総務省 情報通信審議会
デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
第63回 (2012年4月5日) [非公式議事録]


ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載したページです。正式な議事録は1〜2ヶ月後に総務省サイト [URI] に掲載されるはずですので、そちらを参照してください。

政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。

当日配布された資料は以下の通りです。


村井 純 主査(大学教授 / 情報通信 / 慶応大学):#

それでは、ただいまから情報通信審議会 デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会の第63回の会合を開催させていただきたいと思います。お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

本日欠席されている、それから出席いただいているオブザーバの方は席上の資料の通りということになっていますのでご確認いただきたいと思います。

それでは、このデジタルコンテンツの委員会ではコンテンツの製作・流通の促進に関わる取組と諸課題を関係機関の皆様にプレゼンテーションいただいてご審議をいただいているというところでございまして、今日は二点ありまして、一点目は地上デジタル放送のコピ制御方式ということで、これは取り組んでいて、現在ではどういう状況にあるか、それに関するユーザ調査結果ということがございまして、ダビング10等をユーザがどのように受け止めているかということのアンケート調査を事務局で実施したということで事務局からのご報告をいただく、これが一点目でございます。

それから二点目はコンテンツ製作・流通の促進に関係する取組の現状と諸課題についてということで、関係者の皆様からプレゼンテーションの用意をしていただいております。特に今日は不正流通対策、クラウドコンピューティングとコンテンツ製作・流通の関係・影響、それからスマートテレビの取組ということで、次第に記載の皆様にプレゼンテーションをお願いしているということでございます。

それではまず事務局から、配布資料の確認をお願いします。

松本 和人 課長補佐(事務局 / 総務省 情報通信作品振興課):#

はい。本日の配布資料につきましては、座席表・議事次第の他に資料 1〜5、参考資料 1 を配布させていただいております。なお、配布資料のうち、一部に関しましては構成員限り、メインのテーブルのみに配布させていただいてございますので、それらについては傍聴者には配布してございませんので、ご留意いただきたいと思います。過不足等がございましたらお申し付けくださいませ。

あわせて前回会合、2 月 15 日でございますが、こちらの議事録については委員の皆様にご確認いただきまして、村井先生のご承認をいただきまして、総務省のホームページにおきまして既に公開されておりますので、あわせて報告いたします。

以上でございます。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。地上デジタル放送のコピー制御方式等に関するユーザー調査の結果ということでご審議を進めていただきたいと思います。まずは結果の概要ということで事務局の方からご説明をお願いします。

松本 和人 課長補佐:#

それでは、事務局の方から地上デジタル放送のコピー制御方式等に関するユーザー調査の結果についてご報告させていただきます。まず一点目がアンケート調査の概要でございます。

本件につきましてはインターネットを用いました調査でございまして、本年 2 月から 3 月に、日本国内在住の男女個人を対象として行ったものでございます。

注1 に記載してございますが、請負いただきました調査会社のモニターに登録されている方々の中から、人口構成比等を考慮しまして選定したものでございます。

回収サンプル数につきましては、まずスクリーニング調査と本調査ということで、二段階でやっておりまして、①につきましては二万超、②の本調査につきましては三千超のサンプルを回収しております。

なおスクリーニング調査につきましては、本調査の対象者を抽出するための調査でございまして、あと認知度等の広い質問に関しても聞いているところでございます。

②に関しましては先ほどのスクリーニング調査の結果に基づきまして、録画機器を保有している方々を対象にいたしましてより細かい回答を得たものでございます。

ページをめくってください。こちらの方は本件アンケートで聞いております情報の定義でございますのでご参照くださいませ。

で 3 ページ目でございます。今回行いましたインターネット調査の全体構成でございます。先ほど申し上げた、①スクリーニング調査が対象者が日本国内在住の男女個人というところでございまして、その結果を用いまして本調査に流れているというところでございます。

この本調査の設問に関しましては大きく 3 つに分かれておりまして、設問の B が地上デジタル放送もしくはテレビ放送の視聴状況でありますとか、そのテレビ番組の録画の経験の有無とかを聞いているところでございます。

これを受けまして、その録画行動の詳細というものを設問 C で聞いております。その中で特にコピー制御の有無、コピー制御に関する用という点を設問 D として聞いているところでございます。

以降、詳細な結果について概略をご説明します。4 ページでございます。これはスクリーニング調査、全体の母数 2 万に対しましての結果でございます。

回答者が保有している機器としてはいわずもがなでございますが、Blu-Ray レコーダが多いということでございまして、DVD レコーダ、録画機能付きテレビと、先ほど定義の所にもありましたが、Blu-Ray レコーダ以下のこの録画機につきましては地上デジタル放送のチューナーが内臓されているものということでございます。

で、コピーワンス・ダビング 10 の認知度というところでございます。こちらも対象者は二万超、スクリーニング調査の結果でございます。コピーワンスの認知度は 5 割弱、ダビング 10 の認知度は 56% という結果でございます。

6 ページでございます。録画機器におきまして、地上デジタル放送を録画したか否かというようなことでございます。これに関しまして HDD レコーダに録画後、記録メディアにコピーしたことがあるとお答えになった方が 46%、コピーをしたことがないという方が 41% ということでございまして、経験はおおよそ半々ということで、HDD レコーダへの録画という点に着目いたしますと、ほとんどの方が行っているということでございます。

一ページめくってください。このページ以降が本調査の結果でございます。7 ページについては録画するテレビ番組のジャンルを問うているものでございます。HDD レコーダへの録画に関しましてはドラマ・情報バラエティが上位となっています。これに対しまして、記録メディアへのコピーに関しましては、映画・ドラマ・音楽が上位になっているということでございまして、この結果を鑑みますれば、タイムシフト視聴のみならず、お気に入りの放送番組、テレビ番組を保存しているのではないかということが想定できるかと思います。

次のページをお願いします。本調査の中でございまして、録画時にダビング 10 対応を意識した有無ということでございます。8 割の方々が意識したことがないということでございます。

9 ページでございます。先ほどのジャンルの所と似通ってございますが、放送番組をコピーする理由としては、お気に入りの番組を保存したいためということでございます。後は、HDD レコーダの HDD の容量が不足しているため、避難的に記録メディアを利用している方も比較的多いようでございます。

10 ページでございます。一番組あたりの記録メディアへのコピー回数でございます。最大で約 1.8 回、平均的なコピー回数は 1.4 回ということでございまして、共に 1〜3 回コピーするという方が 9 割以上を占めています。

1 ページ送ってください。ダビング10以降後のコピー回数の変化でございます。7 割以上の方がこの前後におきましてコピー回数の変化は無いという結果でございます。

1 ページ送ってください。ダビング10への以降によります不便の解消ということでございます。こちらの設問に関しましては、解消されているという方が 2 割以上、どちらとも言えないが 56% という結果でございまして、一方で解消されていないという方が 8.5% ということでございます。

13 ページにつきましては若干毛色が違いますが、視聴したいテレビ番組が録画できなかった場合の代替行動ということでございます。レンタルショップでレンタルする、インターネットの動画投稿サイト等で探すという方が多いですが、ビデオ・オン・デマンドで購入するという方は現状では比較的少なかったということでございます。

これに関しまして、金額でありますとかジャンル毎の数字でございます。コピーする番組のジャンルとちょっと似通っているところでありまして、映画・ドラマ・音楽については購入する意向が高うございますということです。

最後、本件の調査に関しまして、まだ詳細な分析を続けてございますがまとめでございます。コピーワンス・ダビング 10 については約半数の方々が認知していたと。録画番組、一番組におけるコピー回数は 1〜3 回が 9 割以上を占めていたと。

で録画機器がダビング 10 対応かどうかということに関しましては、ほぼ 8 割以上の方が意識したことがないとお答えになっております。

最後の点でございますが、録画したいテレビ番組が録画できなかった場合、レンタルビデオや動画投稿サイトによる視聴が多いのに対しまして、ビデオ・オン・デマンドはまだまだ少ないということでございまして、ここに関しまして、さらなるユーザー確保の余地があるというような考えができるところであります。

以上でございます。

村井 純 主査: #

はい。ありがとうございます。それでは、今のご説明の内容についての意見交換ということに移らせていただきたいのですが、何か、ご意見・ご質問といった。

今日の仕切りは一個一個、また後で戻ることもできますけれども、この件で何かご意見がございますでしょうか。

襟川 恵子 委員(コーエーテクモ / デジタルメディア協会):#

伺いたいのですけれども、年齢って判りますかね。大体この消費者の年齢が知りたいのですけれども。

松本 和人 課長補佐:#

それぞれ分析は可能でございます。元々、スクリーニング調査に関しましては資料の一ページに書いてある通りで、人口構成比に基づきましてやっております。

襟川 恵子 委員:#

ありがとうございます。

村井 純 主査: #

その他、如何でしょうか。

伊能 美和子 委員(NTT):#

ビデオ・オン・デマンドが少ないということで、つまり、テレビしか見ていなくて、例えば IPTV の契約をしていないとか、その辺の因果関係というのは分析はされているのでしょうか?

