係の質問が出たら、それぞれの方に伺いながらということだったが、ほとんど私が答えてしまったので、一応一巡しておきたい」とのことで、技術検討ワーキング出席者の方々への指名がされていきました。
最初に指名されたのは福田委員で、その発言は次のような内容のものでした。
- 特に補足はないけれども、メッセージは今出たというよりは、今後出る可能性があるものについて
- あらかじめ想定しうるものは何かということをあげてあるのだろうと思う
- 従って、先ほど事務局から説明があったように、この方式においてそれを採るかどうかも含めて検討課題であると認識している
- 規制改革の会議の答申では、B-CASで色々なことができると触れているが
- 2011年デジタル化については、先ほどの発言にあったように、公平の原則からの観点なので
- この議論とは全く別の議論であろうというふうに思う
- ただし、先ほど主査からもあったけれども
- あらかじめ想定されうるものを上げておいて、それがどういうふうに付加されていくのかということについて
- 非常に重要な観点かと思っている
- その際、説明にあった通り、コスト・時間に影響しないと言われているので、それを前提に進んでいくものと思っている
- それからこれも答える立場ではないけれども、管理機関について
- どういう形で設立し、運営をしていくのが一番良いのかというところもあるし
- 以前あったように、民間で作るのか、あるいはそうでないものが良いのかということも含めての検討が一つ
- さらに、誰がそこに加わって、議論をして審査をするのか
- その折々について、外から審査をするのか、中から監査をするのかを含めて、相当な議論が必要だろうと思う
- その意味では、この機関そのものが、あまり大きくなりすぎては意味が無いので
- 簡素化しながら、どうやってうまく回していくのかということがあるので
- ここにあるように、相当数の、この中における関係者、さらに高橋委員が指摘のように、それ以外の方も入るのかどうかも含めて
- 重層になるかどうかは別にして、折角のこの機会の議論なので公平に
- 公開性を持って、オープンな方式がどうできるかということを担保できるのが一番良いと思っているので
- それは追々、この数カ月間において方向性が出されるのではないかと思っている
福田委員からの発言は以上でした。次に指名されたのは関委員で、その発言は次のような内容のものでした。
- 先週も話をした通りになるのだが
- とりあえずTODOリストの一番先をやらなければいけないのはこちらなので
- まあ、頑張っていきたいと話したように
- やはり今、ライセンス機関の話にしろ、いずれにせよ
- 先ほど椎名委員が仰ったように、まさに技術と契約の中身、どういうふうにこれが運用されて、どんなものなのかというのが全く判らないところで
- それを飛び越え得て、ライセンス機関とはとか、何かとかという話になってしまうと、やはり、判らなくなってしまうのだろうと思う
- なので、とにかく、そこの所はセットなので、なるべく早く案を示したいと思っている
- これは、31ページの最後に書いてあるように
- もう本当に、この委員会で議論して、ここまで来ている話なので
- 実際にARIB・Dpaという立場も含めて、今後の検討の方向性を含めて
- この方向性でどうだろうということから全部
- もうやはりこの場で全て相談して、そちらの方で、こちらで方向性を決めていって
- 頂きたいというふうに思っているので、よろしくお願いする
- 関係者全部が協力して進めて頂かないと、何と言ってもこのスケジュールではできないと思うので
- よろしくお願いする
関委員からの発言は以上でした。次に指名されたのは藤沢委員で、その発言は次のような内容のものでした。
- 特にないのだけれども
- ライセンス発行機関の透明性ということは、この親委員会の方で
- この基本的な考え方の①のカッコにあるように
- 手続きの透明性確保ということ
- 皆さんから言われていることを受けて
- 本来であれば、ライセンス管理機関というのは放送局だけで良いのでないかということを
- 放送事業者と関係者という文言に、わざわざWGの議論の中でしたぐらいの話なので
- 先ほど高橋委員が懸念されているようなことは私は無いのではないかと思う
藤沢委員の発言は以上でした。次に指名されたのは田胡委員で、その発言は次のような内容のものでした。
- 特にないのだが、やはり、技術を早くしないとということと
- それからライセンス機関を、特に契約される中ではメーカは契約される側になるので
- その辺は、リーズナブルな契約の中身とするように
- 監視的な機関は必要ではないかとワーキングでも申し上げているが
- そういった第三者のチェックは必要ではないかと思う
- それから、何よりも一番大事なのは2011年7月24日までなので
- 24日までの「いつ」にスタートするのかを、要するに運用開始時期を
- これをどこまでと、目標を作っていくのが次の課題となる
- 浅野委員がいつも言うように、完璧にコミットメントしたような目標はできないと思うが
- 課題を整理し、かつ、いつならばできるのかという共通理解を早急に
- 7月24日では困るので、20XX年のXXだということを具体的に早く、目標を決めたいと考えている
以上が田胡委員からの発言でした。ここで指名も一巡し、村井主査からのまとめに移りました。
- それでは、議論はこれまでとさせて頂いて
- この後私の方から今日の午後の情報通信の部会で、答申案についての説明をさせて頂きたいと思う
- 色々な意見を今日も出して頂いたし
- それから皆の、事実関係のチェックや、部会の意見等々
- 色々な理解のことは踏まえたうえで、中間答申の修正にまとめて頂いて
- この委員会としては、以下の修正を主査に一任ということで理解いただければと思うが
- 如何だろうか?
