総務省 情報通信審議会
デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
第62回 (2012年2月14日) [非公式議事録]


ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は2〜3ヶ月後に総務省サイト [URI] に掲載されるはずですので、そちらを参照してください。

政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。

当日配布された資料は以下の通りです。


村井 純 主査(大学教授 / 情報通信 / 慶応大学):#

おはようございます。それでは、ただいまから情報通信審議会 デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 第62回の会合開催させていただきたいと思います。委員の皆さま、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

本日欠席された委員、それから出席していただいているオブザーバの方に関しましては席上に配布させていただいている資料がございますので、そちらをご参照ください。

前回の会合のときに、本委員会の今後の進め方について皆様にご説明させていただいて、今年夏を目途に答申をまとめていただくということで、ご承認いただきましたので、その進め方に従って、本日 2 点審議をいただく予定のことがございます。

一点目は、新コンテンツ保護方式の進捗状況ということでございまして、前々回、第60回の会合になりますけれども、進捗状況をご説明いただきまして、皆さまからその時に言っていただいた、地上放送 RMP 管理センターのガバナンスに関するご指摘というのをいただいたと思いますので、それに関する対応、それからスケジュールについての報告をいただくということでございます。

二点目は、コンテンツ制作・流通の促進に関わる取り組みの現状と諸課題についてということで、関係者からのプレゼンテーションをいただくということで、関係者の方にお招きしています。

本日は、映像コンテンツの権利処理の円滑化、コンテンツ海外展開、それからラジオの IP サイマル配信の取り組みということで、関係者の皆さまからプレゼンテーションをお願いしております。

議論は一個一個で、その項目毎にしていただくという予定をしてでございます。

それでは事務局から配布資料の確認をお願いします。

松本 和人 課長補佐(事務局 / 総務省 情報通信作品振興課):#

本日の配布資料につきましては、座席表・議事次第の他に、資料 1〜6、資料 1 が新方式の進捗状況についてでございます。以降、2〜6 が関係者様からのプレゼンテーションの資料でございます。

その他に構成員の名簿ということで、計 7 点配布させていただいております。過不足等ございましたら、お申し付けくださいませ。

あわせて、前回、1 月 23 日の、前回委員会会合の議事録につきましては、専門委員の皆様にご確認いただきまして、主査のご承認をいただきまして、既に総務省のホームページに公開しておりますので、あわせてご報告いたします。以上でございます。

村井 純 主査:#

ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。最初は新コンテンツ権利保護方式、いわゆる新方式、その進捗状況についてということで、新コンテンツ権利保護方式推進委員会の皆さまからご説明をお願いします。よろしくお願いします。

和知 隆寿 オブザーバ(新コンテンツ権利保護方式推進委員会 / テレビ朝日):#

それでは、新方式委員会の事務局を担当しております、テレビ朝日の和知と申します。私の方から説明いたします。お手元の資料 1 を一枚めくっていただいて、昨年の 11 月の委員会からの進捗状況について、下線部について簡単にまとめてございます。

三番目御覧いただきますと、昨年の 10 月以降、12 月 1 日に民放テレビ全社とそれから NHK の計 128 社が、一応新法人の会員になったということで、これまでの暫定機関から、本格推進に移行したということになっております。

それから、前回の委員会でご指摘いただきました、ガバナンスに関する関係で、責任、公益理事・監事・それから評議委員の人選、評議委員の役割について検討・人選を進めています。

それから、その時点で完全に固まっておりませんでした TR (運用規程) の規格化、これも 12 月に ARIB の規格会議で承認されて、STD/TR とも策定済みとなっています。

それから、受信機メーカの皆さまへのライセンス契約の検討状況ですが、これについてもほぼ完成いたしまして、今月の 27 日にメーカーさん向けに説明会を開催する予定で、準備を進めているところでございます。

それから、放送事業者関連の送出環境整備、それから受信機の開発に必要な鍵データの発行などの準備も順次進めているところでございます。

それからもう一つ宿題になっておりました、ホームページ等で情報公開をというご指摘もございましたので、これも昨年の 12 月 26 日にホームページを開設しまして、必要な情報については、ここに順次載せていこうというふうに考えています。

もう一枚めくっていただいて、2 ページ目ですが、ガバナンスの関係でご指摘いただいた点でございます。

理事会については定款で 10 名となっておりまして、昨年の 10 月の時点では 6 名が決定しておりました。これは、全て放送事業者、NHK とキー局からの理事ということで、残り 4 名についてどうするか。それから、監事については、定数 2 名のところ、1 名は決っておりましたが、もう一名については「専門家を」というご指摘がありましたので、その人選を。

それから、評議員について、この組織を設けるということで、具体的な人選についてはまだ決まっていないと。それから、その役割、申し立てに関する手続きについて、色々とご指摘がありましたので、そういった検討を進めておるところです。

それについては 3 ページ目に、まず会員・理事・監事についてですが、会員については、先ほど説明した通り、12 月 1 日で民放全社と NHK 全社が会員となったということで、本格推進の体制が整ったということについては先ほど説明した通りです。

それから、理事についてはこれまでの 6 名に加えまして、会員社に属さない、放送事業者以外の外部理事を 2 名、それから、民放全社が入ったというころで、地方局の代表ということで、地方局の代表者として 2 名、計 4 名を新たに採用するということで準備を進めてございます。

外部の理事の方については、デジタル技術に詳しい大学の先生と、それから法律分野として、企業のコンプライアンスに詳しい弁護士の先生を一応選任する予定で、2 月 21 日の理事会で一応選任いたしまして、3 月 23 日の社員総会で正式決定する予定でございます。

監事については、これまで民放連の専務理事 1 名ということで選任しておりましたけれども、もう一名、外部の公認会計士の先生、専門的な知識・経験を有する公認会計士の先生を一応選任して、これも同様に 3 月 31 日の社員総会に諮る予定になっております。

正式に決まった暁には、ホームページに理事、それから監事の皆さんについては一応公開する予定で準備を進めております。

4 ページ目ですが、もう一つの課題になっておりました評議委員会ですが、一応 2 月 3 日の理事会で、以下の 3 名の先生を評議委員として選任し、委嘱しました。評議委員については、総会に諮ることなく、理事会で一応選任ができますので、3 人の先生方に一応委嘱をして、了解いただいております。

第一回目の評議委員会を 2 月の 20 日、来週一応予定しておりまして、この評議委員会の役割、それから今後の進め方についてご説明し、色々と運営をしていただけると考えております。

今までの経緯もありますので、こちらの審議会の主査を務めていただいておる村井先生にもこの評議委員として加わっていただいて、この新方式の進捗状況、今後の状況については色々と活動とか、目を配っていただけるというふうに考えております。

石岡先生は法律、山上先生も法律ということなのですが、この評議委員会の役割ということから考えますと、下の方に目的それから審議内容ということで書いてございますが、全体のバランスから見て、このような構成で十分に機能するのではないかというふうに考えております。

我々としましても、これらの先生方には的確な判断をしていただくために、絶えず、理事会の決定事項とか、その他重要事項については、その都度広告・説明させていただいて、おざなりの委員会・組織にならないように十分配慮していきたいと考えております。

それから、申立の手続き・記録についても、これも特にご指摘がありました、例えばライセンス契約を締結できないことがあった時に、そういった相手方に対して不利益な決定・処分を行うといった際については、必ず評議委員の先生方にご意見を伺う、そのご意見を尊重するという手続きを必ず経るということで、これも決定しましたら、必要なものについてはホームページの方に公開していきたいと考えております。

5 ページ目を御覧いただきますと、これまでのスケジュール、それから今後の予定について簡単にまとめてございます。

一番上にフェーズ 1・フェーズ 2 とありますが、先ほど説明しました 12 月 1 日から本格始動ということでフェーズ 2 に入って、各種準備を進めておるところです。

先ほど説明しました、受信機メーカの皆さんへの説明会、これは 2 月 27 日に行う予定、それからテストストリームの提供開始、受信機メーカ向け鍵データの発行予定も 3 月 6 月に順次進めるということで、これも説明会でそのスケジュール・手続きについては説明したいというふうに考えております。

それから会員関係は先ほど説明した通り、12 月 1 日に民放全社が加盟したと、それから 2 月 3 日に理事会で評議委員の決定、役員候補の選任等を行いまして、3 月 23 日に臨時総会で正式決定する予定というふうになっています。

それから、放送事業者関係の送出設備の改修ですが、これも予定通り、計画通り進んでいまして、本年 7 月の関東広域局での運用開始、来年の 3 月までに NHK・民放の送出設備改修が終了いたしまして、2013 年 4 月には間違いなく運用開始できる予定で進めております。

私の方からの説明は以上でございます。

最後に、失礼しました。6 ページ目に、地上放送 RMP 管理センターのホームページ、このようなものを立ち上げておりますので、皆様方には、もしご関心がありましたら、こちらの方をのぞいていただければと思っております。以上です。

村井 純 主査:#

ありがとうございました。前々回の皆様のご指摘というのが 2 ページの所にありまして、それに関してどのように対応したかということと、現状ということ、今後の予定も含めてご説明いただきました。

それでは意見交換に移らせていただきたいとおもいます。どなたでも結構ですけれども、どうぞ忌憚のないご意見を頂戴できればと。

はい、じゃあ。

長田 三紀 委員(東京婦人連盟):#

色々お願いしたことについては対応していただいたかと思います。ただ、この新コンテンツ権利保護方式、新しい方式の、ちゃくちゃくと進んで新しい開発のいい機器が出てくるということはそれで歓迎することだと思いますけれども、私どもが求めていた B-CAS のカードの問題はそのまま置かれていることになりますので、これはこれとして、そういうこととは別に、是非、これで目的は全部達したということではなく、検討を続けていただきたいなと考えています。

村井 純 主査:#

ありがとうございました。そのほか何かございますでしょうか?

