文化庁 文化審議会 著作権分科会
著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会 第5回
(2014年9月30日) [非公式議事録]


ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は1〜2ヶ月中に文化庁サイト [URI] に上がるはずですので、そちらを参照してください。

政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。

当日配布された資料は以下の通りです。


土肥 一史 主査 (日本大学):#

それでは定刻でございますので、まだ委員全員ご出席ではないようでありますけれども、ただ今から文化審議会 著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第五回を開催したいと存じます。本日はお忙しい中ご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

議事に入ります前に本日の会議の公開についてですけれども、予定されておる議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばない、このように思われますので既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますけれども、特にご異議はございませんでしょうか。

(委員席各所より「異議なし」との声)

はい。それでは本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくこととします。なお、本日は津田委員がご欠席ということでございますので、津田委員の申し出によりまして、一般社団法人 日本インターネットユーザー協会 代表理事の小寺さまがオブザーバーとして出席されておりますので、ご紹介いたします。

次に、事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

はい。お手元の議事次第の下半分のところをご覧ください。今回は資料 1 としまして、前回小委員会における意見概要。資料 2 として一般社団法人 日本経済団体連合会さまの提出資料。それから資料 3 としまして、浅石委員・畑委員・椎名委員からの提出資料をご用意しております。それから参考資料 1 〜 3 としまして、本課題に関連する資料を議事次第の下に掲載しております。落丁等ございましたらお近くの事務局員までお伝えください。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。それでは議事に入りますけれどもはじめに議事の進め方について確認をしておきたいと存じます。本日の議事は「1. クラウドサービス等と著作権について」「2. その他」の二点でございます。

「1.」の議事に入りたいと思います。クラウドサービス等と著作権の問題につきましては前回の本小委員会において議論すべきポイントが絞られてきたように思います。そこで本日は事務局から前回の議論の概要を論点ごとに整理いただいているということでございますので、まずはこれをご説明いただきたいと考えております。

また一般社団法人 日本経済団体連合会からクラウドサービスと著作権に関する考え方について意見が提出されております。本小委員会における審議の参考となる、このように考えますので、これについてもあわせて事務局から説明をいただき、これらに基づいて議論を行いたいと思います。

さらに本日は権利者側の委員から意見発表のご希望がございましたので、ご発表いただき、質疑応答と討議を行いたいと思っております。それでは、前回の議論の概要案および一般社団法人 日本経済団体連合会からの提出資料につきまして事務局から説明をいただければと存じます。よろしくお願いします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

それではご説明いたします。まず資料 1 をご覧ください。前回の小委員会におきましてはロッカー型クラウドサービスの内、タイプ 2 に関して識別論的な議論が行われました。本日、論点の整理としましては汎用ロッカー型サービスに関する意見、その内の利用行為主体について、それから公衆用設置自動複製機器該当性について、さらに対価の還元について、それから汎用ロッカー型以外のロッカー型サービスに関する利用行為主体等についてということでまとめをさせていただいております。

まず 1 ページの汎用ロッカー型サービスに関する意見からご紹介したいと思います。まず利用行為主体についてでございますが、まず行為主体は利用者であるという見解としまして、DropBox などの一般的なユーザーアップロード型のロッカー型クラウドサービスについては私的使用目的の範囲内と整理されるというご意見がございました。

また事業者の行為主体性が認められる条件としまして、コンテンツを事業者が提供しているといったことを含めた 3 つの要件が必要とされた上で、本件をあてはめると、この①の要件が満たされないということで汎用ロッカー型の行為主体は利用者と解すべきであるというご意見がございました。

また利用者が行為主体であるという理由づけとしまして、三つ目にありますように、サーバーが普及して当たり前の技術となっており、普通の道具として見るべきであるというようなご意見もございました。またそのご意見の際には、ロクラクII事件判決の結論が当該ケースについての主体認定を行ったものであるから汎用ロッカー型サービスの主体の範囲には影響がないというようなご見解もございました。

またこうしたご意見に対しましては、行為主体が事業者であるというご意見として、事業者が営利活動として利用者に複製の場を提供しているサービスであるという点に着目すれば、このようなサービスは私的使用目的の複製の範囲内とすることに反対であるというご意見もございました。

次に「(2)」としまして、このような汎用ロッカー型クラウドサービスにおけるサーバーの公衆用設置自動複製機器の該当性についての意見を整理してございます。まずは該当しないとする見解としましては、現行法の解釈上該当しないとする見解と、立法的な対応が適切とする見解がございました。

まず、解釈上該当しないとする見解でございます。一つ目としましては、条文の解釈においては立法趣旨や立法経緯を踏まえるべきであるとされた上で、公衆用設置自動複製機器に関する規定が制定された際には、貸レコード店などが問題になったということで、高速ダビング機器のようなものが想定されていたということでございました。それから文言上も「設置されている」という文言に表されていることからサーバーはこれに該当しないのではないかというご意見がございました。

2 ページ目をお願いいたします。

もう一つ、サーバーがこの公衆用設置自動複製機器に該当しないというご意見に関してですが、この自動公衆送信装置が公衆に送信するという機能自体が装置に対して条文上定義されているのに対しまして、この法 30 条 1 項 1 号の「公衆用設置自動複製機器」は条文上はそのような規定がされていないということで、複製の機能の単位で見れば良いということで、差をつけて考えることも許容されるべきではないかというご意見がございました。

また仮にクラウドサーバーが公衆用設置自動複製機器に該当すると解すると、そういったサーバー以外にも、立法当初想定されていた高速ダビング機器等以外の様々な機器に該当することになってしまい、これら全てを除外することは困難であるというご意見もございました。

それから、条文上該当しない旨を明確化することが適切であるという見解でございまして、まず一つ目の矢印ですけれども、この該当性の有無に疑義があるというのであれば、条文上明確にすることも意義があるのではないかということでございました。

もう一つのご意見としましては、クラウド上のサーバーが全体として公衆に提供されているということで、該当性があるという解釈の可能性があるということでございまして、立法的な対応がベストではないかというご意見でございました。

次に該当するとの見解でございます。ここで一つ目にありますように公衆用設置自動複製機器を用いた複製に権利者の許諾が必要とされているのは、第三者の関与と当該第三者が利益を享受しているという観点が重視されているのではないかということであって、該当しないという整理は疑問であるというご意見でございます。

それからこういった議論と関連しまして、こういう該当性の議論をするのであれば、法 30 条 1 項自体がクラウドがなかった時代に制定されたものであるということを踏まえて、当項全体について議論をするべきではないかというご意見もございました。