これに対して、一同(というには声が小さかったような)「異議なし」とのことで、答申案が承認されました。引き続き、村井主査からの発言です。
- ありがとう
- それで、この色々なことを今度も答申に入れることができた
- これも、皆の色々な努力と、議論をして頂いた意見の中での、大変な時間を使ったプロセスの結果だと思う
- 改めて、皆にお礼を申し上げたいと思う。
- 取引市場の方では、関係者の方の、この委員会での議論にもとづいたステップを作って頂いたと思う
- そのことが答申に盛り込めたのは大変大きな意義ではなかったかと思う
- またこの委員会の中で、やはり色々な制度や、色々な方、色々な方の意見を聞くということは
- この委員会の大きな方針だと思うので、そうしたチャンスを持てたという
- そういう中でのステップなので、そういう意味でもこの委員会での皆の議論の意義は大変に大きいのではないかと思う
- それからエンフォースメントがらみの件について
- これも色々な議論をして頂いて
- それから技術ワーキンググループでの議論が大変判りにくくて
- そこで何が話されているのか判らないという意見も、何度も言われているのだが
- 私もその間に入って、両方の話を、どういうふうに判り易く、透明な言葉にしてこの委員会に持ってきて頂けるか
- それから技術の中で、色々な、どうしたら動く、どうしたら動かないというかなりDETAILな話をするので
- そのことが自体が判りやすい言葉になることはどうしたらいいかということで
- 色々な努力をして頂いたので、その結果として、どうも結論がちゃんと出てくるか怪しいと
- こういう話になるかと思う
- それは重々判った上で
- 何とか良い表現にならないかなと努力をしてきたけれど
- こういった努力は必要だと思うし、それからそういった場の設定の仕方等々も考えていくことができるのではないかと思うので
- またこちらの方も協力をお願いすると同時に
- 技術検討ワーキンググループには、回数のものすごく多い時間を割いて頂いたので
- これも改めてお礼を申し上げたい
- それから今回答申した中で、色々な意見、今藤沢さんからも話があったけれども
- それぞれ責任をもった民々でやっていくことが大変主体になってくると思うので
- 先ほど高橋委員の指摘があったように、これもいわば国の政策として動かしているとこなので
- 全ての人が受信をするという、地上デジタルテレビのことを議論しているのだから
- 従って、このことがどういう方向で動いていくのかということを
- やはり、全ての関係者の方の目が届いて、意見を反映させる機会があるべきだと思う
- そういった意味で、具体的なプロセスを明確化して、そのプロセスでどういった関係の方がどういう関わり方をするのかと
- 今後も考えていく必要があるのだなと思う
- 今回の答申は、そういった意味での意見を反映して
- 課題があれば知恵を絞って取り組むのだということがそれぞれの所に入っていると思うので
- そういう意味では、そういう議論になって頂いたというのが、この場の大変貴重なことだと思うと同時に
- このプロセスを動かしていく為には、先ほどからお話があるように
- これから動いていく間に、色々な知恵を出し合って、力を合わせることがあるかと思うので
- それに関して協力を是非、それと理解を是非、今後ともお願いしたいと思う
- どなたかから指摘頂いたように、中間答申が結論ではなくて、出発なので
- スケジュールに関しては、年内ということを私の方で付け加えさせて頂いたということで
- 私は大変心苦しいことがあって、実は、この委員会の途中で、絶対に言わないでといったのに
- 関さんは間違えて、前回のダビング10はウルトラCのスケジュールだったと言ってしまったので
- あれがウルトラCだったとすると、今回はほとんどミラクルのようなスケジュール感になっているのではないかと思うので
- 是非、皆の力を合わせることで、そういった2011年の7月というのに
- 先ほど田胡さんが言われたように、きちんとその恩恵が形になっていなければいけないということで
- できる限り早くということの意味はそこにあるかと思うので
- そのことに対する挑戦を是非、していくということだと思う
- 現場というか、当事者の方にはこのスケジュール感と言うのはすごい大変だなという気がするので
- こうした議論をして頂いたということそのものに感謝をしているので
- 是非今後の、色々な皆さんの理解と協力と意見というのを引き続きお願いしたいと思う
村井主査からのまとめは以上でした。この後で、事務局の小笠原課長からこれまでの長い審議に協力して頂いた委員の方々への感謝と、今後の情報通信政策部会と、情報通信審議会の総会のスケジュールが案内されて、今回の会合は終了しました。
7月13日(月) デジコン委 (第56/57回) 感想あれこれ [この記事]
第57回と第56回の感想です。既にパブコメの募集も始まっている [URI] ようなので、言いたいことがある人は忘れずに意見を送るようにしましょう。
まずは、57回で議論になった受信確認メッセージに関して、河村委員がソフトウェア方式で技術の本質を的確に捉えたうえで意見を出されたことにびっくりして、正直見なおしました。
それと比べると、村井主査の【アナログ】ロゴ発言に見られるような、技術検討WGメンバーの判ってなさが……こう、不知彼不知己だなぁと。
受信確認メッセージというのは[URI]にある、BSで運用されている衛星視聴契約促進の為の、自動表示メッセージのことです。
今回の答申では、ソフトウェア方式に関してもこれを実現可能とすることを前提に規格を作っていくという方針が示された訳なのですが……この件では正直NHKの政治力の高さに驚いてしまいました。というのは、2007年12月に導入が断念されたソフトウェア方式(ARIB STD-B25 第三部)には、受信確認メッセージに対応することなど欠片も入っていなかったためです。
この方式(STB-25 第三部)では、メーカ単位か、せいぜい機種単位で鍵(Kw)の更新が可能であるようにということしか考慮されてはいませんでした。この規格の検討結果を利用して半年以内に新方式をでっちあげるとすれば、規格の前提条件がひっくり返るような新機能の追加は論外で、より簡易な方向へ運用規定をゆるめるぐらいだろうと私は考えていました。
それにも関わらず受信確認メッセージへの対応を前提に新規格を策定していくという今回の答申となったわけです。よっぽどNHKがうまく立ち回ったのだろうと思います。