よろしいでしょうか?どうぞ。

高橋 伸子 委員(ジャーナリスト):#

様々な経緯がありましたけれども、ガバナンス強化が図られつつあることは評価したいと思います。今後はまた運用の点はしっかりやっていただきたいと思います。それから、ホームページも立ち上がったということで、拝見いたしましたけれども、まだ非常にシンプルで、今後の深化を期待するところではあるのですが、ひとつは、海外の事業者さんも見られるように、英文ページ作成を進めていただきたいということと、この TRMP という名称、非常に、中々慣れにくいので、もう少し馴染みのあるようなペットネームなりなんなり付けていただけると、皆さん関心を持っていただけるのではと思います。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。これは、よろしいですか。英語のこと。

和知 隆寿 オブザーバ:#

できるだけ、努力いたします。

村井 純 主査:#

とても、重要なことだと思います。やはり日本で何をやっているのか判らないということが、大体のことで、どこからでも言われることなので。

アジア研究というのが世界中で行われているのだけれども、これが、インターネット上で大体調査をするのですよね、いまの大学なんかの状況では。これがまた日本だけがなかなかできないということが状況が大変大きな課題だと思いますので、どんなことも、世界に accessible が大事かと思いますので、よろしくお願いします。

それでは、よろしいでしょうか。次の議事は、関係者からのプレゼンが何点かございますので、よろしくお願いいたします。

最初は権利処理の効率化に向けた取り組みということで、映像コンテンツ権利処理機構、aRma の橋元事務局長から発表をお願いします。大体ですね、質疑を含めて 20 分程度でそれぞれ行おうと思っておりますので、その点配慮のうえ、お願いします。

橋元 オブザーバ(aRma):#

aRma 橋元でございます。それでは、説明させていただきます。まず、1 ページ目、設立の背景でございます。いわゆるネット権・ネット法といった類のいろいろな提案・議論があったかと思います。

放送番組のネット配信あるいは著作権を制限する必要があるのではないかといったことが色々と批判されてございましたが、こういったネット権・ネット法をめぐる議論でわかりましたことなのですけれども、そもそも番組のネット配信が進まないのはネット配信の収益性が悪いのではないかということと、実際に実演家の許諾権というのが阻害要因ではないのではないかということが明らかになってきたと思います。

したがいまして、この円滑化を図る為には、ネット権・ネット法的なアプローチではなく、民間主導による取り組みが必要ではないかという提案が出たと考えております。そして、実演家側で行いうる取り組みということがこの aRma、つまり権利処理窓口の一元化ということであります。

それからもう一つの背景でございますけれども、放送番組の権利クリア、実演家の権利処理なのですけれども、これは現在音事協という団体が実施しております、非一任型による権利クリアと、それから芸団協/CPRA が実施しております著作権等管理事業法に基づく管理事業、この二つがございます。

ほとんどの番組、ドラマ・バラエティ等々ですけれども、音事協所属の実演家、CPRA に所属の実演家、いずれもが出演しているというのが実態でございます。

従いまして、従来ネックとなるのがそれぞれが使うのが誰であるかを把握をして、音事協と CPRA に別々に申請をいたす必要があったというのが、ということが非効率であったということでございます。

なおかつ、当然、音事協委任のデータベース、CPRA のデータベースも別個でございましたため、いずれも非効率であったというふうに思います。

従いまして、aRma といたしましては、従来音事協と CPRA が別々に実施しておりました許諾業務を一か所でまとめて管理する、実施するということで一元化し、これを迅速・的確に行う、円滑化ということで、これを目的として設立された背景でございます。

次のページが法人の概要でございます。現在社員は権利管理関係 5 団体でして、音事協・芸団協・音声連、それから映像実演権利者合同機構、そしてミュージックビープルズネストの 5 団体が会員となっており、理事長は音事協会長 尾木 徹 が務めており、役員も 5 団体から出ておるということでございます。目的と事業、こちらの方は定款の方を抜粋してございますので、御覧いただきたいと思います。

次を御覧ください。aRma の変遷、短いのですけれども、歴史でございます。まず、平成 23 年の 6 月に設立されております。設立後、直ちに許諾窓口の業務を実施するための準備を開始しました。まず、従来鉛筆で行われておりました許諾実務の方なのですけれども、これを WEB 経由で行えるようにするために、ARMs と呼んでおりますシステムの開発をしております。

それから、この ARMs 内に音事協のデータベース、それから CPRA のデータベース等を統合しまして、aRma の大きな意味でのデータベースを作るということにも着手したところであります。

そして、この aRma のデータベースと音事協・CPRA のデータベース、それぞれ毎日、デイリーで差分の取り込みを行いまして、アップデートするという仕組みを作っております。そしてなおかつ、特に皆さまからいただきました出演者のリスト、それから aRma のデータベースを突き合わせまして、aRma 扱いの実演家を振り分けるという自動振り分け機能、こちらの方も実装も進めております。

こういった準備が整いまして、平成 22 年の 7 月 29 日に、番組の送信可能化、ネット配信についての申請の受付と許諾の窓口業務を開始してございます。業務の概要はこの図に描いてございますように二つのステップからなっております。

最初が仮申請というステップでございまして、こちらの方は、皆さまから出演している俳優さん全員のリストを頂戴します。そして、私どもの方でまず aRma のデータベースとぶつけまして、ある程度の自動振り分けを行い、かつ、まだ明らかにならない場合はそれぞれ個別確認を行います。

そしてここで、aRma 扱いの実演家かそうでないかという最初の振り分けを行います。そして、個別確認を開始する訳です。aRma 扱いの方では、どの番組をどのように配信するかという内容につきまして本申請を頂戴し、私ども aRma の方はこちらを権利者に確認して回答を差し上げるということになります。

これで二次利用が、有効にネット配信なりがされるということで、取り組み側がネット配信を行い、その後に使用料の支払いというふうに至るわけですけれども、こちらの方は音事協・CPRA にそれぞれ明細を提出いただき、振り込んでいただくということになっております。

これが、最初の一年目の業務内容でございます。

次のページを御覧いただきたいと思います。次に、不明権利者の探索業務ということを開始してございます。ここに平成 22 年と書いてございますが、平成 23 年の誤りでございます。平成 23 年の 1 月 11 日に不明権利者の探索業務というものを開始いたしました。4 月からこれを本格稼働してございます。

aRma が不明権利者、すなわち放送番組を二次利用しようとした時にまだ権利クリアができておらず、かつ、連絡先が不明であるという実演家を不明権利者と呼んでおりますけれども、こちらの方の探索を行う理由がここに書いてある通りでございます。

まず、不明権利者が多数に渡るために、一つの事業者が個々に探索を行うとなりますと、同じ人を違う局が探すということもございます。コストが二重三重にかかるということも考えられます。普通、こうした探すための情報といいますのは、先ほども申し上げましたように、音事協・CPRA データベース等々が私ども aRma にマージされておりますので、ここに集中いたします。従いまして、情報のほとんどがこちら側にあるということがございます。

そして、現在 aRma およそ出演者の 9 割強の実演家の把握をしておる訳ですけれども、残りの方々が、もし僅かな方々でも見つからず、かつ不明で二次利用がされないとなりますと、こちら許諾を出した私どもの実演家の方が二次利用使用料を得られないということも考えられますので、aRma の方でこうした探索を局の依頼を受けて行おうと決定しております。

やり方はこの図の通りでして、先ほど申しました仮申請の段階で、aRma 扱いかそうでないかということを開示します。で、aRma 扱いでないという答えを返している実演家の中で、局の皆さまの中で連絡先が判らないと仰る場合には、この ARMs というシステムを通して、この人この人を探して欲しいという依頼を出せることになっております。私どもの方では、探索を行いまして、判明したかどうか、判明した場合は権利行使はできますとお返しするというやりかたを取っております。

私どものこの探索の方法は文化庁さんがおやりになっている、裁定制度の要件を満たす探索の方法を取っております。従いまして、この結果を文化庁の方に提出していただければ、裁定制度の利用ができるという内容の資料をお出ししている訳でございます。

こちらの方が、今申しましたように、23 年 1 月からの試験稼働、そして 4 月からの本格稼働でございます。ただ、この期間ですね、ほとんどの探索依頼が NHK からのものでして、民放さんからはごく僅かな依頼しかまだいただいていないという問題がございます。

なおかつ、aRma としては依頼をいただきました中で、1000 名を超す不明権利者、1000 名を超す裁定制度の要件を満たす方々の報告を行った訳ですけれども、実際には裁定制度の申請がなされましたのが、2 番組 100 名強にとどまるということでございます。

次のページをご覧ください。aRma のもう一つの事業の柱でございます、有線放送報酬の徴収・分配、こちらの方を 23 年の 4 月 1 日から開始してございます。有線放送報酬と申しますのは、平成 19 年 7 月に施行されました、改正著作権法の第 94 条に規定されております。「有線放送事業者は放送される実演を有線放送した場合には、当該実演にかかる実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない」という規定がございます。

この規定を受けまして、aRma が徴収・分配を開始した訳でございます。理由は 3 つございます。まず、有線放送事業者の集まりであります、日本ケーブルテレビ連盟というものがございます。JCOM、JCN 様を始め、多数の事業者が加盟しておりますけれども、こちらの方で、報酬窓口の一本化を強く希望されたと。

しかしながら、有線放送報酬業務は指定団体制度等の適用がございません。従いまして、権利者自らの意思によってなんとか一本化を実現しようということがございました。

そして、aRma といたしましては、放送番組の二次利用の窓口の一元化ということをしておりますので、先ほど申し上げましたように、9 割を超える実演家の皆さまがこちらで扱われるとなっております。

従いまして、この仕組みを基礎にいたしまして、こういった有線放送報酬の徴収窓口を一本化することが効率的であろうという算段でございます。

ただ、このためにですね、実際に、先ほど申し上げたネット配信等々では aRma 扱いではなく、個別に処理をしたいと希望する事務所も若干あるのですけれども、こういった窓口になることによりまして、そういったネット配信等々ではまだ個別と仰っている事務所の皆さまも、有線放送報酬徴収業務では、aRma に委任していただけることとなっております。

そして、平成 23 年の 4 月 11 日ですけれども、従来やっておりましたネット配信の許諾窓口に加えまして、ビデオグラム化と番組販売、こちらの方につきましても、申請受付と許諾の窓口業務を開始しております。

これらができました為に現在、番組の二次利用と呼ばれるものは aRma の方で許諾の窓口ができるようになったということでございます。このチャンスにですね、一方でも ARMs というシステムのバージョンアップ、それから自動振分機能の精度の向上ですとか、回答情報の蓄積を基礎にしました番組権利情報の新設等々を加えまして、さらに、改良・強化しているところでございます。

この 12 月 27 日にはですね、さらに ARMs の方をバージョンアップいたしました。また、番組権利情報の精度を向上させて、大量の申請に備えるという準備をしているところでございます。

次のページでございます。現在の取り組みでございまして、二次利用の内の使用料の支払いは、音事協、それから CPRA、それぞれにお出しいただくことになっておりますが、その部分がまだ現在 ICT 化されていないということがございますので、こういった ARMs を使って、支払明細書のアップロードをする、そして実際の申請とこの支払明細のリンクを自動的に行うという、この支払明細の省力的な提出の方法、それからさらに、明細書の作成の支援機能というところもご提供をするということで、現在こちらの方を進めている所でございます。これができることによりまして、許諾の申請から使用料の支払いに至るまで、一貫して ICT 化が可能となるということでございます。

最後に、直近の課題でございます。次のページでございます。ネット配信が非常に本格化して参りまして、申請件数が非常に増加しているということがございます。なおかつ、今度は海外番販なのですけれども、こちらの方も申請件数が増加すると共に、非常にそのタイミングが早くなっている。従来よりも、どんどんどんどん、海外に売るタイミングが早くなって、すなわち、放送直後に海外番販をしたいというケースも非常に多くなっているということがございます。

従いまして、こういった申請件数の増加、放送直後の二次利用の増加といったことに対処するべく、対応策を考えておるところでございます。

色々と、体制の強化、これは勿論でございます。それから申請許諾手続き、それから支払明細に係るこういった流れの ICT 化と業務フローの見直し、そして、aRma 扱いの実演家をさらに拡大していくこと、そして、システムのバージョンアップ等々を行い、今後の色々な需要に応えていきたいと考えております。

以上でございます。

村井 純 主査: #

はい。ありがとうございました。それでは、只今のご説明に関しましてのご意見・ご質問等お願いします。

如何でしょうか?