次の論点としまして「(3) 権利者への適切な対価の還元について」のご意見を紹介いたします。この点につきましては、この汎用ロッカー型について私的使用目的の複製の範囲内と整理した場合には私的録音録画補償金制度に相当するような制度など、クリエイターへの対価の還元についても論点になるのではないかというご意見がございました。

これに対しましては、まずは汎用ロッカー型が私的使用目的の範囲内と整理しうるかを決することが先であり、こうした対価の還元については今後の議論とするべきではないかというご意見があったところでございます。

3 ページ目をお願いいたします。

汎用ロッカー型以外のロッカー型クラウドサービスに関するご意見として、まず「(1) 利用行為主体」についてのご意見でございます。一つ目の矢印のところでございますけれども、複製の主体というのは複製の対象・複製の方法・複製への関与の程度といった色々な事情を総合的に考慮して判断するといのが最高裁の立場であるということで、その適法性を明確に切り分けることは難しいのではないかというご意見がございました。

それから、少なくともこれは利用行為主体が個人であるから適法というボトムラインはともかくとして、上限というところをどこまでとするかを決めることは困難であるというご意見がありました。

それからこれから技術がどう進歩して行くのか判らない状況の中では、ロッカー型クラウドサービスについて明文の規定を置くことはかえって色々な弊害を生み出しかねないという旨のご意見もございました。

こうした利用行為主体の切り分けが困難であるという場合の対応として、下に三つ整理してございます。

まず訴訟による対応を図れば良いのではないかということで、将来様々なクラウドサービスが登場することになると思うが、仮に特定のサービスについて主体の認定に争いが生じる場合には訴訟によって個別具体的に解決を図れば良いというご意見でございました。

一方、こうした切り分けが困難ということに関しては、コンテンツに対する関与またはコンテンツを提供する場に関与している事業者が権利者と何らかのライセンス契約を締結することで広く適法性を確保する方が現実的ではないかとするご意見。

それから法律でカバーできない部分については訴訟による解決を図るのかリスクヘッジのために契約を締結するのかは事業者において判断されるべきではないか、こうしたご意見がございました。

前回のご意見に関しては以上でございます。それでは次に資料 2 に移らせていただきます。

主査からご紹介がございましたように、一般社団法人 日本経済団体連合会 産業技術本部さまから、本課題、クラウドサービスと著作権に関する考え方ということでパワポの提出をいただいておりますので、事務局から代わって読ませていただきます。

経緯の部分に関しましては、クラウドサービスが日々進化・発展しているというようなことが述べられたうえで、あとはこうした議論が審議会で行われることとなった経緯がここに述べられてございます。中身については省略いたします。

「2. 『タイプ 2』サービスの促進」というところでございますけれども、このタイプ 2 の中にも多様なサービスがあり、今後も新しいサービスの展開が見込まれるとされた上で、利用者利便の観点から言えば、現在享受しているサービスが引き続き利用できるとともに、将来より魅力的なサービスが利用できるための環境整備がなされるべきであるとされています。

こうした観点から、現在提供されているサービスは基本的に継続されることが望ましく、既存の事業者に新たな義務を課す等の負担が強化されるべきではないと書いております。

他方、新規事業者の参入の促進ならびにサービス自体の今後の発展に向け、事業者が一括で円滑に権利者と契約できる集中管理型ライセンシング体制の構築が有効な方策として認められるべきであるというふうなご意見をいただいております。

「3.」これはロッカー型クラウドサービス以外の点も含めた今後に向けてということに関するご意見でございます。

ここでは、文化審議会において現在ロッカー型クラウドサービスに焦点を当てた検討を行っているということを踏まえて、今後、当該サービス以外の形態に関する検討を積極的に行うように求められております。

またそもそも現在の著作権法は急速に進展しているデジタル・ネットワーク社会に必ずしも合致していない面があり、当事者間の契約を進めることや弥縫策的な法改正を進めることだけでは限界があるとの指摘もあるとされた上で、文化審議会にはコンテンツの創造・保護・利用のバランスの観点からデジタルネットワーク時代に相応しい著作権法のあり方について、より根本的で包括的・網羅的な議論を行うことを期待するとされてございます。

説明は以上でございます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。それではただいま事務局におまとめいただいておりましたところをお聞きいただいた訳でございますけれども、この資料 1 に従って議論を行いたいとは思っております。

まず「1. (1)」のところの利用行為主体でございますけれども、これは前回の小委員会における議論において、汎用ロッカー型クラウドサービスの行為主体は利用者と、このように考えられるというご意見を多くの委員から頂戴しておるところでございますので、本日は「(2)」の、汎用ロッカー型クラウドサービスにおけるサーバーの、公衆用設置自動複製機器該当性から議論を行いたいと思います。

先ほども説明にございましたように、前回も後半部分においてこの問題については議論に取り掛かっておるところでございます。前回の議論に引き続き、この点から本日はご意見を伺いたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

どうぞ、ご自由にお意見いただければと思いますが。はい、浅石委員どうぞ。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

主査から今整理させていただいておるのですが、今回、公衆用設置自動複製機器の該当性についての議論を進めるということでございますが、資料 1 の通り、利用行為主体について、「一部を除いてユーザーであるということについてのご意見というのはまとまっているのかな」ということでございますが、では 30 条 1 項に該当するかどうかというところの議論はされていないままに、自動複製機器の該当性の議論に入ってしまっているのではないかというふうに思います。

まずステップとしては、利用行為主体が利用者であった場合について、30 条 1 項に該当するかということのご判断をいただかなければ次に進めないのではないかというふうに私は考えておりまして、資料の 2 ページの「(3)」の一つ上のところにその旨、「制定当時の趣旨・目的をまず検討したうえで議論を進めるべき」という発言をさせていただきました。

私としては、立法趣旨についてすべてを読むことはできませんけれども、加戸さんの逐条講義 [参考 (amazon)] を読みますと、第 1 項の立法趣旨について「閉鎖的な範囲内の零細な利用を許容するものであって、外部のものを介入する複製を認めない」こういうものが立法趣旨と逐条講義に書いてございまして、次の自動複製機器に行く場合についても第 1 項 1 号の説明で、加戸さんは「外部のものを介在させる複製を認めていないことから見まして私的複製の名の下に認容しがたい自体であります」というふうに立法趣旨をご説明してございます。

そういう意味から行きますと、外部のものが介入しているこのクラウド事業というサービスについては仮に利用者が利用行為主体であるとしても 30 条 1 項および 30 条 1 項 1 号には該当しないというふうに考えてございます。