松本 和人 課長補佐:#

まだクロス集計と詳細なところが至っておりませんので、契約の方ということで、3 ページに全体の構成で書いておりまして、有料放送や IPTV との契約の有無等もございますので、一部、契約していなくてもビデオ・オン・デマンド可能な場合もあるかと思いますが、詳細な調査はちょっと現時点ではまだ終わっていませんので、速報という形でございます。

村井 純 主査: #

はい。じゃあ、河村さん。

河村 真紀子 委員(主婦連):#

後からの発表の際にも申し上げたいとは思うのですが、これを見た限りでもほとんど私の予想した通りでございまして、ダビング 10 を決めた時に、無制限のコピーを許すと大変なことになると言われていたようなことは起こらずに、皆さん、11 枚以上コピーさせない為に大変な仕組みを使って、録画機器を持っていない人にもですね、プロテクト放送を受信させる仕組みを買わせて。

保有している人でこれですから、保有していない人にも全員に、大変なお金と労力をかけて、11 枚以上コピーを作らせないということをやるのが如何に意味がないかということを良く表れていると思います。

これは沢山なんでもコピーして不正流通すればいいと言っている訳ではなくて、別の方法で、もっとピンポイントでやれば良いことであって、全国民にやる必要なんかはないと、私が主張していたことが本当に明らかにデータとして出たというふうに考えるべきです。

これを見て逆に読んで、ダビング 10 じゃなくてダビング 3 でいいじゃないかという意見は全くお門違いであって、つまり、必要のないコピー制御であるということが如実に表れていると思います。

村井 純 主査: #

はいどうぞ。

華頂 尚隆 委員(映画製作者連盟):#

映画製作者からすればですね、ダビング 10 が無制限なのです。

(一同あっけに取られて沈黙)

以上です。

(会場から笑いがでる)

椎名 和夫 委員(CPRA):#

お門違いなことを言いますけれど、10 枚しかできないから 10 枚以上コピーした人は統計上出てこないのですね。

それで実際マジョリティの人たちが何枚コピーしているかといえばこの程度であったということで言えば、10 枚必要であったのかなぁという意見は、お門違いな意見ではないのですね。

村井 純 主査: #

はい、今回他の、コンテンツのコピー関係の説明もありますので、またその時にということにしまして、説明は先に進んでいただこうかと思いますが、よろしいですか。

はい、それでは二つ目はコンテンツの制作と流通の促進に関わる取り組みの現状と課題ということで、放送コンテンツの不正流通の現状と対策ということで、二人の方にご発表いただいて、まとめて質疑の時間を設けるということで進めさせていただきたいのですけれども、まず、総務省の取り組みということで、不正流通対策に関する総務省の取組を事務局よりご説明お願いします。

松本 和人 課長補佐:#

はい。引き続き事務局から資料 2 に基づきましてご説明させていただきます。本件については総務省でやっております実証実験の内容というところでございます。1 ページ目に全体の概要を書いております。

目的等に関しては言わずもがななので省略させていただきますが、現状と課題というところでございまして、インターネット上での不正流通が非常に多いというところでございまして、その対応のところが動画投稿サイトでありますとか、P2P ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害が多いということでございます。

これに関しまして、不正流通の横行によりまして、権利者が適正な対価を得られていないというようなこと、それから放送事業者・番組製作会社等の正規ビジネス拡大が阻害されているのではないかということでございます。あわせまして、効果的な対策体制の不備というところが課題としてあがっているところでございます。

これらに関しまして実施事項といたしまして、平成 21 年度から三年計画で、関係者によりまして連絡会を開催しつつ、次のような、国内の動画投稿サイトにおける対策でありますとか、P2P ファイル共有ソフトによる不正流通の対策でありますとか、あとは動向調査とかですね、様々な取組をしているところでございます。

1 ページめくってください。本日委員としてご出席いただいている皆様も含めまして、不正流通対策の連絡会というものを組成いたしまして、引き続き検討を推進しているところでございます。座長につきましては上智大学の音先生にお願いしておりまして、座長代理が理系の筑波大学の北川先生、権利者団体の堀様、椎名様はじめ皆様にご参加いただいて、様々な取組の検討を進めているところでございます。

1 ページおめくりください。こちらが全体計画でございます。平成 22 年、一昨年から三ヵ年計画、本年度が最終計画ということで、先ほど申し上げました、UGC 対策というもの、国内外の動向の調査、P2P のファイル共有ソフトという三本柱につきまして、三ヵ年計画で基本検討・詳細検討・総合検証を進めているところでございます。

4 ページでございます。こちらの方が、最初の国内外におけるコンテンツ不正流通の動向の調査でございます。大きくここで取り上げておりますのが 3 点でございます。

まず最初が国内の不正流通実態に関する定点観測というところで、先ほどありましたコピー制御方式に関するインターネット調査とも関連いたしますが、動画投稿サイトでございますとか、P2P ファイル共有ソフトの利用実態について、アンケート調査を行っているところでございます。詳細は後ほどご説明さしあげます。

他に国外の動向と実態の把握ということで、昨年度実施したのは大きく 3 点でございます。中国の実態把握ということが一点目でございます。そちら、昨年の 2 月に総務省、こちらに居ります先ほどの連絡会の権利者の方々、放送事業者の方々、有志の方々が中国に交流しまして、中国当局でありますとか、大手の動画投稿サイトの運営者事業者さんと意見交換をさせていただきました。

この中で、日本の放送コンテンツのインターネットでの正規ビジネスに、そちらに関して非常に関心があると、市場性はあると、潜在市場として有望であるという話でございますとか、不正流通の動向を含め最新の実態が把握できたというところでございます。

もう一点は MPA、こちらはアメリカの、米国映画産業界の団体でございますが、こちら中国対策等も含めて、不正流通対策も非常に積極的な取組をしております。こちらの方からヒアリングを行いまして、本件にかかる日米間の連携の可能性でありますとか、課題の抽出を行ったところでございます。

あわせまして、韓国におきまして、コンテンツの利活用やコンテンツ戦略といった昨今の案件もございますので、官民においてどのような取組がなされているのかということを、利用者アンケートや、韓国の当局や事業者さんへのヒアリングを通じまして把握したところでございます。

これは別の観点でございますが、次のリンクサイトの実態の把握というものでございます。動画投稿サイトに関しまして、不正流通を助長する新たな形態、リンクサイト・リーチサイトと呼ばれているものについて、国内外の実態等の把握等を行ったところでございます。

1 ページおめくりくださいませ。こちらは動画投稿サイトの動向ということでございまして、現状のところ、上の箱でございます。国内外を問わず、多くの利用者が動画投稿サイトを利用しているということがあります。

特にアメリカや日本、固有名詞はちょっとさけておりますが、具体的には YouTube さんでありますとかニコニコ動画さんというようなところでは、いわゆる違法コンテンツを削除できるような技術的な手段が実装されておりまして、放送事業者さんと一定の契約、正規の契約に基づきまして、削除がされているということでございまして、一定の対策が講じられていると。これに関しましては、後ほど私の説明の次にテレビ朝日の入江様から詳細な部分をご説明いただけます。

あわせまして、このような状況に比しまして、中国や韓国というようなところは、大手の動画投稿サイトにおきましても、このようなシステムが実装されていないということに加えまして、正規の権利者の方から削除要請をした場合であっても、実際に削除されないというようなケースもございました。

このようなこともございまして、当該国におけますコンテンツの正規流通が阻害されているというような一因になっているということでございます。下には詳細なところも記載してございますので、適宜ご参照くださいませ。

次のページでございます。こちらは P2P ファイル共有ソフトの利用動向でございます。P2P のファイル共有ソフトというものは、著作権侵害以外にも、正規の利用の仕方を含めて、国内外で広く普及しているものでございます。このうち、Winny, Share, PerfectDark というものに関しては、利用者の殆どが日本国内ということでございまして、かつ、このソフトを用いまして流通しているコンテンツの多くが、権利者の許諾無く流通している著作物ということでございまして、日本国内で流通している独自の状況が喫緊の課題ということで、この三つに絞りまして、技術的な対策等を講じているところでございます。

詳細なデータ等はまた御覧いただいたらよろしいかと思うのですが、特徴的なところで申し上げますと、右の箱を御覧ください。昨年 11 月末、12 月初に、警察署等がファイル共有ソフトを利用した著作権侵害事件に関しまして、全国一斉取締りを行いました。それがありまして、そこの点から利用者、ノード数というのは利用者とほぼイコールと考えていただいて結構なのですが、利用者が減っているということでございます。

一時期話題になっておりました Winny というものに関しましては、ソフトウェアを公開している方がアップロード、バージョンアップが止まっているということで、使用者というのは大分減ってきております。

新たな形態として出てきている Share でありますとか PerfectDark というものに関しましては非常に構成も高いということで、これに関する対策が今後の中心的な課題になってきているということでございます。

7 ページでございます。国内外のコンテンツ不正流通動向の定点観測の部分でございます。本件に関しましてもインターネット調査でございまして、一般消費者、中高生向けの動画投稿サイトでございますとか、P2P ファイル共有ソフトの利用状況というものを調査したところでございます。

スクリーニング調査に関しましては PC 調査が大体 5 万強、本調査は動画投稿サイトに関しては 7000 弱、P2P ファイル共有ソフトに関しては 2000 弱というサンプル数を得ているところでございます。

1 ページおめくりください。こちらがその結果でございます。詳細に関しては説明を省略いたしますが、特徴的なことと申しますと、動画投稿サイト、6 割超の方々が御覧になっているということでございます。

ダウンロードの経験という意味では 3 割以上、視聴ではなくてこれはダウンロードでございます、ダウンロードに関しては 3 割超の方々がやっておられると。対象は、これは動画投稿サイトの利用者の内の 3 割超ということでございます。

ファイル共有ソフトに関しては、やはり数は非常に少なくなっておりますが、一部ですね、やはりまだ使われているような状況でございます。

1 ページおめくりください。放送コンテンツのアップロード方法の調査結果ということで、先ほどの調査結果から抽出したものでございます。一点ちょっと、読み方としてご留意いただきたいのは、特に動画投稿サイトにおける分析に関しましては、左下の、左の箱を見ていただければ判る通り、これは n が 50 になっておりまして、先ほどの全体の 7547 の内の 50 でございまして、統計的な有意性が厳しいということはご留意いただいた上で見ていただければと思います。

方法としてはパソコンで録画して作った、ソフトウェアでですね。あとはハードディスクレコーダで録画してパソコンに取り込んだ、Friio 等の無反応機を使って録画したというところが多いということになっています。

10 ページでございます。こちら構成員限りということでございますが、動画投稿サイト対策に関する実証ということでございます。こちらの方に関しましては、動画投稿サイトにおける対策を行うためのシステム基盤ということに関しまして、技術的要件を整理していくことを目的としております。

これに関しまして、技術的要件に関しては、不正コンテンツの検知から削除要請に至るまで、一連のフローを整理いたしまして、一昨年に調査した結果でございますが、中国等の動画投稿サイトに対する対策が非常に重要であるということが課題として上がっておりまして、これに関しまして、一般社団法人 コンテンツ海外流通促進機構 CODA さんは中国対策として非常に効果が上がっているということがございまして、彼らと連携して中国や韓国における動画投稿サイトにおける削除要請を行ったということ、それと、前半部分でございまして、これも放送終了からアップロードまでに入るまでに数日ということで、初期の動作が非常に重要であるということが結果から判っております。