はいどうぞ。

(多分 / 声から判断して)田胡 修一 委員(日立 / JEITA): #

あの、申請件数が増加と書いてありますが、具体的にどれぐらい、数的にどのくらいが、どのくらいに数字とか何かを……

橋元オブザーバ:#

はい。まだ通年ではないのでおおよその予測になりますけれども、大体年間 8 千件ぐらいとお考えください。内訳と申しますのは、一つの番組がネット配信で申請をいただくと一件、ビデオで二件、海外番販で三件というふうに、番組と利用区分でカウントしての数字でございまして、約、ネット配信が始まる前の倍とお考えいただければ良いかと思います。

村井 純 主査: #

はい、どうぞ。

河村 真紀子 委員(主婦連):#

質問なのですけれど、4 ページの下の「現状ではほとんど探索依頼は NHK からのもの」という意味が良く分からなくて、これは民放の番組には不明権利者さんがあまり居ないという意味なのか、それとも、この上の方に書いてあるように「わずかな出演者の連絡先が不明で二次利用されない」ということが民放では起きているという意味なのか、ちょっと、意味がよく判らなくて、何故、民放からは(依頼が少ないのでしょうか?)

橋元 オブザーバ:#

民放さんからの依頼が少ないのは、例えば、民放さんが連絡先をご存じであろうかと思います。少なくとも、aRma 扱いでないとお返しした権利者がクリアできなかった為に、二次利用できなかったという事例は、あまり聞いたことがないです。

村井 純 主査:#

つまり、この但し書きは、今の意味と言うことなのだけれども、これをどう解釈すればいいかということだとすると、これは、課題としては何なのでしょう。これは課題ではないのですか? 課題としては何かというお考えがあるということですか?

橋元 オブザーバ:#

不明権利者探索業務を行う意味というところなのですけれども、まあ、裁定制度の要件を満たすということで開始されているのだと思うのですが、裁定制度の利用がないという問題がありますので、探索業務を今後どのように行っていくかという見直しが必要かなと。

村井 純 主査:#

なるほど。つまり、不明権利者の探索というのは、本当はそういう需要がないのではないかというのが、検討課題になったという……

椎名 和夫 委員(CPRA):#

よろしいでしょうか。需要がないのではなくて、NHK さんなんかは古い番組が多いですから、どうしても、所在の不明な権利者さんが居ると。で、文化庁さんが定めた一定の要件を満たすべく、我々は不明者探索業務を行うのですが、実際に、その裁定の申請という段になると、なかなか制度が使い難いということがあるようなのですね。

で、実際この、そもそもこの裁定制度というものは実演家には無かったのですが、実演家にその裁定制度を導入する必要があるということが散々言われまして、まあある種の、裁定制度を権利制限と考えれば、そういうことが流通に必要なのだからと、すごく鳴り物入りで導入された経緯があるのですよ。

だけど蓋をあけてみると、あまり使われていないと。やっぱりそういう、ある程度、制度による対応というのは、きちんとそれが機能しないとですね、あまり意味が無いのではないかというふうなことを、ちょっと趣旨としてはこもっています。

だから、使いやすくなっていけば、もっと申請件数も増えていくと思うのですけれどね。

村井 純 主査:#

はい、どうぞ。

池田 朋之 委員(テレ東):#

民放の立場で申し上げますと、他局さんは判りませんけれども、テレビ東京の場合はやはり、椎名さんが仰ったようにですね NHK さんと違いまして、新しい番組をネット配信しております。

ごく直近のドラマが主でございまして、まだ、不明権利者が出るというようなものはですね、二次利用する環境にないと。基本的にはビジネスとして成り立つためにはまず新しいものからというスタンスに立っておりますので。

今後ですね、ネット配信が日常的に行われるようになり、弊社でも過去のアーカイブも含めてネット配信をするというようなことになれば、不明者探索・裁定制度というものは非常に有用なものになるであろうというふうには期待しておるのですが、まだ、そこまで至っていないという状況でございます。

まず、新しいものから配信していくというのが、我々のスタンスだということです。ただ、ある意味、どこかではこの裁定制度を使う、それはそんなに遠い将来ではないのだろうなというふうには認識しております。

村井 純 主査:#

判りました。どうもありがとうございます。はい、どうぞ。

植井 理行 委員(TBS):#

今、池田さんが仰ったのに加えまして、新しい番組を中心に配信するということで、今のところまだそれほど、私ども民放から見て、それほどのニーズというのは NHK さんと違ってないということは一つございますし、あとまだまだ、椎名さんが言われたような、制度自体を、まだこれは出来たばっかりでもございますので、この制度をどういうふうな形でもっと使いやすい・運用しやすいような制度にしていくかというような検討も、引き続き必要であろうと思っております。

と申しますのは、やはり配信のサイクル、つまり、配信番組をどういうふうな形で編成するかというサイクルから考えまして、現行の不明実演家の方の調査に要する時間が、これは aRma さんが今仰ったシステムの改良とも今後からむ話だと思いますが、まだまだ時間がかかる。

そういったところをどういう風にで改善していくかということが重ねて必要になってくるだろうと私ども考えております。

村井 純 主査:#

はい、判りました。ありがとうございます。浅野さんどうぞ。

浅野 睦八 委員(IBM):#

済みません、基本的な質問をさせてください。少し頭がこんがらがっておりますので。

この仕組み自体は非常に良いものだなとは思ったのですが、最初、私はですね、このシステムを使うのは、過去の番組に対してだと思っていたのですよ。要は、最近の新しいものであれば、元々二次利用を前提にするということまで含めて許諾を取っておけば、このシステムを使う必要はないのじゃないかと。

それに対して、過去はそういう契約をしていなかったから、こういう仕組みがあることで、その利便性でこういうものを使っていこうということだろうと考えたのですが、今、新しい番組もという話を聞いたものですから、そうすると、アレ?と。

このシステム自体は新しい番組でも使うということは、元々本来二次利用まで考えて許諾を取っていれば、こういうシステムは新しいモノに対しては使う必要はないと思っていたのですが、そこのところはどうなのでしょうか?

村井 純 主査:#

はい、どうぞ。

橋元 オブザーバ:#

局の皆様に伺いした方が、お答えいただく方が良いかもしれません。私の理解では、現在出演の際に、二次利用の権利クリアまではあまりなされていないのではないかと。

私どもの方が始めて二次利用の申請を受けて、許諾を取るということで今運用をしていると理解しております。

村井 純 主査:#

はい、おねがいします。

石井 亮平 委員(NHK):#

おそらく一番直近で使われる例として、NHK オンデマンドのキャッチアップサービス、見逃しサービスの例があるのかと思いますが、あれに関しましては出演時に許諾をいただいて、この仕組みとは別に権利料をお払いしているということもございます。

一部の海外配信についてもそういう例がありますので、色々な制度を組み合わせてですね、一番円滑に流通するということは考えているのではないかと。

村井 純 主査:#

はい、そのほかこの質問に対するお答えはどなたに聞けば……よろしいですか、それではお願いします。

植井 理行 委員:#

確かに古い番組、ライブラリソフトを利用するにも非常に役に立つシステムかと思いますが、aRma さんのこういったシステム自体が、私どもの方でどちらの、実演家の所在が判っていても、どこの組織に属していらっしゃるのかよく判っていないケースや、あるいはそういった方々に、間違いなく使用料を配分させていただくということから考えますと、非常にありがたいシステムというふうに考えております。

もちろん、色々なケースございます。例えば、見逃し配信のような場合には、制作時に許諾をいただくということは、実演家の方からも事前にやっている訳ですが、それでもちゃんとしたお支払というのは必要になるものでございますので、aRma さんのシステムが、私どもの新しい番組、古い番組だけでなく、新しい番組の為にも、非常に二次利用に役に立っているというのは間違いのないところです。

村井 純 主査:#

はい、判りました。どうもありがとうございます。はいどうぞ。

椎名 和夫 委員:#

いずれにせよ、裁定制度というものが導入された際に、偶々僕も文化庁の審議会等に参加しておりましたが、放送事業者さんの強い要望で導入されたという経緯がありますので、やはりその、実際の申請事例が 2 番組 100 名というのはちょっと情けないのかなと。

で、使いにくいのなら、使いにくいところをちゃんと議論して、こういった制度がちゃんと機能するように考えていっていただけると良いなと思います。

村井 純 主査:#

はい、ありがとうございました。その他なにかございますでしょうか。……はい、それではこの件、また何かございましたら、最後の方で時間が取れればまたご議論していただきたいと思いますが、次は、コンテンツの海外展開ということも委員の皆様方からご指摘をいただきましたので、その海外展開の取り組みということでのご発表をお願いいたします。

これは、御二方にご説明していただいて、そして、その後まとめて発表をお聞きしたいと思います。

最初は、テレビ番組製作社連盟、ATP の矢島様お願いします。

矢島 良彰 オブザーバ(ATP):#

いまご紹介にあずかりました ATP、全日本テレビ製作社連盟、番組を製作しているものの連盟ですけれども、昨年の 12 月に NHK をはじめ、テレビ局、それから関係する製作者団体の協力を得てですね、東京テレビフォーラムを開催いたしました。

これは、どのような経緯で、どのような目的を持って企画したのかということですけれども、直接の動機は 3 月の東日本大震災、大震災から 1 ヶ月ほどして、それまでは海外にニュースが流れるという状況が続いていた訳ですけれども、1 ヶ月ほどしてから我々の所に、海外のテレビ局からドキュメンタリー、復興とか原発の問題、そういうことに対してのドキュメンタリーを求める、共同制作を求めるというような情報が入ってきました。

そういう中で、我々としては製作者として何か対応できないだろうかと考えていたところからですね、この国際共同製作ということに向けてのイベントと言いますか、フォーラムを開けないだろうかということで行いました。

テーマとしては、「放送コンテンツの海外発信力を強化する為に、今、何が求められているのか」ということを同一のテーマとしまして、その次ですけれども、具体的な対応としては、シンポジウムとピッチング・セッション、ピッチング・セッションというのは国際共同製作に向けての公開企画提案会議ということですけれども、ワークショップというこの 3 部構成で行いました。