以上でございます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。他にございますか。それでは椎名委員。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

ええとですね、公衆用設置自動複製機器に該当しないという見解の中で、これは立法時に想定していた高速ダビング機器のようなものを想定しているのだということが書いてあります。それで、当時の複製というのは 3 分 40 秒の曲があったら、それを複製するのには 3 分 40 秒かかった訳ですね。

まさに、高速ダビング機器というのはそういうものを一曲 20 秒ぐらいでコピーしてしまうというようなことを想定していたのだとするならば、まさに今、サーバーに楽曲を上げるのに 1 曲、トラフィックのスピードもありましょうけれども、1 曲 20 秒から 30 秒程度、まさに高速ダビングに相当するものではないかと思います。

ですから、高速ダビング機器を想定していたのだから該当しないということであるならば、まさに該当するのではないかというふうに思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。他にございますか。大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

2 点ありますというか、今までご拝見したところというか、それで先ほどの、資料 1 でご説明いただいた 2 ページの、先ほども言及されていましたが「(3)」と書いている上のところの、先ほど読んだところと言うか「法 30 条 1 項自体がクラウドが無かった時代に定義されたものであることを踏まえて」云々と書いてありますが、それでタイプ 2 と対比するかと思いますが、これも言わずもがなというところがありますけれども、30 条 1 項というのは柱書というか本文と、例外である 1 号・2 号・3 号という形をとっておりますけれども、まず 30 条 1 項の話というのは 30 条 1 項全体の話だし、30 条 1 項 1 号というのは 1 号だけの話で、それぞれ別々に区別して考えていく必要があるかと思いますが、1 号の方は前回申し上げた通り、先ほど言及のあった高速ダビング機器を想定して、こういうものを含めるものとして先ほどありましたけれども、これは法解釈のごくごく普通の一般理論だと思いますけれども、文言だけではなくて立法趣旨とか立法目的・立法経緯等を総合的に合理的な法解釈となっていくというのは、もうほとんどだれも異論のないような、ことのようなものではないかと思いますが、その観点からいたしますと、1 号については当時、立法を、もう繰り返し申しませんが先ほどまとめていただいた通りなので、その話は 1 号のユニットで考えた話でして、30 条の方は、30 条 1 項が当初作られた当時の議論と、その後 30 条 1 項の骨格を維持しつつ、当初は 1 号・2 号・3 号という例外がなかったのが、1 号・2 号・3 号の例外ができて、この 3 号の例外というのはこの文化審議会でもごく最近に行われた議論でありまして、そういう意味ではこの 30 条 1 項全体というのは 45 年にだけ考えた訳ではなくて、それを再確認する形で 1 号・2 号・3 号とできておりますので、現行法というのはこの 3 号まで入った後の話ですので、3 号を作った際には当然サーバーが 30 条 1 項の対象にならないと思っていたとしたら 3 号を作るはずもない訳ですから、これは当然対象になるという上で、1 号・2 号・3 号と 30 条 1 項の範囲がだんだん例外で広がっているということですので、30 条 1 項全体について考える際には当然、現行法として考えるべきものでありまして、それは 3 号が入ったあとということなので、3 号を入れた時点ではサーバーが対象となることは当然の前提に立っておりますので、その話と 1 号の話とは繰り返しになりますけれども、30 条 1 項全体の単位として考える 3 号まで入った話と、1 号だけの話というのはその辺次元が異なるのではないかと思っております。

それから先ほど、立法論として高速ダビング機器が入っているのであれば、これに、サーバーも似たような話ではないかということはまた別途あると思うのですけれども、これは今後 1 号を共有のサーバーまで入れるかという立法論になるとしたらそういう話になるのですけれども、前回からされていた議論というのは、これは現行法の 1 号として入るかという話になれば、これは当然 1 号を作った時に立法者が想定した範囲に限定されるというのは当然ではないかと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいありがとうございました。他にございますか。はい、奥邨委員どうぞ。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

公衆用設置自動複製機器の関連でありますけれども、確かに当時、高速ダビングマシンということだった訳ですけれども、当時、何故規制したかと言えば、業者が預かってコピーをすると違法になる、その代りにですね機械を使わせていたと。家庭の中には無いような、通常業者が預かってコピーをする場合は特殊な機械でコピーをする訳ですけれども、それをユーザーに使わせていたという、一種のコピー業者による法律回避のようなこととして行為が行われていた訳ですね。

ところが一方、今回のロッカーの場合はですね、高速と言っても家庭の中にあるハードディスクと同じか、むしろインターネットを使うことで遅くなる訳でありましてですね、そこに差は無くて、むしろ家庭の中にあるハードディスクが長い線があって、ずっと先のところに設置されているというふうに見ることも可能なのであってですね、業者がコピーをする代りにユーザーにさせるというふうな一種のサービスというか法律回避のような行為を規制したとというところに趣旨があったとするとですね、そこら辺は今回は家庭の中でやられている行為とある程度等価であるということを見ますと、あまりその同じ土俵に乗ってくる機械ではないのではないかなというふうな、今、大渕委員の意見を聞いての感想としては思いました。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。はい、補足ですか。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

大渕先生のお話についてですが、3項がサーバーというものを想定していて書いてあるのだというお話だったのですが、僕が読みますと、これはやっぱり今回整理されている汎用ロッカーを中心とした類型の中にあるものとしてではなく、違法配信とかそういったものの温床としてのネットワーク利用について述べられていると思うので、今、汎用ロッカーサービスを中心として展開されている、ユーザーに対する利便性の提供とは一種違うのではないかなと思ってお話を聞いておりました。

それから奥邨委員の仰ったことは、家庭内でやることが広がって行って、ある種「違法を幇助する」というような言い方をされたのですが、権利者にとっての影響としては同じなのですね。

私的な複製というユーザー自身ができる範囲内でのことを超えて複製が拡散していくという意味では権利者にとっては全く同じことに写るのですよ。その点だけ指摘させていただきます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。奥邨委員どうぞ。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

若干だけ。ご意見についてどうこうということでないのですが、私は「違法を幇助する」ということを申したつもりは全く無くて、「業者自体が預かってコピーをすると違法なので、それを回避するためにユーザーがやっているという見かけを作る」という意味を申し上げたので、誰かの違法行為を誰かが幇助するということではなくて、むしろ逆に、違法になるのを見かけ上、見かけかどうかという議論はあるかもしれませんけれども、回避をするために見かけを作ったという、そういう回避行為、まあ「脱法」とまで言っていいかどうか判りませんが、それはけしからんだろうという立法だった訳ですけれども、今回の状況はそういう状況かなと、そういう差があるのかなという議論です。

