文化庁 文化審議会 著作権分科会
著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会 第4回
(2014年9月18日) [非公式議事録]


ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は1〜2ヶ月以内に文化庁サイト [URI] に上がるはずですので、そちらを参照してください。

政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。

当日配布された資料は以下の通りです。


土肥 一史 主査 (日本大学):#

おそろいですね。それではそろそろ定刻でございますので、ただ今から文化審議会 著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第4回を開催いたします。本日はお忙しい中ご出席をいただきましてまことにありがとうございます。

議事に入ります前に、本日の会議の公開についてですけれども、予定されております議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばない、このように思われますので既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども、特にご異議はございませんでしょうか。

(委員席近辺より、異議なしとの声)

それでは本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。なお本日は榊原委員が欠席されておいでですので、また榊原委員の申し出もございますので、一般社団法人 電子情報技術産業協会 著作権専門委員会委員の 太佐 さまにオブザーバーとして出席をいただいております。そのことをご紹介しておきます。

本日の配布資料について事務局から確認をお願いいたします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

それでは配布資料の確認をいたします。お手元の議事次第の下半分をご覧ください。「資料 1」としまして榊原委員の発表資料。「資料 2」として著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会等におけるクラウドサービス等と著作権に関する主な意見概要に関する資料。それから「参考資料 1・2」としまして議事次第に記載の通りのクラウドサービスに関する資料を配布しております。

配布資料は以上でございまして、落丁等ございましたらお近くの事務局員までお声掛けください。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。それでは議事に入りますけれども、はじめに議事の進め方について確認をしておきたいと存じます。本日の議事は「(1) クラウドサービス等と著作権について」「(2) その他」の二点となります。

早速「(1)」の議事に入りたいと思っております。本日はまず諸外国のクラウドサービス等と著作権について、一般社団法人 電子情報技術産業協会からご発表の希望が出ておりますのでご発表をいただいて、質疑応答と協議を行いたいと思っております。

またクラウドサービスと等と著作権の問題につきましては前回の本小委員会において、これまで本小委員会等で出された主な意見の概要(案) を事務局にておまとめいただいたところでございますけれども、前回行われました利用者側委員のヒアリングおよびそれを踏まえた議論の概要をこれに加える形で「意見の概要(案)」を新たにおまとめいただいておるところでございます。こちらについて説明をしていただいた上で、議論をさらに深めていきたいと考えております。

それでは諸外国のクラウドサービス等と著作権について、電子情報技術産業協会よりご発表をいただきたいと存じます。先程申しましたように本日は榊原委員がご欠席でございますので、本日は太佐さまからご発表を伺うことといたします。それでは、よろしくお願いします。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

ただ今ご紹介にあずかりました、一般社団法人 電子情報技術産業協会 JEITA から参りました太佐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の発表資料でございますけれども、以前よりですね、榊原の方が当団体より昨年 8 月のヒアリング [参考] にてクラウドに関する意見を申し述べる機会を頂戴いたした訳ですけれども、その席以来ですね、諸外国での実際のサービス事例を紹介しましたと、それについて適法性についてのコメントが無いということで、それについての追加調査と申しますか、そういったところをしてもらいたいということで宿題を頂戴していたいうふうに理解しております。それに対する意見の回答を今日は持ってまいりましたという位置づけでございます。

資料の方に参りますけれども、資料ナンバーが付いているもの「資料 1」としてあるもののと「関連条文」というものが付いてございます。「関連条文」というのは、結局説明資料の中で参照しているものを参考の便の為に抜き書きしたものでございますので、随時見ていただければと思っております。

では早速資料の方を参りますけれども、2 ページ目のところですね「主要国での位置づけ」ということで、二点ほど最初に申し述べておきたいことがございます。

こちらで実際に調査したサービスというのは第三者のサービスですので、これに対して違法性・適法性の法的見解を述べることそのものは、我々の職掌範囲ではございません。そういうことをするべきではないというふうに考えておりまして、ある程度クラウドサービスないしメディア変換サービスという文面の中で、各国法制でどういう判断がされるかという観点で情報を、参考までに情報を提供するということでこちらにご紹介の資料を作っております。これが一点ございます。

二点目、調査方法というところで、具体的にどのように調査をしましたかということなのですが、実際に深く具体的な事例のサービスの事業者が提供する情報を始めですね、各国の実際の法律・法令それから裁判例等々、必要に応じて各委員会メンバーから下の弁護士さん等々に見解を得た上でこのように私見をまとめてございますということで、その辺りについてご認識いただければと思います。

では早速中身の方ですけれども、今回、実際過去 JEITA の資料の方でご紹介したもの、広く扱ってございましたが、スピーチ変換ですとかそうしたものも含まれておりましたが、今回はクラウドロッカーとメディア変換サービスという議論が主眼となってきてございますので、そちらについて実際のサービスが行われている主要国についての調査結果ということでまとめてございます。先進国という基本組み合わせになってしまいますけれども、米国・カナダ・イギリス・ドイツ・シンガポール・韓国ということで情報を提示してございます。

この中で、前回、多分 7 月中から今年の 2 月ぐらいだったと思うのですが、JEITA からの発表の中での、発表時点から大きく変わったのがイギリスでございます。実は実際に今年法改正がなされてございますので、その辺りも情報としては含めてございます。

では一通りご紹介したいと思います。

まずは米国ですけれども、この点については既にご承知の通りかと思いますがけれどもフェア・ユースの規定がございます。実際いくつかの判例が出てございますということで、基本的にはその範疇の中で事業者についての侵害責任を負わないと考えうるということでございますということでの紹介でございます。

一点、前回の権利者からの指摘事項、IO (Aereo?) ……どこかちょっとド忘れしてしまいましたけれども、最高裁判決で事業者側が敗訴するという結果になりましたけれども、これについては既にもうご紹介があったかと思いますけれども、事業者側の敗訴ではありますけれども、判決文の本文の中で「実際の新技術に対する制限を意図する判決ではない」ということにされている、あるいは補足の中で「所有者・占有者向けであれば公衆送信にはあたらない」というような言及もございますので、いわゆる一般的なクラウドロッカーという部分への波及効果は限定的と考えております。

これが米国の状況ということでございます。

次にカナダでございますけれども、カナダは 2012 年に法改正がなされております。そこで具体的に明文規定が置かれておりまして、「29.22」というものが新たに設けられてございます。これについては参考の「関連条文」1ページ目に条文を載せてございますので参照いただければと思いますが、2012 年 6 月に成立し、11 月に施行ということになっておりますけれども、明文規定において「ネットワーク上のデジタル情報を含めて、適法取得した著作物の私的複製というものを許容する」という規定が導入されてございます。

これでネットワークサービスという部分が、「31.1 条」でございますけれども、明文がございましてホスティングサービスですね、これに関しても事業者側について免責されるという明文規定が導入されてございます。

あとメディア変換に関してはですね、条文上明示的に要件を読みとるのは難しいかと思いますが、ファクト・シートというものが政府から報告されてございまして、フォーマット・シフティングについてもこれにより可能になるということが述べられてございます。

ということで、カナダは適法に根拠があるであろうということで、こちらにまとめてございます。

次にイギリスでございます。イギリスも前回公開時には法改正の議論中という状況ではございましたけれども、実際○○○○ (聞き取れず、文脈からは試験・研究/データ分析/教育/アーカイブ/障碍者アクセス等の部分についてか? [参考]) は改正し施行しているようなのですが、この私的使用複製の部分の立法についてもですね、今年の 7 月だったと思いますが、導入されまして10月1日の施行というふうに了解しております。

ここで実際の明文規定が掲げてございまして、関連条文の資料 2 ページ目の下の方に書いてございますように、具体的には 3 ページの方、関連情報の方のを開いていただきまして、「private use」は以下のものを含むということで「back up copy」の他に「format-shifting」の目的であるとか、その下のところでですね「ネットワークを通じたストレージの電磁的領域」こういうものを含むといった規定がされているようであります。ということでその部分の手当が進んでいるかというふうに考えております。

ここの記述でですね、資料右手のメディア変換サービスのところ、「権利者の許諾があれば事業者のリスクが少なくなる」の対応のところ、これはメンバー企業の弁護士さんの方の意見を取った時に、「こういう規定はあるけれどもより安全に進めるのであれば」ということでコメントをもらったということでこういう記載になってございますが、明文としてはそういったものがあるということで、立法化されているというのがイギリスの状況でございます。

続きましてドイツですけれども、これは条文が53条というものがございまして資料 3 ページからの部分なのですが、その中に一定の私的複製を許容する旨の規定がございます。

加えて、Shift.TV 事件というようなものの実際の判決がございまして、判決上、書かれているソフトが自動化されているサービスについては原則的に適法だと言う判断が下されている、ということでドイツにおいても適法の根拠があるだろうということにされておるということでございます。

条文上ですね、事業者の免責の部分については明文上、「他人に複製を製作させる」という表現が出てまいりますので、その部分で許容されるであろうということでございます。

続きましてシンガポールでございますけれども、シンガポールはですね、2004年に実際に法改正がなされておりまして、フェア・ディーリング条項の中に、フェア・ユースのコンセプトが含まれるような改正がなされております。

このフェア・ディーリング、物のフェア・ディーリングでございますけれども、特定目的以外の物ということは米国型のフェア・ユースの規定がもりこまれてございますので、条文で言えば関連条文の 4 ページから 5 ページにかけて、フェア・ユースの要件ということでは 5 ページでございます。

「(a), (b), (c), (d), (e)」というところがございますので、広い範囲での適用が認められていると。加えて RecordTV という、先程のドイツの例と似てございますけれども、RecordTV という判決において実際に合法の判断が下されております。事業者の方が主体的に行っているという方向での判決が出ているということでございます。

最後ですけれども、韓国です。これもご承知かとは思いますが、2011 年に法改正がなされておりまして、米国型のフェア・ユースが導入されております。実際このフェア・ユースの元で、あるいは、消費者の私的複製の制限も 30 条で適法でございまして、この条件の元で適法であることが認められるであろうということでございます。

ページをめくっていただいて、3 ページ・4 ページは、実際に過去の資料で説明したものを抜き出したもので、概要は先程ご説明した通りでございますので紹介せずに割愛させていただきます。