村井主査の回答(【アナログ】表示のような……)を見る限りだと、技術検討WGではWG主査を筆頭に、誰もその辺の事情を把握していなかったようなので、そこをついて藤沢委員がうまいこと議論を誘導したのかなというのが私の邪推になります。
ただ……福田委員(民放連/テレビ朝日)の「(新方式での受信確認メッセージ対応は)コスト・時間に影響しない前提で進んでいくものと思う」という発言もあるので、民放側は受信確認メッセージの為の運用コスト増加を許容するつもりは欠片もなさそうです。なので実際の仕様に受信確認メッセージが入るかどうかは微妙なところだと考えています。
ごく普通の技術屋的センスから言うと、管理対象の機械を、せいぜい万の単位で識別すればよいシステム(STD-B25 第三部方式)と、100億の単位で識別し、かつ、タイムリーに応答できるようにしておくシステム(検討中方式)ではライセンス管理機関の運営コストが桁違いになりそうに思えます。また、機器メーカの側でも1台毎に異なるIDを、ライセンス機関からの割り当てを受けたうえで割り振り、かつ、それを読み取って動作を変える必要があります。
製造その他で一定のコスト増が必ず発生することでしょう。ファームウェアやチャネルスキャン結果等で一定の保存領域をもうけなければいけませんから、そこでID程度であれば吸収できるのかもしれませんが、ない方がごく僅かとはいえ確実に安くできるはずです。それなのに何故、追加コストはないと言い切ってしまえるのか本当に疑問です。
◇◆◇
次に補完的制度の検討に関してなのですが、一番気になっているのは「適切な場で」というところです。
放送事業者のホームグラウンドである総務省で著作権法に関して議論をすることは素晴らしき縦割り行政の加護でできないのでしょうし、不正競争防止法に関して議論をするのだとしても、やっぱり総務省からは外れてしまうでしょう。
新法を作るにしても、文科省や文化庁や経産省の職域を侵す立法は難しいのではないかなと思う訳で、「適切な場」というのはどこになるのだろうと気になってしまうのです。
経産省のコンテンツ取引と法制度のあり方に関する検討会[URI]を念頭に置いているのかもという気もするのですが、あそこは原則非公開で「適切な場」というには微妙ですし、公開されている議事要旨を見る限りでは議論は迷走を極めているように思えます。
実際のところ、現在のB-CAS方式では秘密と呼べる部分が無いがために技術的保護方式とも営業上の秘密とも主張できず、不正競争防止法でも著作権法でも無反応機を規制できない訳です。しかし、新方式ではECM/EMMの仕様に関して少なくともNDAなしの公開はしないのでしょうから、それらは営業上の秘密に相当し、流出仕様を活用した無反応機が出るのであれば、マジコンと同程度には不正競争防止法での規制が可能になるはずです。
仕様が流出するかもしれないからということで補完的制度をとの要望が出ている訳ですが、現行法でも新方式であれば対応可能な訳で、補完的制度の要否でいえば否になるんじゃないかなーと思ったりします。
◇◆◇
最後に、第56回の堀委員の発言に関して。「数字とか統計とか、諸外国の情勢とか、主観でこう思いますという事ばかりが並べたてられている」とのことなのですが……。
えーBeeTVの加入者(数字)とか、JAPAN EXPOの例(諸外国の情勢)とか、全く希望が見えなくて残念(主観でこう思います)とか。本当にそんなことばかりが並べ立てられているので……。まあ昔からこういう芸風の方ではあったので今更なのですが。
なんつーか、コンテンツ産業の担い手が将来を考えて提案したりせずに、誰かから提案されるのを待ってるだけというのはどーなんだろうと思います。
7月21日(火) 視聴リスト (2009年 6〜7 月) [この記事]
イー・モバイルの秋葉原周辺での電波状況の劣化っぷりが悲しい今日この頃。4 月頃から速度が遅いと感じることが多かったのだけど、6 月半ばからは圏外表示まで出るようになる始末。端末をばらまくのならそれに見合うインフラ整備をしてほしいのだけだなぁ。
そんなこんなで、7 月からの新番組との入れ替えを含んだ現時点での視聴リスト。
- クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! (NHK教育 月〜金 夕方)
新規話も始まったので嬉しい限り。OP 曲は中毒性が高いのが困る。(A)
- GA 芸術科アートデザインクラス (テレ玉 月 深夜)
原作は 2 巻まで購入済み。戸松を能登と勘違いしてしまうあたりに、自己のヲタとしての薄さを痛感した。(B+)
- 戦場のヴァルキュリア (テレ玉 月 深夜)
能登補正消失とOP曲変更に伴い素の評価まで帰還。(B-)
- NEEDLESS (テレ玉 月 深夜)
原作は雑誌連載時にチラッと眺めていた。ギャグが寒いのと原作よりもさらに下品な方向に進んでしまっていて趣味から外れているのがかなり評価は低め。(C-)
- 宇宙をかける少女 (テレ東 月 深夜)
低空飛行ではあったものの、最後まで付き合った。もうすこしシナリオがマシだったらよかったのになぁ。(C+)
- ふたつのスピカ (NHK BS-hi 火 夕方)
本放送は見ていなかった。録画のコストが低いのと全20話しかないみたいなので視聴開始。それなりに楽しんでいる。(B)
- ツバサ・クロニクル (NHK BS2 火 夕方)
第12話から積まれていて消化できていない。このままフェードアウトしてしまうかも。(C)
- プリンセスラバー (MXTV 火 深夜)
それなりに楽しんでいる。わかさ生活でひと手間必要になるものの、テレ玉よりも微妙にソースが良さそうなので MXTV 側を選択。(B)
- 宙のまにまに (MXTV 火 深夜)
一応楽しんでいる。プリンセスラバーとの流れで MXTV 側を選択。(B)
- 蒼天航路 (日テレ 火 深夜)
低空飛行ではあるものの一応継続中。(C+)
- はじめの一歩 (日テレ 火 深夜)
一応最終話まで付き合った。特記事項なし。(C)
- 無人惑星サヴァイヴ (NHK BS-hi 水 夕方)
楽しみながら視聴中。(B+)
- 亡念のザムド (東京MX 水 深夜)
とても楽しんでいる。フルイチは良いヤンデレでした。(A+)
- ティアーズ トゥ ティアラ (テレ玉 水 深夜)
低空飛行で安定。(C+)
- リストランテ・パラディーゾ (フジテレビ 水 深夜)
それなりに楽しみつつ、最後まで視聴。原作はなんとか買わずに済んだ。(A-)
- 青い花 (フジテレビ 水 深夜)
これは良い百合アニメ。個人的には匂わせる程度の描写の方が好きなのだけど、それはそれということで。(A)
- カードキャプターさくら (NHK BS-hi 木 夕方)