幇助云々ではないかなという理解をしています。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

先程、椎名委員からご指摘あったかと思うのですけれども、ちょっとその二つ議論は別にした方が良いかなというそういう話でご安心ください。二つのものが実質的に一緒かという話は別途やっていただくこととして、先程申し上げたのは一号が出来た際には恐らくそうしたものは想定していなかったというのは異論はないので、それと同じような議論を 45年後の時点でやると 30 条 1 項にはサーバーが入らないのではないかという議論になりそうなのですが、45 年の歳月だけだとそうだったのでしょうけれども、30 条 1 項は 累時の 1 号があって 2 号があってごく最近に 3 号が追加になっておりますので、そういう意味では基準時がどんどん下がってきて、現行法としてはサーバーを誰もが全く想定してるような実態なので、30 条 1 項の立法者の意思としてサーバーが入っていないというおそらく現時点では誰もそういうことは思っていないでしょう。

その上で、だから今回何らかの形で立法する際に、実際にどのように考えるのかということは次の段階としてあると思っておりますので、その点だけ指摘させていただきたいと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。今現在ご意見頂戴しております所は、該当性を肯定される方、それから該当性を否定される委員の方のご意見なのですけれども、先程事務局からご説明いただいた中では、それでは明確にすれば良いじゃないかという意見も前回当然あった訳であります。その辺りのご意見の委員の方から何かございますか。その点ございませんか。

はい、浅石委員どうぞ。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

そこの所は是非お教えいただきたいというところがあります。要は私有財産を制限しようということになってくると思う訳ですね。そうすると、文化庁のホームページを見ますと、「著作権なるほど質問箱」という所がありまして、「著作物の例外的な無断複製ができる場合というところで、通常は公益を実現するための費用は税金で賄われていますが、著作権の制限の場合はその費用を権利者個人に負わせているということも良く認識しておく必要があります」というふうに記載されています。

これは憲法 29 条の 3 項の、「私有財産は正当な補償の下にこれを公共の目的に用いることができる」ということを意識して書かれているというふうに読めるのではないかというふうに私なりに判断しておるのですけれども、そうしますと、法律で改正しようというところで、29 条の 2 項に、「公共の福祉に適合するように法律で定める」のだというふうに書いております。ですからその法改正をしようというところにおいて、その公共の福祉とか公共というところと、それから個人の利便性、それから私企業の営利目的というサービスが、公共の福祉あるいは公共目的に該当するのかという判断をした上で、法改正に行くのかというところ、私はここのところが良く判らないので、その辺り憲法の問題等を含めて、著作権を、所謂私有財産の問題をどう制限するのか、この辺については是非、先生方のご意見をお聞かせいただければなというふうに思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

その、純粋ロッカー型の議論をしている訳ですけれども、別にその、純粋なロッカー型サービスの場合は JASRAC が管理されておるところの楽曲が当然含まれている訳でもないのですね。

私的使用目的で、かつ、利用者が主体であるというところにおいて、言わば自動公衆送信装置 (注: 公衆用設置自動複製機器の間違い?) に該当するというようなことになっていった時にですね、そのルール、一部の委員からご説明いただいておりますけれども、当初予定していないようなそういうその文言がクラウドの純粋ロッカー型のサービスについて否定してしまうというふうになってくるということは、言わばその、私などの認識だと尻尾が頭を振ってしまうような話だと認識しています。

つまり、その文言がもし問題であれば、それは改正すれば良いだけの話だなと思うのですが、そういうふうには考えられませんか。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

主査のご意見なのですけれども、まず最初に申し上げた通り、その 30 条 1 項柱書きにあたるのかどうかということについて、全く議論されないままに、それは自明の理として次に進もうというふうにお考えになっているのではないかというふうに、今のご意見を伺うと思えて仕方がないのですね。

ですから要するに立法趣旨である「閉鎖的な範囲内の零細な利用を許容するものであって、外部の者を介入させる複製を認めない」とした 30 条 1 項柱書きの立法趣旨、これに今のクラウドのビジネスというものが、サービスというものが該当するのかどうかというようなものがあった上で次に進むのでないかというふうに考えられるのですけれども、そこの議論を主査も吹っ飛ばして自動複製機器云々というのは如何なものでしょうかというふうに考えております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。それでは大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

浅石委員の方から学者向けというか、言わば根源的な質問を出していただいたならば私からも応えざるを得ませんので、それで憲法 29 条というのは私共が今やっております職務発明でも良く出てくるもので、最近注目を集めている条文ではあるのですが、我々というのも変ですけれども、またこれを使いますけれども、著作権法 1 条という、その具現化したような財産権という本質を具現化したような条文が折角ありますので、それを使って説明させていただければ、もう釈迦に説法で前の方は飛ばしまして、「この法律はなになになになになになにを定めて、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利を図り、持って文化の発展に寄与することを目的とする」ということで、これは憲法 29 条的なものを当然踏まえた上で、著作権法として著作権法の趣旨・目的に沿ってパラフレーズされている説明しやすいもの、特許法ではまた別の条文がありますけれども、ここでは著作権法ですから著作権法の条文から引いて説明いたしますと、その観点から言うと、この 30 条というのは私なりの理解では、非常に著作者の利益にとってはイコールであれば、それをサポートする業者というのはちょっと置いておいて、30 条 1 項の原型を考えると、一方には著作者の権利があり、また一方には我々市民が私的使用の為に利用するという対向の利益というか、私的行動の自由というこれは憲法13条を持って来るかは別にして、おそらくほとんど誰も異存のないところなので、29 条対 13 条という図式が良いのかどうかは別にして、憲法的な利益には憲法的な利益もあって、こういうものを悩み悩んで、私は加戸先生がそうだったと思うのですが、それを導いたのがここで両者のバランスに配慮しつつ考えなさいということでありますので、それを吹っ飛ばした訳ではなくて、皆もうそういうふうにね、私は最近出た書籍の注で書かせていただきましたけれども、そこで差が出てくるのはやっぱり主体で、私人が主体であれば私人の私的行動の自由の方になるし、業者が主体であればそれは業者の方の営業的な話ですから、そこの所は皆さんがあまり 30 条 1 項で異論がないのは、冒頭で主査がご定義された通り、ここでの主体は私人だと。

ここで業者が主体ということになったらご懸念のようなビジネスの著作権者対ビジネスと言う図式になりますけれども、ここでは主体が利用者・私人であれば、利用者・私人は我々ですので、そういうものとして皆さんが納得されているから 30 条 1 項を前提とした上で、1 号の話に入っているので、吹っ飛ばしている訳ではないのじゃないかと理解しております。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