宿題として頂戴していたものとしては以上なのですが、参考として 5 ページ、こちらの「その他のサービス」というのは、ロッカーサービスを中心とした議論ということで、それをまず議論しょうということになってございましたけれども、クラウドサービスというのはそれのみならずですね、これらのものもございますということで、5 つの案件を、この場では対象とならないだろうということではございますが、オーダーとして実際現行の議論に資するということで紹介をさせていただきます。

以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。今回の資料が今後の議論の方向性を検討する上での議論の促進に資することを願っております。クラウドは実際の国境を越えるサービスでございますので、こうした各国法制の動向というものを見ていくことは非常に重要であろうと考えておりますので、そういう訳でご参考にしていただければと思います。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。ただ今の発表でロッカー型クラウドサービスを中心に、メディア変換サービスですとかあるいは参考にということでその他のサービスについても分析がございましたところでございます。

本小委員会におきましては、今、太佐さまも仰いましたようにロッカー型クラウドサービスを中心にまずは検討を進めることとなっておりますので、これに関する意見交換を中心に行っていただければと思っております。

それからどんどん広がっていくのは構わないと思いますけれども、まずはロッカー型クラウドサービスのところからご意見を頂戴したい。あるいはご質問がもしございましたらお願いしたいと思います。どうぞ。はい、浅石さまどうぞ。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

大変ご苦労様でした。いくつかご質問はあろうかと思いますが、ドイツにつきまして若干ご質問させていただきたいと思いますが、ここでクラウドロッカーサービスとして Shift.TV の事件、下のシンガポールの RecordTV もそうなのですけれども、これは日本で言えば「まねき・ロクラク」の範囲で、これがクラウドロッカーの事例の中に入っていくというものの整合性というか、それをどのようにお考えになっているのかということとと、その次のページでドイツは Shift.TV ではなくて、HiDrive がクラウドロッカーサービスの類型として入れている訳ですけれども、これは何か意図があっているのかどうか。

それとドイツで、参考までにお聞きしたいのですが、メディア変換サービスの例でドイツの ERIDAN が出されていますけれども、四角の中でこの「書籍」にこれは限定しているのでしょうか。例えばこれは CD に置き換えてしまうとこのユーザーが提供する CD ということで、複製後はユーザーがその CD を廃棄すれば適法になるというふうに読めるのか、いやそうではなくて、これは書籍だけに限定しているものなのか、何かここに書かれている関連の条文ですとかそういったものがドイツの著作権法で読むことができるのかどうかということをお教えいただければなというふうに思っております。

それから関連してメディア変換の、3ページの53条の後に、54条で報酬のルールというものがあり──関連条文には載っておりませんけれども──そこで53条を満たしていても報酬の義務があるということが書かれておりまして、まあ、サービス事業者ではなく製造事業者とか有料販売ということになろうかと思いますけれども、53条を満たせば誰でも出して良いのですという訳ではないのかなと思っておりますが、その辺追加してご説明いただければと思います。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

ご質問ありがとうございます。まず 2 ページのドイツのところで Shift.TV をクラウドロッカーに入れている件でございますが、これについては、これがクラウドロッカーに該当という趣旨ではございません。それをある程度サポートしている判決ということでこういうものが出ておりますよというところでございます。これは誤解を生むかもしれませんが、そういう意味で一つの事例、クラウドロッカーの適法性を参照する上での参考になる判決ということで入れているということでございます。

二点目のところのサービスの関係ですが……実は私ですね、ドイツのところ正直、法律にあまり詳しくなくてですね、当然、追ってお調べしてお話する機会をいただければと思っておりますけれども、先ほどのメディア変換の「書籍に限定されるのか」という箇所については詳細を記憶してございませんものですから、不正確な回答をするよりは持ち帰らせて次回以降回答させていただければと思います。

不十分な回答で申し訳ございません。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

浅石委員よろしゅうございますか。(浅石委員よりマイク外から「はい」との回答)

はい、他にございますか。はい、奥邨委員お願いします。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

今の質問と関連するのですけれども、少し判らないのですけれども、メディア変換サービスが必ずしもいけないというつもりではないのですが、このメディア変換サービスと仰っておられるのは、有体物、複製物を業者に物理的に送って、業者がデータに変換してくれる、日本でいう自炊代行のようなサービスを考えてよろしいのでしょうか。

それともクラウドと書いてありますので、全部ユーザー側で、例えばリッピングしてそれを送るとか、そういうネットだけで完結するタイプなのか。そこがこの資料だけでは、もしかしたら昔配られた方で判るのかもしれまないのですが、判りづらいものですから、そこがどうなのかなというのを教えていただけないでしょうか。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

ご質問ありがとうございます。すみません私も全て把握できているかというと必ずしもそんなことはないのでございますが、例えばドイツの ERIDAN の方はクラウドのものを含んでいた、ネットでのやり取りというものを含んでいたかと思いますが、その他については済みません、今すぐ即答できる情報が手元にございませんもので、お答えが難しいかなと思います。このことも次回以降の宿題とさせていただければと思っております。

有体物をやりとりしてのメディア変換というのは当然含まれている上で、加えてクラウドでのサービス提供がかなり含まれていたと記憶はしておりますけれども、これは含まれています、これは含まれていませんというレベルでは正確な情報が手元にございませんので、そういう意味では申し訳ありませんが宿題にさせていただければと思いますがよろしいでしょうか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。恐縮ですけれども幾つか宿題としてお願いすることになるのだろうと思いますけれども、よろしくお願いします。他にございますか。はい、椎名委員。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

以前プレゼンテーションをしていただいたサービス類型は実に 87 に上るのですね。まあ国内のものを含めてですけれども。今回法的な背景としてご説明いただいたものは 6 例ということで、大半はまだ調査中ということでしょうか。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

正直に申しますと、全てにおいての情報を調査することは非常に限界がございまして、今回は議論のための優先順位ということでお話をさせていただいたというのが実情でございます。

当社はこれを調べること自体が業務ではないということもございますので、その辺り、どこまでがこの小委員会の議論に必要かということの目的としての関係でございますけれども、その辺りがもし必要ということであれば可能な範囲で別途お調べしますが、そもそも第三者のサービスについて適法・違法についてコメントするのは結構勇気のいることでございますので、その辺りを斟酌していただけると非常にありがたいなと思います。

こちらとしての回答は以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

どうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

フェア・ユースの部分というのがあって、法的背景というよりは裁判の結果に委ねるという理解なのですが、何か法的に担保されているということではないと思います。

それからカナダに関して、適法取得した著作物というところをもう少し伺いたいのですが、これはお話を聞くとレンタルを除外していたりとか結構狭い規定になっているようなことを聞いたのですが、そこら辺はどうでしょうか。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

はい。個々の法改正というふうに行きますと、関連条文の方の資料の 1 枚目のカナダというところを見ていただくことになるかと思うのですが、結局「カナダの立法においては」ということでございますけれども、「29.22条」 の「(1)」の「(b)」のところ、「the individual legally obtained the copy of the work or other subuject-matter from witch the reproduction is made, other than by borrowing it or renting it」というものがありますので、そういう意味では、人から借りましたというものはここでは適法とは含まれていない、カナダの立法では含まれていないと。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

同じような話なのですが、イギリス、ここの表現としては「個人のインターネット上のストレージ利用」というふうに書いてありますが、当然のようにこれは共有等は含まないという理解でよろしいでしょうか。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

この辺に関して、私は立法者ではございませんので厳格な解釈を述べることはできませんけれども、少なくも個人のストレージであれば適法とするものがあるということが、現時点としてはそのように理解しております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

よろしいですか。はい。他にございますか。はい、畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

先程の椎名委員の質問と関連して、プラスして 2 点ほどお聞かせいただければと思います。アメリカはフェアユース規定があるということで、裁判の状況、条文も含めご説明いたいだいておりますけれども、スライドの資料の 3 ページでアメリカの例については audiobox をいわゆるクラウドロッカーサービスを例示されておるのですけれども、それに対して資料で例示されております判決は cablevision 判決と aereo 事件判決ということで、直接クラウドロッカーサービスに関する判例ではないのではないかというふうに理解しておりますけれども、これは判決の中でクラウドロッカーサービスもフェア・ユースに対応というふうに読みとれるというご趣旨でしょうかというのが一点目。

もう一つは、同じページでドイツの HiDrive の比較されてございますけれども「プロセスが完全に自動化されていれば私的複製に該当する」と、でその「音楽専用の場合も同様」とあえて強調されているのは何か意味が、ご趣旨があるのでしょうか、その二点をひとつお願いします。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

はい。まず一点目、判決との関係でございますけれども、Aereo の方では実際の事例としてクラウド領域のリモート・ストレージという言葉が出てきたかと思います。詳しくはございませんけれども。ということで、判決文中リモート DVR に対する影響を意図するものではないという文脈の中で、リモートストレージというものについて触れていると理解して。

ドイツに関しては、この下線部を私が引いた訳ではございませんので申し訳ないですけれども、特定の何かをお伝えする意図でございません。音楽がこれから排除されるということではないということを言う趣旨だと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

よろしいですか。はい。他にございませんか。よろしゅうございますか。よろしいですね。

クラウド型ロッカーサービスについて、現在我々は関心を持っている訳ですけれども、そのいわゆる、この資料によるとですね、コンテンツを用意するのが利用者なのか、あるいは事業者なのかというような切り分けの所と、それを共有するのか共有しないのかというそういう二つの軸で、いわゆるタイプ 2 というものを絞っておりますので、先程いただいた質問等でありましたようにですね、例えばドイツのクラウドロッカーサービスだとかそういったものにおける事例等が適切なのかということも踏まえて、事後に追加的にご報告いただけるということでございましたので、お手数だとは思いますけれどもどうぞよろしくお願いいたします。

それでは次にですけれども、事務局から本小委員会等におけるクラウドサービス等と著作権に関する主な意見概要案をまとめていただいておりますし、さらに関係資料、参考の関係資料もあるようでございます。これらについてご説明をいただければ思います。よろしくお願いします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

説明申し上げます。本日お配りした資料 2 をご覧ください。参考資料 1 も必要に応じてご参照いただければと思います。参考資料 2 に関しては後で読んで必要に応じてご参照いただければと思います。