なので、放送波から直接フィンガープリント情報を抽出するような手段を用いまして、従来は一週間以上かかっていた時間をですね、二日程度まで短縮できることが確認されたところでございます。

これらを組み合わせることによりまして、右下の箱でございまして、一昨年では 3 割とか、少ないところで 3 割ぐらいの削除率であったような中国の動画投稿サイト、違法コンテンツに対して、100% の削除率が達成できたという結果が得られています。

こちらは P2P ファイル共有ソフトの対策に関する実証という項目でございます。こちらに対しても、P2P による不正流通対策の技術的な要件を整理することを目的にやっているところでございまして、大きく二本、不正流通の抑止技術というものと、ユーザーへの注意喚起・啓発技術というものを実証しているところでございます。

不正流通の抑止技術に関しては、実際にファイルを保有していないような、ダミーキーという情報を最初に散布することによりまして、元のファイルがダウンロードできなくなるような技術的な方策というものを検証し、やってみました。こちらに関しましてソフトウェアによって挙動が違いますので、Winny に関しては一昨年の実験によりまして、不正流通のコンテンツがダウンロード 9 割方成功していたものが、30% まで低下させることができたということでございます。

昨年度は対象ソフトの特性に応じましてこのようなことができるかどうかという技術的な検証でございますとか、対象のソフトウェアを拡大いたしましたり、対象コンテンツを拡大したというようなことで実施していることでございます。

下の注意喚起・啓発技術というところに関しましては、P2P を用いました不正コンテンツを見ようとしているユーザーに、注意喚起のメッセージを届けるというような啓蒙活動を試行していたものでございます。本件については本年 1 月に総務省の方で報道発表いたしまして、NHK によりニュースとして取り上げられたということもございます。

右側を見ていただくと、こちらは一例ですが、いわゆるオリコンのチャートと言っているような、2 週間に一回出ている、トップ 50 の情報が出たら、それにあわせまして 50 曲が全部入っている P2P のファイルが実証実験が開始するまではアップロードされていた状況でございますが、この実証実験を開始した後には関連のコンテンツがアップロードされなくなったということでございます。

実際にやっておりました、アップロードしておりましたユーザーにこのメッセージが読まれて、その後のアップロードを控えたということが類推できまして、一定の効果が得られたのではないかというようなことでございます。

これが今までの成果でございまして、これらを踏まえまして、最初の全体、3 ページを見ていただきたいのですが、今年度、平成 24 年度の最終計画ということで、最終年度ということで、正規流通の促進ということを、特に海外を含めました現地でのネットでの配信等を軸にいたしました不正流通を正規流通でつぶすというところといった複合的な対策を今年度実施していきたいと思っております。

あわせまして様々な制度的な補佐でありますとか定点観測も続けまして、次年度以降の本施策の成果展開につなげていければと考えております。

以上でございます。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございました。それからもう一つ。テレビ朝日、入江さんの方からのご発表をお願いします。

入江 武彦 オブザーバ(テレビ朝日):#

テレビ朝日の入江でございます。まず最初にお詫びを申し上げねばならぬのですが、私どもの資料、「テレビ朝日の違法動画対策と公式配信」というものが紙の形でメインテーブルのみということで配らせていただいております。

これはこの発表に関連します動画投稿サイトとの間で、私ども NDA を結んでおりまして、そういったものに抵触する事項が沢山含まれております。そういった関係上、発表の内部に関しても若干、隔靴掻痒の感があるかと思いますが、そこの所はご斟酌いただきまして、ご理解いただきますようよろしくお願いをいたしします。

テレビ朝日、私どもの基本方針としては、私どもが著作権を保有している映像が違法に公開されている場合は、原則、全て削除を実施するという方針で臨んでおります。また、著作権がテレビ朝日にない、テレビ朝日以外のところにある番組につきましては、必要に応じて、各番組の制作担当ですとか、権利者等と協議の上で削除に取り組んでおります。

実際の削除の取組ですけれども、私どもは 2007 年ごろから手動による削除を行って参りました。削除業務を専属に行うスタッフを用意をいたしまして、動画の投稿サイトを各サイト毎に目視・巡回調査で発見次第、各動画投稿サイトに対して削除依頼を行うという極めて原始的なやりかたをやっておりました。

そういった反面でですね、ある動画投稿サイトから、その会社が開発しました動画認識システムを利用して、自動削除を行ってはどうかという提案をいただきまして、2009 年からそれを採用しております。

これはどういう仕組みかと申しますと、大まかに申し上げますと、正規品の映像コンテンツの ID を、ビデオ ID というものを作成するわけですね。フィンガープリント・指紋、様々な言い方がございますけれども、その映像コンテンツに属性する映像情報を解析して、データとして保有していると。

で、その動画投稿サイトの中にございます映像作品の中で、その映像情報と合致するものがあれば、それは不正にあげられたものであると判断し削除をするといったシステムでございます。これに関しては 2009 年以来、利用を継続中です。

ほぼ同時期に、私どもはその動画投稿サイト上におきまして公式チャンネルをいくつかオープンしております。

そうした自動削除というものを行ってきたわけですけれども、自動削除にはそれなりの効果はあるのですが、違法動画投稿というものは、番組が放送されてから違法に投稿されるまでの間というのが非常に重要な点になります。

私どもではこの削除運用の二つ目の四角のシステム対応というものに取り組んでおります。これはどういうものかと言いますと、右側にございます違法動画削除支援システムというこのシステムを利用しまして、番組本編のみを抽出いたしました映像コンテンツを作成いたしまして、それを放送後遅滞なく動画投稿サイトの方で映像データとして処理できるような形で送ると。そしてそれを元に投稿サイト内でマッチした違法動画等、違法に投稿される動画が自動的に削除、これはこの場合は非公開化と言うのですけれども、されるようになるという仕組みでございます。

要は何が言いたいかと言いますと、放送後、違法動画が投稿されるよりも前になるべく早い段階で以上の映像のデータを動画投稿サイト内に蓄えるということが非常に重要だということです。

これによりまして、私どもの公式チャネルで公開された動画も当然自動的に映像データとして蓄積されるということになります。

ここで具体的数値を申し上げられれば良いのですが、あまり具体的な数が申し上げられなくて大変申し訳ないのですけれども、直近 3 年間、2009 年からその自動削除システムを利用し始めた 2009 年以来なのですけれども、月間の平均削除数は 2009 年で約 3800、2010 年で約 2500、2011 年で約 1850 という形で下がっております。

これは動画がいくらアップされても削除されてしまうということで諦めている部分もあるかとは思いますが、一方でアップロードの仕方が巧妙化しているということも事実でございます。

目視の場合は概ね番組のタイトル、出演者の名前ですとか、エピソードの番号ですとか、そういったもので目視の作業をする訳なのですけれども、全く関係のない言葉で付けられているとか、こういうこともございまして、もうそうなると人的な監視ではなかなか追いつかないというふうになります。

また監視業務にかけて、人的資源にはそれほど多くの人材をさけないということもございますが、その一方で投稿サイトの方はあまり減っていないということで、この辺いたちごっこというのが実情でございます。

実際に削除業務を行っている側といたしましては、自動のこういったシステムを活用して、どんどん広がっていくようになれば、幾分私どもの業務は簡略化されるかなとは思いますが、一方でこうした自動の削除支援システムというものの存在も非常に大きいということでございますので、両面あわせての削除への取組を行っていかなければならないと思っております。

ちなみに参考までに申し上げておきますと、そういった自動のシステムを利用した削除の実態の数でございますけれども、ほぼ目視のものに比べまして概ね 1.2 倍から 2 倍、2 割増しから 100% 増しというような形で削除がなされているということでございます。

もちろんそれはコンテンツの内容によって、私どもの自動削除で対応できるようなもの、あるいは目視でしか対応できないようなもの、色々ございますので、月ごとにばらつきが

ございますけれども、概ね好調なパフォーマンスを残しているということでございます。

一方、先ほど軽く触れましたが、私どもの公式配信の運用でございますが、2009 年 9 月から公式にチャンネルを開始をいたしました。当初は番組 PR 用のチャンネル、それからニュースのチャンネルという二つの運用でしたが、現在は 11 の公式チャンネルを展開しております。

これは違法動画の投稿削除とは全く関連性は無いと思いますが、ちなみに参考までに申し上げますと、私どものニュースチャンネルは 2009 年 9 月の開始以来、累計再生回数が 1 億回を突破いたしました。

一方、先般私どもで新たな取組としてネットオリジナルのコンテンツとして、これは正規品ですけれども、ロンドンハーツという番組がございますが、ここのインターネット専用のコンテンツ、これは累計再生回数が 3000 万回を突破しております。

そういったことで正規品の流通には取り組んでおりますが、違法の投稿も後を絶たないというのが現状でございます。

私どもの取組に関しては以上でございます。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。それでは今、事務局と入江様の方からご説明いただきました内容について、ご質問・ご意見等ございましたお願いしたいと思います。はいどうぞ。

植井 理行 委員(TBS):#

総務省さんの方の資料で、10 ページ、動画投稿サイト対策に関する実証でございますが、中国・韓国サイトで 100% をほぼ達成したというふうにございますが、これは CODA の名前で削除依頼を行うことによりと、それが前提条件になると。

松本 和人 課長補佐:#

その通りでございます。

植井 理行 委員:#

ということは、どこが、つまり権利者が誰でも削除要請に応じてもらえるということではないと。権利者が誰でも削除要請に 100% ほぼ応じてくれるということでは無い訳ですね。

松本 和人 課長補佐:#

今回は CODA を窓口とした場合に 100% ということですので、おっしゃる通りかと思います。

植井 理行 委員:#

済みません。私共も中国や韓国サイトには手を焼いているものですので、ただ、中々個々の権利者の名前ではあまり応じてくれないという話も聞いておりましたもので、誤解がないようにと思って伺いました。

松本 和人 課長補佐:#

それに近しい部分が、一昨年度、平成 22 年度の結果というところ、参考としてですね右下の箱の方に [聞き取り不明瞭] で記している部分がございます。こちらの方は CODA を使わなかった、実験の事務局の削除要請をした場合の実情でございます。