楽しみながら継続中。(A+)
- 東京マグニチュード8.0 (フジテレビ 木 深夜)
第02話まで視聴。かなり楽しんでいる。(A)
- 涼宮ハルヒの憂鬱 (テレ玉 木 深夜)
やりすぎ。長門の病みきった眼は大好きではあるのだけど、せいぜい三回ぐらいでエンドレスエイトは片づけてほしかったなぁ。(A-)
- 鋼殻のレギオス (テレ玉 木 深夜)
低空飛行ながら最終話まで継続。(C)
- うみねこのなく頃に (テレ玉 木 深夜)
第03話まで視聴。原作は未読。ひぐらしほど辛くはないので何とか付き合っていけそう。(C+)
- けいおん (TBS 木 深夜)
最終話まで非常に楽しみながら視聴。(A)
- 大正野球少女 (TBS 木 深夜)
第03話まで視聴。原作は未読。比較的丁寧に作られているようなので、今後に期待。(B)
- Phantom (テレ東 木 深夜)
沢城補正追加につき評価向上。かなり楽しみながら継続中。(A-)
- 今日からマ王 (NHK BS-hi 金 夕方)
低空飛行ながら継続視聴中。(B-)
- 彩雲国物語 (NHK BS-hi 金 夕方)
楽しみながら継続視聴中。(A)
- タユタマ (テレ玉 金 深夜)
楽みながら最終話まで視聴した。最近エロゲは買ってなかったのだけど原作も買ってしまおうかなぁ。(B+)
- 狼と香辛料II (MXTV 金 深夜)
第02話まで視聴。テレ玉のアプコンのボケボケっぷりから MXTV へ逃亡。(B)
- ハヤテのごとく (テレ東 金 深夜)
楽しみながら継続視聴中。(B+)
- バスカッシュ (TBS 金 深夜)
さらに評価下落。第12話がちょっと合わなかった。(B+)
- 戦国 BASARA (TBS 金 深夜)
非常に良い能登であった。満足。(A-)
- うみものがたり (TBS 金 深夜)
「海物語」の面影が少しも感じられないのがかえって清々しい。それなりに良い出来なので楽しんでいる。(B+)
- 極上めちゃモテ委員長 (テレ東 土 早朝)
そこそこ楽しみながら継続視聴中。ああ、あの棒読みが堪らない。(B-)
- しゅごキャラ (テレ東 土 早朝)
継続視聴中。問題なし。(B+)
- エレメントハンター (NHK教育 土 夕方)
第02話まで視聴。ある程度は楽しみながら様子見中。(B)
- 獣の奏者エリン (NHK教育 土 夕方)
継続視聴中。問題なし。(B+)
- マクロスFrontier (BS11 土 深夜)
楽しみながら視聴中。(A+)
- 初恋限定 (BS11 土 深夜)
非常に楽しみながら最終話まで付き合った。(A-)
- よくわかる現代魔法 (BS11 土 深夜)
原作は改訂前のを三巻あたりまで読んでいた。いきなり「はいてない」から始めるのか……。もうしばらく様子見。(C+)
- CANAAN (テレ玉 土 深夜)
かなり好み。空の境界なみに良く動いているうえに沢城補正と真綾補正が追加されているので、7月の新番組の中では一番好みかも。(A+)
- フレッシュプリキュア (テレ朝 日 早朝)
まったりと継続中。低空飛行ではあるもの特に問題なし。(C+)
- ジュエルペット (テレ東 日 早朝)
安定して視聴継続中。(B-)
- クロスゲーム (テレ東 日 早朝)
楽しみながら継続視聴中。(B+)
- 鋼の錬金術師 (TBS 日 夕方)
さらに評価下落。そろそろ脱落ラインが近づいてきた。(C+)
- こんにちはアン (BSフジ 日 夕方)
楽しみながら継続中。(A-)
- 赤毛のアン (MXTV 日 夕方)
楽しみながら視聴中。(A-)
- グイン・サーガ (NHK BS2 日 深夜)
一応継続しているもののちと詰め込み感がアレ。(B)
- 花咲ける青少年 (NHK BS2 日 深夜)
継続視聴中。特に評価に変動なし。(B)
- プラネテス (NHK BS2 日 深夜)
第02話まで視た。原作未読。本放送も視ていない。Blu-Ray BOX はAmazonで予約してる。うーん買うほどの作品ではなかったかなぁ。(B)
- 化物語 (テレ玉 日 深夜)
第03話まで視聴。原作は未読。新房作品は絶望先生だけで満足のような気もするものの、暫くは継続予定。(B-)
- 夏のあらし (テレ東 日 深夜)
低空飛行ながら一応最後まで継続。(C)
- シャングリ・ラ (テレ玉 日 深夜)
OPが替わってたら切ろうかと思っていたのだけど、変わらなかったので切るタイミングを逃してしまった。一応継続中。(C)
- 懺・さよなら絶望先生 (テレ玉 日 深夜)
楽しみながら視聴中。第03話まで眺めて……いやはやこのネタをやりますかと脱帽。(B+)
- アスラクライン (テレ玉 日 深夜)
低空飛行ながら一応最後まで継続できた。二期も見る方針で。(C+)
- かなめも (テレ東 日 深夜)
あー登場人物の頭が悪すぎるのがちっとマイナス。もう少し様子見するけど。(C+)
- 咲 -saki- (テレ東 日 深夜)
安定。それなりに楽しみながら視聴中。(B-)
現在視聴中の番組は46本なのだけど、これに加えて録画したままで放置してるエヴァ一挙放送があるのでかなり厳しい。「蒼天航路」「ツバサ・クロニクル」「NEEDLESS」「ティアーズ トゥ ティアラ」「鋼の錬金術師」「かなめも」「シャングリ・ラ」辺りから脱落していきそう。
7月23日(木) 花火 [この記事]
近くで見る花火の楽しさを昨年知ったので、仕事を早めに切り上げて、自宅徒歩圏内でやっていた足立の花火2009 (千住新橋付近荒川河川敷) へ。こんな感じで堪能してきた。
敗因は風下に陣取ってしまった辺り。仕掛け系は煙の為にすぐに視えなくなってしまったのが残念。来年また見に行く場合は風向きを気にするのと、三脚を忘れないようにしよう。
もうちっと広角に取れるカメラを使うか、もう少し遠くから撮ればもちっと引いた絵が撮れたのかなというあたりも反省ポイント。
7月27日(月) デジタル放送のスクランブルの仕組み [1] - 無料広告放送での流れ [この記事]
ソース [URI : ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.2.4] と規格原文 [URI : ARIB STD-B25 ver. 5.1] を読めば判ることだから書く必要はなかろうと思っていたのですが、未だにネット上でずれた説明をしている人もいるようなので、もちっと詳しい内容を書いておくことにしました。
上の図は、現在無料広告放送の暗号化がどのような仕組みで行われているかを示したものです。この図は ARIB STD-B25 第5.1版の第1部 第3章「スクランブル及び関連情報の技術仕様」にある図3.1を、それぞれの処理が何処で行われているかで色分けして、さらに無料広告放送では使われていない EMM 関連の処理を省略して作成しました。