先程、主査からご紹介がありました通り、前回の小委員会においてこれまでの主な意見概要についてご説明を事務局より申し上げたところでございます。このため重複する部分は適宜省略をしまして、前回の意見概要での説明に改めて全体の概略をご説明いたしたいと考えております。

まず、1ページ目の「I」の所をお願いいたします。「当面の議論の対象とするべきサービス」についてでございますけれども、この点については「私的利用目的の複製が関係するロッカー型クラウドサービス」について検討すべきという趣旨のご意見が複数ございました。

それから、具体的に追加でご説明しますと、この点に関して、「私的使用目的の複製がクラウドサービス以外のクラウド上の情報活用サービスについても、海外では広く展開されているものがあり、我が国においても早期に検討をお願いしたい」とのご意見がございました。これに関しましてはその下の矢印でございますけれども「海外におけるサービスについて、各国の法律において適法なサービスとして展開されているものか不明である」などのご意見があったところでございます。

こうしたところ、次のページでございますけれども、土肥座長──当時──のご提案に基づきまして「当面私的使用目的の複製に関係するクラウドサービスについて」検討がなされることになったということでございます。

「II ロッカー型クラウドサービスの分類に関する意見」について紹介申し上げます。まず、タイプ 1 およびタイプ 3 の配信型のものですけれども、これにつきましては「権利者と事業者の契約によって対応すべき」というご意見が多数でございました。

次にタイプ 4、共有・ユーザーアップロード型につきましても、「契約関係によりサービスを提供することが適当」というようなご意見が多く、そうした上で「その際、許諾をしている窓口などの機構の構築を求める」とのご意見がございました。

また「契約が無い場合にはまさに無許諾アップロードの代表的類型である」ということで「権利制限規定などの法制度の見直しというのは解決策として不適切であり契約により解決すべき」旨のご意見がございました。

タイプ 4 に関しては、権利者と事業者の間で包括的利用許諾契約が締結されるかは個々のケースによるので、その判断にあたり間接侵害の成立範囲が明確になっている必要がある」旨のご意見があったところでございます。

それから、「利用者による著作権侵害については、事業者はプロバイダ責任制限法の枠の中で、事後的に申告に基づき削除の措置をとるなどして対応している」といったご意見や「不特定多数に公開するのであれば契約等で処理するべき」とのご意見があったところでございます。

3 ページをご覧ください。この他に、タイプ 4 に関してですが「映画やアニメについてはタイプ 1 およびタイプ 3 で確立したビジネスモデルがあるため対応する必要はない」旨の見解が示されております。

次に「3.」のタイプ 2、プライベート・ユーザーアップロード型でございますけれども、これに対する意見の紹介をいたします。タイプ 2 全体にわたる議論としては大別すると 3 つの部分に分かれました。

まず一つ目、「私的使用目的の複製と整理されるべき」とする見解でございますが、この見解としまして「ユーザーが用意したコンテンツやネット等で入手できるものについて、どの著作物を保存し送信するのかを意思決定するのもユーザーであるという場合はユーザーが行為主体であると考えるべき」それから「多数の利用者との共有機能を有しない限り、正規に入手したコンテンツをロッカー型クラウドに保存して自分自身で利用することは権利者の許諾なく行えるようにすべき」といったご意見がございました。

また 3 つめの、後段のところですけれども、「フォーマット変換などの変換機能を有していても当該サービスを許諾なく行えるようにする議論をしてもよいのではないか」とのご意見もあったところです。

これに対して「法的に明確に切り分けることが困難である」という見解もございました。具体的には、「事業者の関与度合が低く私的使用目的の複製と整理できるものもあるが、タイプ 2 の全てがそう言える訳ではなく、クラウドに様々な機能を付加することによって事業者が関与度合を高めて行くことも可能。今後もクラウドサービスが多様に発展していくことを考えるとそこに何かしら法的な明確性を求めることは難しい」といったご意見がございました。

また 3 つめの「権利者と事業者との契約によって対応すべき」という見解についてです。この点に関しましては、「既に契約事例があること。仮にユーザーの行為が私的な行為という評価であったとしても、様々な検討すべき法制上の課題があることを考えると、契約処理の促進によりサービスを実現することが現実的ではないか」それから「放送に向けて、今後展開される具体的なサービスに応じて関係者間で適切な方策について合意されることが重要である」というご意見がございました。

またタイプ 4 の所でも紹介しましたけれども、「いずれのサービスも契約によりサービスを提供することが適当である」としつつ「権利処理のための機構の構築を求める」という意見をいただいております。

このような契約により対処すべきとのご意見に対して、「契約処理でうまくいかない状況がある」ということで、「多様化するビジネスに対応するために、著作権法に柔軟性のある規定を制定することが適当」ではないかという声がございました。

他方、こうした議論に関しまして「経済取引の原則の観点からは知的財産に関する取引も基本的には契約によるべきであり、契約で対応できない部分があるからといってその部分を取りだして特別に対応せよというのはおかしい」とのご意見があったところでございます。

なお契約処理に関するご意見としては「権利者団体と事業者団体の間で協約的な権利処理を行うことが良いのではないか」とのご意見があり、この点に関して「協約的な権利処理はタイプ 1 およびタイプ 3 に関するのみではないか」とのご意見があったほか、「権利者の団体を全て集めて事業者の団体と契約することは実際には難しいのではないか」とのご意見がございました。

このような議論に関しまして、「スピード勝負のところもあり、まずは契約処理に積極的な権利者と事業者の間でモデルを作るなど、できるところから始めるということで良いのではないか」とのご意見もいただきました。

なお映画およびアニメに関してはタイプ 4 に対する検討でも紹介したように「ビジネスモデルがあるために対応不要である」ということでございました。

次に「4.」のところでございますけれども、タイプ 1 から 4 に関する個別の議論以外の点に関わるご意見を紹介いたします。まず「権利者と事業者はお互いの立場を尊重した上で、利便性の高いサービスの実現に協力して取り組むことが求められる」とのご意見と、それから「クラオド上の情報活用サービス等の多くはクラウドやインターネット特有の問題ではなく、私的使用目的の複製にとどまらない複製権に関わる権利制限の在り方全体に関わる問題であることから慎重に取り扱うべき」とのご意見。それから「制度を作るのであれば今後の IT 技術の発展ロードマップを把握した上で議論をすべき」とのご意見がございました。

最後に「III 権利者への適正な対価の還元」に関するご意見についてです。ご意見は大きく 4 点ほどありました。一つ目ですけれども、「ロッカー型サービスにおいて権利者がコントロールできない流通が増大し続けている現況下において、コンテンツの訴求力から生じる果実を享受している業者が権利者への対価の還元について一定の負担をしていく仕組みを確立することが重要」とのご意見がございました。

一方、「対価還元の問題はコンテンツ流通のあらゆる局面を包含するものであり、一局面にのみ関わるクラウドの課題とせっとで議論すると論点が錯綜し審議が遅れることを懸念」とのご意見がございました。

次に 6 ページをご覧ください。その他に「対価の還元は原則的にはビジネスモデルによって担保されるべきであるとしつつ、将来に渡って日本のコンテンツ製作力や製作過程が担保される土壌を設ける必要があるということで、補償金というよりはクリエイターの育成と創作拡大に向けた支援基金という形を考えていくべきではないか」とのご意見もあったところでございます。

さらに 4 点目としまして「専門性が高い録画専用機器であれば対価還元の妥当性があるが、汎用性の高いものもある」とのご意見があった一方で「クラウド事業者に利用者に権利者のコンテンツを利用させることで収益を得ており、こうした収益を全く無視してよいのか」とのご意見があったところです。

ご意見の概要は以上でございます。よろしくお願いいたします。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。事務局においてこれまでの本小委員会における各員のご意見を適切にまとめていただいておると思っております。どうもありがとうございました。

ご説明いただきました意見概要案にもございますように、タイプ 2 以外の、特にタイプ 1 とタイプ 3、それからタイプ 4 の主要な領域についてはですね、基本的に契約等で対応するという意見で異論はなかったかなと思います。

一方タイプ 2 におきましては、「私的使用目的の複製と整理されるべき」このような見解、それから「法的に明確に切り分けることは難しいのではないか」というような見解、「タイプ 2 も他のタイプと同様に権利者と事業者の契約によって対応すべきではないか」というご意見。このように委員の間で意見が一致していないところであると承知しております。

そこで本日はタイプ 2 につきまして、重点的に議論をいただきたいと思っております。タイプ 2 を全般的に扱うことになるとまた色々と議論が拡散するかと思われますので、まずコアになる部分と言いますかね、汎用ロッカー型という、お手元の資料の 2 ページの一番左側の部分ですね、こういったところについて、各位どのようにお考えなのか、その点について大筋の合意ができればどんどん右側の方も、コンテンツロッカー型とか変換機能付加型とかですね、こういうところに広げていきたいなと思っております。

時間は十分にございますので、ご意見・ご質問がございましたらお願いいたします。じゃあ、津田委員どうぞ。

津田 大介 委員 (MiAU):#

事務局の方の資料にまとめていただいて、安定した資料にまとめていただいたと思っているのですけれども、一点だけ。ページ 3 のタイプ 2 に関する意見の「3.」の所ですね、この二つ目の「多数の利用者との共有機能を有しない限り、利用者が正規に入手したものをロッカー型クラウドに保存して、自分自身で使うことは権利者の許諾なく自由に行えるようにすべきである」というこの意見。

この意見は我々インターネットユーザー協会だけではなくて主婦連からの委員からも出てきた意見だとも思うのですけれども、この一番最初のところ「多数の利用者との共有機能を有しない限り」となると、今回何度も話に出てきている DropBox なんかが除外されなくなってしまうというか、DropBox は共有機能を有してはいるので、これは利用態様に着目するという意味で、「多数の利用者との共有機能を有しない限り」というところの文面を、ちょっと削除していただいた方が、意見としては判りやすくなるかなと思うのですが、如何でしょうか。

つまりこの共有機能の有り無しが前提になってしまうというのはもう少しこちら側の意思とは異なると。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

今の津田委員のご意見というかご要請ですけれども、この部分というのはまさに津田委員のご意見を中心におまとめていただいたという部分でしょうか。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

こちらは津田委員からのご意見の部分も含まれますが、河村委員からも別途、前回の小委員会においていただいたご意見に「多数のユーザーとの共有機能を有しない限り」という部分がございましたので、その部分も含んだまとめとなっています。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