村井 純 主査:#

はい。よろしいでしょうか?その他何かございますでしょうか?はい、河村さんどうぞ。

河村 真紀子 委員:#

総務省さんの発表の方の、不正流通の調査なのですけれども、先ほど申し上げたこととほぼ趣旨は同じなのですけれども、これを見ても判る通り、テレビにかけているコピー制御と、動画投稿サイト等で行われているような侵害というのは、因果関係がないと思うのですね。

これはコピーワンスをダビング 10 にしたから、これが可能になったとか、ダビング 10 を止めるとこれがもっと酷くなると、そういう関係には無くて、全く別のテクニックなのだと思うのです。

ですから、私がダビング 10 の時に申し上げた通り、そういう権利者に本当に損害を与えるような著作権侵害を起こす人たちは、普通の放送に枚数制限をかけたところで、別の方法でやるでしょうと。

そう申し上げた通りのことがここに書かれていると考えています。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。その他なにかございますでしょうか。よろしいですか?それでは、また残りも後でまとめたところの議論で、また何かございましたらやっていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。

その次の発表はクラウドコンピューティングについてということで、椎名委員にお願いします。

椎名 和夫 委員(CPRA):#

資料 4 を御覧ください。村井先生みたいにご専門の先生が居る前でクラウドコンピューティングを語るつもりはないのですが、この場合、権利者から見たクラウドコンピューティングはどういうものなのかという観点からお話をしたいと思います。

1 枚めくっていただきまして、私どもの関連団体の方でですね、今年の初めごろに、音楽ファンに対してクラウドコンピューティングを知っていますか、どんな期待を聞いています。その中では、「今まで知らなかったけれど、そんな便利なシステムがあるのですね」とか、「今回初めて知りました、便利そうですが、やはり音楽は CD で聞きたいですね」ですとか、「単純に持ち運ぶ必要がない楽さがいいと思いますが、音楽のメディアが変わってしまいますねぇ」とか、まあそういう色々なご意見がある中で、基本的には期待感が強い。

そういう中で、「実は活用しています」という方も居らっしゃるのですね。じゃあその、一体そのクラウドコンピューティングサービスというふうに提案されているものが如何なるものなのか。漠然とは、ネットワーク上にあるサーバーにコンテンツが蓄積されることによって、いちいち媒体を持ち歩かなくてもいつでもどこでもアクセスして、それを視聴できるというようなものなのですけれども、じゃあその、提案されているサービス内容はどういうものであるかということが、次のページ以降にまとめて、3 つの類型に分けています。

まず A 類型、次のページなのですが、A 類型というのはそのサービスのプラットフォームを運営する会社が同じく楽曲を提供していると。ユーザーはそのプラットフォームから購入した楽曲を同じプラットフォームの用意したユーザー用の領域にコピーして、それでいつでもどこでも楽しむことができるというもの、これをまず A 類型といたしました。

この場合は当然ながら、プラットフォーム A 社というところに、権利者が「こういう形でコンテンツを使いたい」というようなことで、まあどういう形になるのか判りません、細かい契約は判りませんが、何らかの形でライセンスをするという形になれば、これは著作権法上の課題もなく、こういうサービスを実現できるものだと思っています。

次のページをめくっていただきまして、今度は B 類型というものになりますけれども、これはちょっと、逆に、プラットフォームの A 社は音楽を配信して売っているのじゃなくて、もう先に、プラットフォーム A 社のクラウドサービスサーバー上に、曲を用意しているのですね。何らかの有料サービスによって、その用意した曲を聴くことができるというのが B 類型ということになるわけで、この場合も権利者、このマル C は何故か後ろを向いていますけれども、このマル C は何らかの契約によってそのコンテンツの利用を許諾しているということになろうかと思います。

問題なのは次の C 類型ということでございます。ここでのプラットフォーム A 社というのは、特段音源を販売している訳ではなく、またアップロードして用意しているわけでもなく、ユーザーが手に入れた音源を預かる、ネットワーク上で預かるというサービスです。当然ながらユーザーは CD からリッピングしたファイルを上げることもあるでしょうし、色々なことが考えられると思うのですね。先ほどの A 類型から買った音楽ファイルを今度は違う A 社にアップするというようなことも考えられる訳です。

ここが盛んに、権利者としては非常に問題だと思っていてですね、一部のプラットフォーム事業者はですね、違法なファイルでも構いませんよというふうなことを積極的に言っていると。そうすると、違法に入手したファイルでも、プラットフォーム A 社のサーバーに蓄積することによって、あたかも正規品であるかのような利用ができてしまう。

あるいは(A 類型の) A 社というものが、権利者の許諾を得て配信しているものが、この C 類型の A 社に蓄積されることまでは想定されることなく販売されているものが、上がっていってしまうというようなことだとどうなのでしょうということになります。

違法なものは論外としても、こういう C 類型のサービスで言いますと、やはり著作権法上の観点から、コンテンツの利用主体の問題ですとか、私的使用のための複製にあたるのかどうかというふうな議論が出てくるのではないかと思います。

次のページは、今、こういうサービスをやりますよというふうにアナウンスをしている各事業者さんのサービス類型がどれにあたるのかということを一応整理しております。

例えば、一番上の Amazon でありますと、Amazon MP3 ストアを通じて購入した MP3 形式の楽曲を、クラウドドライブに保管することができ、アプリケーションソフト、クラウドプレイヤーを用いて、アンドロイド搭載のスマートフォンやパソコン等で、ストリーミング形式で聴いたり、ダウンロードしたりすることができると。ということで、先ほどご説明した A 類型にあたるということになるわけです。

今度、その下の google になりますと、ユーザは音楽 CD やネット配信からパソコンに取り込んだ楽曲を、google のデータセンターに最大 20000 曲保管でき、アンドロイドを搭載した携帯電話やスマートフォンなどでいつでも聞くことができると。ここも入手が合法なのか違法なのかは識別しないということになろうかと思います。それが、我々の懸念している C 類型にあたると言えますね。

またその Apple は逆に A と C がプラスされているということで、まず iTunes Music Store で購入した楽曲や電子書籍などを米国内にある Apple のデータセンターのサーバーに保存して、ネット経由で、同一ユーザが保有する iPhone、iPad や Mac などでいつでも楽しむことができると。

1 ユーザあたり 5 GB までデータセンターの記憶容量を利用できるということがありつつも、iTunes Match では、年間 29.9 ドルの料金で、iTunes Music Store で購入した楽曲だけでなく、ユーザが所有する音楽 CD からリッピングした音源とか、違法に入手した音源でありますとか、そういうことを問わず、iTunes Music Store で提供される、約 1800 万曲と自動的に照合し、マッチした曲が高音質のファイルとして保管されると。

これを C' としている理由はですね、C 類型はユーザがアップロードするのですが、ここで Apple 社はアップロードまではさせないのですね。ユーザが示したファイルを照合して、Apple 社の正規ファイルと取り替えてくれる、それをサーバー上に置くというようなサービスで、これは違法品が適法品に変わってしまうということで。僕らはミュージックロンダリングと言っているのですけれども、そういう懸念があるということでございます。

あと、B 類型としてはヨーロッパ等で非常に活況を呈しております Spotify というサービスがあります。これはレーベル等の許諾を得て集めた音源をネットに置いて、これをストリーミング方式で聴かせるというサービスなのですが、これもまた一つ、あららというところがありまして、Facebook 等の SNS と組み合わせるとですね、友達と共有できちゃうのですね。

そうすると、これを聴いてみなとリコメンドすると、無料で聴けてちゃうと。Facebook のアカウントを持っている必要があるのですけれども、そういうような共有の仕組みもあります。

我が国においては、au さんで、LISMO UNLIMITED、これはもう本当に純然たる、音楽を集めておいて聴いてもらうというサービスで、ストリーミングで楽しむというようなことだと聞いております。

そこまでがいわゆる提案されているクラウドサービスといわれるものの実態でございまして、一方で、いまどきの中高生はどういう状況にあるかということでございます。

河村さんはですね、先程来、一部の不心者がいて、そいつらが悪いのであって全体に迷惑をかけているというようなことを仰いますが、実は軽微な侵害行為は皆がやっている、とりわけ中高生の人たちがやっているという実態があるわけですね。

そういうものに対して、社会がどういうふうにそれを抑制していくことを考えるのかというところに知恵を絞って、議論がされているのですが、実際にウチで実施した中学生の皆さんに CD を何枚もっていますかとごく当たり前に質問したところですね、何枚ってどういう意味ですかと、何曲の間違いなのではないですかとそういう答えが返ってきました。

やはり CD ショップで音楽 CD を購入して、音楽を手に入れるということよりも、ネットを通じて聴いたり、あるいは入手したりということが中高生の間で当たり前になっているということに、ちょっと愕然としたということがございます。

当然ながら、パッケージのみから音楽に接触する割合は減少しているのですが、ネット配信からの、もちろん正規品の流通ということもありますので、その部分は上がっているのです。このグラフに書いてある青いのはパッケージでございまして、赤い部分がネット配信等という点でございます。

単純に音楽ユーザーの動向がパッケージを購入することからネット配信にシフトしつつあるのであれば、音楽自体の売り上げというのは順調に伸びるはずなのですが、次のページをめくっていただきますと、これはブルーが先ほどもブルーでお示ししたパッケージの売り上げ、赤が有料配信の売り上げ、それで緑で示した線がこれはインターネットユーザー数であります。

ネットで音楽を購入したり、音楽を視聴したりということがネットユーザの増加につれて当たり前のことになっている反面、音楽の売り上げというのは明らかに落っこってしまっている状況がございます。

このユーザーのこうした消費動向とかですね、今はクラウドサービスというものが正面きってはサービスインしていないという前提で申し上げるとですね、これだけインターネットの影響が顕著に音楽関連の全体の売り上げに影響を与えているという中で、クラウドサービスというものが正規にリリースされた場合にどういうことが起こるのであろうかと考えるのが次のページであります。

やはり、ネットワークにおいてプラットフォームの力が圧倒的となり、自分のサービスのユーザーを増やして市場シェアを拡大するために、コンテンツを商材として使うということが、エサとかっていう過激なことを書いていますけれども、商売のネタにするようなことになれば、権利者への対価の還元は危なくなりますよねというふうに考えるわけです。

右の参考資料の円グラフを見ていただくと、スマートフォンのメーカー別国内出荷台数シェアをやっぱりこれだけの、38% を apple が占めているわけですね。OS のシェアで言うと、Android、iOS で 90%、まさに Apple 社と Google 社が二分しているという状況がございます。