図の中での処理を順に解説すると、次のリストのような流れになります。
- 放送局では映像データや音声データ等を MULTI2 という方式で暗号化する
- この映像データ等の暗号化に使う鍵を スクランブル鍵 Ks と呼ぶ
- スクランブル鍵 Ks は、ワーク鍵 Kw によって暗号化されて ECM と呼ばれる形で放送データに埋め込まれる
- 受信機は、放送データから ECM を分離して B-CAS カードに渡す
- すると、B-CAS カードは内部に保存されているワーク鍵 Kw を使って ECM を復号して、スクランブル鍵 Ks を受信機に返してくれる
- 受信機は B-CAS カードから受け取ったスクランブル鍵 Ks を使って MULTI2 暗号を復号し、表示可能なデータを手に入れる
この流れでのポイントは次の 2 点です。
- MULTI2 暗号を復号 (解除) するのは受信機の仕事 (家電メーカが作る部分)
- 復号に必要な鍵を ECM から取り出すのは B-CAS カードの仕事 (B-CAS 社が作る部分)
ここで、受信機で処理する仕事は、ARIB STD-B25 という規格でほぼ全て公開されています。つまり、零細なメーカやあるいは一般の個人でも、ある程度の労力を費やせばここの処理を作ることができます。(規格書の非常に判りづらい日本語と格闘する必要がありますが)
ただし、B-CAS カードが処理する仕事は、規格では概要以外ほぼ何も公開されていません。ECM を暗号化しているアルゴリズムさえ公開していないという徹底っぷりとなっています。
こうすることで、受信機は誰でも作れるけれども、正しい Kw 等が書き込まれた B-CAS カードがなければ、受信したデータの暗号を解くことができないという仕組みを作っている訳です。
また、実際の放送ではスクランブル鍵 Ks を約 2 秒間隔で変更しているので、B-CAS カードから Ks を取り出し、それを流用して B-CAS なしの受信機を作ろうということもできなくなっています。
◇◆◇
受信機と B-CAS カードの間での情報は、住民基本台帳カードでも採用されている ISO 7816 という国際規格に沿った、一般的な IC カードと同じインタフェースでやりとりされています。
住民基本台帳カードは確定申告でパソコンを利用した電子申告 (e-Tax) に使われているので判るように、PC から市販の機器を介して接続することが可能です。B-CAS カードも同じ規格のインタフェースですので、同じ市販の機器を介して PC から利用することができます。
そして、B-CAS カードに対して ECM 等のデータを与える場合にどういった形式でデータを供給するかということは、受信機側 (家電メーカ) の仕事なので、ARIB STD-B25 で公開されています。
ARIB STD-B25 で公開されている情報と市販の機器を利用して、受信機の一部の機能のみを実現してみたのが、冒頭で紹介した ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラムです。
これは、零細なメーカや個人でも受信機の作成は不可能ではないということを示すためと、実際に受信機の作成に挑戦されようとする方々が仕様書の判りにくい日本語を読み取るという手間を省くために作成・公開していたものです。これの公開以降、個人でも Linux 等で利用可能なデジタル放送受信用のソフトウェアを作り、公開される方が増えたので、アナログ停波とデジタル完全移行という国策にある程度貢献することができたのかもしれないと誇りに思っています。
そうした方々が作成されるソフトでは、何故かデジタル放送の特定の機能を満たさないものが多いようですが、それはきっと、その機能を実現するのが非常に困難を極めるからなのでしょう。その機能を必須要件から外すことができれば、受信機のコストを大幅に削減することが可能に違いないのに、総務省の審議会ではなぜそうした決断がされないのだろうと不思議でなりません。B-CAS 以外の選択肢を増やすなどといった対策よりもよほど効果がありそうに思えるのですが、何かそうできない事情があるのでしょうか。
7月28日(火) デジタル放送スクランブルの仕組み [2] - 有料放送での流れ [この記事]
昨日書いたように、スクランブル関連の仕様の内、受信機が処理する部分に関してはほぼすべてが公開されています。暗号化によって技術的にコピー制御ルールを強制できるような仕組みが存在する訳ではないのです。TR-B14/B15 といった運用規定に従っていない受信機に対しては B-CAS カード支給契約を結ばないという契約の縛りを入れることで、運用規定に従わない受信機が販売されない状況を間接的に実現しているにすぎません。
この方法は、最初から B-CAS カードを添付せずに販売する手法に対しては完全に無力です。また、個々の消費者が公開情報を元に、自力で受信機を作成してしまうという場合に対しても効力を持ちません。このようにコピー制御ルールを強制する手段として見た場合、B-CAS 方式はザルそのもので気休め程度の効果しか持たないのですが、B-CAS の当初の目的であった、有料放送での利用形態から眺めてみると、多少異なる評価が出てきます。
上の図は、昨日の図で省略していた EMM 関係の処理を復活させた、スクランブル仕様本来の機能の全体像を示したものです。復活した部分の処理を順に解説すると、次のリストのような流れになります。
- 放送局は ワーク鍵 Kw や 契約情報 を マスター鍵 Km で暗号化して、EMM と呼ばれる形で放送データに埋め込む
- 受信機は放送データから EMM を分離して、その EMM が自分に挿入されている B-CAS カード宛てのものであれば、それを B-CAS カードに渡す
- B-CAS カードでは渡された EMM を放送局側と同じマスター鍵 Km で復号し、B-CAS カードの中に保存されているワーク鍵 Kw や 契約情報を書き換える
これ以外の部分に関しては無料広告放送の場合と同様です。この流れでのポイントは次の 3 点です。
- B-CAS カードに保存されているワーク鍵 Kw や 契約情報を書き換える為に送られるのが EMM
- EMM はマスター鍵 Km で暗号化される (詳細なアルゴリズムは非公開)
- ワーク鍵 Kw や契約情報は B-CAS カードの外に出てこない (受信機が契約情報や Kw を触ることはできない)