済みません、時間をお取りして。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

いえいえ、どうぞ。

浅石 道夫 委員 (JASRAC):#

大渕先生のご発言も立法趣旨の「外部のものを介入させる複製を認めない」ということを置いて議論をなさっております。私人対私人だということなのですけれども、ここの分野には確実に外部の者の介在があるということがサービスの基本でございまして、そこはどうお考えでしょうか。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

私は、前からここは気になっていて、私の理解では外部の者の主体的介在ということで、要するに主体としては私人だけどそれをサポートしてあげるというのは、中心は私人でそれを業者がサポートしてあげるというのは、むしろ私人の利益が中心となって、その下僕のような形で業者が入って来るということで、言葉良くないですけれども、それと共同してやるような主体的関与ということだと、おそらく私なりにしている加戸先生のご趣旨というのは主体的関与というそういうことではないかと理解しております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい、松田委員どうぞ。

松田 政行 委員 (弁護士):#

加戸さんの「他人の介在云々」ということですけれども、大渕委員と同じ意見でありあます。全く個人の密室で、個人が使用するために複製するということも勿論ありますが、それを現在社会の事物をあわせて考えるならば、複製機器や複製ソフトが──もちろんプロテクションを外しちゃダメですよ──売られるということ自体は、これは他人の関与がありながら複製ができるようなものを個々人が買って、その使用の目的のために自らコピーをするという、こういう状況が産まれているのです。

そうすると、企業とか他人の関与というのは千差万別に存在し得て、全く事実上の問題として他人の関与がないような複製というは現代技術を考えると、もうほぼあり得ないと考えても良いのではないでしょうか。例えば外付けの記憶装置を昔買ってくっつけていましたよね。あれを売ることは他人の行為ではないですか。

そういうことは殆ど議論されないで来たのですが、ハードディスクが中にある、今度は外付けに線を繋いでいる、その先に今度は構内に一つサーバーを置いて共通に使用している、その先に構内からインターネットを介して外に外付けハードディスクがある。こういうような技術が発展していった時に、果たしてどこまでが許されるのかということは、その技術と個人の行う複製ということの社会的承認がだんだん拡大していくという過程の中にあるのだということを、私は、認識しなければいけないのだろうと思っております。

もうすべてが良いと私は言っている訳ではないですけれども、複製機器のあり方も考えながら、1 項 1 号を考えていかなければならないのだなというふうに思っているのです。

それでまず 1 項を考えた後に自動複製機器を考えろという浅石委員の意見も判らないではないですが、30 条 第 1 項 は、完全なタイプ 2 の場合あたるのだという認識を持っているということは、一定の意味を持つ人にはそうだと──私もそういう発言をいたしました──そういう考えを持っています。それは、目的が個人的な使用の目的であれば、そして使用するものがコピーをするのであれば、それをコピーをする場所というのはあまり限定はされていないのではないでしょうかね。

そして、先ほど言われた加戸さんの言葉も含めて考えるならば、「外部の者の介入を許さない」というのは結局「自分が自分の為に複製をする」と事実を認定できるかどうか、こういうことに尽きるのではないかと私は思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。奥邨委員どうぞ。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

外部の者の関与のところなのですけれども、これについては、勿論条文全体にかかっている部分もありますが、やはり条文の中では柱書の中だけが、「使用する者が複製する」という、今松田委員からもありましたけれども、そこの所にやはり効くのだろうと思うのですね。

そうすると、外部の者が関与してはいけないからこそ「使用するものが複製する」となっているので、そうすると今回の場合ですと「ユーザーが主体」となればこれは「使用する者が複製」しているという制度になっているのではないかなと思います。

逆の形態の 1 号の問題というのは、その「使用するものが複製」というところを脱法しようと──まあ脱法という言い方は問題かもしれませんが──回避しようということが問題だから「使用する者が複製」ということだけでは抑えきれないので 1 号が出てきたという流れになっているのだろうと思うので、一応、外部の者が、大渕先生が仰った主体的関与等々についても「その使用する者が」というところである程度押さえられているということではないのかなと私自身は思っている次第であります。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。椎名委員どうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

自動複製機器該当性についてネガティブな先生方のご意見が多い中で、あえてやはり疑問を感じるのですけれども、その第三者の関与という点について例えば仕事で使うワードのファイル、エクセルのファイル、パワーポイント、そういったものをお預かりしますというサービスで、それを展開して利益を上げるという事業者が居て、そこにコンテンツが入ってくることによって、得られる利益に差があるとすると、その利益はいったいどこからくるのだろうというふうに疑問に思ってしまうのですね。

やはりコンテンツを自ら複製しているのではないけれども、コンテンツの複製から利益を上げていることは確かなことだと思うのですよ。そこを見なくてもよいのですかとどうしても思ってしまうので、その第三者の関与という文脈からやっぱり「自動複製機器」にあたるのではないかというのが一点あります。

それから土肥先生の仰った「純粋な汎用ロッカー」というふうにしばしばそういうフレーズが出てくるのですが、世の中に「純粋な汎用ロッカー」なんて無いのですよほとんどが。すべてが共有の機能もあり、酷いものになるとロッカーに預けるとそのロッカーから相手方にメールが行ってダウンロードしてくださいみたいなものとか。

強いて言えば、iCloud、Apple アカウントで管理されている iCloud に関してはクローズドということが保たれていますけれども、様々な汎用ロッカーサービスと称するものが共有とか公開の可能性を秘めていて、現に事業者さんの方からもそこはあまり線引きしないでほしいというような意見も出ている。そうするとですね、「純粋な汎用ロッカー」型なるものについて、クリティカルな法的な定義を定めていっても問題の解決にはならないのじゃないかというふうにも思ったりもいたします。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。ありがとうございます。純粋な汎用ロッカー型の存在については実務的にそういうところもあるのかもしれませんけれども、この小委の中では皆様の合意の中でまずは純粋な汎用ロッカー型のサービスについてまとめたうえで、さらに色々な機能を伴うものについて議論していこうという、こういう段取りで、順番でやってきておりますので、そういう議論の過程の中では、そこを前提に議論をしていただいて、また機能を伴うような様々なタイプのものについては──タイプ 2 の中でですよ、右側にあるような──汎用についてはまたそこで話していただければと思っておりまして、今日の予定でもそういうふうにさせていただいておりますので、ご了解いただければと思います。