なるほど、そうすると必ずしも津田委員だけのものを反映しているのではないと。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

そういうことです。

津田 大介 委員 (MiAU):#

河村委員はこの部分の削除に同意していただけるでしょうか。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

削除の理由をもう一度お願いします。

津田 大介 委員 (MiAU):#

単純にそうなると我々が使っているプログラムも、例えば音楽を自分でアップロードしたものを DropBox に入れて自分の iTunes で利用していると。ただまあこれは、DropBox は不特定多数に公開する「機能」を有してはいるので、そうすると機能を有しない限りとなってしまうと、そうでないサービスは私的複製として扱われない可能性があるということなので、むしろユーザー側の利用態様に注目してという趣旨で、削除した方が良いのではないかということです。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

つまり機能のあるなしではなくてユーザーの行為に……

津田 大介 委員 (MiAU):#

そうですね。あと音楽だけじゃなくて、写真ですとかそういう汎用性の高いクラウドサービスの場合は、問題ないという趣旨です。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

私は賛成します。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

その、私的複製という 30 条問題というのはある程度、人の範囲という一定の範囲を現状有しておりますよね。その意味で行くと、津田委員としてはその「一定の範囲を超えても」ということになりますか。

津田 大介 委員 (MiAU):#

超えてということではなくて、実質的に私的複製の目的で利用してるということが、利用態様としては DropBox はそれがほとんどだと思いますので。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

あくまでも 30 条の中でということですね。

津田 大介 委員 (MiAU):#

そうですね。機能に着目して切り分けるべきではないという、そういう趣旨です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

この点について、はい、畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

利用態様によっていわゆる私的な使用というご趣旨は判るのですが、実際に今検討しているのは法制度であったりとかの検討ですので、そこにおいてはどうしてもその機能ですね、そういう機能がアリやナシやというのは出てくる、検討状況に入ってこざるを得ないのではないかというふうに思います。

機能があってもそれを使うか使わないかということとか、機能をあったとしてそれを使っても先程のように私的複製ということになると、コントロールとしてはアンコントロールになってしまうという懸念があるのですね。

津田 大介 委員 (MiAU):#

アンコントロールの話で言うと、我々の発表の時に、例えば DropBox の機能で資料を公開した時に、大量のアクセスがあった場合は DropBox 側の方でシャットアウトするというような、そういうような機能として講じられておりますし、例えばこの議論を敷衍させて行くと LINE はどうなるのだという話にもなるのですね。

LINE というのはグループを作って、大量に何百人と登録しているグループを作って、そこに対してファイルを送信する機能というのもあって、そうすると LINE もタイプ 4 のクラウド型ロッカーサービスとして使えてしまうということになるので、この「ある限り」といようなことを文言を加えてしまうと、というはほぼ全ての、最近の現状のコミュニケーション機能があるサービスが、全て多数にこういう形で共有する機能を有してしまっているという前提があるので、それがクラウドサービスで不特定多数に公開する機能を付いていないものだけが私的複製に該当するというのはなかなか現実に即していないのかなという趣旨です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

どうぞ。

松田 政行 委員 (弁護士):#

とするとこの文言は「多数の利用者との共有機能を有しない限り」と取るのではなくて、「多数の利用者と共有しない限り」とすれば津田さんの意見とあうのかなと思いますが。

津田 大介 委員 (MiAU):#

そちらでお願いします。機能ではなく行為という趣旨です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

畑委員よろしいですか。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

この議論としては、ここのところをどう変えるかというところの著作権の……

土肥 一史 主査 (日本大学):#

津田さんのご議論ですね。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

はい。まあ「ご意見」としては、そういうことであれば考えさせていただきます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいどうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

そうするとですね、僕自身もある意味合意できるのは、共有機能、例えば共有ボタンというのではなくて、例えば URL だったりパスワードを送ったりで事実上共有できてしまうサービスと言うのが混然一体となってあるというのが現実だと思うのですね。

そうすると、先程主査におまとめいただいたタイプ 2 から議論しましょうということが、事実上難しくなってしまうのではないかというふうに思うのです。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

この機能の問題については、本小委員会においてもこれを著作権法上どう見るのかという議論がかねてからあったところであります。この文から「共有しない限り」というふうにして「機能」を取ったしても、機能を著作権法上どう評価するのかというのは、これは残る訳でして、少なくとも津田委員・河村委員が仰ったご意見をまとめる形の中ではここは「共有しないかぎり」というふうにさせていただいて、機能については別途議論したいということでよろしいですか。

津田 大介 委員 (MiAU):#

僕はそれで構いません。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

一点だけ。機能というか共有しない限りとなりますと河村委員に本当によろしいのですかと。「利用者の責任で自分がやっちゃったらダメですよ」と言っている形になりますが、それで本当によろしいのでしょうか。

要するに、自分が共有してしまったら、もうこの話は無いですねというふうにも読みとれてしまいますが、共有しない限り自由に使えるということは共有したらもう自由に使ったらダメですよと。その責任は個人の人たちが「する」か「しない」かという分野に入りますよと。

機能とする場合はどちらかと言うと、設定した事業者さんの方の分類に入るじゃないですか。それは今後の議論に入るのかもしれませんけれども、そういうふうに「共有しない限り」というふうになりますと、より選べる側の方たちの責任といいますか、が「した」か「しない」かというふうに思われるような書きぶりになるのではないかというふうに懸念するのですが。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

よろしいですか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい、どうぞ。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

不特定多数の利用者と共有しない限りということであれば、つまり今、私的複製で利用者・消費者が行っている私的な複製行為のような延長であれば良いということであれば、何ら不都合はないと考えます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ここは意見をまとめている所で、全体の総意でやるという話ではないので、そういうご意見があった、それでご意見を出された方が、これであれば自分の真意に合う、そしてまた他の委員も「機能」を仮に取ったとしても、機能については当然議論をする訳でありますので、変えるということで行きたいと思います。

それでは他にございますでしょうか。はい、どうぞ。

龍村 全 委員 (弁護士):#

津田さんの議論が混乱してしまった気がしますけれども、要は完全形としての純粋な形でのロッカー型サービスであるというタイプ 2 について、どういうふうに評価するか、これをまず議論するということですね。

それで、例えば自由にするべきだ、私的利用の領域に入れるべきだという議論がある訳ですけれども、その場合には私的録音録画に相当するような補償金制度、これと突き合わせという訳でもなくですか。その辺りは、ユーザーとの関連も視野に入れるとした場合ですね、その辺りはどういうご配慮をイメージする形になるのでしょうか。

津田 大介 委員 (MiAU):#

僕のイメージでは、少なくとも私的複製が私的複製である限りは、補償金とは切り離して検討するべきという考え方です。

龍村 全 委員 (弁護士):#

そこら辺のバランスはやはり考えなければいけない大きな論点ですけれども、そこは全く切り捨ててしまうという発想になるということでしょうか。

津田 大介 委員 (MiAU):#

そのバランスの話は今後の議論なのかなという考えです。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

おそらく、まずはですね、ロッカー型サービスというものが 30 条の私的複製の中におさまるということがあるとしますと、その後で今仰ったような補償金の話と言うのは次の話になりますので、まずは私的複製として捉える事ができるのかどうか、そこを先にやっていただければと思っております。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

よろしいですか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいどうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

ちょっとまた判らなくなってしまったのですけれども、タイプ 2 に対する意見ということで整理をされているということは、タイプ 2 の共有機能を有しないという切り分けですよね。ところが、ここでユーザーが共有しない限りということが入って来るということは、共有機能があるなしということでは無いですよね。

機能の問題は別途議論をすると……

土肥 一史 主査 (日本大学):#

機能については本小委員会の冒頭の方でも見ていただくところでもありますので、扱いたいとは思うのですけれども、共有という意味についてなのですけれども、30条というのは私的範囲という一定の範囲での利用を認めていますので、必ず「1」でないといけないということにはなっていないと私は認識しているのですけれども。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

「1」?

土肥 一史 主査 (日本大学):#

要するに、30条の問題としてこのロッカー型、純粋なロッカー型サービスを捉える場合にですね、ある程度の、いわゆる条文上の表現で言うと「個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」という範囲内において利用するということに関しては、それは元々 30条の私的複製の範囲内ではないかという意味です。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

では私的な領域での共有機能を含むタイプ 2 ということですか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それはこれからなのですけれども、30 条というのは元々そういうものではないかという、そういう認識です。

(30秒程度、発言を希望する人が出ず)……ええと、よろしいでしょうか。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

多分その、私的複製ということで物理的なメディアに複製したものが共有されるというような時と比べて、例えばクラウドサービスを介した共有というのは判らないのですが、影響が大きいと思うのですね。

そういうような未来から関わってきていて、だから、その範囲でのものを含むタイプ 2 なのか、いやいや、例えばカナダとかイギリスの法律が例示するように全く共有を許さないものか、そこら辺をはっきりさせる意味があるように思えてならないのですが。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それはコアですから、コアになるものはそういう純粋型ということになりましょうから、そういう個人的・家庭内というものよりもさらに限定されたものということになるのだろうとそれは思っておりますけれども、30 条というのは元々そういう、ある程度の幅があるということを我々は頭の中においておかなければいけないのじゃないかなということです。

他に、如何でしょうか。(再び、30 秒程度発言を希望する人が出ず) どうぞ御遠慮なく。

要は、理想的なのは純粋ロッカー型というものに関して、一般ユーザーの方、それから事業者側の方、権利者側の方、これが 30 条の私的複製の問題であるというようなご了解が得られれば、それはまた一つの合意と言うことになるのだろうと思います。

もしそういうご了解が得られない、疑義があるという方については今の段階で意見をお示し頂ければと思っておりますけれども。

はい丸橋委員……ああ済みません今子委員どうぞ。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

3ページ目の「法的に明確に切り分けることは困難である」という見解について話をさせていただきたいと思います。

元々この見解は私が以前お話をしたものかと思いますが、まず、ちょっと誤解がないように説明をさせていただきたいのは、DropBox とかですね、一般的なユーザーアップロード型のクラウドサービスについては、私は全て、私的使用目的の複製と整理されるというふうに考えておりまして、事業者はコンテンツの複製や送信の主体にはあたらないで、サービスは適法に実施できていると、私的なものだと考えております。

