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12月9日(金) 4K/8K衛星放送の見通し [3] [この記事]

折角の機会なのでもう少し新しいCAモジュールについて掘り下げてみます。まず、2015年7月に総務省が公開した「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 第二次中間報告」[URI] の報告書本文の中で、4K/8K放送で利用する新しいCAモジュールについて次のように記述されています。

新CASについては、NHK、スカパーJSAT株式会社、株式会社スターチャンネル、株式会社WOWOWの4社が、高度BS放送等で利用する新たなCASとして、現2K放送のCAS方式を強化・拡張したCAS ICチップを開発することとし、「新CAS協議会準備会」を組織し、4K・8K対応のCAS ICチップの開発に取り組んでいる。このCAS ICチップは、現・2KCAS方式と4K8KCAS方式の両方に対応し、4K8KCAS方式は、スクランブル暗号鍵(Ks)の128bit化に対応するほか、Ksを暗号化して受信機に受け渡すなど、セキュリティの強化が図られている。今後、2015年には4K8KCASの技術方式の開発と、規格化作業(ARIB標準規格、NexTV-F運用規定)を進め、2018年秋頃にはICチップの出荷を見込んでいる。また、4K・8K試験放送に向けて、関係者において、CAS ICチップ供給前にICチップでない形態(例:ICカード等)での新CAS提供や4K・8K実用放送における継続使用等の課題についても検討が進められている。

この記述の中で個人的に重要と感じたところに下線を引いています。最初の下線部についてですが、新しいCASチップは4K/8K放送向けのARIB STD-B61の機能だけでなく、現行デジタル放送向けのARIB STD-B25 (B-CASカード) の機能も備えた形で提供されます。

つまり、新CASチップを搭載したTVではB-CASカードの機能も新CASチップで賄われるようになるため、B-CASカードスロットが不要になります。当然、新CASチップを搭載したTVにはB-CASカードスロットは用意されなくなり、既存のデジタル放送の視聴に関しても新CASチップのB-CAS互換機能が利用されるようになるでしょう。

メールアドレスを公開している人であれば、有料放送を契約なしで視聴できると謳う変造CASのスパムが現在でも週に何通かとどいてクソうざい気持ちになっているかと思います。新CASチップを搭載した4K/8K対応TVで世間に存在するTVが置き換わっていけば、そうした変造CASカードを利用できるTVが消滅していくということで、例えば2028年頃には変造CASカードの販売を謳うスパムメールも一緒に消滅しているかもしれません。

次に二つ目の下線部についてです。これは推定ですが、新CASチップでは既存のスマートカード対応汎用チップを買って来てソフトウェアで機能実装するという方法はとらずに専用チップを新たに作ろうとしているようです。おそらくこれが原因となって新CASチップの提供可能時期が2018年秋とかなり先に設定されてしまっています。

ロードマップでは2018年に4K/8K実用放送を開始となっていますので、対応TVの開発を考えればもう一年早く新CASチップが欲しいところです。しかし、B-CASカードの場合は汎用CPU+ソフトウェアの組み合わせで作っていたがためにバックドアから吸い出されたファームウェアを解析されて変造CASを作られてしまったという先例があるので、そういった提供可能時期を早める方向での決定はできなかったのかなと想像しています。

ひょっとしたら、新CASチップではブロック暗号の処理等を専用ロジックを使ってやらせることにしたから、運用規定でCASのダウンロード更新を諦めることにしたのかなと考えることもあるのですが、流石にこれは妄想が過ぎるかなとも思っています。

最後に三つ目の下線部についてです。かといって、2018年秋まで新CASチップが提供されないのでは試験放送を使ったTVの開発や検証もできないしということで、検証やTV開発者向けにB-CASカード同様のスマートカード形式でソフトウェア的に新CASチップと同じ機能を実現したものを提供して開発段階ではそちらを使ってもらうということが予定されているようです。

それだけならばそれなりに妥当な判断だと思うのですが、実用放送が行われているのに対応TVが発売されないということを避けるためか、その検証用のスマートカード形式の新CASを4K・8K実用放送で継続使用するとかも選択肢に上がっているようです。

流石にそれを認めてしまったら、専用チップ作る意味が全て吹き飛んでしまうように思えるので、実現可能性は低いと思います。思いますが、もしも仮に2018年に販売される4K/8K対応TVがスマートカード形式のCASカードスロットと、CASカードの組み合わせで販売されるようなことがあるとしたら、飛びついておくと色々と楽しめるかもしれません。

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