そういったプラットフォームサービスがですね、ユーザーに対してコンテンツに辿り着くためのサービスを提供しているものをプラットフォームと考えますと、そういったプラットフォームがいささかそういう部分を独占化・寡占化しているのではないかというふうにも見て取れると思います。

インターネットで同種のサービスが拮抗した場合に、そこの同種のサービスがどうやってビジネスをしていくかというところでコンテンツの価格が変わっていくのだとすると、それは大変なことでありまして、コンテンツというのには製作のコストというものがあります。その製作のコストをリクープする為にコンテンツの値段というのが付く訳でありますけれども、そういったことを一切斟酌しないでですね、コンテンツの価格が決まっていくような状況に段々なっていっているのではないかと思います。

しかも一説によりますと、コンテンツプラットフォームがそのコンテンツの流通に対して、無条件に 30% お金を取っていくというふうなことも言われている訳です。なおかつ、それらのプラットフォームは日の丸ではない訳ですね。そうすると、コンテンツが稼いだお金の 3 割が外国に出ていってしまうということになる訳です。

そういうような分析を踏まえて、しかしながらユーザーの皆様はすごく楽しみにしているクラウド環境というものを我々権利者がどういうふうに考えていったらいいかということですけれど、ひとつは、そのヒントとして、経済産業省の「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会報告書」の 29 ページにあるそうですが、基本的に、「クラウドコンピューティングの活用が、著作物の管理をサーバー側で一括して行うことができることから、使用許諾などの処理をスムーズに行える可能性がある」と。

またですね、これは村井先生に私どもの機関紙がインタビューさせていただいた時の村井先生のご発言なのですが、「クラウド型サービスであれば、誰がどこで音楽を聴いているか把握できるので、例えば年に 5 回までであれば同じ曲をコピーできるといったルールを着実に実施する仕組みを作ることもできます。こうした仕組みを作ってしまえば、その中で音楽を聴くたびに対価を払って楽しむという文化がユーザーに浸透していくのだと思います。したがって、まずは権利者とプラットフォームとの間で、コンテンツを利用する約束事と、それが担保される権利行使の方法を決めることが大切」なんじゃないですかと仰っている。

そういった辺りをヒントにして、やはりこういうクラウドコンピューティングの特性を活かして、ユーザーからの期待にも応えつつ、権利者への対価の還元をどうやって可能にするかということで考えてみるとですね、まずは利用の経路が極めて限定的であって、なおかつネット上で補足できるということです。

まずは考え付くことは、ICT を活用した権利処理を行えば円滑でしょうということです。先ほどの不正流通の辺りにも話が出てきましたけれど、フィンガープリントという技術もありますし、実際にプラットフォーム側で詳細にログを取っていれば、そんなことをする必要もなくなってくるというようなことで、ICT の活用ということが考えられます。

やはり母数としては圧倒的に多岐に広がる訳ですから、これは何らかの権利の集中管理による円滑化が必要であろうということがあります。また、そうした詳細なデータが開示できるのであれば、ざっくりとした元栓からですね、蛇口にいって、きちんとした正規化された権利処理ができるのではないかと。

こういうような権利処理用のアイデアが三点、それともう一つは、先ほども言及しましたけれども、大半のお金が外国に出ていってしまうという中で、権利者もメーカーもいつまでも喧嘩をしているのではなくて、日本版プラットフォームとか、そういったことは考えられないのかと、いうようなこともアイデアの一つとしては在り得るのではないかと思います。

先程来、北京の出張の話が出ていましたけれども、私も不正流通対策で北京に行って参りました。ものの見事に、google、YouTube、それから Facebook、Twitter、そういったものを一切遮断して、似たような事業者を国内で作って、中身は日本製のコンテンツで、莫大な利益を得ているという国の仕組みを目の当たりにしました。

国家版権局に行って、「なんで google を遮断するのか」と訊いちゃったのですけれども、「彼らは法律を守らないからだ」という答えが返ってきたのですが、法律を守らない人はいっぱいいるのじゃないかと思うのですが、そのへん探っていいかどうか判らないのですが、駄目だったら消して終わりたいと思いますが、そういう道を日本が取る訳には多分いかないと思いますね。

だから、遮断するのじゃないのだけど、日本のコンテンツを日本で楽しんで、きちんと日本のステークホルダーが儲かっていく仕組みを日本なりに考えなくていいのでしょうかというのが、我々の考える感想でございます。

以上でございます。

村井 純 主査: #

はい。ありがとうございます。これはここでご意見をいただくということになっております。どなたかございませんか?

一応私の名前も出てきているので……その上の研究会の取りまとめも私がやったようなものなので……今の話で、外国の関係でですね既にさっきご説明いただいた点も入るところも……ええと 6 ページですか、これも実は(聞き取り不明瞭 - ナカバンダイ?)と違うのですか?

プラットフォームという定義がですね、プレゼンを聞くとアンドロイドか iOS かということと、その上のサービスがどのように提供されているかというところ、それで例えばここに出ているような会社のサービスも、そのサービスの権利に関する内容は国ごとに diff っていて、それなりの国ごとのやりかたが、中国みたいなやり方はちょっと特別だと思うのですけれども、いまこれは類型で見ているのも、日本ではこういう感じでということなのですね。それでこれはアメリカではちょっと違うパターンになっていたりしますよね。

それは私、プラットフォーム、つまりオペレーティングシステムのプラットフォームというよりは、このクラウドサービスのコンテンツサービス、音楽配信サービスであるとか音楽を聴くサービス、これの基としてのプラットフォーム、だからプラットフォームは二重にあるのですね。

Android か iOS とか、つまり Windows とかオペレーティングシステムをどうするかということと、その上でこういう権利のあるコンテンツを配信するプラットフォームが乗っているかということと、ちょっと二重にあるようになっていると。

そういう意味では、椎名さんが仰ったような意味では、オペレーティングシステムがどうであるかというよりは、それを配信するプラットフォームがどうなっているかということで、それが最後の議論、即ち、日本製という話をしたときに、多分、椎名さんのコンテキストだと大事なのは、これは既にここに書いてあるコンテンツデリバリーのプラットフォームか、コンテンツシェアのプラットフォームか、クラウド型といわれているこれが国別にサービスの内容を変えていることを鑑みると、やっぱり権利の法律であるとか、ルールということが国ごとに決まっているということを前提に、サービスプラットフォームがそれぞれの国ごとに対応したものを作ってきている、提供しているということだと思うので、日の丸という方法があるとすれば、それはこういったことに既に現れつつあるのではという気もいたしますね、現状として。

ちょっと判り難いかもしれませんが。

その他何かございますか? はいどうぞ。

畑 陽一郎 委員(日本レコード協会):#

日本レコード協会の畑でございます。この、特に音楽関係のクラウドサービスに関しましては、今年の二月、iTunes の Music Cloud などがサービスインして、まだ Match は始まってませんけれども、まさにレコード会社、我々レコード会社の業界団体は、まさにその寸前にまで激変にさらされた業界で、それは椎名さんも同じですが。

その中で今回発表されたこの内容、特に 9 ページまでのところについては、我々も同じような意見を持っていますし、何がプラットフォームか、何がサービスなのかという話はありますけれども、ある意味、特定の場合を申せば Apple はどちらかというと垂直統合で、組み合わせを使ってきているようなそういう状況もあり、その中で、OS、その先について申せば課金プラットフォームですね、そこの課金プラットフォームのところがまさにその 30% というそういった話もあり、非常に危機感を我々としては覚えています。

そういう中で、10 ページの内容について異見を申させていただくと、サービスにおいて違法なものも利用しやすくなってしまう恐れがあるサービスということを踏まえた場合に、特に一番下の○が四つ並んでいますけれども、権利処理・あるいは集中管理の所に関してが、我々の懸念を解消する方向に働くのかどうかというところはちょっと議論の必要があるかなと。

ある面、集中管理ということになりますと、権利者の許諾権はある程度行使を放棄して、まさに許しやすい環境が出てきてしまうので、そこと違法性に多少疑義のあるサービスの親和性を考えた場合、逆にさらにエサとして使われる恐れが高まってしまうのではないかというところをちょっと懸念しているところです。

椎名 和夫 委員:#

これはすごく難しい問題で、不正流通対策といった時に、例えば結局 CODA を通じて叩きましたと、削除要請をしてこれだけ削除できましたということを年間莫大な費用をかけて権利者がやるという選択肢が一つあると。

やっぱりもう一つは、程度の問題はあるとは思いますけれども、ある程度後追いで正規品化していくというふうな話もあると思うのです。

ここら辺の話というのは、まさにこれから違法流通対策とか、違法なものがなんなのかという議論とか、今盛んにされているダウンロード違法、違法ダウンロードの刑罰の問題とか、そういった問題と一緒にやっぱり考えていかざるをえない話だと思うのですね。

僕個人的には違法なものから、違法な側、違法な側は何らかのエンフォースメントで厳格化していくような作業できっちり線を引いていく、正規品のビジネスは正規品のビジネスで成り立つように作っていく。でその間のところがずっとあるわけですね。

その間の所がまさにこの委員会で議論したダビング 10 の問題だったり、補償金の問題だったりということなのだと思うのですが、そこらへんのところは、ある意味知恵を使って、もう目に余る違法な部分は排除し、どうしてもグレーな部分は残ったら、それは何らかの(聞き取り不明瞭 - ラグジュアシティーズ?)という古い言葉ですけれど、何らかの契約によってやってもいいし、制度によってやってもいいし、そういった解決が必要なのではないかと、僕個人ではそう思っています。

そうなった時にその部分、正規の部分も勿論そうですけれども、何らかの形で ICT を使った円滑な処理でありますとか、集中管理の在り方ですとかね、実際のデータも利用の態様に照らした正規化されたデータによる対価の還元とか、そういったことが考えられるのではないかという意味で、ここで述べさせていただきました。

畑 陽一郎 委員:(日本レコード協会)#

おそらく集中管理と聞いて、私が描いているスキームと、椎名さんが仰っているものはおそらく違うところがあるのでしょう。その辺をもう少し色々と議論させていただければと思います。