実際にこのようなサービスについて、権利者から許諾を得るということは想定されていないと。一方、将来は様々なクラウドサービスが登場することになると思いますが、そこについても切り分けずに、許諾を取らずに全てと考えている訳でもありません。

むしろタイプ 2 は基本的に切り分けとか許諾ということは必要ないのではと考えております。

仮にですね、将来特定のクラウドサービスについて主体の類型に争いがあるような場合には訴訟によって個別具体的に解決を図っていくべきではないかと思っております。

タイプ 1 とか 3 とかというようなサービスではなくて、ユーザーがコンテンツをアップロードするタイプ 2 のクラウドサービスについて、許諾を得なければならないとしてしまいますと、もはやクラウドサービスは提供できないとなってしまうと危惧しております。

なぜならば、仮に権利者団体と契約をしたとしても、契約を望まない権利者や団体に属しない権利者もいらっしゃいますし、外国の権利者もいて、全ての権利者と契約をするというのは現実的には難しいと考えています。

一部の権利者から許諾を得ても、サービス全体が適法となる訳ではないので、事業者は契約していない権利者からの訴訟リスクは残ったままで、一部の許諾をした権利者に対する支払いとかの義務だけを負うことにしますということにもなります。

また、前にどなたかがご指摘されていましたが、世界中のクラウドサービスの中で日本の事業者だけが契約上の義務を負うということになってしまうと競争上、大変不利になってしまいます。

こちらの小委員会の議論の一番最初の目的というのはクラウドサービスを発展させるということだったと思いますので、目的にそぐわないような結果とならないように、慎重に議論を進めていただければというふうに思っています。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

切り分けが難しいということはよく承知をしておる所でおりますが、その、切り分けなければよいということになりますか、そうすると。つまり、著作権法で言うと映画の著作物のようにですね、「映画の著作物には視聴覚効果を持って媒体に固定されているようなものも含む」という形であれば、それは切り分けてはいなくて内包するという形になる訳ですけれども、そういう切り分けないで「これこれも含むような形」で理解しているということであれば委員としてはよろしいということでしょうか。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

済みません、ちょっと今発言いただいた点について明確に理解ができていないのですけれども、切り分けをこの場でしてしまう──これは契約だよね──ということではなくて、何か問題とか、コンテンツサービスについて争いがある時には個別具体的に訴訟で解決を図るべきなのではないかなということです。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

訴訟で解決を図っていただいて勿論良いのですけれども、これだけは大丈夫だと言ったとしても外を禁止している訳ではなくて、これは大丈夫だというふうに含めて考えるというふうな、そういう取り扱いも可能なのでないかなと私は愚考しましたので、その、少し申し上げてしまいました。

他に何かございますでしょうか。先程申し上げたように、30条というのはもともとそういうものも含んでいるという意味は、タイプ 2 の中に限定して含めるというだけではなくて、タイプ 4 に漏れ滲むものも考えられるということで整理いただいても構わないと、要するに、30 条というのはタイプ 2 の中に完全に受け身に収まるということでもないので、そこは 30 条という話と、我々のいわゆる タイプ 1・タイプ 2・タイプ 3・タイプ 4 の整理は完全にきちっと収まるということではなくて、滲むところも当然あるという意味でございます。

どうぞ、丸橋委員。挙手されていたと思いますので。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

汎用ロッカー型で純粋抽象的なクラウドロッカーについてどうかということが議論されていること自体は適切だと思います。問題になるのは、今子委員も言いました通り、事業者が付けくわえる形というものがどれほどの制限を受けるかということが事業者にとっての関心事でして、ベースとしてユーザーの自由等を拡張することについて、今までのところそれほど大きな、現在のリアルな社会での30条等の元でのユーザの行為という前提であれば、それのパラレルな法制を考えることについてはさほど問題ないものと考えます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。ありがとうございました。畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

タイプ 2 ロッカーの、ユーザーが自分でコンテンツを出し入れするタイプということで、そのユーザー行為に着目すれば利用行為主体が個人であり、30条の範囲内ではないかという主張もあるかと思うのですけれども、ただ、今回のロッカーサービスというのはその場を提供し運営しているのはやはりその事業者さんであり、そこに先程の丸橋委員のご発言にありますように、やっぱり何らかの度合いの濃淡はあるにせよ、やはり事業者の関与というのがある訳ですね。

コンテンツに対する関与あるいは場というものに対する関与、それにより生業としてサービスをやっておるというところにおいて、なかなかタイプ 2 の中でも切り分けが難しいという点もある訳ですけれども、そうであれば技術関与という側面から何らかのライセンス契約ということで広く網をかけるという方法の方が解決策としては現実的であるというふうに我々権利者というか提供する側としては考えております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

判りました。順番なので椎名委員に発言いただいて、その後丸橋委員にお願いします。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

今、畑委員の仰ったことに関連するのですが、ストレートな言い方をするとですね、例えば僕がサーバーを入手してネット上にコンテンツを上げて自分で使うという行為において僕は便利になっている訳ですけれど、事業者は営利活動としてそういうものを提供する、そこで利益を上げるという行為で、私的複製とはやはり切り分けるべきだと思います。

前回も申し上げましたけれども、コンテンツ、ある程度のコンテンツの訴求力から果実を手にするという場合に、一定程度そのことを還元していく、まあ対価の還元とは関係してはございませんけれども、そこで利益を手にするものは還元するという立場に立つならば、やはり誰も儲けることがない私的複製と同列にそれを論じることはおかしいと。

契約が困難であるとかという話はありますけれども、それを契約上の問題にすれば今度は共有範囲だとかそういうことが契約上のレイヤーの話にできるのですね。なにか無理やり切り分ける必要は無くなるのです。

ですからこれを私的複製と強弁することに僕は反対です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。丸橋委員どうぞ。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

畑委員のご発言にあったとおり、コンテンツあるいは場の関与、そういったことに着目して、だから契約だというロジックには反対です。これはタイプ 4 の議論で、私たちが理解しているのは、ワーキングチーム時代から述べておるところですけれども場の関与、やっぱりその、コンテンツに対してそのコンテンツの中身について関与していないものの責任というのは間接侵害モデルによって救えばよいと思っています。以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。([椎名委員] しゃべっていいですか?) しゃべって…… ([椎名委員] いいですよね) あの、ええとあの、権利者側のご意見、それから事業者側のご意見色々あるのですけれども、アカデミアの側からの挙手がございましたので、奥邨委員お願いします。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

若干誤解があると思うので、皆さんのご意見を伺いながらですね、この私的使用目的の複製の制度としてあるべき見解のところをつらつら改めて読んでみますとですね、一つ目のこの、なんというのですかね、矢印マークでユーザーが主体だということを前提に考えて、後は二つ目三つめが流れていくという一つの塊なのかなと考えますとですね、そうするとユーザーが主体ということが前提に置いた議論としての整理ということであればですね、やはり機能ということに着目するのではなく、ユーザーの行為が先程主査が仰ったようにどうなのかということになって来まして、そうするとそれは、今回はタイプ 2 云々だけではなくて、いわゆる 30 条の話にストレートに当てはめるということになるかなと。

一方で椎名委員が仰った部分というのは、これは共有の話とはまた別にですね、私的使用目的の複製とは如何にあるべきかという少し別の方向からのですね「共有か否か」というのはちょっと横に置いてですね、そういうことで「私的目的の複製というのは自分で完結するべきではないのか」とか、非常に極端に言えばそういうご提案だと思うのですね。

元々綺麗に整理して議論していた訳ではないと思うのですけれども、皆さんの今までのご見解を伺うと、この中身というのはある程度、ユーザーが主体かどうかというところに関しては畑委員からもご意見があったように「それはちょっとどうか」というご意見もありますけれども、ここのまとまりとしてはユーザーが主体とした場合は機能云々で争うユーザーがどういう行為をしているかということで見て行くと、それが 30 条の文言ということで、今のところは 30 条に入ってくると。

それに対してさらにまあ椎名委員からご意見があったように 30 条をどう考えるか、それは最初龍村委員が仰ったような形のバランスの問題になるのかもしれないという意味で……

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それは次の問題ですよね。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

はい。一つずつ整理をしていかないと、ここの一つの中でですね、全ての議論が行われているのが気になりまして、少し混乱するかなと思いましたので、もし誤解があればまた教えていただければなというふうに思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

丁度、アカデミアから次いで挙手がございますので、大渕委員お願いします。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

基本的には今、奥邨委員から言われたことと近いのですけれども、これは色々なところがかなり混ざっているようになっているので、こういうのを整理するのもアカデミアの仕事かなということで、一つ大きいのは最後のバランスとかは最後に考えるべきことなので、やはり出発点として押さえるのは、我が国の 30 条については、この基本線としては、これは非常にこの我が国の法制の理屈で、最近論文に書きましたけれども、これは要するに 30 条の 1 号 2 号 3 号を除きますという、例外的な部分を除いた一番コアのところを見ると、要するに 30 条の法制の要件というのは基本的には二つしかなくて、一つは私的使用目的であるということ、これは当然、私的使用の為の複製ですから当然要求される要件ですけれども、それ以外にはこれは論文の方でも忘れられることが多いですけれども、「その使用する者が複製することができる」という使用者と複製者が一致するという原則でありまして、これは要するに立法例を見ますと、これは 30 条的なものについて、分量で制限したりとか手段で制限したりとか、そういう立法例がありますけれども、我が国の法制というのは 1 号 2 号 3 号の例外を除きまして、要するに「私的使用目的」で「使用者が自ら複製」をすれば権利制限が発生するよというのが基本でありますので、そういう意味で、主体というのは先程言われたことと関係してきますけれども、この議論の出発点で、要するに認定の仕方は人によって違いますけれども、ここで大きい座標軸としてはユーザーが主体なのか事業者が主体なのかというところを決めないと後の議論が混乱してきてしますと。