他に。はい、畑委員。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

今まで出されておる意見の繰り返しにはなってしまうのですが、公衆用設置自動複製機器の該当性と言うことで、その 1 号が設置された趣旨というのは公衆用自動複製機器にあるとおり、複製が非常に容易に出来る、そこに第三者がその場を提供し配備する、それによって利益を享受するという観点でこの 1 号はあるのだろうというふうに私は理解しております。

その観点では──前回も申し上げましたけれども──これが該当しないという整理に、手放しでそういう整理にしてしまって良いのかということについては、やはりまだ議論があるのだろうということを申し述べさせていただきます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。他にございませんか。はい、どうぞ。

作花 文雄 審議官 (文化庁 長官官房):#

委員の皆様、熱心なご討議ありがとうございます。既に時間も 50 分を経過してしまってですね、この資料 1 の 1 ページだけでということで、ちょっと情勢としても字面としてもちょっと辛いことはあるのですが、申し上げておきたいのはですね、1 ページの例えば「(1)」で「行為主体が利用者であるとする見解」で三つ印がついて、別にこれは多数で結束できることになっているのですね。まあ前回こういう意見があったという記録を留めていると。

所詮ですね、この複数の行為主体が関与する場合に著作権の利用行為主体あるいは侵害行為主体が誰かというのは、所詮色々な意見があってですね、個々の事案ごとに結局は裁判所が判断せざるを得ないと、しかも事案毎の判断をせざるを得ないというのがこれは状況だと思うのですね。

ですから完全にですね「こうだ」という話ではなくて、「こういう意見があった」という記録として、心を広く見ていただければありがたいかなと。

それから前回 JEITA さんの方から──榊原委員は欠席で代理の方から説明をいただきましたけれども──提示された資料では例えばドイツなどでは 53 条で私的使用目的の複製規定がありますけれども、ここで「複製が無償で行われ、又はうんぬんかんぬんの場合は、その複製物を他人に作成させることができる」とあって他者の関与を認めながら私的使用目的の複製を許す規定があったり、あるいは前回ご紹介いただきました、本年、まさに明日から、10 月 1 日から施行されるイギリスのレギュレーションによる CDPA の改正によって、いわゆるクラウドストレージにおいても私的使用の複製として整理されると。ただし、アップロードする方は適法な所有者に限定するとか、あるいは日本のような私的使用の範囲というのはなくて当該個人のみが利用できるですとか厳しい限定がかかった上での立法がなされていたり、あるいは 2 年ぐらい前ですか、カナダにおいて前回紹介がありましたような──まあイギリスほど明確ではありませんが──クラウドストレージを許容するような規定があると。

逆に言えば、どの国においてもですね私的使用目的の複製だけれども他者が関与する場合の解釈のあり方はこれは百家争鳴状態にあって、国によってはそこは立法によって「こういう場合には他者が関与しても私的使用目的の複製という枠組みの中で許容する」というようなことがなされているということでございます。

ですからこれは日本に限らずどこの国でも、そのある、そういう条文は解釈によっては色々な解釈のありようがあるということは、これは否定できないことですから、そこはそういう前提で見ていただければ良いのかなと思います。

それから公衆、自動公衆、いや済みません公衆用設置自動複製機器ですね、名前からしてちょっと舌を噛みそうなのですけれども、この議論もですね結局、この審議会の下でやっぱりサーバーが該当するかしないかというのはやっぱり色々な意見があるわけですね。その決着をつけられるかと言えば、これは別に立法当時意識して、その範囲を確定した上で立法している訳ではありませんから、やはりここは多様な解釈がある問題です。

ですからこのペーパー (注: 資料1) に書いてあっても、こういう意見があったということに留めていると思います。浅石委員が仰る趣旨も、確かに文化庁、当時の、昭和45年当時の立法担当者の意識として、現在の様なデジタル化、あるいは何ギガバイトぐらいの蓄積容量を持つようなモノが家庭用のモノとして天下に販売されるというこういうこと自体は想定していなかったと思います。

多分そこは、浅石委員はそこを仰っているのだと思います。だから本当に、根本的に 30 条なのかどうかというところに、権利者としては承服できないというお気持ちはそれはそれとして判る訳です。

ただそこをですね、ここで根本からどうのこうの議論をしてもやっぱり決着はつかないし、立法としてどう考えるかも二つの方向性があると思うのですね。つまり今明確でないから、サーバーも該当するような立法をするのか、いやサーバーは明確に除かれるような立法をするかという、やっぱり二つの立法の方法がある訳なのですね。曖昧なものは立法によってある程度解決はできるにしても、結局、基本方向が定まらないと「じゃあどういう立法をするか」という解決はできないと。

ですから我々としてはですね、既存の条文の緻密な、学者的な解釈であまり時間を費やすというよりもですね、今問題になっているプライベートロッカースタイルのこういった利用というものが、完全に他国の──少ない例ですけれども──立法例のような形で整備をするのか、それともそれには実際の意味がなくて、それよりはライセンシングで円滑にできるようにするのか、それとも椎名さんがかねて仰るように、やはり補償金の問題も考えなければなという問題に行くのか。

その辺りのところをですね、なんと言いましょうか、より政策的な議論の方にもう少し重点を置いていただければ、より効率的になるのではないかと思います。

以上でございます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

というのが事務局からのご意見でございますので、本小委においても参考にさせていただければと思います。

いずれにしても公衆用設置自動複製機器該当性の問題については議論が「該当する」という考え方と「そうではない・該当しない」という考え方が分れているところでありまして、そもそもこの汎用ロッカー型サービスというものが私的使用目的の中で、利用主体が使用者である・ユーザーであるという前提の中での問題であり、かつそういう認識での捉え方が 1 号の複製機器該当性のところで問題が生じるのであれば、それは法改正というのが必要なのではないかいうふうにと思いますけれども、問題はそういう汎用型ロッカーサービスの問題というよりも、もっと色々な機能、つまり汎用ロッカー型以外のロッカー型クラウドサービスの方が実は実務上問題なのだと、こういうご意見も今あったところでございますので、次にこの問題に移りたいと思っております。

今、審議官からは「対価の問題についてもどうするのか」という政策的なところで、その範囲で捉えてこの小委で議論をしてほしいということがあった訳ですが、その問題については別に汎用型のロッカー型サービスではなくて、もっと全体的な議論の中で議論をしなければならないのだろうと思いますので、次の議論としてはですね、タイプ 2 のロッカー型クラウドサービスの様々な発展的なサービスがあり、そういう状況を受けて、そこでの行為主体をどう捉えるのかという点について皆様のご意見を伺えればというふうに思っております。