今日は、このフォーラムの内容とですね、フォーラムを行ったことによって見えてきた海外展開への課題ということについて、簡単に説明させていただこうと思います。

シンポジウムはまず、「海外における規制と支援の現状」という第 1 部、それから第 2 部では「そういう中で番組製作者はいったいどういう風に取り組んでいるのか」、1 部・2 部は海外の事例を知るということで、第 3 部として、では「日本はどうあるべきなのか」ということで行いました。

海外における規制と支援の現状ということに関しては、フランスですとか、韓国ですとか、アメリカですとか、時間の都合もありまして、4・5 ヶ国の方の事例を伺いました。

その中で、特に印象に残っておりますのは、フランスと韓国の例です。非常に、コンテンツの海外展開を促進するという視点で、国の支援がある程度きちんとできていると。様々な政策が取られています。

例えばフランスの場合で言うと、5.4% ですか、課税、広告収入・受信料収入に対して課税がなされている。それが、番組製作者が次の番組を作る時に資金の援助になるというようなことも行われています。

それが使われる分野が決っている訳ですけれども、ドキュメンタリですとか、幾つかの分野に限られる訳ですけれども、大体 20% 近くの製作がそれによってまかなわれる。ということで、なかなか、視聴率とか、ビジネスになりにくいドキュメンタリというものをフランスでは 2400 時間放送になっていると。私達としては非常に印象的な話でした。

それから韓国もコンテンツの振興策というものがとられておりまして、その結果この、韓国は 1999 年に変革が行われたそうですけれども、この 12・3 年のうちに製作会社が 400 社に増えたというような報告もありました。

海外におけるそういうコンテンツの海外展開というものがどういうふうに支えられているのかということについて、非常に興味ある発言がありました。

それから第 3 部、日本がどうあるべきかというシンポジウムを行ったわけですけれども、この中でも大変示唆に富む提言がありました。ちょっと二・三紹介したいと思うのですが、例えばですけれども北海道放送、北海道テレビ放送の樋泉社長、「海外からの視点で地域を考える、東京からの視点や視聴率では絶対に番組を作らない」という提案です。

テレビマンユニオンの重延氏は「日本のプロデューサーは実に貧しい、これからは製作と配給両方を理解して進めていくことが大事だ」と。それから、荒井昭博フジテレビの編制局長は、「国家戦略として出ていく時には、テレビは最高の武器になる」というようなご指摘ですとか、東映アニメーションの高橋浩氏は、「海外戦略で意識しなければならないことは、作品や地域によって戦略を変えていく必要がある」という発言、様々な発言がありましたけれども、各それぞれの分野において、取り組んでおられる方々がもういらっしゃるということですね、日本の中でもいらっしゃるということを、大変興味深く伺いました。

それから二つ目のピッチング・セッションですけれども、これも、日本では今回がドキュメンタリのピッチング・セッションとしては初めての取組だそうですけれども、そもそもは 30 年ほど前に、カナダで始まったと。世界で、30 回ぐらい年間でですね、ピッチング・セッションが行われていると。

ピッチング・セッションとはどういうことかと言いますと、番組製作者が海外のテレビ局だったり、ディストリビューターという配給会社の方に向って企画提案をすると。で、面白ければそれに対して出資をすると。自国の放映権と引き換えに出資をすると。NHK も、まあ今回、そういう意味では NHK の支援、大変な協力をしていただいたのですが、NHK 自身も世界の海外ドキュメンタリ購入にあたって、何割かはこうした形で海外のピッチング・セッションに出かけていって、その場でこれは国の放送・市場に対して様々に合うというものは共同制作を組んで、購入して来ておるという現状があるようです。

それで、今回はここに参考資料として当日配ったガイドブックを置きましたけれども、この 10 ページからコミッショニング・エンタティ、テレビ局だったり、配給会社の番組採択権限を持っている方々 19 名をお呼びしました。この方々の前で、日本から募集した 57 企画の内の 21 企画を、3 分のトレーラーと言いまして、まあデモ映像のようなものですけれども、これを使って説明をしました。

非常に、結果としてこれは来られた海外のテレビ局のプロデューサー・デシジョンメーカーですか、採択権を持っているプロデューサーの方に伺うと、非常に面白い企画が集まったと大変好評でした。

震災という企画も多かったりしてですね、非常に充実したピッチング・セッションの場になったのです。私も予想以上に面白い場になったなと思ったのは、その場、そのものが国際共同制作が行われていると。

一つの企画に対して、どうすればもっと掘り下げられるか、深くなるか。私達がどちらかというと視聴率とかそういう概念に捕らわれて作ろうとしていると「いや、それは違うのじゃないか」と、もっと「その視点は何なのか、言いたいことは何なのか」と企画そのものがその場で成立していくという、まさに国際共同制作の第一歩がこのピッチング・セッションの場であるという認識を持ちました。

それでこの中から、その次の成果というところになるのですけれども、成果ということに関して言えば、コミッショニンング・エディタの期待に応えることができたというふうに、ある程度、一回目としてはという但し書きがついて良いと思うのですけれども。

実行委員会としては、ベストピッチ賞というのを選んでいただいたと。海外から来られた方に選んでいただいた。それが一番上に書いてあります「波の向こう (Beyond the Wave)」、これは三宅 響子さん [参考] というまだ若い、30 過ぎぐらいの映像作家の方、ロンドン在住で日本ではまだほとんど実績の無い方です。この方が提案したものが、一番、彼らが選んでベストだと選んだのですけれども、早速 NHK、それから BBC、ARB というドイツの公共放送が共同制作を、これは決まりました、動き始めています。

それから、奨励賞というものも選んでいただきまして、「ニュークリア・ネイション〜原発の町、避難生活の 1 年〜」これはドキュメンタリージャパンという製作会社の提案だった訳ですけれども、2 月のベルリン国際映画祭に招待 [参考] され、フランスの配給会社が世界配給をするということで、これも決まりました。

それから「出汁(だし)」という実に日本的な、かつおぶし・こんぶ・しいたけ、この出汁という番組、提案ですけれども、これも海外の人は非常に高く評価したと。

それから「泥棒の家路」これはかつて民放の記者だった方が、その経験を生かして今年の 4 月に広島の刑務所を出所した 60 を過ぎた、泥棒暦 21 犯というこの男が、母親、80 幾つになる母親が待つ群馬に帰ってくると。その家路を追いかけようというものです。山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」ですか、という映画がありましたけれども、あれのドキュメンタリを彷彿とさせる、これもまだ交渉中ですけれども、フジテレビ・BBC・スウェーデン国営放送というところでの交渉が進んでいます。

こういうような、他にも 6 企画が特定のテレビ局との間で交渉が進んでいるということで、まあ一回目の成果としては非常な成果を上げることができたのではないかと考えております。

また、成果としてはもう一つ、人的なネットワークが芽生えたと。海外から来られたプロデューサーの方と、我々製作者の間で名刺交換がされ、話、議論がされたことでそれが芽生えたのではないかと。

それから、私達が海外のプロデューサーが日本のどんなテーマに、どういう番組に興味を持つかということの一端を知ることができたと。そういう意味では成果がある程度あったと言っていいのではないかと思います。

今後の展望と課題ということですけれども、いずれにしても日本がグローバルなコンテンツ製作と流通の拠点になるということが大事なのですけれども、今、日本だけがこの国際共同制作から、NHK が海外に出ていって購入している以外切れているのですね。全く繋がりがないと。

何かこう、橋をかける作業が必要なのではないかと思うのですね。橋をかければそこをトラックが通り、人が通り、流通が進んでいくように、橋さえかければこの日本のクローズしている状況と世界、世界はもう繋がっているのです、ピッチングセッションというのはそれぞれ関係者が協力しあってやっているので、一端に繋がればこれが繋がっていくということなのですね。

そのためにも、持続的な体制をしていくと。毎年、何月になれば東京に行けば、東京に日本を始め、アジアの情報・製作者が集まっていると。そこに行けば面白い企画があるよというふうにしていくためには、持続的に開催していく(必要がある)。

しかし、まあ今回もそうなのですけれども、話が進もうとしても言葉の問題ですとか、契約の問題ですとか、日本人なかなか不慣れだということで、やったことがないと。そういうことで、通年を通じてのフォローをしていくなかで決まる企画も増えて来るのではないかと。

それから、先ほどの重延さんではないのですが、「こういうことが判るプロデューサーが日本に居ない」と。流通と製作の両方が判る、国際流通と制作の両方が判るプロデューサーが居ないと、こういう人材の育成、こういうことが大事だと。

日本が国際理解をこれから進め、貿易振興という面もありますし、観光誘致という面もあると思います。そういう意味で、非常に重要な要素として今のようなコンテンツの拠点となるというのは重要な意味を持っていると思います。

それから、放送局との課題というのも大事です。私どもは著作権や窓口業務ということを巡って放送局、NHK はじめ民放それぞれと交渉をしていますけれども、基本的に、著作権は製作会社にないというのが現状です。それから、窓口業務に関してもテレビ局が握っています。

私どもが例えば国際共同制作ということをやろうとしても、仕掛けようとしても、できないのです。権利がないので。この問題を何とかしなければまずいというのが一つあります。それから製作委託の減少というものがあります。基本的に作れないのです、製作会社は。

テレビ局が、製作会社に製作委託という形で発注していた業務がこの数十年の間に極めて減少しております。ドキュメンタリーに関しては殆どないと。特に民放ではですね。NHK に関しても、BS 波、総合波はやはり少ないだろうと。

こういうことの問題は解決されていかないと、いくら私達製作会社が海外と組んでやろうとしても、足元が固まっていない。やはり、国内のテレビ局が協力してくれるというのが大事なわけです。ところがそれが作れないというのが現状です。この辺はやはり、これからの課題として解決していかなければならないと思います。

それから、規制と支援ということですけれども、そういうことを受けてですね、やはり私は、海外の国々がそれぞれの文化と、それから、自国の文化を守ると同時に、自国の文化を外にアピールするという意味で、規制と支援ということを篤く行っている訳です。

私ども日本はどうすればいいのか、何もしていないのではないかと、この点においてはですね。そういう印象を強く持ちました。今回、色々な人の話を聞いてですね。

やはり、コンテンツということが、ほとんど政策上見逃して来ている。これだけ各国は力を入れて、自国の文化を守り産業を育成するという面から力を入れてやっていることを、日本は何もしていないのじゃないかという気を強くいたしました。

それれ、あまり喋れないのでアレですけれども、北海道放送、北海道テレビ放送ですか、ここは北海道に、北海道は観光県、それから農業県であるのですけれども、東南アジアに、アジア諸国から観光を誘致する、アジア諸国に農業産品を売り込む、こういうことを北海道テレビはいち早く協力して取り組んできて、大きな実績を上げている。