村井 純 主査:#

その他如何でしょうか。はい、河村委員。

河村 真紀子 委員:#

10 ページところに書かれている、ユーザからの期待にも応えつつ、権利者への対価の還元を可能とする効率的な仕組みというのには大賛成でございまして、私は、委員長さんのペーパーにもありましたけれども、正規流通の促進等を軸とした取組のような、きちんとしたサービス、使いやすいサービスがあって、使いやすい値段であれば、どんどんそれが浸透していくと思いますし、私にも小学校 6 年になる子供がいるのですが、実はやっぱり音楽は、教えた訳でもないのに、ネットで聞いております。

ずっとヘッドホンをしながら聴いていて、私のパソコンをずっと使うのでちょっと嫌なのですが、小さなスピーカーを買ってやりまして、「これで聴けば、だってこんなに悪い音で嫌でしょう」と言ったら、「気にならない」と言うのですね。

私は自分の子供があんなに悪い音で、タダで音楽を聴くというまま大人になるということには大反対なのですね。やはりお金を払って、いい音で音楽は聴くべきだと私は信じて疑いませんので、こういうことには私は大賛成です。

揚げ足を取るわけでもないのですけれども、やはりちょっと基本は反対としたいので、私がさっきダビング 10 のさっきのところで申し上げたのは、効果がないのですよね。

効果がないものに、国を挙げて仕組みを作ったりすることはないと。それのために縛られる人があまりにも多すぎると。関係のないのに縛られる人が多すぎると。

さっき中高生はいっぱいやっていますよねと仰いましたけれども、全国民から見れば一部の人なのですね。そういことが、ひとつひとつの分野によって、テレビでも地上放送なのか、有料放送なのかで違いがありますし、音楽はどうなのかとか、それぞれの一番良い方法というのがあるので、何か一緒くたに私が申し上げている分野に当てはめないでいただきたいと。

よろしくお願いします。

村井 純 主査:#

はいありがとうございます。はい、どうぞ。

椎名 和夫 委員:#

褒めていただいたので、あまり反論はしたくないのですけれども、まず、ダビング 10 の話をいまさらするとは思っていなかったのですけれど、10 枚以上コピーできれば、10 枚以上コピーして商売をする人が出てくる訳ですよね。

じゃあ、社会全体としてそういうことができないようにしておく必要があるのか、ないのかという議論をして、それをして、そんなことは必要なかったのだと仰るけれども、10 枚以上コピーをする人は、10 枚以上コピーができるのであれば出てくるのだと思うのですよ。

そこの、要するに僕の先程申し上げた合法領域・違法領域の間に、絶対グレーの部分というのは残ってしまうのだと思うのですね。それで尚且つ、技術がどんどん進歩していくと、合法とか非合法とか定義する法律が予想していなかった部分が出てくるのだと思っていて、そこの取り扱いをどうするのかということが決まってしまうと、皆、安心してできるのだと思うのですよ。

できるんだと、何ができるんだというのではなくて、コンテンツを楽しめると思うのですね。

そういうことで汗をかく必要があるのじゃないかというふうに思っていて、僕もそういう意識でこの問題を考えているわけです。

河村さんのお子さんはそうやって悪いスピーカーで聞いてらっしゃって、決して違法に入手されているとは思いませんけれども、もし、軽い気持ちでどこかから持ってきているのだとすれば、それは権利者の晩のご飯のおかずを一つ少なくしているということも在り得ると、なおかつそういう人が一杯いたら、ご飯が一回無しになっちゃうと。そうしたこともあるということをちょっと考えていただけたらと思います。

村井 純 主査:#

はい、河村さん。

河村 真紀子 委員:#

こんなことで時間を使ってしまって済みません。息子は専ら YouTube で音楽を検索して聞いておりますし、何かダウンロードするとかそういうところまでは全然やっていないのですけれども、済みません椎名さんが仰っているところは殆ど賛成なのですね。

で、何故ダビング 10 の話が出るのかと仰いましたが、私はダビング 10 を決めたときにここで確認した通り、何年か経って、実態を調査して、どうするかまた考え直しましょうと決めたはずですから、無駄なことをこれ以上させるのを止めさせたいと。

今ならまだ引き返せると、やり直せると思っているから、しつこくそこに効果がないじゃないですかと。で、事実、グレーなところは出てくると仰っているのですから、何もかも縛ったりとか、警察国家みたいのが良いとか、どこかにバランスがあるはずなのです。

さっき申し上げた通り、地上波に関してはこうだというような考え方があっても良いということから、11 枚以上コピーさせないために、あらゆる、色々な手段を作ったり、社団法人を作ったり、スクランブルをかけたり、そういうことをこれから先何十年もやるのですかと。

そこをやり直したいから何度もしつこく言っております。どうぞ、皆さんお考えください。

椎名 和夫 委員:#

関さんのプレゼンがあるのに、こんなことで盛り上がって申し訳ないのですが、これだけは言っておかないと。そういうふうに、河村さんが仰るのだとすると、ダビング 10 は確かに見直しということを言いました。

そこでは権利者への対価の還元が果たされるようであればよろしいけれど、果たされなければコピーワンスに戻すよというふうなことも書いてあったと思います。いや、書いてはいないけれども、発言した人は居て、また見直しを行うということで、対価の還元を前提としない N 回についてもう一回議論するという立場を留保するということは申し上げて来て居ると思います。

現実を申し上げますと、アナログチューナー非搭載の DVD レコーダについては、補償金を払わない人たちも居ます。それで裁判にもなっているということで、それならば、見直しをするならば、そういう方向の議論にもなってしまいませんかということを一言申し上げて、関さんのプレゼンに。

村井 純 主査:#

ということで、終わりにしたいですが、如何でしょうか。

高橋 伸子 委員(ジャーナリスト):#

済みません。その前に一つだけ。コピーワンスにしてもダビング 10 にしても、B-CAS は破られませんということが大前提だったと思うのですね。これに関して先月、民放連の会長記者会見で、触れられた件なのですけれども、その海賊版 B-CAS カードのその後がどうなったのか。これは是非お聞きしておきたいというふうに思います。

最近この B-CAS、ご存知の通り海賊版カードが 49800 円で売られて、日本の EMS で送られて有料放送が全部見られると、まさにその、海賊行為ができるようになっているというこの現実に鑑みても、私はとにかく B-CAS カードに関しては河村さんまったく同じ意見で臨んでいますけれども、B-CAS がこういう事態になって、多分、相当重く受け止められたから記者会見されたと思って、それから一ヶ月近く経って、今どのような状況でしょうか。

村井 純 主査:#

はい。これは後で調べて……今お答えできることがありますか。

竹村 晃一 課長(事務局 / 総務省 情報通信作品振興課):#

はい。海賊版 B-CAS の話は非常に大きな、重大な問題と受け止めております。直接的にこれの被害を受けるのは、有料放送の事業者でございます。WOWOW、スカパー、スターチャンネル、約 400 万人の加入者でございますが、それからここにあります B-CAS 社が当事者でございます。

現在、そこの関係者におきまして、技術的な解析を行いまして、それからこれは海外で郵送で販売されておるわけでございますけれども、現地での法的対応の準備を進めているというところでございまして、総務省としてはそれらの対応を注視して見ているということでございます。

高橋 伸子 委員:#

はい。ありがとうございました。また情報を引き続きいただきたいと思います。今、有料放送の所が被害だということがございましたけれども、そもそもの B-CAS の経緯から言えば、無料のデジタル放送に B-CAS を課すということ自体が日本でしかやっていないことだったりしますし、今後、それを対応する為に、地デジのですね、普通の人たちがどういう影響を受けるのか、そういうったところも注視していく必要があるのではないかと思います。

村井 純 主査:#

ありがとうございました。その他に何かございますでしょうか?

はい。それでは、また何かありましたら、後でお話することにして、お待たせしました。よろしくお願いします。

関 祥行 委員:(フジテレビ / Dpa)#

はいそれでは、最後の発表でございますが、スマートテレビの概況と取組についてということで、お話をさせていただきます。今の話と違って、これからのお話でございますので、まだ像がきちっと描けている訳ではございませんが、現状、今検討していることに関してご報告をいたします。

スケジュールのほうが、終わっちゃっているのですけれども、仕方がないことですが、ちょっとかいつまんでお話します。次のページをお願いします。

スマートテレビ、定義みたいなことは後で出てきますが、スマートテレビというものが出てきた背景ということでは、この段に書いてございますように、放送・通信連携サービス、これまで試行錯誤を重ねてきました。かなり苦戦というふうに書いてございます。

一方で、Netflix はネット帯域の 3 割、アメリカではそういう 3 割を占めるというような形で成長してきているということがございます。

一方で、コンテンツ配信インフラの進化を背景に、放送サービスと SNS 等の各種通信サービスのテレビとの多種端末との連携によりユーザの嗜好や視聴形態の多様化に対応したサービスを実現するということが求められております。

この下に今二つの所に書いてございますが、コンテンツ配信インフラの進化、放送のデジタル化とブロードバンドの普及というようなことでインフラの進化ということがございますし、視聴者の嗜好・視聴形態の多様化ということでは、インターネット技術の進展、ネットアクセス端末の多様化、SNS の普及というようなことが背景にあったのではないかと考えております。

さっき言いましたように、これから像を作っていくということでございますので、まだ、色々な検討の段階にあるというところでの報告になりますが、スマートテレビのコンセプトということで、これは一番下にございますように基本戦略ボードで NHK の久保田構成員の方から発表のございました資料から、この後にもちょっと出てきますが、引用してございます。

スマートテレビはテレビ放送の視聴のみならず、インターネットを経由した映像等コンテンツの視聴や各種サービス・アプリケーションの利用が可能になると。それから、スマートフォン・タブレット・PC などモバイル端末との連携も視野に入れているということがコンセプトになっています。

図の方で、下の方にスマートテレビそれから右側に携帯端末・タブレットということで、セカンドスクリーンとかいろいろ言われていますが、こういう形で、色々な多種な端末との連携をすることが図られていると。その上で、上の方にございますように、放送番組と連携したコンテンツ、それからソーシャルネットワーク、オンデマンド配信、写真・音楽再生等、アプリケーション実行というようなことが書かれてございます。