それに関連して言うともう一つ、そのためにこのアペンディクスが要るというふうに切ってあるのが、コンテンツを提供できるのは大体主体に類比できると思いますけれども、それ以外に共有かどうかというのは先程主査が言われたとおりに、元々が本人だけでなくて一定の範囲を当然 30 条が予定しておりますので、その現行法を根本から改めない限りは、「個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」の人というところとそれ以外のところで切れておりますけれども、それと先程の点とも関連して、要するに共有というのは複製した人以外の人が使用する訳ですから、先程の我が国の 30 条の基本のところから外れてきてしまうということで、あの……色々と混乱してきますけれども、ポイントはまず主体を決めなければいけないという、ユーザーか事業者かという視点と、それから共有ということになってしまうと現行法を改めない限りは使用者イコール複製者という原則から外れてきてしまいますので、そこのところは押さえた上で議論していかないと……いったようなところで議論を整理しないと、大きくここの、勿論先程の家庭内限られた範囲がどの程度かというのは人によって広がって違ってしまいますけれども、こういうところはおそらくどの法律問題にもあるので、こうでも整理しないと議論が混乱してきて、ここを抑えた上で最後にバランスを考えていくという形で議論を整理していく必要があると思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

主体、利用の主体ということに関して大渕委員はですね、今そこを決めなさいとこういうふうに仰るのですけれども、この場合に事業者が間接的には利益があるのじゃないかということと、その利用主体との関係をどのようにお考えになりますか。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

主体というのは基準なので、最終的に利益得るかというのはもっと後の方で考慮されて、出発点としての主体というのは、基準として純粋に定められるべきだと思っておりまして、その関係では先程も申しましたけれどもあまり、と思うのですけれども、おそらく主体に対しては整理としては、これはよく言われる例ですけれども、コピー機でコピーをするというのは、本当に純粋に自然学的見れば、まあコピーというか印刷というか、そういうことをしているのは機械なのですけれども、それは誰もコピー機が主体だという人はいないので、人間がボタンを押して、そういう意味ではこれはボタンを押しというのが非常に重要になってくる訳ですけれども、人間がボタンを押して機械を働かせている、これこそが誰ですかというところが問題になってくる訳で、その観点で言うと歌を歌うという、この機械を用いない場合には、これは口を開けて歌っている人以外にはあり得ないので主体の認定というのは問題にならないのですけれども、機械を使う場合については色々と問題になってくるだろうというふうに思っておりまして、その関係から言うと、色々行為の多角形で皆さん困られているかもしれませんけれども、ユーザーとサービス提供者が居た場合にサービス提供者の方がボタンを押せば、それはそのサービス提供者が行為者としか言いようが無いのでこれは置いておきますと、ただユーザーがボタンを押した場合についてはこれは間接侵害の関係でもう一年前か二年前か忘れましたけれども、今ではもう文化庁のホームページには載っているかと思いますが、私がジュークボックス法理と呼んでいるものがあって、これは皆さんジュークボックスというのはご存じだと思いますが、最近の学生だと知らない人もいるのですけれども、皆さんの方はご存じだと思います。

あれはジュークボックスの機械を操作しているのはお客さんですけれども、誰もあれを客が主体だから権利処理をしなくて良いと思っている人はいなくて、あれはジュークボックスで音楽を再生している場合の主体というのはジュークボックスを設置している店舗だというのが一般的ではないかと思うのですが、あれから演繹していくと、私がジュークボックス三要件と呼んでいるものですけれども、おそらくここが先程のコンテンツ提供が誰かというところに非常に結びついてくる所ですけれども、ジュークボックスの場合に店が主体になるというのは何故かというと、店の方が契約してコンテンツを提供して、ボタンだけ押せばユーザーの手に渡るようになっているからであって、ジュークボックス法理三要件と呼んでいるのはこの、コンテンツ提供性と、それからボタンを押したりすればコンテンツが流れ出すというそういう自動機器性と、それから機器を提供していること。

そういうふうに考えていくと、これはまたちょっと今日話題になった、ロクラクが近いと思うのですけれども、ロクラクの場合はあれば最高裁はロクラクのサービスを提供している業者が主体だと言って、あれについては色々と議論があるところですが、私にとってはあれば非常に特に問題のない、びっくりするような判断ではなくて、要するにアンテナを設置してコンテンツを取ってきて提供しているのは業者だし、ボタンを押せばコンテンツがすぐ複製コンテンツが行くという意味では自動機器性も満たされているし、機器自体は業者が提供しているということで、この三つが綺麗にそろってあてはめられると。

逆に言いますと、そういう意味で、皆さんはご異論があるかもしれませんけれども、私は最高裁の判決に異論はなくて、コンテンツを提供しているのが業者で業務。

今度、色々とイメージしているところはあると思いますが、純粋なロッカーサービスだという考えだと、要するに機器はクラウドのサービスは、機器は事業者が提供しているけれども、ユーザーの方がコンテンツを自分で入手したものをロッカーに入れて出すだけということで考える場合は、先程のジュークボックス法理だと、コンテンツ提供は利用者でサービス提供者がやっていませんから類型的に否定されますので、ユーザーが主体ということになってきますので、他のことは後で考えるとしても、純粋に誰が行為をしているのかという観点から見て、このように考えていくと、純粋なロッカーというのはどこまでかというのはまた色々とあるのですが、これについては先程主査が、議論を整理するためには一段と連携と言うか、現実の世界でどの程度あるか判断するべきで、コアの部分を定めてから議論せいというのが大原則だと思って、そうでない限りこの議論は整理できないと思うので、ここは純粋なロッカーとして考える場合にやはりこれはユーザーが主体だし、ユーザーが主体であれば 30 条の適用があるというふうになると思います。

こうやって後はどこまで広がるかと言う定義をしていけばよいのかと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。どうぞ、龍村委員どうぞ。

龍村 全 委員 (弁護士):#

現行の 30条 は本文柱書きがある訳ですけれども、1 項 1 号・2 号等の例外条項というのもあって、つまりその用いる機器のサイドからもですね、ある程度の限定性を加える意味も一部持っているかと思うのですね。

そこら辺が 30 条の本質を逆に照らし出しているような部分もある可能性もあってですね、ある程度の機器の状態・規模であるとか、あるいは椎名委員が仰るような有償性などの面がどうなのかと、そういうところのトータルで見てですね、本当の、昔ながらの私的な使用のイメージはですね、現代社会に当てはめた場合に色々な仕組みの中でですね、限定的に抑え込まれているという印象が、そういう面もあるのじゃないかと思うのですね。

だから主体だけの問題ではなくて、なにを、どういう機器を用いてそれを実現しているのか、どういう機器を用いて実現しているのかというそこのところも、全く無視してはいけないような、極めて、あまり素朴なイメージだけでコインロッカーと同じですよねというだけではすまない性格というものを 30 条 1 項 1 号は持って決まっているのではないかという気もしないではないのです。

現に素朴に 1 項 1 号を見る限りは「公衆用自動複製機器」に該当しないとまで断言できるものかというと、どちらかと言うと該当するような形で、該当しないと書いてあるべき可能性は結構あるのじゃないかと。

だからそこら辺が曖昧であればですね、ここをやはり改正しなければ。これを自由に全くの私的使用とするのであれば改正しないとやはりこれは通れない。適法化できないというふうに考えざるをえないと、こういうふうに思うのですね。

だからその辺が曖昧であれば、いわゆる現行法はそういうようなものなのだと理解して、契約処理をするのか、あるいは 1 項 1 号を改正してしまう、どちらかにしていくしかもうないのではないですかね。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

1 号の問題はあるのですけれども、何分もし事業者が主体ということになりますと、これは 30 条の問題から外れて出てしまいますので、まずはユーザーが主体なのかどうか、つまり複製をやっている主体はユーザーなのかどうかですね。

「ロクラクII」、大渕委員もご参照いただきましたけれども、複製の対象・複製の方法・複製の関与・程度、そういったことを総合して考慮せよというのが最高裁かと思います。

それから「複製の環境を整理するに留まらず」というふうに言っておりますよね。だから環境を整理する段階はまだ最高裁も主体が事業者ではないと考えているからああいうことになるのだろうと思うのですけれども、長谷川委員、恐縮なのですけれども、主体についてお聞きになっておられてどのようにお考えになるのか、インターネットサービスについてですね。

長谷川 浩二 委員 (東京地裁判事):#

主体の問題については今、主査から判例をご紹介していただいた通りですので、本当に機械的に──機械というとおかしいですけれども──機械的に決められれば判るのですけれども、結局、総合判断、色々な事情を考慮して判断するというのが最高裁の立場だという前提に立ちますと、切り分けるというのは非常に難しい、特に今後どのように技術が進んでいくのか判らない状況の中で、今の段階で明文の規定を置くというのはかえって色々な弊害を来たしかねないということを考えると、なかなか怖いなということがあります。

なのでやっぱり、ここは大渕委員が仰ったように典型的な場合を念頭に置いて、それは許されるのか許されないのかというところを、まずそこをはっきりさせて、そこをどこまで広げていくのかというふうに行くのが今の段階では無難なのかなというふうに考えている次第です。

それぐらいしか、今のところは申し上げられないのですが。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

切り分けるのは、ここから外はアウトでここから内側はセーフと言う切り分けは難しいと思うのですけれども、これはセーフだということを言うことは別に切り分けではないと思うのですけれども。

つまり、こういう行為は私的使用目的、私的複製に入るということを言ってあげるということは、別に外を切っている訳ではなくて、それは許されるのだと。そういうことですよね。

長谷川 浩二 委員 (東京地裁判事):#

はい。その限度ではその通りです。典型的な汎用ロッカー型というのはどちらなのかというところで、少なくとも汎用ロッカー型、典型的な汎用ロッカー型についてはもう許されるのですよということが皆さんの総意であれば、それでそこは OK です。ただ、その外は今後の議論ですねと。それこそ今子委員ですかね、仰られたように後は個々の具体的な事実関係によって裁判で決めていくというのも一つの在り得る選択ではないかなとは思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。ありがとうございました。じゃあ、岸委員どうぞ。

岸 博幸 委員 (慶応大学 / avex):#

[この発言全般聞き取りに自信なし]

私も基本的にはユーザーが負うのだけれども、中々確実には割り切れないよなと。加えて実態的に考えると、というのはアナロジーになってしまうのですけれども、実際に世の中の仕組みというのは基本的なことは契約があって、契約ベースでやっているのですよね。

例えば個人が○○○○○○○○契約書はないわけですが、それを超えてやっぱりある程度をもって契約が必要ということになったら契約を結ぶと。だからやっぱり実際は世の中の商取引はそういうものだよなと考えると今回の問題は基本的には法律上の整理ができるものなのか、別途ケアが必要なのか、そこの部分はどうしても範囲は広がっていってしまう。