その樋泉さんが仰ったことですけれども「テレビは地域の文化の再発見です」と地域の文化の再発見、北海道放送だから。言い換えれば、「テレビは日本の文化の再発見が役割でしょう」と。それでテレビを作る人たちに対してこう言っていると。「海外の視点で考えろ」と海外からの視点で地域を考えろと、北海道を考えろということですね。「東京からの視点や視聴率では絶対に作らない」と仰っていました。今回、大変印象的でした。東京からの視点ではなく、海外の視点で作れ、視聴率で作るなと。

テレビ局の社長が視聴率で番組を作るなという発言を公にしておられることを今回初めて聞きました。今まで、やはり視聴率というモノに捕らわれてきた結果が如何にコンテンツを貧しくしているか。そのコンテンツが国内では意味があっても、海外に出ていかない。

いずれにしても、海外の人が日本に来て日本のテレビを見たときに「ああ面白いテレビだな」と思わなければ、誰も買ってくれないわけです。その番組を私達製作会社は、作りたくても、今の現状の中では作れない。

それは例えば、海外に売れても、海外は 100% 制作費を出してくれる訳じゃないわけです。一端部分しか出してくれない訳です。半分以上は国内のテレビ局からの資金で作らなければいけない。それは国際共同制作のある種の、自国のテレビ局の乗ってこない企画には海外のテレビ局は乗ってこない訳です。そのことを考えると、やっぱり日本の放送局が、海外の視点で番組を作ると。国内の視聴率にがんじがらめになっている状況からやっぱり出ていくということがなされないと、この国際共同制作というものは進まないと。

その意味での、国家戦略に基づいたコンテンツ製作というものが、国内、対内ということもそうですけれども、対外を進める為に、対内の国内のコンテンツ製作というものを基本的に見つめなおして進める必要があるのじゃないかということを、今回の東京テレビフォーラムを開催して、強く感じました。

これについては、今回もそうですし、総務省さんの資金的な援助を受けて開催することができた訳です。今年も、開催していきたいと考えています。というのは、一年間、30 のピッチングセッションが 1 月から 12 月までずらっと並んでるのですね。私達が入ってくる隙間がほとんどないぐらい進んでいるのです。今ここで私達がきちんと意思表示をして世界に出ていかないと、出ていけなくなってしまう。

そういう意味でも、是非、今年も開催したい。これから資金集め等頑張っていきたいので、ひとつ、よろしくお願いします。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございました。それでは議論はその次のフジテレビの千葉様の発表の後に、まとめて行いたいと思います。それでは、千葉様お願いいたします、

千葉 晋也 オブザーバ(フジテレビ):#

はい。ご紹介にあずかりました、フジテレビ千葉でございます。資料 4 ですね、お手元に置いていただくか、あるいは目の前のモニタを御覧いただいて、説明を申し上げます。

扉を開いていただいて、弊社としての海外展開の取り組みということで、現状とそれから阻害要因、問題点ですね、それから今後どうしていくか、その三点に関して概要・概略を説明申し上げます。

まず、番組の海外展開ということで、従来から柱になっているのは、番組の放送権の販売でございます。90 年からですね 2000 年初頭にかけては、台湾・香港を中心にいわゆる日本テレビのドラマのブームがおこってですね、海外番組の放送権の販売も活況を呈したという歴史がございます。

ご案内の通り、2009 年以降は、韓流ドラマが台頭しまして、一方で、急激な円高の進行等の影響で、海外番組販売に関しましては売上が激減しております。

これではいけないということで、2010 年以降、色々な方のご協力を得まして、あるいは、従来のドラマを中心のラインナップを拡充していくことで、なんとか売上の拡大を図っているというのが、放送権販売の現状でございます。

次のページをめくってください。それと並行しまして柱となるべく努力を今しているのは、ドラマのリメイク権販売、要は、過去にやったドラマをもう一回諸外国で作るということに関わる許諾ですね、2011 年からこのジャンルが急拡大してくる訳ですけれども、相手先は主に、中国・韓国です。

背景には、中国はドラマブームで一時需要が高まりましたが、後で述べますけれども、政府当局からリメイク権について規制の通達がありまして、今現在はちょっと今後どうなるかですね不透明な状況です。

韓国ではドラマ重要の高まりがございまして、自前の原作等々が無くなった結果、日本のドラマ、過去のドラマをリメイクしたいという要望が高まっているという背景がございます。

バラエティに関しましては、所謂フォーマットでございますけれども、弊社の番組であります「料理の鉄人」が 2003 年にフォーマットで売れてからですね、フォーマット販売というものが段々認知されてきたというのが経緯でございます。

ただし、これは要は、購入金額というか、販売金額が製作費に直に連動してきますので、先進国、特にアメリカの売り上げの割合が多くなっております。

次のページをお願いします。さらに、今後の 3・4 ですね。新しいジャンルでございますけれども、単にリメイク権・フォーマット権を販売をするのではなく、それに関わる番組制作のノウハウ、あるいは監修業務、そこら辺もセットで販売するということですね。

さらには、販売するコンテンツの周辺ビジネスですね。マーチャンダイジング、音楽・その他までセットにして売り上げにつなげていくと。

最後が共同出資制作事業ですね。ドラマのリメイク権販売に関して、製作費の一部を局が負担して、一緒に製作していくというのが、共同出資制作事業です。

それでは、資料をお手元に配布しておりませんが、口頭で、大体どれぐらいの売り上げが弊社の場合に見込まれているのかですね、ざっくり申し上げます。

2007 年度、販売の柱は番組販売、放送権販売とフォーマット権です。2007 年度で合計が 6 億 4000 万ぐらい。2008 年度も同じぐらい売れておりますが、2009・2010 でですね、まあ、世界経済の不況、それから違法投稿動画が出てきた関係で、番組販売のポーションが落ちていて、売り上げも 5 億程度に、トータルでですね、年間の売り上げが落ち込んでいるというような現状がございます。

目標としましては、かつての売り上げ、6 億以上の売り上げを見込んでですね、今後の販売に力を入れていきたいと思っております。

じゃあ、次のページをお願いします。

それでは、問題点ですね。どかが問題で、どうなっているのかというところですが、まずはその種別ですね。動画投稿サイト、ファイル共有ソフト、違法ダウンロード配信サービス、オンラインストレージを悪用するサービス等々で、海外展開、特に番組販売の売り上げに直に響いてくると。

特に中国の動画投稿サイトなどではですね、ドラマのオンエア翌日に中国字幕のついたコンテンツがそのままアップロードされるというような事態がございますので、タダで見られるものと、お金を払って見るもの、どちらかということになりますと、解は自ずから判ってきてしまうという状況ですね。

加えまして、②としまして、放送をまるごとリアルタイム送信するサービスと言うのがありまして、これも番組販売に多大な影響を与えておりました。その下に、具体的な例として、Jネットワーク のことが書いてございます。①と②の複合型のサービスでございまして、これについてはフジテレビが摘発しまして、このような結果が出ているということをご紹介いたします。

次のページをお願いします。

傾向と対策なのですけれども、要は違法投稿動画等々に対してですね、やっぱり現行法制では中々実効性がないというような印象を持っております。

いくら検出して削除要請をしても、件数が減らない。あるいは中国等々の動画投稿サイトでは、そもそも削除もしないという例もあるという現状では、ちょっと、一私企業が対応できるレベルを遥かに超えているというような実感がございます。

また、ファイル共有ソフトを使った P2P の海賊行為に至っては、まだ実態さえよく判らない。効果的な対策についても、今、総務省の別の、不正流通の座組でですね、検証を続けている状況でございます。

次のページでございます。番組販売に伴いまして、要は、韓国・中国のコンテンツは配信権コミの番組販売が普通になっておりますが、日本コンテンツにおいては、まだその部分がまだルールがないというようなことで、配信コミで、放送コミで幾らという販売条件で売っているのと、ちょっと配信は別途にしてくださいと言っているので、販売条件に差がありますので、そこら辺で一歩立ち遅れているという印象がございます。

プラス、中国に関してですが、先ほど申し上げましたように、リメイク権の購入を規制するt、制限するということが行われているのと同時に、バラエティに至っては週に 2 枠のみですね、プライムタイムの放送しか枠がない。要は売ろうとしても売れないというような現状がございます。

それから、日本のコンテンツは相対的にまだ、それほど大量に中国に入っていないからなのですけれども、対韓国からのコンテンツ、大量のコンテンツの流入に対して、中国政府は要は「買ってやるからその分中国コンテンツを買ってくれ」とバーターで買ってくれという要求をしているという情報もございます。

次のページをお願いします。

それでは、私見ではございますが、このような状況に対して、どういうふうな対策を立てたらいいのか。皆様方色々な意見をお持ちかと思いますが、忌憚のない意見を申し述べさせていただきたいと思います。

一つは韓国の事例なのですが、韓国は公的な違法投稿動画の検出・削除機関がありまして、ICOP と言うらしいのですが、ここで、違法コンテンツの検出・削除を一括してやっていると、総合的にやっているということですね。

なので、こういうような包括的かつ、総合的な取り組みというのは今後検討されても良いのではないか。

後は、1 の 2) ですが、アメリカでまだ成立には至っていないと思いますが、違法コンテンツを取り締まる具体的な施策ですね、そこら辺に関して、何らかの立法の検討に入る時期ではないかというような印象がございます。

次のページを。最後に、今後どうしていったら良いかですね。印象としては、ただ色々な放送局がバラバラに何かを売っているということであると、その実際のパイの広がりというか、ブームの広がりも限られてくるのではないかという印象がございます。

官民一体となってですね、、戦略的な映像コンテンツを開発して、それを海外に売っていくと。それを売るということは、所謂ジャパンコンテンツ、あるいは日本文化、ジャパンブランドを売っていく、プレゼンしていくということに他ならず、かつて韓国ドラマが一世を風靡したように、同じようなブームを作れないかということを考えております。

具体的には何かというと、単なる番販に加えまして、音楽からマーチャンダイジングですね、それからファッション・イベント・通販、ネットビジネスなどですね。売り先の国によって色々規制があり、できないことも多々あろうかと思いますけれども、単なる番組販売プラスアルファのところを勘案した道具立てというか、考え方が必要なのではないかと思います。

その為には、ここに述べましたように、放送事業者のみならずですね、例えばレコード会社、マーチャンダイジング・オモチャ等の開発をする会社とかですね、ファッションメーカーとか、そこら辺の異業種間のコンソーシアムを作ると。で、その核となるのが映像コンテンツというような座組ですね。

その為には、各売り先の国の日本企業の現地法人、あるいは現地事業者をうまく開発して、そことの共同関係を築いていくと。その為の事業開発資金を公的なものをいただければと。うまくこの座組が回せるのではないかというようなことを考えています。