如何でしょうか。右側の、参考資料 1 というところの 2 ページの「コンテンツロッカー型」「変換機能付加型」「スキャン&マッチ型」等々色々なものがあるのだろうと思いますが、こういうものについても、利用主体は誰なのかという問題でございます。

はい、じゃあ畑委員、松田委員はそのあとで、畑委員からお願いします。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

この参考資料で言うところの「コンテンツロッカー型」「変換機能付加型」それから「スキャン&マッチ型の一部の部分」という形で参考資料の方では整理されておるわけですけれども、おそらく現実のサービスと言うのはこれ以外にももっと色々あるでしょうし、またこれからも色々な形でのサービスの範囲内でのサービスというのは出てくる可能性があるのですね。

そうした場合、行為主体については近年の最高裁の判例にもあるように、そのような角度で事案毎の判断が必要だということになってこようかと思いますので、ここは一概に利用者が行為主体とも整理できないし、事業者が主体というふうに考え得るケースもやはり含まれておるのではないかと考えております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

じゃあ松田委員どうぞ。

松田 政行 委員 (弁護士):#

タイプ 2 の範囲を超えて、共有になったところでは私はもう個人的な使用の目的を超えているので、これを想定して利用者がコンテンツをアップロードする実態はもう、そこから先を想定していたら違法になると、こう考えるべきと私は思います。

個人の範囲内で使う限りにおいては、例えばデータを他のメディアに対応するような変換をすることができるかとか、どこまで自分の利用にあわせて翻訳・翻案をできるかということは現行法をそのまま当てはめれば良いのではないかと思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございます。他にございますか。大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

今、松田委員が言われたこととかなり近いかと思うのですけれども、発展形の中に色々なモノが入っていますけれども、判りやすく議論を整理した方が良いかと思いますので、一つあるのは先程出ていた「共有」という問題でありますが、またまた「著作権研究」周辺で書いた通りでありまして、要するに主体が重要だということで、共有しているということは A さんと B さん二人が使うのに A さんだけが複製したということになれば、半分については前回申し上げた「利用者=複製者」という原則から外れちゃいますので、現行法を前提とすれば共有に──これはだから現行法をどう──おそらくこれは加戸先生が悩みに悩んで、これで線を引くしかないと割り切った立法で、私的使用目的があってかつ使用者=複製者ということが満たされていれば、分量とか態様とかは後に 1 号 2 号 3 号で例外が出来てきているのを除けば本体として見れば、ものその二つの、私的使用目的というのと主体の一致、その二つさえ満たせば認めるという大原則を満たせば、この所謂、コロラリーということになっているかと思いますが、こうした瞬間に共有というのはその半分というか 3 分の 1 の部分については「使用者=複製者」という要件を満たさなくなってしまいますので、これは幾つかの、確か「録画ネット」の 1・2 審判決とか色々なもので見ましたけれども、現行法で捕捉する限りにおいては、100% 一致しなければいけないということになると共有では満たさなくなってしまうというのはこれは現行法を前提とする限りはもう、これは価値判断はどちらにもあると思うのですけれども、我々が当面出発点とする現行法においてはこうなので、そこははっきりさせた上で、共有、これがまた論点としては前回出たように「共有機能」なのかというと、おそらく私の理解では「機能」ではなくて共有実態、機能があるかが重要ではなくて、実態として共有したら要件を満たさないけれども、機能が付いていても使わなければ別に、そこの所は区別して、機能ではなくて共有実態だというところはクリアにしておいた方が議論が混乱しなくて済むのではないかと。

それからもう一点が変換の方でありますが、これも少し前に弁護士からお尋ねがあって、最初は違和感があったのですが、結論から申し上げますと重要なのはコンテンツが変換されているかどうかであって、ファイル形式とかそういう技術的な部分というのはコンテンツ自体は何ら変わっていないので、そこのところは前から気になっているのですけれども、変換・変換と言っていますけれども、また翻案等というご意見も出てくると思いますけれども、コンテンツ自体を弄ってやればまた問題になってきますけれども、そもそもコンテンツは一緒でファイル形式だけ変更しているというのは別に著作権的にはさほど──著作権というのは著作物を中心に考えておりますので──そこを変換というので重視するのはややおかしいのではないかということを弁護士に説明したらすぐに納得しましたけれども、今まで議論としてコンテンツ自体と技術的部分というのがやや混乱されて来たので、そこは変換等の用語を使う際にもきちんと区別して議論していけば議論の混乱は防げるのではないかと考えております。

私からは以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。丸橋委員どうぞ。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

以前から申し上げている通り、変換という点については MYUTA のような変な判決をリバースして、最終的に利用形態でみるという大渕先生のデジタルな意見に勿論賛成でして、タイムシフト・プレイスシフトあるいはデバイスシフトをするために必要な変換というのは当然認められなければいけないものだと思っています。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。榊原委員どうぞ。

榊原 美紀 委員 (JEITA / Panasonic):#

資料 1 の 3 ページの所が議論されている訳ですけれども、切り分けが、主体の切り分けが困難だとかという分け方がされていて、3 ページの後半部分で解決策として契約による方が良いとか訴訟かというような、それとも事業者が決めればよいというような選択肢があるのですけれども、先程も大渕先生が仰ったことで「そうだな」と思うのは、複製の主体がユーザーだと言う中で、プラスその発展形として事業者がタイムシフトだとか色々な端末機器で使えるように大きさが変わるようにするとかですね、色々な変換とかの機能を付けてできるようにした時に、その複製自体をやる訳ではない、コンテンツを複製したりとかコンテンツを変える・翻案するとかそういうことをしないのであれば、切り分けが困難だという話にそもそもならないのではないかなと思います。

それとここではちょっと触れられていないのですが、やっぱり色々な発展形があるので柔軟な規定を検討してほしいということをずっとお願いしているのですけれども、それがちょっと抜け落ちているので、例えば訴訟による個別的な解決を図れば良いという考え方も、以前その議論 (注 : 日本型フェアユース・権利制限一般規定に関する法制小委での議論のこと) されていた C 類型ですね、著作物を享受しないような類型というものがやはり規定としては考えられるのではないかと思います。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

これは前回のですね、小委のご意見をまとめたもの、前回に絞ってまとめた意見ですので、それ以外のものはもう一つ別にまとめたものがありますので、そこに反映されております。今子委員どうぞ。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