今の、さっきの議論で言えばボトムラインでこれは個人でやっていることだから絶対大丈夫だよねということは当然あると思うのですけれども、じゃあ上限はどこまでかというと、すごく難しいと。現状商取引はそういう法律でカバーできていないところはやっぱり契約でやるよねということを考えると、どうしてもそのボトムラインのところはできても後は空白が残ってしまうのですね。

法律でカバーできるのか契約が必要なのか、やっぱりその部分をどう対応するかというと、多分事業者で判断していただいて、○○○○○○して裁判に訴える場合もあれば契約で処理する場合もあるということですけれども、多分法律でカバーするのと作れる契約パターンが大きく違いますから、その中で、本来は法律だけできることが明確に切り分けなければいけない。

でもそこが切れないという段階では、多分これまでの議論というのは、少なくともここはセーフだよねということぐらいで終わってしまうし、その後法律でカバーできていない私的な場所というのは○○○○という話ですし、それをやるかやらないかは判らないですけれども、そういう現状を踏まえて法律でカバーするのか契約でカバーするべきかということは大きく分かれているということは常々認識しておかないとまずいかなということです。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。ありがとうございました。他には如何でしょうか。はい、松田委員お願いします。

松田 政行 委員 (弁護士):#

権利者と事業者の意見が相当出たところで、ある程度、それ以外の者が発言する時期に来ているのではないかと私は考えます。

私的使用の範囲内でロッカー型クラウドを見ましょうという方向性は決して間違っていないと私は思います。その時に主体論が出てくるのは当然だろうと思います。純粋にロッカー型のサービスを想定した場合に、主体は私はサービス提供者ではなくて個人であろうと思います。

その点は典型的なロッカー型とロクラク等の判決との関係は違うのだというふうに認識できると思います。ロクラク等はここまで影響しないと私は思っています。ロクラクの判決は、最高裁の判決は慎重に考えて、あのケースとして認定したと、判断したというふうに読むべきだろうと思います。

そういうことになりますと、典型的なロッカー型サービス、タイプ 2 は個人がしていると。その使用するメディアは今までは DVD や CD でありましたけれども、これがサーバーになった、こういうことです。

それは一体、CD とサーバーが社会的にあるいは法の評価として、同じぐらいの価値を持つのかどうかということが、実は今、論点になっているのだろうと私は考えます。

CD や DVD というものが実体として著作権に影響します。その点は置いておいてもですね、サーバー型のサービスが今、かなり普及するというか当たり前の技術になってきたということは認めざるを得ないのではないでしょうか。

それからそこでコピーして、個人がコンテンツを楽しむという事実によった文化というものを作るべきなのか、促進するべきなのかという論点の中では、CD や DVD が売り出された時と同じようにサーバーを私は普通の道具として見るべきではないかなというふうに思っています。

そうなると 30 条の適用にかなり近い所で、タイプ 2 が評価できるのではないかと私は思っております。

私はロクラクにも関与した弁護士ではありますが、それと今回というのは議論は全く違うのだと、最高裁もそれを意識しているのだと、それから社会的にサーバーをどう評価するべきなのか、こういうところで評価を考えていただきたいというふうに思います。

その他のサーバーの利便性による評価というのは、これはですね、個人的な複製主体の結論としてひとつ置くとしても、その後でまだ議論するべき点はあると思います。

それは何かというと、先程龍村委員が言ったような問題であります。以上が私の意見です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。色々とご意見を頂戴いたしました。その主体に関して、これはユーザーであるということは、ほぼ一致しているのではないかと私は思いますが。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

いや、一致していないと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

椎名委員が仰るのは、龍村委員が言われるようなその次の枠だと私は思うのですが……

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

いやそうではなくて、ではちょっとだけ。

龍村委員が仰った自動複製機器ということに関して条項がある訳ですね。複製主体がユーザーであるとした時に、その公衆用の設置型の自動複製機器の条項との関連はどう理解すればよいのでしょうか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

公衆用自動複製機器についてはいま、松田委員がご提案になさったように、そこを議論してくれという、そういうご提案ですので……

松田 政行 委員 (弁護士):#

……今の私の価値観と言いますか、条文と言いますか、これで現行の 30 条を考えるとすれば、1 号の公衆用、公衆が利用する目的で設置された自動複製機器、これをどう考えるかです。

特にこの中に「公衆」という言葉が出てきます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

そこが次の話だというふうに思っておりますので、その話をさせていただければと思います。この点についてご意見はございますか。はい、畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

先ほど椎名さんも仰られましたが、利用行為主体を利用者だとした場合に、その公衆用の設置の自動複製機器の問題があって、そこの議論に進むということであれば。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それでよいということですね。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

つまり、利用主体が利用者だということで、先ほど主査は「一致」ということを仰いましたので、そこは必ずしもリンクしていないと。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

一致はしていないとそういうことですね。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

ただ、公衆用設置自動複製機器について議論をしないとこの問題が進まないということでその議論を進めていくことについてはよろしいと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。若干の疑問があることは承知をしておるのですけれども、しかしだいたいの大勢としてはそういうことかなと私は理解をしておりまして (委員席より笑い) それで、公衆用設置自動複製機器とサーバーとの関係、この点についてのご意見を残りの時間で頂戴したいのですけれども、如何でございましょうか。はい、松田委員どうぞ。

松田 政行 委員 (弁護士):#

今の意見の、法律の解釈論的な意見で申し訳ないのですが、この機器はですね、サーバーがどのような領域で誰のコンテンツをどこに貯めますよというシステムができたとしてもですね、サーバー全体としては公衆に提供されていると私は思います。

そのサーバーを使うために、特定の人達しか使えませんよという会員制度みたいなものを使ったとしても、その会員に入ることの契約が自由であれば、誰でも申し込めば入れるというようなものであれば、これはもう公衆機器だと私は思います。

ですから、立法的にはこの部分の改正をすることが必要になるだろうというふうに思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

はい。これももう論文にも書いたし、少し前の記憶では、これの前身のワーキングチームでしたか、あれを立ち上げた時の法制問題小委員会で発言いたしましたけれども、これも法律の条文というのは文言だけで決まるわけでも無くて、立法趣旨も考えて立法経緯等も考えて判断すべきものというのが一般論でありますけれども、その観点から言うと、これができた当時のレコード店とかの我が国のあの当時の立法経緯から、当時はサーバーとかそういったものが想定されていなかったということがあり、それから文言からしてもやはりこれが現れた当時は、要するにつまり結論的にはコンテンツサーバーのようなネット上で提供されているようなものというのはこの類型的に 1 号には当たらないというのが近時はだんだん有力になって来ているのではないかと思います。

そもそも立法の経緯は、サーバーを入れようというのはさらさらない当時の状態でありますし、これは文言にも現れていて、「設置されている自動機器」というあたりにも、これは高速ダビング機器なんかが当然想定されて、誰も「サーバーをネット上に設置している」という日本語を使う人がいないのもそうですし、実体にも現れているように、立法趣旨から言っても、立法目的から言っても、現行法の解釈論としても、ネット上の提供機器は 1 号に入らないというふうに考えていくのが、先程の趣旨から言って妥当と思っておりまして、ただここのところはそれが妥当でないとは、私は解釈論的にも現行法上 1 号機器にはネット上提供機器は入らないと思っていますけれども、その○○○○ (聞き取れず / ほうていもれ?) で申し上げたのはそこに疑義がある、全くその説の議論の必要がないとは思っておりませんので、そこは色々な意味で立法上明確化を図るというのは大いに意義があることでありまして、この委員会の中でもこれは一つの大きな項目となるかなと思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。今奥邨委員がご発言があるのじゃないかと思うのですが……。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

そうした意図は全くなかったのですが、あの、アイコンタクトがあったようなので。

私自身はですね、若干研究者というのは酷な所もございましてですね、7 年前に MYUTA 事件があったときにですね、書かなければよかったのですけれども、「色々と考えたら公衆用設置自動複製機器の問題もあるのではないか」ということを書いてしまいまして、その時には一応「あたらない」というふうに解釈すべきではないかと。

仮に「あたる」ということになりますと、色々な機器があたってしまうのでですね、これは逆に従来考えていた高速ダビングマシン以外のものが入るということになると、今度は外すのが非常に大変になってきますのでですね、これは「あまり厳密に見るべきではない」みたいなことを、規定の経緯・趣旨・立法経緯・立法趣旨から書きました。

それは先程松田委員からありましたように、「まねきTV」等の判決を見ますとですね、若干その「誰とでも契約する」という辺りでですね「公衆」という辺りがどうなるのかというのはですね、その 7 年前のことを思いつつもだったのですけれどもですね、出てしまいましたので悩んだ所ではあるのですが、ただですね、やはり公衆、自動公衆送信装置の場合はですね、これは公衆に対して送信するという機能自体が装置に対して定義されているのに対してですね、公衆用設置自動複製機器の場合は法律条文としては自動複製機器ということであって、複製の機能の単位で見れば良いので、その辺が若干差を付けて考えるということがあっても良いのかなということを、条文の構造を見て思っておりますのと、若干屁理屈的なところがあるのですけれが、例えばアパートなどを考えた場合に、そこにレンタルファニチャーで全部家具が付いていると、一式付いていると。アメリカなんかでは一般的で日本でも最近色々なところがあると思いますけれども、そこで DVR が置いてあるというようなアパートで誰でも契約できると。そうするとアパートに置いてある、設置してある訳ですね、DVR でテレビを録画したら、それはその人が私的使用目的の複製にならない、30 条 1 項 1 号で外れてしまうとしたら、それはいくらなんでもちょっとアレだろうと思うのでですね、やはりあまり厳密に捉えずにですね、本来あった高速ダビングマシンみたいなものに限った方が波及が少ないのではないかという、解釈はですね、7 年前に言ってしまったが故に維持しているところがあるのですけれど、そういう整理がつくのではないかなと思っております。

ただ大渕委員からありましたように、色々な意見があるという部分だろうというところでもあるので、そこについてはまだ具体的に断言するのは難しいところだろうというところも、私としてですね、こう思っているというところを中心に申し上げました。以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。今、浅石さまが挙手されましたので、その後で大渕委員お願いします。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