ここで出てくるマスター鍵 Km は、B-CAS カードに固有の、1 枚 1 枚の B-CAS カード毎に異なる鍵で、特定の B-CAS カードに向けて送られた EMM は、異なる B-CAS カードでは受け取れないようになっています。
◆◇◆
すこし具体的な例を追ってみます。例えば、有料放送に加入し、視聴契約を結ぶ場合は次のような流れで処理が進みます。
- 契約前は B-CAS カードには有効な契約情報が書き込まれていないので、B-CAS カードでは ECM からスクランブル鍵 Ks を取りだすことができない
- 契約手続きをして、放送局に B-CAS カード ID を伝えると、放送局側では EMM の送信リストにその B-CAS カードの ID を加えて、そのカードに向けた EMM を送信するようにする
- 受信機は自分に挿入されている B-CAS カード向けの EMM を検出したら、その EMM を B-CAS カードに送る
- B-CAS カードでは、受け取った EMM を復号して、内部の保存領域に正規の Kw や契約情報を書き込む
- 正しい契約情報を持っているので、B-CAS カードは ECM からスクランブル鍵 Ks を取りだせるようになる
- 受信機は B-CAS カードから受け取った Ks で、MULTI2 暗号を復号して、映像等を表示・録画する
視聴契約を解除した場合の処理の流れは次のような形になります。
- 放送局は解約された B-CAS カード向けに、契約期限再設定の EMM を送るように設定する
- 受信機は自分に挿入されている B-CAS カード向けの EMM を検出したら、その EMM を B-CAS カードに送る
- B-CAS カードは EMM を Km で復号し、内部に保存されている契約情報の有効期限を解約日に書き換える
- 解約日以降、その B-CAS カードでは ECM から Ks が取り出せなくなり、その放送は見れなくなる
◆◇◆
こうした処理の仕組みを追うと、B-CAS 方式とは 契約情報 を守りつつ、契約者に正しく・安く・便利に放送を届ける為に作られた方式だということが判ります。
有料放送の視聴契約管理という観点から見た場合、最も重要なのは「契約していないのに見られてしまう」という状況を排除することで、B-CAS カードはほぼそれだけを目的として作られたような仕組みになっています。
契約していないユーザが勝手に B-CAS カードに契約情報を書き込むことはできなくなっていますし、B-CAS カードに契約情報が無い状態で、ECM から Ks を取りだすことも非常に困難な仕組みになっています。
解約時の契約期限再設定の EMM を受信しないようにして、当初の視聴期限の間はタダで見続けようとする、いわゆる「寝かせ」という手法がありますが、こちらは WOWOW の場合であれば、1 年毎に契約・解約という煩雑な手続きを続けなければならず、またそれが重なるようであれば放送局から要注意者として放送局側から次回の契約を断られるということもありうるので、さほどメリットの大きい手法ではありません。
また、Friio のようなネットワーク共有 CAS 方式にしたところで、最低 1 つの契約は必要ですし、あまり大がかりにサービスを展開するようなことがあれば、それは法的な対処の対象とされてしまうでしょう。
いくつかの抜け道はあるにしろ、商売が成り立たなくなるほどの致命的な穴は今の所公になってはいません。
このように、視聴契約の管理という点から見ると、B-CAS 方式は必要とされている程度の十分な耐性を持っていて、堅固なシステムであると言えます。
コピー制御を強制する手段として見た場合 B-CAS 方式はザルそのものです。しかし、元々は有料放送の視聴契約管理の為に作られたシステムであって、後からコピー制御ルールの強制手段として流用されたという背景を考えると、コピー制御の強制手段として使われることは当初の設計目的に入って居なかったのだから仕方がないのではないかという感想になります。そもそも使える道具ではないのにコピー制御の強制手段として採用することを決めた人々がバカだったのだと私は評価しています。
7月29日(水) デジタル放送スクランブルの仕組み [3] - ECM の詳細 [この記事]
受信機にスクランブル鍵を届ける為に使われている ECM の TS パケットは実際には次のようなデータになっています。
こちらは昨晩の某番組で使われていた ECM の一例です。色のついたブロックが B-CAS カードに渡すべき ECM 本体部分で、その中で、特に黄色で塗っている部分がワーク鍵 Kw で暗号化されている部分になります。
ECM 本体の中で、暗号化されていない部分である事業体識別とワーク鍵識別によって B-CAS カードはどのワーク鍵 Kw を使うかを選択する訳なのですが、この事業体識別部分は無料広告放送では (NHK も含めて) 全てで 0x1E が使われています。また WOWOW では 0x02 を使っていますが 110CS の E2 by スカパーでは、全てのチャネルで 0x17 が使われています。
基本的にさほど細かく Kw を分けていることはないようですが、それでも無料広告放送と有料放送では異なる Kw を使い、有料放送事業者の間でも、WOWOW と スカパーでは異なる Kw を使うという形で、一つ Kw が漏れれば直ちに全てが崩壊してしまうといった形にはなっていません。
ECM の暗号化部分の中に日時情報がありますが、B-CAS カードは、この日時情報とカード内の契約情報の有効期限を比較し、有効期限よりも前であれば視聴可能という判定を行って受信機にスクランブル鍵 Ks を返すという動作をします。
上記 ECM を B-CAS カードに渡した場合 (事業体識別 0x1E の無料放送ですから全員が視聴可能なので) B-CAS カードは次の ECM 応答を返してきます。
リターンコードの 08 00 というのは 契約済み・視聴可 を表わす値です。有料放送などで、有効な契約情報が無い場合は 89 02 などの「非契約」コードと、00 で埋められたスクランブル鍵 Ks しか B-CAS カードから受け取ることはできません。当然ながら、その場合は MULTI2 の復号をしてみてもデータを壊すだけの結果になります。
ECM 本体と ECM 応答にはスクランブル鍵 Ks が ODD/EVEN と 2つ存在しています。これは次のような形で利用することで、B-CAS カードからの応答を待つ間も映像や音声の復号を行えるようにしておくことを目的としています。