スマートテレビの普及の見込みということで、これもどこかで発表された資料から取っておりますが、この資料、左の下の方にスマートテレビを一体どう定義するかということで、未だ明確な定義はないと思いますが、その後ろにあるように、なんとなくそんな感じかなということで、そこだけ見てみますと、スマートテレビというのは以下の二つの機能を共に保有するテレビ端末又はセットトップボックスということで、(1) として、ネット経由の映像をテレビ画面で視聴することが可能と。それからもう一つが高い処理能力を持つ CPU が搭載されて、スマートフォンのようにゲームなどのアプリをテレビで利用することが可能と。

二つございますが、要するに、前提がテレビ端末でございますので、まずテレビが見られること。その上でネットテレビも見られること。さらに、色々なアプリというのは、高機能 CPU が入っていて、色々なことができると。スマートテレビ、賢いテレビのなんとなく、今、漠然としたこんあ定義かなと思っています。

これからの普及見込みでは上に書いてございますように、2016 年度には 770 万世帯に拡大するとか、世界でも 2014 年には 156,100 千台、細かいですね、1億5600万台ですか、までに高い成長率で伸びるという予想がされているところでございます。

世界的に、スマートテレビに対する取組というのは色々とございます。ここも左の方に、放送事業者主導では、ヨーロッパの方では HbbTV - Hybrid Broadcast Broadband TV とか英国では youview というようなことが現在実際に今展開されています。HbbTV の方はフランス・ドイツが中心になって展開しているところでございますが、放送から VOD への連携とか、VOD+ とかのサービスということで、特に HbbTV を見た、日本から行った、色々な見た人によりますと、日本のデータ放送の方がよっぽど高度だなみたいなこともございましたが、まあこういう例もあるということでございます。

一方で、ネット企業主導では、もう有名になっておりますが Google TV ということで、各種アプリサービス、ネットコンテンツの検索ということが既に発表されております。

それから右側に行きまして、メーカー主導というところでは、国内メーカの共同で acTVila (アクトビラ) の方で、VOD + データ放送の連携ということが既に図られておりますし、特に下の方では、メーカ独自の仕様としては今年の CES でスマート TV ということで、SAMSUNG、LG、それから Panasonic さんですとか、色々なメーカーさんが独自の仕様としてやっているということがあると。

これからじゃあ、スマートテレビというのは一体どうなるのかということで、いままさに検討、この後検討の概況をお話します。その例となる提案というか概念として、スマートテレビの提案例として NHK さんがこれまでやってきました Hybridcast についていくつか挙げていきます。

これも、NHK さんの方の資料から抜粋しておりますが、新しい放送・通信連携サービスということで、特徴のところにございますように、放送とネット双方の特徴を活かし、情報とコンテンツの価値を高める。それから緊急時の画像制御、放送コンテンツの保護や認証など、安全・安心のための機能を実装と。

それからアプリケーションによる柔軟で拡張性のあるサービス提供が可能と、サードパーティがアプリを開発して提供することも可能というようなことも載っております。

具体的なサービス例としてじゃあどうなのかということを下の方に四つほど挙げてございますが、通信からのコンテンツを合成して放送番組をより面白く、判りやすく見せるということで、多言語字幕とかマルチビューなどを挙げてございます。

それから、通信ならではのパーソナルなサービスや、視聴者同士がコミュニケーションを取れるサービスと、それから放送の連携ということで、番組推薦とか SNS を挙げております。

それから、携帯端末とかタブレット等の情報機器端末をテレビと連携させ、セカンドスクリーンやリモコンとして利用するということもスマートテレビのサービスとしてあると思います。

それから安全・安心情報を確実に視聴者に届けるというようなことで、サービス例としてございますし、それらを受信したものが次のページにございます。

Hybridcast は何を実現するのかということで、今の具体的な例を「豊かに」「便利に」「みんなで」「安心・安全」ということで、これを HTML5 をベースにしたオープンプラットホームの上でサービスしていくということを Hybridcast としては目指していますということがあります。

次のページに行きますが、スマートテレビにおける技術ということでございますが、デバイスに依存しないプラットフォームというものが、HTML5 ブラウザと各種サービス・端末をつなぐ API を規定することにより、動画やオーディオを含む様々なマルチメディアコンテンツをブラウザを通じて視聴することが可能ということで、色々な端末が下の方にございますし、ここに乗っかっているのが HTML5 のブラウザです。それから、ネットワークから来るものと放送から来るものが連携して、放送連携サービスとか VOD サービス、SNS サービスが連携した形でサービスされるというイメージをここでは説明しています。

その背景にあります HTML5 対応ブラウザということで、スマートテレビのコア部分が HTML5 ブラウザに限るわけではないのですが、やはり大きなベースになるところが HTML5 対応ブラウザだろうということで、今ここに焦点を当てて今検討をしているところです。

動画・音声等の機能がブラウザ自体に実装されることにより、プラグインが不要になると。左側に従来のプラウザは、下の方がデバイス・OS、それからブラウザ、それからコンテンツというその間にプラグインと書いてあります。典型的には例えば Flash とかそういうプラグインを入れることによって動画・音声等のコンテンツを再生するというふうになっておりますが、今度の HTML5 ブラウザはそこら辺まで全部インクルードしてしまって、WEB 技術による表現の可能性というのが高まるということがございます。

また、パソコン向けの仕様から、テレビ向け仕様への拡張が実現することで、多様な端末のブラウザが共通化され、コンテンツのワンソース・マルチユースや各種端末間の連携サービスが容易になるというのがこの HTML5 対応ブラウザの特徴と考えています。

ここら辺に関して焦点を当てた形で、スマートテレビに関する標準化の動向ということでございますが、HTML5 の対応ブラウザがイコールスマートテレビの技術仕様ではないという形でお話しましたけれども、かなり重要技術の一つだということで、今、ここに焦点を当てた形で進めておりますことは、さっき言った通りでございますが、現在 W3C の方でテレビ仕様に対応した次世代ブラウザ HTML5 の国際標準化が進行中でございます。

この国際標準化の場としては今お話しました W3C で標準化ということなのでございますが、これまでは主にパソコン向けのブラウザに対する仕様について標準化を実施して参りました。それからテレビ標準という、そういう意味では WEB & TV という観点での拡張ということが検討されているということだと思います。

具体的な進捗状況なのですが、具体的な作業はというのは W3C の HTML WG で行われておりまして、今お話したように、パソコンと携帯電話に加えてテレビ向けのブラウザに関する仕様というのがこれから検討を開始するということでございます。

それに対して放送事業者の動向なのですが、現時点では W3C の会員は BBC、NHK、コムキャストのこの会社 3 社でございまして、ただ、日本では次世代ブラウザ、WEB & TV に関しての検討会というのが設けられておりまして、ここで放送事業者も入って仕様検討を進めているということでございます。

スケジュール的にはどういうイメージでこのスマートテレビというのができていくのかということも今検討しておりますので、今年の 6 月に WEB & TV に関するイベントを放送で開きたいということで今、準備中でございます。

HTML5 の方は、2013 年中に標準化原案を決定して、2014 年には勧告化を目指すということで、その次のページにスケジュールがございますが、今 HTML5 としての Last Call Working Draft というものが今出来ております。それに対しての Last Call が行われておるところでございます。この後、2013 年中には勧告候補というものを設定して、ここの所はデジュール・スタンダード (de jure standard) ではございませんので、特徴的なところは米印で書いてございますが、実装を 2 例以上持つことが必要ということで、実際に実装された候補によって実装されたものを実証しながら、最終的には 14 年に勧告というところにもって行こうと進められているところですございます。

国内における検討体制でございますが、表が四つほど縦にならんでいます。まずは放送事業者・通信事業者等、サービスの提供事業者がこちらからサービスの要求条件を検討いたしまして、サービスの要求条件というものを一応作っております。

これを IPTV フォーラムの方で、技術規格案というものを作成するという作業が平行して進められております。

この中から、次世代ブラウザ WEB & TV に関する検討会を通して、日本案の W3C への提案の戦略というものを検討して、W3C に提案していきたいということで今、進めております。

この具体的な技術規格案を策定している IPTV フォーラムの概要というのが次のページにございますが、2008 年に、通信事業者・家電メーカー・放送事業者等によって設立されました。理事長は村井先生でございます。

現在云々と書いてありますが、ここに技術委員会というものが設置されておりまして、ここの委員長を私がやっておりますが、ここのところに HTML5 の WG を設けて、検討しているところでございます。

次のページで現在の活動状況でございますが、各 WG の方で、スマートテレビに向けた、色々な検討がなされております。4 つほどエポックを挙げてありますが、放送連携 WG というところでは、昨年、放送連携サービスアプローチ仕様 2.0 版というものを作りました。これは BML ベースのデータ放送から IPTV への連携ということで、これに関しては今年の夏の早い時期か、春の遅い時期か、そこらへんで一部でサービスが開始されるべく準備が進められていると聞いております。これに関しては、放送主体です。

それから IP 再送信 WG、それからプラットフォーム連携 WG というようなところも書いてございますが、昨年の 12 月にこの HTML5 WG というものを設定いたしました。HTML ベースでプラウグインなしにアプリを動作させるブラウザの仕様の策定を念頭に置いています。

次のページに仕様の策定というのをイメージで書いてございますが、この HTML5 WG では、次世代プラットフォームとしての、放送・通信連携サービスの共通基盤技術の検討と仕様策定を実施中でございます。

ちょっと判りにくい図でございますが、下の方にございます○印がサービス要求の実現に必要な機能というものをいくつか挙げてございます。これらは実際にサービスする放送事業者、放送事業者と書いてありますが、コンテンツ事業者、それからこのサービスを行う通信事業者、というところが必ずしも全部知っている訳ではないと思いますが、IPTV フォーラムとしてはこれらを包含する技術仕様を規定いただくと考えています。

その中でも、現在 HTML5 で一応プロポーザルになっている既存の機能、それからこれをやるためにはさらに HTML5 で拡張していただきたい機能というところが黄色で書いてございまして、ここら辺を検討会を通して W3C の方に挙げていきたいというふうに考えております。

HTML5 WG の方、IPTV フォーラムの方なのですが、次のページにございますように、今年の 5 月を目処に一応技術仕様のバージョン 1.0 ということで「放送通信連携システム技術仕様書」というものを公開する予定になっております。