ちょっと最後はざっくりとした話になりましたけれども、大体以上がフジテレビとしてのビジョンです。以上でございます。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございました。それではお二方のご説明の点について、ご意見・ご質問等お願いいたします。はい、どうぞ。

(発言者特定失敗):#

資料 3 に関してですが。お話の中で、コンテンツ製作と流通についての規制と支援という話がありましたけれども、日本の場合、海外に比べてどのような状況にあるとお考えなのか、お聞かせていただければと思います。

矢島 良彰 オブザーバ(ATP):#

私、個人的な意見としてはですね、ほとんど政策らしい政策というのはないのではないかと、日本は。そういう意味では非常に自由な所にあるような気がしますけれども、しかしながら、そのことによって、海外に出ていく力を持ち得ていないのではないかと。

例えばアメリカでもハリウッドというのは国策によって、文化戦略として作られた産業ですし、イギリスでも BBC 始め、テレビ局の外注比率というのがあります。フランスは先ほど言いましたような課税がありますし、韓国は直接番組に対するファンド、国家ファンドというものが行われている。

先ほど言いました、海外に今、30 ぐらいのピッチング・セッションがあるのですけれども、それはどこも、自治体だったり国家の支援で行われている。そういう位置づけがあって、国家が支援をしていると。

今回、私達は実現するために総務省に日参して、なんとかお願いしましたけれども、制度としてはまだ、日本ではないのじゃないかと思います。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか。はい、どうぞ。

堀 義貴 委員(ホリプロ / 音事協):#

この会議でも、国内のゼロサムはやめて外にいきましょうということをもう何年申し上げて来たかなと思うのですけれども、現状の事を私の感想で言いますと、韓国には例えばアリランTVという国策のテレビ局があります。これはもう、フルタイムで英語で、東南アジア全域、ヨーロッパ、中東、南米まで、大体ケーブルテレビのフリーのパッケージの中に入っています。これにもう一つぐらい大体韓国の放送局のケーブルテレビ無料パッケージに入るものが大体入っています。

日本放送局のものというのは、当然世界ではほとんどない訳です。唯一あるのが NHK ワールドワイドが 2・3 あると。アリラン TV は全編英語で、韓国の経済が発展するニュースをやり、K-POP をやり、韓国アイドルの番組をやる。で、CM はほとんど韓国の観光・文化振興なりの CM が入る。

NHK ワールドワイドは外国にいる日本人の為にほぼ日本語でやって字幕を付けると。ここに、実は大きな差があるのではないかなと。

僕らは海外に出る時に、ほとんどアジア圏は韓流一色だといっても過言ではないと。アニメソングに関してだけ、まだ需要があると。ただそのアニメは現地では放送されていなくて youtube で見ていると。なので非常に、逆転現象といったら変ですけれども、変な格好になってしまっている。

今、一番恐ろしいのは、ベトナムなんかに行きますと、ベトナムで女の子が結婚したい国は韓国人が一位、行きたい国も韓国が一位。日本の音楽は韓国の音楽の真似をしているというふうに取られている。それが世界中に実際には広がっているのです。

今やってももう遅いぐらいなのに、今でもやはり製作会社の皆さんが言っていることは 6・7 年前とほとんど変わっていない。それと今回千葉さんが仰ったことも、ほとんど変わらずに、中国ではいくらこちらが放送したくても、ゴールデンタイムに日本製のアニメが放送されることはありません。これは、外交の問題だと思います。

韓国でも、実際には日本のドラマがゴールデンタイムに放送されるということはまずないと。言わば開放をさせないことには、輸出しようと思っても、どんなに工業製品とセットでコンテンツを売ろうと思っても、実際に放送してくれるように、実際に流通させてくれるようなことを国がやっぱり言わないとダメだと思うのです。

言った後で、アリラン TV みたいな、本当にオールジャパンでやりましょうということが出てくるのだと思うのですけれど。ですからここは、総務省と外務省と文化庁と経産省と、そこが一体となってアジアのマーケットを開けてもらうことと、海賊品に対して厳重にアメリカ並みに抗議をして、きちんと外交で処理をするということも、是非、この場ではお願いしたいなと思います。

村井 純 主査:#

はい。ありがとうございました。そのほか如何でしょうか。どうぞ。

襟川 恵子 委員(コーエーテクモ / デジタルメディア協会):#

今、韓国の事例が色々と出ましたけれども、国家戦略としてああいう風な色々とコンテンツを世界に配信していくと。で……

村井 純 主査:#

済みません。マイクを入れて……

襟川 恵子 委員:#

済みません。韓国では国家戦略として色々なことをやっていると。でこのコンテンツ政策に関してましても、本当に、韓国の一大ブームを巻き起こした。それはもちろん国家戦略でやっている。勿論、アメリカのハリウッドだって、国務省の援助がある。

で、今韓国は何をやっているかというと、やはり産業育成の為に、例えば新しい産業を育成すると、土地もね、全部タダで、東京ドーム 1 個分だろうがタダで、50 年間タダですよ。それがおまけに税金は 7 年も 8 年も無税で、それも所得税も無税で、しかも地方税も無税であると。

そういうような保護された中で、重荷を背負う中で、我々は競争していかなければならない。そうするとやっぱり、税の配分から見て、知財立国と言いながらあまりにも脆弱というか、国の方針、それからこの国をどうしていくかという戦略が、勉強はそれなりだと思うのですが、中々その遅々として進みません。

今ダボス会議では、出版も映像も新聞も、全部がグーテンベルグコンテンツだと。全部著作権なんてないんだよと。もうそんなことじゃない。今これからは SNS のコンテンツが普及させていって、結局なんでそうなったかと言うと、ひとつは、自分で発信しながら、自分で作る人も多くなりました。それから明らかに、データを見るにしても、あるいは情報を見るにしても、参加している訳ですよね、どんどんどんどん。

じゃあこれからどうしたら良いのかということですけれども、まずせめて、今あるコンテンツクリエイターとか、そうした人達は才能とかあるいはバックグラウンドとか、色々な資産があるので、せめて国は、そうしたコンテンツに対して、海外でビジネスでしようとする場合は無税にするとか、あるいはその、例えば 7 年をするとか。

やはり、海外に出ていく場合はローカライズの問題とか色々な問題がありますから、最低でもそういう風なことをするのと同時に、私どもがそのコンテンツ配信、今までのような番組作成とかそういうことに対しても、新しいやり方を考えて取り入れていかないと、大きく世界の潮流から遅れてしまう。

一つさっき私は伺いたかったのですけれど、aRma さん、さっきの色々なコンテンツの二次使用の話があったのですけれども、そのコンテンツの二次使用をするときに、例えばそのコンテンツを、まあひとつの、例えばゲームソフトでもなんでも良いのですけれども、そこの環境を、色々な方が知りたいという時に、色々なコンテンツを映画番組からテレビ番組から集めましてね、その企業のポータルサイトに入れて、使用しただけその使用料を払うと。

ユーザさんが、まあ、契約の形にもよるでしょうけれど、例えば戦国時代であれば戦国武将のこととか合戦のこととか世界に発信するにあたって、それをそこのサイトの中で自由に見ていただくことができるということはできるのですかね?

ごめんなさい。私は二つのことを一緒に言ってしまったのですけれども、そういうものが、一つの例えばコンテンツプロバイダ、あるいはゲーム業界、例えば私の会社でもいいのですけれども、じゃあ戦国武将という番組を作った、それに対する色々な番組があります、コンテンツが。

それを全部集めて、非常に判りやすい設定を知りたかったりするときに、そういう番組を含めて、そこで直接ダウンロードして見ていただくという風なことはできるのですか?

村井 純 主査: #

はい。如何でしょうか。

橋元 オブザーバ:#

私ども、権利クリア組織でございますので、私どもに申請いただければそういったやり方の許諾をすることは十分に可能であろうと思っておりますし、私どもは現在、海外に関しましては、放送・有線放送・ネット配信・ビデオグラムすべて私どもの方でまとめて OK を出せるということに努めておりますので、そういったご相談があれば、もちろん私どもで調査をして可能であると考えております。

襟川 恵子 委員:#

コンテンツによって金額は全部違うのですか? それとも一括して契約の中で月額課金とか、それともコンテンツ一つに対して同一料金を全部ですか?

橋元 オブザーバ:#

それは様々なビジネスモデルは勿論考えられると思いますし、そういった所をご相談いただければ、できる限りのお答えはさせていただく予定でございます。

村井 純 主査: #

ありがとうございました。その他如何でしょうか?よろしいでしょうか?

それでは、御二方どうもありがとうございました。それでは、引き続きましてラジオのサイマル放送ということでございまして、こちらも御二方からご発表いただきまして、まとめて質疑応答の時間を取っていただくということでお願いいたします。

まず最初に、radiko の香取様お願いいたします。続いて電通の三浦さんからお願いします。

香取 啓志 オブザーバ(radiko / 朝日放送):#

主なことは電通の三浦さんの方から概要をお話いただいて、私の方は技術的な補足ということで、済みませんが三浦さんの方から。

三浦 文夫 オブザーバ(電通 / IP サイマルラジオ協議会):#

済みません三浦です。実はこのプラットフォームは香取さんと私で、2005 年ぐらいからほとんどのビジネスモデルとか、ビジネスプラットフォーム、あるいはプログラムシステムを設計主体でやってきたという経緯がございます。

簡単な経緯と、丁度 4 月から新しいビジネスモデル、この下にあるシンクロアドというのが始まりますので、デモもご用意していますので、御覧いただければと思います。

ええと……なにかうまく……おかしいですね(実演しようとしてトラブル中)。

ちょっとなにかこれが今一うまく行かないので、紙の方を御覧いただきたいと思います。まずシンクロアドというものを考えた理由というのなのですけれども、まず、テレビ・ラジオがリーチがどんどん低下しているので、ネットでサイマル配信すれば、PC や、今で言うスマホがですね、テレビやラジオになるということですね。

そしてもう一つですね、今、SEM(Search Engine Marketing) が非常に儲かっているのですね。去年で大体 2000 億ぐらい yahoo さん、google さんということで。真水で 1400 億ぐらいの利益があるのですけれども、これは全部放送が一生懸命プロモーションしているので、この検索をスキップして放送から直接ネットに誘導できないかということを考えたというのがまずあります。

次なのですけれども、背景、これは非常に古くて、ここにいらっしゃる香取さんとか、あとは協議会の会長をやっていただいた、宮原先生とか、山口英さんとか下條さんとか、大阪で実は APEC 大阪会議ということで、日本初のインターネットライブということを行ったり、実は 96 年に、大阪の 802 というところで、はじめての IP サイマルラジオというのをやっているのですね。