ECM で配信される ODD 鍵と EVEN 鍵、これは一つの ECM で片方づつ、交互に更新されていきます。このため、1つの鍵の寿命は ECM 更新 2 回分の時間があります。
配信された鍵が実際に映像や音声の暗号化に使われるようになるのは、ECM によって鍵が受信機に届けられてから約 1.6 秒後です。鍵が切り替えられた後、その鍵は ECM 寿命と同じ期間だけ継続して使われます。
27 日の記述では一つの Ks が使われる期間は 1 秒間と書いてしまいましたが、この記事を書くために実際の運用データを調べなおしてみたところ、ECM の更新頻度は 2 秒に 1 回でしたので、一つの鍵が使われる期間は 2 秒間でした。
この辺りのポイントをまとめると、次の 3 点となります。
- ECM では ODD 鍵と EVEN 鍵、二つの鍵が配信される
- ODD 鍵と EVEN 鍵は片方づつ更新されて、一つの鍵の寿命は 4.0 秒間
- 配信された鍵が実際に使われるのは、新しい鍵が届いた 1.6 秒後からの 2.0 秒間
なお、ここで書いた数字は全て 約 で、厳密にきっちりこの時間という訳ではありません。
こうした仕組みは、B-CAS からの応答を待つ間も古い鍵を使って MULTI2 の復号を進めることができるようにという意図で用意されているのですが、私が作成した ARIB STD-B25 仕様確認プログラムではこの辺りの制御を考えるのが面倒だったので同期的に逐一 B-CAS 応答を待ちながら処理させています。復号処理の高速化を目指す場合や、リアルタイム再生で遅延を減らしたい場合は、これらの仕組みを活用して非同期的に ECM を処理する方が良いはずです。
7月30日(木) デジタル放送スクランブルの仕組み [4] - 補遺 [この記事]
2004 年以降に出荷されたB-CASカードには、1 週間、有料放送を体験視聴できるという機能が搭載されています。この機能がどのような仕組みで動いているか、B-CAS カードの応答からの推測になってしまうのですが、ここを説明します。
まず、初期出荷 B-CAS での体験視聴とは、どういったものなのか、その特徴を列挙します。
- 登録は不要
- B-CAS カードが挿入されていれば見られる
- 視聴期限は、最初にそのチャネルを表示してから 1 週間 (WOWOW の場合)
次に B-CAS の応答状況を列挙してみます。
- ECM を送ると、すぐに「契約済み・視聴可」と共に Ks を返してくれる
- 特に EMM は送られてこない
- 期限が切れると ECM に対して「非契約・期限切れ」で Ks を返さなくなる
こうした状況を実現する方法ですが、おそらく単純に最初の ECM を処理する際に ECM 内の日時情報の 1 週間後を契約期限として B-CAS カード内部で設定することで、体験視聴機能を実現していると考えています。というよりも、これ以外で実現する手段は思いつきません。
この辺りの背景を知らない人は、Friio で登録なしに有料放送が見られるのを知って「無反応機では有料放送のタダ見ができる」と誤解したり、あるいは昔の Friio には EMM 処理にバグがあって無料体験視聴期間を過ぎると有料放送が見られなくなったのを受けて「無反応期では原理的に有料放送が見られない」などと脊髄反射でデマを飛ばしたりする人がいました。最近では流石にそうした人も減ってきたようですが、そういった情報に踊らされずに済むように、正しい情報を得るための努力を払いましょう。
この体験視聴機能には一つ問題があって、この機能を実現する為に、有料放送ではワーク鍵 Kw を変更することができなくなってしまっています。
まず、出荷状態から有料放送の ECM を処理するために、予め有料放送で利用するワーク鍵 Kw は B-CAS カードに書き込まれた状態で出荷されています。しかしこのカードが実際にユーザの手元に届くまでどれだけの期間かかるか判りません。なので、迂闊に Kw を変更してしまうと過去に出荷された B-CAS カードでは ECM が処理できなくなってしまいます。その結果、本来は利用できたはずの体験視聴ができないユーザが出てきます。
そうした不公平が発生することを避けるために、WOWOW では Kw の変更は基本的に行わず、契約情報の側の有効期限を EMM によって随時更新していくことで視聴契約の管理を行っているようです。実際、ここ数年間 WOWOW の Kw は一度も変更されていないようで、現在契約中の B-CAS カードで、5・6 年前に保存していた TS の MULTI2 暗号が復号できたという例が報告されています。
◇◆◇
B-CAS とスクランブルにまつわるデマとして、「復号した TS には B-CAS の ID が埋め込まれている」とか「B-CAS の応答にはカードの ID が含まれているので、B-CAS 共有サーバを運用している場合は応答からカード ID を特定して無効化できる」というものがあります。
昨日の ECM の記事を見て頂ければ判る通り、ECM に対して B-CAS から返される応答はただの鍵データだけで、B-CAS の ID は含まれていません。全世帯向けに共通で送られる暗号データを、全世帯で共通に使われる鍵で復号しても、復号結果は当然共通ですから「MULTI2 を解除した TS データに B-CAS ID が埋め込まれる」というのは完全なデマカセです。
MULTI2 の復号を行うのは B-CAS カードではなく受信機の仕事なので、受信機が MULTI2 を復号した後で、追加で B-CAS ID を埋め込むなどをしない限りそうしたことは実現できません。TR-B14/B15 にそうした規定があればそれは実現されたのかもしれませんが、私が知る限りではそうした規定は記載されていません。
B-CAS 共有サーバに関するデマの方ですが、B-CAS ID が応答に出てくるのは、初期設定条件コマンドに対してだけです。また、受信機の側で B-CAS ID が必要になるのは EMM を処理する場合だけで、通常の視聴に必要になる ECM に対しては B-CAS ID は不要ですから、B-CAS の応答からカード ID 部分をマスクしてしまっても全く問題なく動作します。
EMM まで処理する場合は B-CAS ID を表に出す必要がありますが、そうした共有サーバを立てる場合は、EMM はローカルで処理して、共有対象にはしないのが固い作りなのではないかと思うので、共有サーバで使っている B-CAS の ID が表に見えるなどというのは、期待しない方が良いのではないかと考えています。そういったサービスをつぶしたい場合は、地道に共有サーバの IP アドレスから辿って、不正競争防止法で差し止め命令を勝ち取るのが現実的な対処なのじゃないかと思います。