公衆用設置自動複製機器が貸与の時に作られたということであれば、30 条 1 項柱書き自体はクラウドサービスなど元々予定していなかった訳でございますから、そちらが貸与の時にできたとということであれば、30 条 1 項柱書き自体そもそも論から考えていかないと整合性が合わないのじゃないかと私は思います。

それで、公衆目的の設置自動複製機器という部分は私は汎用性があって、当然クラウドロッカーについてはそれに該当するのだというふうに私は思っていますけれども、それはその立法趣旨が貸与の時だからということであるのであれば、やはり 30 条 1 項 柱書き自体が 45 年改正の時点ではクラウドなんか無かった訳ですから、そもそも論から話していかないと、まず話し合いのベースが違ってしまうのではないでしょうかと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございます。大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

また、先程の点も、1 号の点と主体の点が両方関係しているのでご説明させていただければと思いますが、先程の「ロクラクII」の話、これは非常に大きな、重要な判決でありますが、この担当調査官が──柴田義明さんという若手の人ですけれども──この方がですね、割とこう、ロクラクIIについては理論構成が判らんということであまり評判も良くないのじゃないかと思いますが、私はよーく調査官解説などを見ると、私のを引用しているからではないのですけれども、ジュークボックス法理を最初に出した法学教室の注の4とかいう小さいところを参照していただいて、おそらくこれが基本になった判決になっているかと思うのですけれども、この柴田調査官が今ご紹介中のロクラクIIの判決でございますけれども、最近、青林書院で「知財訴訟実務体系」という別の、主体論について書かれているところがあって──なかなか良く勉強して書いておられるなと思っておりまして──おそらく思想は一緒だと思いますけれども、「ロクラクII」については業者の方がコンテンツを提供しているという点を重視して、あれは事業者が主体だと。それに対して逆にロッカーサービス的なものについては非常に、色々と悩まれた上で、これは一般的に言ってユーザーが主体と考えたいというふうに明言しておられて、よくよく考えているなと思ったのですが、その方が併せて、1 号についてもやはり、ネット上で提供されているようなものは入らないと解することになろうかとかいう、表現はややまあ、結論はそうなのですが、そういうことを言っておられて、やはり基本に流れる思想としては同じものがあるのじゃないかと思っております。

現行法としても主体はユーザーだし、1 号というのはそういうもの、ネット上提供されるものは入らないという現行法の趣旨・目的に合致したものと。ただこれはまた裁判所の判例が出て最高裁まで待つということもできませんので、疑義があるのであればこういう機会にきちんと明確化しておくということは非常に大きな意義があると思います。

松田 政行 委員 (弁護士):#

賛成です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。他にあれば……長谷川委員今の大渕委員の意見について、如何でしょうか……。

長谷川 浩二 委員 (東京地裁判事):#

一般論ですが、調査官解説はあくまでも調査官の私見でありますので、何とも言えないのですけれども……その程度で、あまり、何ともここでは言いようがないのですが。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

そうですか。他には、今日は一般ユーザーの方のご発言がほとんどないのですけれども、特によろしいですか。これまでのところの……時間的にもあと 10 分ぐらいになって、だんだんその審議予定が迫っておりますが、もしあれば……よろしいですか……じゃあ、河村委員どうぞ。

いや、ちょっと手を挙げられたように見えたので、無いですか? いや、無ければもう時間ということにしますけれども。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

普通の市民、消費者として、当然こういうことができて然るべきだと思っていたことが、大体この世界の専門家の方たちが専門的な言葉で語っていただいたと思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。津田委員はよろしいですか。はい、丸橋委員どうぞ。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

大渕委員からタイプ 2 に留まらずユーザーが主体であると。もうクラウドと言いますか、インターネット自体がもうこの複製の前段階の環境は成立されて、ですからその対価、まあ自動公衆送信装置というのはインターネットそのものな訳で、じゃあインターネット全体に補償金をかけるのですかという話にするのか、もう少し狭い範囲が普通じゃないかと、普通に考えられるのではないかということをもう少しというか、それでだいぶ違うというか、その辺を詳しく検討していただきたいと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい、どうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

浅石委員が仰ったそもそも論で議論をするべきなのだと思います。やはりその、僕はその自動公衆送信装置との関連は良く判らないのですが、法文を見る限りにおいて、ユーザーは私的にコピーができますと。だけど、公衆用の設置型の自動複製機器については、それを用いてやる複製は、これに、私的複製にあたらないというふうに定義をしているのであれば、それは僕の解釈ですけれども第三者の関与ということを見ている訳ですので、第三者の関与しているクラウドが私的複製ではないと。

そういう趣旨なのだったならば、やはりこれはその公衆用の設置型の自動複製機器にあたるのじゃないかと思うので、そこのところをもっと議論していかなければダメなのだろうと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

椎名委員の意見と似たようなところがあるのですが、公衆用設置自動複製機器が設けられた趣旨、その立法趣旨ということで委員の方々が仰られていることを、個別に云々はしませんけれども、やはりその第三者の関与とその利益帰属の問題なのだろうと思います。

そこを考えた場合はたしてこれをネット上で提供されるものに限定するようなアプローチをして、自動複製機器にあたらないという整理で良いのかというところについてはまだ異論が多々あるというところだと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

他にございますか。はい、杉本委員お願いします。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

若干感想なのですけれども、今の形としては法解釈については法解釈でいいのですけれども、ロッカー型のクラウドサービスの基本的な部分の検討を集中して若干時間をかける形になっていますので、それ以外の、ファイル共有自身に関しても、プロセスの過程の形でゆるやかなサービスのシステムにするならばどうしたら良いかという話を今後ですね、どちらかという基本的なところの解釈というよりも、そうした時にどういうサービスがあって、それに対してどういう仕組みを作らなければいけないのかといったところの議論にもう少し時間をかけないと、たとえばの話、今日の議論はあまり生産的ではないのかなと。

なので、そこは設定で、現状の技術を鑑みるに、それは抑えられれば抑えられるでしょうし、ちょっと言葉があまり良くはないですけれども、さっさと処理してしまって、むしろそれを拡張した時に何が起きて、それがエンドユーザーと言うか利用者にとってどれだけ利用しやすい形にできるかということが、もしかしたら法解釈にアレするところをきちんと話をしていかなければいけないかもしれないのですが、やっぱり基本的なクラウドサービスの操作環境によって、それをどういう風に我々がオープン的なものに作って行けるかということを考えて、想像力を働かせていかないと、あまり場としての意味をなさない気がします。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいありがとうございました。本日……河村委員ですか、はいどうぞ。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

済みません反論するようですが。建設的ではなかったとは私は考えておりません。というのは、そういうことは置いておいてどういうビジネスができるかという視点があることは判りますが、私は、その本質的な部分の位置づけをきちんとしないままに行くと、私が前回の発表でも申し上げましたが、利用者・消費者の権利というものもやはりありますから、なにもかもを与えろと言っている訳ではなくて、本来あるべき権利というものとかそういう位置づけが、きちんと位置づけがされた上で発展的なビジネスとかのことを考えていかなければ、何時までたっても支配力を持っていないユーザー達は、決められた措置や民事的な契約に縛られることになりますので、私的な部分の位置づけを蔑ろにするようなことは問題だと私は考えます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。ありがとうございました。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

反論ではないのですけれども、私が言っているのは、著作権を無理やりという立場ではなくて、どちらかというと河村委員の仰っている側の話です。

僕が言いたいのはどちらかというとエンドユーザーにとって最良のサービスと最良の仕組みを提供するためにはどうすれば良いかという話に対してもう少し時間をとって欲しいという話をしているので、多分ここにいる誰よりもユーザー視点で話をしています。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

このマトリックスの汎用ロッカー型の右側にですね、タイプ 2 でもいろいろあるということは当初から認識しております。色々なバリエーションと言いますかね、色々なサービスというところの内で、皆様のご意見を受けてこういうものを作っておりまして、これは議論いたします。

これは今日はもう無理ですけれども、この次にはこういうことを含めたいと思っておりますので……(杉本委員「ちょっと済みません、止めて」) ……どうぞ。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

誤解のないように言っておくと、僕は権利処理に対して常にそれに補償するのではなくて、適切に何かを権利を処理するために権利処理行為が必要かもしれませんけれども、それに対して対価が伴うとか、それでビジネスをするとは一言も言っておりません。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。右側の方に行けばいくほど、いわゆるの機能の問題、それから相当の対価の問題ということが出てくるのだろうと思います。しかし、本日のところはですね、コアの部分についての議論に集中させていただきました。

次回以降、また右側も含めた議論をしていきたいと思います。あの、太佐さま。

太佐 種一 参考人 (JEITA / IBM):#

本日は代理出席という立場でしたので、発言を差し控えさせていただきました。今日の議論を聞いて一つだけ発言したいことがありました。

今、ここにある現実というのがございます。一つは IT 技術の過去の動向、ここはもう止められない流れだと理解しています。クラウドでありモバイルでありソーシャルであり、グレーでありというのが現実にございます。

その後で今日ご紹介した通り、海外のキャッチアップ等、違法・ハッカーとのやり取りに関しては進んで行く中で、クラウドでは先ほどもご紹介した通り、国境を越えてしまうものです。

日本だけが取り残されているというようなことだけは避けるべきだろうと思います。事業者の利益がどうこうということはさて置いても、そういったところの視点を踏まえて今後の議論をしていただければと思います。

最後に長々と申し訳ありませんでした。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。我々もそのように認識しておりまして、前年度のワーキングチーム以来、精力的にこの問題に取り組んでおりますので、少しお時間をいただければと思っております。

時間が、先ほど申しましたように来ておりますので、「特にご意見がある」という方もおられるとは思いますが、よろしいですか。

それでは、最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

次回の小委員会につきましては日程調整の上、決まり次第連絡差し上げたいと思います。それから本日はもうすぐ 7 時過ぎようとしておりまして、お帰りの順路が普段と違いますので、今日は 2 階の正面玄関が閉まっておりますので、1 階までエレベーターを使って降りていただいて、時間外出入口から出てください。皆様のお手元に案内図を配っておりますので、そちらもご参照ください。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

判りやすい図がありますので、どうぞ迷わないようによろしくお願いします。それではこれで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第4回を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。