ほとんどこの同じメンバーが radiko の後ろ側のバックヤードを実は構築しています。当時は、JASRAC に聞いたのですけれども、それは一体何なのですかと言って、全く訳が判らないのでどうぞみたいな感じだったのですけれども、段々こう訳が判ってこられて、で、結局なかなか許諾が取れなくて、97 年に実はこのサイマルラジオというのは止めてしまいました。

そこで振り返ると、サイマル配信を阻んだ壁と言うものは色々ありまして、実はテレビ局にもラジオ局にも 2000 年、2003〜4 年ごろに話をしたのですけれども、まずライブドアとか楽天による買収なんかで、ネットにアレルギーがあったということ。それから先ほどから話があるような権利処理の問題。それと、やっぱり放送エリア、まあ放送法とか著作権法、電気通信事業法というのは全然いろいろ整合性が取れていなくて、どこから手を付けて良いか判らなかった。

それから技術的課題も、CODEC とか、まつでサイマルでやると言うと簡単に負荷分散ができないといったそういった問題がありました。それでですね、2005 年に IP サイマルラジオプロジェクトをスタートさせたのですけれど、まず東京のラジオ局 5 局に提案して、いいところまで行ったのですけれど、中々条件が整わず、先送りしました。

それから翌年ですね。2006 年 12 月に在阪 6 局で実験提案を行いました。で次なのですけれど、そして 2007 年の 4 月にですね、IP ラジオ研究協議会というのを今の NiCT の委員長の宮原先生にお願いして、実は、ここにいらっしゃる中村 伊知哉 先生にも理事になっていただいて、協議会を発足しました。

通信の場合、この当時なのですけれども、個別に全ての権利処理はほぼ不可能と思って、まず、とにかく放送にしようと。無理矢理放送の枠内に収めようということを考えて、まずマルチキャストにすると。それで、IPv6 という技術を使って、放送の要件を整えまして、有線ラジオ法という、昭和26年ぐらいの放送の要件に整えるようにして、無理矢理やりました。

で、各局はこの協議会に再送信同意するということで、マスターアウトではなくて、わざわざ一旦電波を受けて、ちょっと質を落としたものからエンコードするというような、非常に苦労をしてやりました。

その後ですね、非常に限定してやったのですけれど、放送であるので、わざわざ権利者の方には放送だからいいじゃないという訳にはいかないので、ここに書いてあるような主な権利者さんには、事前にこういうことを実験だけどやらせていただきますということで、特にですね、今日ここには堀さん畑さんいらっしゃっていますけれども、音事協さんとかレコード協会さんには非常にこの時も協力していただいて、前向きに応援していただけました。あらためてお礼申し上げます。

この radiko という名前なのですけれども、radio の子供とか、radio 君とか radiko ちゃんとか色々な諸説があるのですけれども、単純に radio.jp というドメインが空いていなかったので、何か KO かなって付けたというのが真相です。

その時に、コンテンツとして力があることが改めて判ったのですけれど、非常にこのとき、各局にエンコードを置いていたりすると、ものすごい遅延があったりということと、マルチキャストをやるまだ技術的な条件が整っていない。具体的には、当時は NTT の Fletz Premium / NEXT のみで、OS も Windows の Vista のみということで、ほとんどこれは放送の要件を整えていたら実用化は難しいので、通常のインターネットでやるしかないなというのが結論でした。

実はここでですね、ちょっと専門的になるのですけれど、2007 年に著作権が改正になって、要は、先ほどから出ていますけれど、実演家、実演家というか隣接権者の権利制限を多少して、サイマルをやりやすくしようよというような法改正があって、なんとなくそういうようなムードになりました。

ところがですね、これはどちらかというテレビの IPTV のみを想定していて、4Mbps 以下の伝送速度は役務利用法の適用外とするというようなことで、この著作権の権利制限条項は使えなかったのですね。

で、どうしようかなという時に、丁度レコード協会さんと CPRA さんが一任型のこういった同時ストリーミングの管理事業を開始するので、これが突破口となってなんとかできるのではないかなとなりました。

その後ですね、東京局に提案、それから研究協議会から 2009 年で IP サイマルラジオ協議会ということで、改めて宮原先生、それから中村先生にもお願いして始めました。

そしてですね、次の 2010 年 12 月 1 日で radiko 設立と、で 54 局が参加なのですけれど、この 4 月には全国 70 局の予定です。アプリ、これはバージョン違いもあるのですけれども、iPhone 500 万、Android 160 万、PC ガジェット 300 万ということで、今は大体ユニークユーザが月に 700 万〜800 万ということで、こういったサービスとしては非常に大きな成功なんじゃないかなと思っています。

それでですね、この権利許諾なのですけれども、実はまだ、全然今も現在進行中です。というのは、各放送局さん、CP が主体なのか、プラットフォームが明確でないかというのが、どちらが主体なのかというのが明確でないということと、音楽については集中管理ちゃんとしていただいているのですけれども、個別の実演家あるいは、この下にあるような色々な権利者さん個別、それは放送局がお話をした方がよいケースと、プラットフォーム側がやった方がよいケースと、ちょっと色々バラバラで、まだ明確なものではありません。

ただ、今までですね、radiko というのは基本的には無料で、とにかくリーチを広げるということで問題なかったのですけれども、実はこの 4 月から新しいビジネスモデルをやろうとしています。

それがこのシンクロアドというもので、これは上手く行くかな、ちょっとデモを持ってきたのですけれど……ちょっと待ってくださいね……(委員席でデモ音声が流れ始める)……ちょっと御覧ください……動画が出ないですね……ちょっと、ちょっと待ってくださいね、何か上手くいかないなもう一度、これで上手く……(デモムービーが流れ始める)

……(デモムービーが終わり)済みません。今多少、シンクロという場面のところがあったと思いますけれど、前の画面に戻ってよろしいでしょうか。要はこれは放送は、検索なしで放送からダイレクトにネットに誘導するという仕組みでして、これで検索という途中のステップなしに、直接、広告・販促・販売、あるいはフェースブック等のソーシャルメディアに行けるという仕組みです。次、お願いします。

これはですね、実は放送局は全く何もしないで、とにかく事前に登録した CM が流れたら、自動的に出るという仕組みです。これは NTT さんの技術、フィンガープリントの技術を使わせていただいています。

で、実はこのシンクロアドだけじゃなくて、例えばこれはアーティストさんだとかあるいは番組だということで色々なことが応用できますので、基本的には今、権利者さんにお話しているのはですね、とにかく勿論これで実際どういう収入で、どういう権利料を払えば良いかという話はずっとさせていただくのですけれど、基本的には、需要を拡大するというか、マーケットを拡大するということで、例えば放送から直接ライブのチケットを買えたりとか、CD を買えたりというような、あるいはアーティストプロフィールが判ったりというようなことをやって、とにかく需要を広げるということをできるだけご協力したいなというふうに考えています。

今、その辺のお話をやりますし、丁度 2 月 20 日ぐらいから一部、こういうことをスポットなのですけれど、やっていく予定です。次、お願いします。

今までラジオをやっていたのですけれども、こうしたメディアプラットフォームというのが、実は全部大阪にありまして、大阪で 70 局分これからも色々そこで配信していくのですけれども、今度はテレビもですね、ある程度できないかということで、マルチスクリーン型研究会ということを、これは大阪大学の下條先生、やっぱり NiCT の研究員もやられていますけれども、こういったものを丁度 12 月に立ち上げて、メインスクリーンとセカンドスクリーンのシンクロとか、電波を利用して、IPDC 技術を利用したサイマルとか、あるいはテレビが写る・飛ぶ WiFi みたいな、テレビ WiFi みたいなものを考えて、マルチキャストからユニキャストにするものとか、メタデータ標準化とか、媒体価値指標とか、ビジネスモデルとか、こういったものをこれから研究していこうという予定です。

では最後、ちょっと簡単な補足を。

香取 啓志 オブザーバ:#

済みません。技術的な著作その他の所ですけれども、radiko の基本的な、よく言われるエリアはどうしてとかですね、色々言われるのですけれども、実際のプロトコルその他の所というのは、簡単な仕組みを今、入れております。

これで、ごく通常、今回議論になっているキーの信号とかですね、この辺のところ、暗号化キーとかですね、その辺を採用できる仕組みは一応簡単な仕組みとして実装しています。

ただし、それを実際にどのいうような形で展開していくかというその辺の所は、今後、先ほど三浦さんからもご紹介ありましたけれども、やはり、一千万とか二千万とか、非常に大きなマスとなった時に、この手の認証も含めて、例えば震災とかそういう時に、輻輳を起こさないような仕組みというところで、例えば、あるエリアのところの人たちは、こういう形で、そこに巧く迂回をして、もしくは非常に利便性をうまくできる仕組みで、こういう仕組みができればいいのかなという程度の、極端に認証を強くして、そこで他の人が聞けなくなるとかそういう仕組みの話は、まだ検討段階です。

できれば、今のクラウドとか、新しい、グローバルにアジアとか、世界を含めた形で、どこからでも、どなたが受けても良い形の仕組みとしては入れておりますけれども、今後、どういう展開になるかということは、全く新しい仕組みで作ってますので、その辺の所については状況を見ながら、そういうことで話を聞きながら、次の展開、次のターンを技術的なプラットフォームについては検証していきたいというふうに思っておりますが、先ほどあった、いよいよ 4 月からビジネスモデルというのもトライを始めますので、ある程度自立できる新しいメディアとしての技術的な検証としては、第一回この 3 月までということで、あとは 4 月から新しいプラットフォームでどこまでいくのかということを、次のフェーズに入るのかなと考えております。

以上です。

村井 純 主査: #

はい。ありがとうございました。それでは続きまして FM 東京の 藤 様の方から発表をお願いします。

藤 勝之 オブザーバ(FM 東京):#

はい。私ども FM 東京、TOKYO FM というステーションネームでございますけれども、ドコデモ FM という、radiko さんと比較すると、全国どこでもどこの FM でも聞けるということで、地域制限なしという特徴を持ったサービスとして説明をさせていただきます。

誤解の無きように、事前に申し上げておきますと、私どもも radiko に積極的に参加しておりましてですね、この無料のモデルの方も進めております。むしろ、平行した補完というビジネスという考えでやっております。

特徴につきましては、今申し上げたように、全国どこでも、全国のラジオ局が聞こえますと。ただし、スマフォのアプリであって、月額 315 円ということでございます。その他、地下鉄等でも音が途切れず聞けるなどというのは、radiko 様と同じところでございます。

次のページ、ここから、機能とボタンとか画面遷移について書いておりますけれども、百聞は一見に如かずと言いますか、一聴に如かずということで、書画カメラの方で音と画面を表示させていただきます。

(デモ表示)