◇◆◇
ARIB STD-B25 は第一部〜第三部までの三部構成の規格になっています。このうち、現在放送で実際に使われているのは第一部「受信時の制御方式(限定受信方式)」だけです。
第二部「再生時の制御方式(限定再生方式)」は、NHK で細々と研究が続けられているサーバ型放送向けの規格で、現時点では運用されていません。あっと言う間にサービスを止めてしまった epステーションでひょっとしたら使われていたのかもしれませんが、少なくとも現時点でこの規格を利用している放送は運用されていません。
第三部「受信時の制御方式(コンテンツ保護方式)」というのが、いわゆるソフトウェア方式と呼ばれていたもので、2007年12月に民放連が導入を断念したのもこの方式です。現在デジコン委でパブコメを募集 [URI] している仕様開示方式でもこれをベースに話が進むのだろうと思っていたのですが……この規格ではカバーできない「受信確認メッセージ」を入れる前提で話が進みそうなので……そのうち第四部が追加されて 第6.0版 がリリースされるのかもしれません。
既に 1 年近く前の記事に対して書くのも野暮な話ではあるのですが、現在運用されていない第二部の概要図を掲げて「B-CAS についての技術的まとめ」という解説記事 [URI] を公開するのは、全身全霊で「何も理解せずに思い込みだけで解説記事を書いてますよ」とアピールするのと同等なので、せめてあの図だけでも差し替えた方がよいのではないかと思い続けています。
7月31日(金) デジタル放送スクランブルの仕組み [5] - B-CAS のコスト構造 [この記事]
最近 B-CAS 社に関して報じる記事も増えてきて、日経エレクトロニクスの「迷走する B-CAS 見直し、2011年までの新方式実施は微妙」[URI] や週刊東洋経済の「B―CAS存続の行方、地デジ視聴独占に強まる批判」[URI] のように記事の中で B-CAS カード関連のコスト構造を報じるものでてきました。
また、B-CAS 社自身でも「事業報告書・監査報告書」[URI] として決算短信のような文書の公開を始めているので、B-CAS システムのコスト構造についてかなり詳しい状況が見えてきています。
この図は B-CAS システムのコスト構造について、それぞれの情報を総合しつつ 2009 年 3 月期の B-CAS 社の収支情報をまとめてみたものになります。上側が B-CAS 社の収入(売上)部分で、下側が支出(費用) になります。
支出に関しては、B-CAS 社の事業報告書の関連事業者に関する注記部分でかなりの部分が明らかになっているので比較的正確なはずです。製造委託先として東芝・日立・パナソニックシステムソリューションズが上がっており、それらの合計額は約78.9億なので、これが B-CAS カードの製造費用と考えてほぼ間違いないでしょう。これを 2009 年 3 月期の発行枚数である 1900万枚で割ると、一枚当たりのコストは約 415 円程度になります。
また、NTT メディアクロスに 13.5 億で業務委託をしていますが、これは総務省の「「放送分野における個人情報保護 及びIT時代の衛星放送に関する検討会」 資料 [URI] の 2 ページ目にある「鍵管理センター・台帳管理カスタマーセンタ」等の運営業務委託部分に相当すると考えています。
これらの総計で、売上原価の 9 割以上を占めています。こうした売上原価に B-CAS 社の事務所家賃・光熱費・社員給与等である販売管理費を加えたものが B-CAS 社の支出となります。
収入に関しては、確実な情報は NHK と WOWOW からの「限定受信方式使用料」だけなのでかなり不確実な部分を含みます。とりあえず、B-CAS カードの発行手数料として受信機メーカの負担分を、日経エレクトロニクスと週刊東洋経済の記事で共通の一枚当たり約 100 円で計算して、発行枚数をかけた 19.9 億を入れてあります。
残りが放送事業者の負担分のはずなのですが、このあたりの契約が不透明 (限定受信方式使用料の算出基準や放送事業者への割り当て方法等) なのであまりよくわかっていない部分になります。同じ総務省の「RMPエンフォースメントとBCAS方式」[URI] の最終ページによれば、無料放送事業者は Dpa 経由で料金を負担しているようなのですが、そのせいで個々の放送局の負担分がちょっと視えづらくなっています。
常識的に考えればスターチャネルやスカパー E2 も WOWOW と同等かそれ以上の額を負担しているはずなのですが、この二つは B-CAS 社の 10% 以上の株主ではないので、事業報告書に記載されていないのが残念なところです。
とりあえず、上記 2 社が WOWOW と同額を負担していると考えた場合、無料放送事業者がトータルで負担している額は残りの約 43 億前後となります。日経エレクトロニクスの記事にあった 60 億とは少し異なる数字ですが、それなりに近い数字が出てきました。
たとえば、コピー制御を諦めて、B-CAS を使うのをやめて、この 43 億を浮かせて、替わりにネット監視機構を作るとすると、B-CAS 社の場合は社員数17名で販管費が 4.6 億でしたから、同等のコスト構造としても 100 人以上の不正流通監視要員を当てることができそうです。私としてはそちらの方が実際の権利者が仕合せになれる可能性が高いように思えるのですが、何故かそういった議論は総務省の審議会で行われていないようなので、不思議に思っています。
もうひとつ、私が不思議に感じているのが B-CAS カードの製造原価です。2003 年の時点で、VISA が IC カードの発行コストを 1.98 ドルまで下げていたり、アテナが非接触カードとは言え 100 万枚発行で 150 円のカードを納めていたり [URI] する中で、年間 1000 万枚以上発行されている B-CAS カードが何故 400 円以上しているのだろうと疑問だったりします。
EEPROM の容量やカード内のアプリケーションの機能が異なるので単純比較する訳にはいかないのでしょうが、1 枚あたり 200 円程度で作れそうな気がするのと、製造に関して B-CAS 社と契約をしているのが東芝・パナソニックと IC カードの世界ではメジャープレイヤーだという印象がない企業の名前が上がっているのが気になる点です。
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