昨年の 12 月に作りました後、サービス要件の一応洗い出しを行いまして、現在それに基づく技術仕様というのを今検討中でございます。第 1 四半期の技術仕様のバージョン 1.0 の策定が待っているということで、さっきも言いましたが、できたらこの成果をこんなものが一応スマートテレビの要件ですよと 6 月にはイベントを開催したいと考えています。

さらにその後も仕様の拡張について WG では検討を続けていきたいというふうに考えております。

ちょっと長くなりましたが、まとめのところですがスマートテレビというのは国内外のネット事業者・放送事業者・メーカー等のそれぞれの立場から期待されております。

動画・音声・アプリケーション実行に関する機能を取り込んだ HTML5 ブラウザを実装することにより、デバイスや OS に縛られず、コンテンツのワンソース・マルチユース、それから端末間の連携サービスが実現するという形でございます。

W3C においては、2014 年の勧告化ということを目標に、HTML5 ブラウザ仕様のパソコンからテレビへの拡張について検討が行われていますので、そちらの方にも提案していきたいということで、国内ではフォーラムの方で、W3C への提案を視野に入れて HTML5 ブラウザの仕様の策定に着手し、今やっているところでございまして、次は官民の連携といことで、このように、非常に国内外で非常にハイスピードで今 HTML5 の検討が進んでおりますので、我が国におきましても官民関係者が連携して、技術の開発・実装を急ぐ必要があるというふうに考えております。

具体的な検討は昨年の 12 月から WG を作って検討を始まってはおりますが、20 年が 3 年・5年というような非常に速い進展をしておりますので、早めの対応ということをやっていくということで、今かなりの力を入れて検討を進めているということでございます。

以上です。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。それでは今の件についての、ご質問・ご意見等ございましたら……ええと、よろしければ、今のことを含めまして、今日のコピー制御方式に関するユーザー調査結果、それからプレゼンテーションそれぞれの方にご説明していただきましたけれども、全体を含めて何でも結構ですので、ご意見ご質問等あれば……はいどうぞ。

長田 三紀 委員(東京婦人連盟):#

今日はとてもに遅刻してしまって申し訳ありませんでした。途中からしか伺っていないのですが、先程の河村さんと椎名さんとの議論のところを伺いながらずっと思っていたのですけれども、基本的にはやっぱり権利者への対価の還元を実現する場合に何をできるのかということを考えた場合、河村さんが仰っていたように、地上放送のダビング10、特に地上放送に関して、それが仕組み、実現の為に何か役に立っているかと言えば、何も役に立ってはいないのですね。

グレーのゾーンが増える、悪質なことをする人が増えるといっても、それはそう大きくはないだろうと、ダビング10がなくなったからといってどうということはないのだろうなというふうに私は考えます。

そうだとすれば、元々、権利者への対価の還元をどう実現していくのかと、きちんとそこの取組について考えていく仕組みが必要なのだろうなと考えています。

ただその中で村井先生が仰っていた、椎名さんのプレゼンのところでご紹介されていた、そういう意味ではないのかもしれませんけれども、ちょっとだけ引っかかった所がありまして、「クラウドサービスでは誰が・どこで音楽を聞いているのか判る」と。

これはこの後もずっと関係してくると思うのですけれども、やはりそれが出来る・可能であることと、やっぱりプライバシーの保護の問題というのをきちんと早い段階から考えて、プライバシーをきちんと保護しながら、その仕組みを何か利用して、対価の還元のということを実現していかないといけないのではないかというふうに思いました。

スマートテレビにしても何にしてもそうだと思いますし、個人の認証の仕方とか端末を誰が使っているのかという認証の仕方とか、色々と考えなければいけない課題が沢山あると思っておりますので、その仕組みづくりの検討のところにはかなり幅広な、色々な意見を持っている人たちが加わることが必要だなと思っております。

村井 純 主査:#

ありがとうございます。この私もちょっとこういう形で「誰がどこで聴いているか把握できるので」と言うと、何かプライバシーの問題が必ず出てきて、クラウドでは、このサービスで一般的にやっぱりプライバシーの問題を考えなければいけないというのは多分仰る通りだと思うのですね。

しかしながらそれが合意の元で判っているのだとか、そういうようなことも勿論前提な訳で、みんなバレちゃうよという意味で言ったのでは無い訳ですけれども、まあ弁解してもしょうがないので、そういう意味でございまして。

ただ、コントロールというか、合意ができたときに対価を払うようなメカニズムが作りにくくなるかと言われると、多分そうでは無いのじゃないかと私は思っておりますので、いずれにせよ、テクノロジーでできることは精一杯やっていかなければいけないと。

それに関して、後はどういう権利処理をするべきか、対価を払うかどうかということはこれはやはり社会的な仕組みの問題ではないかというふうに思いますので、そういう意味での技術の問題ということと、まあ複雑なことと言うか、でも、仰ることはその通りだと思います。ありがとうございます。

その他如何でしょうか。はいどうぞ。

椎名 和夫 委員:#

今のプライバシーのお話というのは当然ながら議論があり、消費者の皆さんが嫌いな補償金制度ですけれども、そういうふうに、例えば家庭の中にまで、あなたはこれを複製したのですかというようなことまで入っていくのですかと、それは現実的じゃないですよねという経緯があって補償金制度というものがが考えられた経緯があるのですね。だからその辺、よーく議論していかないと駄目だと思うのですね。

それと、仰ったダビング 10 が対価の還元に役立っているかという話はちょっと話の筋が違うので、ダビング 10 まで利便性を広げたところの対価はいったいどうやって還元されるべきかと、ダビング 10 が何か対価の還元に役立つ訳がないのですよそんなものは。

だけど、この座組みの中でじゃあアローアンスでくぐりましょう、その部分はどう考えるのですかという議論が終わってないのではないかなということは言えるのではないかと思います。

村井 純 主査:#

ありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか?

それでは時間が参りましたので、色々なご意見ありがとうございました。他にも色々と色々なご意見があると思いますが、それも事務局の方にお寄せいただきたいと思いますけれども、今日、アンケート結果というものがあって、その、ご指摘いただいて、色々な見方、それからデータご説明のときにもありましたけれども、このデータがどういうふうな対象を取って、どれだけ分析として何を理解できるのかという議論や精査ということはこれからも必要ではないかと思いますが、第一段階としてこのダビング 10 の回数は例えば 3 回ぐらいだと、これが役に立っていないかという、裏に、どういう風に関わって裏付けるかという証明にはならないと思いますけれども、ただ、判っていることは、こういう仕組みがこの程度、10 回まではダビングができるけれども、それ以上はできませんよという仕組みですけれども、これの回数が、10 回と決めた時には、3 人ぐらい家庭に居て、3 回ぐらいだったら利便性を失わないだろうと。

そのことの感覚というのは少し判ったのではないかと。ユーザーが 10 回という、今回の仕組みで不便を感じているという状況でないということはアンケートとしての意味があると思います。

それで、これがじゃあ他の事を止めているかどうかというのは、椎名さんが仰るように、10 回以上コピーできないような仕組み、あるいはそれを回避するような仕組みがあるということは先程もご指摘がありましたが、いずれにせよ、それがある意識になっているので、作った時もそういう議論で進めたのではないかと思いますので、またこれが、先程高橋さんが仰った、こういうことが起こっちゃったじゃないかみたいな話、それからそういう状況の議論、調査、理解というのはまたそれはそれで進めていく必要があるのじゃないかなと思いました。

それから、製作流通の促進という、これは本委員会の諮問事項の一つですけれども、その中での不正流通対策というようなこと、あるいはクラウドの発展、それから先程ご指摘がありました、ここから先来るような予感がするみたいな話もいくつか、海外での状況を含めていくつかある訳で、それからスマートテレビも同様な役割から始まるような状況だということなので、多分、今日はそういう状況だということを整理していただくということの一般ですし、それから、これが色々な形で先程の関さんの話があったように、非常に足が速く普及をしていくということ、それぞれのご説明の中にご指摘があったと思いますけれども、それも事実だと思います。

そういう中で、この不正流通対策ということで、先程も大体の方がご指摘いただいたのではないかと思いますが、正規化していくという、つまり非常に利便性が高いものが次々と出ていくということは速度が速いと。それが即ち正規化、広がっていくということはある意味の楽しみだと思うのです。

その楽しみが広がるということと、それがきちんとした対価が払われる意味での正規化ということができるようにということが多分アプローチとして大事だと皆さんがご指摘になったのではないかと思います。

この点に関しては、ある意味コンセンサスがあるのではないかと思います。

そうではないということに対することがいくつか起こってしまうので、新しい技術が出た時には色々な懸念があるということもご指摘いただいたのではないかと思います。これは映像であったり音声であっても同じと思います。

いずれにせよ、そういう状況のご説明を今日いただいて、皆さんからの色々な意見を、課題も含めて提供いただいたのではないかと思いますので、何を順番にして、今すぐやらなければいけないのは何か、これがあって、それからもっと時間をかけて議論をするということもありましたので、そういうことも含めて今後取り組む必要があるのではないかと思います。

それで、この委員会の設置が平成 18 年の 9 月ということで、この委員会が設定されていまして、非常に長い間議論を続けている二つの諮問事項というのがありまして、この、「地上デジタル放送の利活用と普及のあり方について行政の果たすべき役割」ということの中で、「デジタルコンテンツ流通の促進」、それから「コンテンツ競争力強化の為の法制度の在り方」と、こういうことの諮問がありますので、これに関しての答申というのを委員会としてはまとめていく必要がありますので、まとめるという方向で答申の内容ということで今後審議をしていただく必要がございますので、こちらの方の議論の協力をお願いしていきたいと思います。

という訳で、それが次回以降の我々の使命ではないかということで、今日も色々な盛り沢山ではありましたけれども、動向、それからコピーワンスという私達が議論して進めてきたことに関する評価の一環だと思います。

ということで、大変重要なご報告、あるいは議論をしていただいたと思います。先程冒頭に、私の今の発言の冒頭で申し上げたように、色々なご意見がまだあると思いますので、事務局の方にお寄せいただければと思います。

私からは以上でございますけれども。

松本 和人 課長補佐:#

次回会合の日程でございますけれども、現在 5 月上旬の開催を想定いたしまして日程等調整中でございます。詳細については追ってご連絡差し上げたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。以上でございます。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。それでは本日の会合は終了します。どうもありがとうございました。