これが、放送局を選んだ画面でございます。左側のが見えにくいですけれども、FM 東京でして、右側がおそらく FM 熊本さんではないかと思います。このバナーの所ですね、ステーションのバナーがありますが、これをタップしますとそのステーションが選択できると。で、画面をなぞりますと、全国の FM がずらずらずらと出てくるような感じになっております。北海道から沖縄までをカバーしてございます。左側の方は、流れている楽曲名、それから番組名等々について、リアルタイムで表示するという形になっております。時間もございますので、次に進ませていただきます。

お手元の紙ですと、4 ページの所に入ります。今、三浦 様の方から説明がありました、radiko さんとの比較、違いの所だけ申し上げます。

サービスのエリアについては地域制限なしということで、ただし国内のみでしか聞けない。これは GPS によって制限をかけておりますので、海外に楽曲がながれていくということはないということです。

ユーザの負担につきましては、先ほど申し上げましたように有料でございます。ラジオ局の負担としましては、音源を集約するまでの所は個々ラジオ局が負担をする。具体的に言いますと、回線費とかですね、エンコーダ等々の投資というものについては自分達でやるということでございます。

音楽の権利、FM 局でございますので音楽中心の番組ですが、これは規定に従いましてですね、有料でございますし、ルールに従って計算をして、お支払いをしている。その取りまとめを東京 FM がやっているというところでございます。

CM につきまして、これが大きな違いなのですが、radiko の方は放送のままそのまま送信をすることができますが、こちらのドコデモ FM につきましては、CM を当分の間、これは手作業、各局の手作業でございますけれども、フィラーの音楽に差し替えて放送、全国配信してございます。

ラジオ局の収入は、もちろん radiko 様の方も今の所は実績がないということで、今後シンクロアドがあるのでしょうけれども、ドコデモ FM は基本的に収入のためにやっているのではないということで、基本的に収入はナシということです。

で、私どもの配信は次のページに図がありますけれども、事業者を CP でありますけれども、ジグノシステムジャパンに委託しておりまして、こちらに収益があるかどうかということでいきますと、まずは配信回線費用や権利料の支払い、それからサーバやアクリファイズの投資回収というところにまず充当いたしまして、残余が出てくればですねバージョンアップ等々の聴取環境改善の原資に回していくという合意にしているところでございます。

で、位置づけといたしましては、radiko はここまで放送エリアも聴取できる地域も制限しまして、放送局のエリアと同じということは、放送の補完ということを強く意識しておりますが、ドコデモ FM としてはユーザーニーズに応えるコネテンツの事業と割り切ってやっていきましょうということでございます。

各プレイヤーの役割は、シンプルでございますけれども右からいきますと、音源の提供を各ラジオ局がやりまして、FM 東京の局舎に一旦通信回線で集めます。音源の集約、それから権利の調整、色々なところにご理解をいただくこと、それからシステム開発も FM 東京でいたしましたが、その実際の配信の運用、それから権利費等の計算・配分につきましては作業としてジグノシステムジャパンに委託しているというところでございます。

色が付いているかどうかアレですけれども、赤い、逆の矢印が、音声の流れの逆の矢印でございますけれども、ユーザ様からの会費が携帯キャリア等の徴収代行で取っていただきまして、ジグノシステムジャパンに一旦入り、作業としてはジグノシステムの方からですね、各団体にお支払いをさせていただく仕組みでございます。

ちょっと矢印が一つ抜けておりますけれども、その他の諸権利料につきましてもですね、ニュース等々の支払いにつきましては、こちらはジグノシステムジャパンというのは、作業として FM 東京の方から作業をしているというところでございます。矢印が一つ抜けておりますが、決して FM 東京が、手弁当、自前の財布から支払いしているのではなく、あくまでもユーザから頂戴したものの中から配布しているところでございます。

次のページは余計なお世話ですけれども、もう少しシンプルな形でですね、各局から音源の提供と、運用のお願いをする費用を radiko 様の方にお支払いして全面的に配信していただいているということでございます。

最後に二つございまして、有料サービスであることの考え方でございます。経緯として少し、若干、関係しますところを補足させていただきますと、2009 年 12 月にですね、一応 24 時間、地上波 FM ラジオのインターネットサイマルということでやりましょうと、iPhone のアプリをですね、権利団体の方々にご協力いただきまして、実証実験をスタートいたしました。極めて好評だったのですが、GPS で聴取地域を制限することで、IP 偽装等々を回避するという作業でやっておりました。こちらの方が、地域制限について非常に不評でして、ユーザの皆様から、twitter や 2ch でボロクソに書かれまして「なんで地域制限を外さないのか」というようなことが書かれておりました。

その後、radiko 様のサービスも開始し、各局ラジオ局様のご理解も大分進んで、意識の変化も大分おきてきたというふうに思っております。

その後ですね、色々そうした経験からすると、消費者様に強いニーズがあるということですね。大都市の地方出身者の方々がですね、地元のラジオをもう一度聴いてみたいと。あるいは特定アーティストの追っかけですね、地元でしかもっていない、有名アーティストが地元でしかやっていない番組等々がありますのを、これはまあこういう時代ですので、色々検索されて、どうしても聞きたいと、テープを送ってくれという話がありますけれども、そういう方へのソリューションになるのではないかと思っております。

ただ利用者が増えるほどですね、コストは、釈迦に説法ですけれども、逓増していくということでですね、やはり通信でございますので、どんどんどんどん品質が、利用者が増えれば増えるほど品質が悪くなりかねないということで、サーバーの増強等々、回線の増強等々が発生いたしますので、コストがどんどん増えていくというところでございます。そこは放送の一斉同報と違うところでございます。この経験等もあってですね。

それから三つ目に焼畑農業という書き方をいたしましたけれども、まあ聞いてもらえればいいのだということで、海賊版があるような、ああいうやり方というものは決して望まないもので、ルールを整備して、持続可能な農耕という、農耕というのは失礼ですけれども、権利者への正当な報酬を支払えるようなルールに従うこと、それから、利用者も実費を、ニーズに応じて実費をシェアしていただく。それによって放送局と利用者と権利者が共存共栄してですね、音楽文化をさらに発展させていく、コンテンツを振興できるということを希望して、望んでございます。

radiko は無料なのにですね、お前また、それを課金して自分だけ金儲けしているんじゃないかと消費者団体、河村委員等々から叱られそうな動きもございますけれども、決してそういう邪悪なことではございませんで、皆でシェアしていく、そういう気持ちでやっておるところでございます。

最後に課題でございますが、私ども、CM を外して放送しておりますが、ユーザーからローカル CM を聞きたいという希望が強く寄せられております。やはり、音楽はどこで聴いても同じ楽曲なのですけれども、CM を聞くと何か自分の地方・田舎を思い出すという声がありまして、そこはこれから何とかしていかなければいけないのかなと思っております。

それから、radiko もそうなのですけれども、放送収入が増えるという、放送の方で増えていく訳ではないと、あくまでもラジオのリーチを広げていくということになっております。

それから先ほど申し上げたように、コストがどんどん増加しておりまして、ホンネを言いますと、あまり会員数が増えていくと、また出費がでるなという心配をしております。

ただマーケティングもできるということで、どこで、どの番組をどの程度の長さ聴いているか、いつ止めたかということも今後把握できていくということと、聴取率と言いますけれども、聴取率調査等ありますが、どうしてもサンプル調査になるというところが、この通信経由でありますが、総量が一応判るというところについては大きなモノがあるかなと思っております。これらを番組に活かしていきたいと思っております。

さらには、SNS 等、コンテンツ等伝送路という、放送と通信連携の新たなサービスを介すということで、音声番組だけではないところに色々波及ができればと思っております。

それから、ドコデモ FM という名前を付けておりますけれども、当面は FM 局が権利の処理としては比較的やりやすかったというところがあろうかと思います。AM の方々のプロ野球とかですね、その他落語とか、色々な権利があると思いますので、その辺りが処理できるとなれば、名前に拘ることなく、色々なラジオ局さんとやっていきたいと思っております。

最後、音楽利用料以外の権利のルール化がコンテンツ流通と発展の鍵ということで、幸いながら、音楽関係の皆様、権利者の皆様にはですね、色々と今日も発表もございましたけれども、色々と取組をしていただいておりまして、環境整備をしてきていると思っております。

今後、サービスの幅を広げるとか、あるいは例えばアーティスト写真とかを番組に付けていくとなると、また別の権利が発生しますので、その辺りもシンプルになっていけばですね、人数の少ないラジオ局でも、色々なアーティストモデルができるのではないかと期待をしているところでございます。

ありがとうございました。

村井 純 主査: #

はい。ありがとうございました。それではご意見・ご質問等ございますでしょうか。

よろしいですか、そろそろ時間だと言う合図が……、それでは色々とご意見ご感想あると思いますが、時間の関係で皆様自重なさっているのだろうということを思いますので、ここでの議論の方は、これで終わりにしますけれども、皆様のお感じになったこと、あるいは今後の課題として結びつけること等々、あるいはご質問も可能だと思いますので、事務局の方にお寄せいただいて、事務局の方で取りまとめて聞いていただくということで、今後の議論に役立てていただければと思います。

本日、主にニ点を審議していただいたということでございますので、一つ目の新コンテンツ権利保護方式、前々回ですけれども、議論に従いましてフェーズ 2 という推進期に移行して体制も強化されたというご報告を伺いました。

そして、ホームページ等々での皆様への表現、あるいは国際表現というような課題もいただきましたけれども、また今年 7 月が運用開始ということでございますので、それに向けてまた進んで、必要に応じたご報告をいただければと思います。

それから、コンテンツと製作・流通の促進ということで様々な課題がございました。海外の問題、それからインターネットの関連等々がございました。まあ、二次利用。こういったことを、非常に充実した発表をお願いいたしました。どうも、ありがとうございました、発表していただいた方々。

今後の取組、それからご指摘された課題ということは沢山あるかと思いますけれども、整理をして今後の議論に役立てていきたいと思います。それで、あらためまして、今日発表していただいた方、どうもありがとうございました。

それで、次の会合では正規流通を阻害している不正流通の現状と対策、あるいは本委員会で過去に議論を行ってきました、ダビング 10 などのコピー制御方式、これに関するユーザ調査結果というのがまとまっているということでございますので、それも発表していただくという計画にしております。

その他の皆様のご意見ご要望は、是非、事務局の方にお伝えいただければと思います。また、その他、何かございますでしょうか……あまり皆さんのご意見を聞いていないで終わっちゃうと、言い残していることが……大丈夫ですか?それでは私からは以上ですけれども、事務局からございますか。

松本 和人 課長補佐:#

次回の会合の日程でございますが、現在 4 月初旬で開催を予定しております。日程調整等させていただいておるところでございますので、詳細等追ってご連絡させていただきます。以上でございます。

村井 純 主査: #

はい。それでは以上で本日の会議終了といたします。どうもありがとうございました。