今主査の方から JEITA の発言について取りまとめていただいた所なのですけれども、この 3 ページの「(1)」の方、「切り分けが困難」ということしか今書かれていないのですが──榊原さんのご意見ですが──私が前回「切り分けが困難であるとしても現在提供されているサービスは勿論、将来登場するサービスも利用者がコンテンツをアップロードするタイプ 2 については、基本的には利用者が主体であると考えられる」というふうに申し上げましたので「切り分けが困難」というよりもむしろ、基本的には「利用者が主体」という考えもあったのだというふうに思っております。

それから、同じ 3 ページの所で、「契約による解決が現実的である」とする見解について、同じ意見の中でですね、その場合の弊害ですね、「例えば権利者団体と契約をしたとしても契約を望まない権利者とか団体に属さない権利者が居ますね」ということも指摘させていただきましたので、そうした所も反映していただければと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ええと、事務局よろしいですか。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

はい。このペーパーは主査が仰いましたように前回の意見を整理したものでございますが、今後議事の取りまとめにあたりましては、全体のご意見をしっかりと整理して、またまとめたいと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

よろしくお願いします。他に如何でございましょうか。はい、河村委員どうぞ。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

先程主査が発展形と仰ったのは、参考資料 1 の 2 ページですかね、タイプ 2 の中の「コンテンツロッカー型」とか「変換機能付加型」のことだと思うので、そのことについて申し上げたいのですけれども、前回とかここの、前回も今日も何か学者の方たちの話が盛り上がっている中で、私はあまりそういうのは聞いていて嫌いではないのですけれども、ごめんさい今のは余計な口でした。

まず消費者として利用者として申し上げたいのは、「その行為が利用できるようになるのであれば、法律的な位置づけは我々に任せなさい」というような言われ方をしているように感じる時があって、それはとても心外なのですね。

ですから前回も「そもそもの本質的なところをきちんと位置付ける議論はとても建設的だと私は思う」と申し上げたのはそこの所でして、やはりどこが、この技術が発展した中で、私たちのプライベートな行為として、「自由のある中でやれるときちんと位置付けられる」ということはすごく大事なことで、同じことができるのなら「本当は自由じゃないけれども許してあげているのだよ」と言われるかどうかはすごい違いだと思うのですね。

コンテンツを、ここでは違法に取得したものは入っていない訳ですからお金を払って取得するなり、適法に持っている自分のものを、この技術の進歩した中でどこまでプライベートな行為として誰にも文句の言われないものになるかということで、そういうことで言うならば、何人かの方が仰ったように、「コンテンツロッカー型」であろうと「変換機能付加型」であろうと、自分が用意したコンテンツをアップロードして今の 30 条が──許しているというのはおかしいですけれども── OK だとしている範囲内の利用をするのであれば利用主体は私たち個人であるというふうに思っております。

先程、椎名委員の方から「純粋な汎用ロッカーはない」とか色々とそうしたことを仰られておりましたけれども、そもそも今私的複製をできる機械、我々が持っている機械は純粋に私的利用しかできない機械というのは、そんなものは無い訳で、そこはやはり使い方によって私的利用というのが私たちが OK な行為として認められている訳で、クラウドになったとしてもそれは同じことなのではないかなと考えております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。じゃあ椎名委員どうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

共有があった時にそれは私的複製ではない。侵害行為であるといったときに、質問なのですけれども、侵害主体はユーザーですか事業者ですか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ご質問になるわけですけれども……じゃあ大渕先生お願いします。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

共有というのは色々あるので、私人同士で共有しているという場合、私は共有の場合は行為は──日本語になり難くくて──共同正犯的という言葉は良くないですけれども──なにかドイツ語だと○○○○○○ (聞き取れず : ミッチベーター?) と言って共同行為者になるので──その二人で、この 30 条 1 項は共同行為は認めないと、単独行為で自分で使用する人が自分で複製することだけを認めているので、共同行為になった瞬間に──これは評価は分かれますけれども──現行法を前提にしたら違法になる。

その時に主体は誰に私人の共同で……でまあ、色々あり得るので、私人と事業者が共同して共有することがあるので、それはもうそれぞれの事案毎に違ってくるのではないかと思います。

いずれにしても私人同士で共同してだけでも 30 条の外に出てしまうぐらいですから、業者と私人が共同しても 30 条の、主体は私人が主体だけれども、業者と共同してやれば 30 条 1 項の枠外になってしまうということになります。あの、これでよろしいでしょうか。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

他にございますか。はい、小寺オブザーバーどうぞ。

小寺 信良 参考人 (MiAU):#

済みませんオブザーバーですが。共有機能に関してはですね先生が仰ったように行為が発生した時点で考えるというのが妥当かと思います。前提として共有機能があればユーザーが必ずそこで共有するのだという前提で制度設計をすると、多くのユーザーはそうしていないというユーザーが大半なので、そうすると難しいことになるのかなと思います。

それからタイプ 2 のスキャン&マッチ型についてなのですけれども、これより前の、例えばそのまま上げてそのまま落とすとか、変換をするというのはあくまでも手持ちのコンテンツがそのままある一定の形で帰ってくるだけでありますけれども、商業型というのは所謂手持ちのコンテンツがですね、新しいユーザー体験の参加券、参加のチケットに変わるというビジネスになろうかというふうに思います。

これがクラウドサービスのある意味醍醐味と言いますか、非常に未来のある話で、自分が持っているものをどこに上げてぐるぐる戻してどうこうしようと言うよりは、未来はやはりそこにあると思いますので、そうしたところを中心に可能性を議論していただければというふうに感じます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。この問題につきましては色々な事情や……事情等も我々は検討しておく必要があるのではないかと思っております。この行為主体の面について、つまりそのタイプ 2 のですね、右側の様々な幾つかの類型についての行為主体について、どう理解するのかということについてはもう少しまだ議論もいるのだろうと思いますが、この点については今までの議論を拝見いたしますと、「個々の訴訟において個別的な解決を図るしかない」とかですね、「契約による解決というのが現実的ではないか」というような意見があったところでございます。

この点について、事業者団体としては様々なことをご検討のようでございまして、本日、浅石委員・椎名委員・畑委員、御三方からですねご検討になっている、そういうところもあるようでございます。この辺を検討を踏まえて畑委員からご発表がいただけるのではないかと思うのですけれども、お願いできますか。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

先程来、汎用ロッカー以外のクラウド──この参考資料の右側の方ですね──この行為主体についての議論がございました。そうしたことも併せて考えた上で、かねてから我々権利者側はこの問題は契約関係で解決できるのではないかということを申しておりましたけれども、それをさらに円滑に進めて行くための方策として、今日は音楽権利者 3 団体で検討中のワンストップ型の集中管理スキーム、これについて少しお話をさせていただきたいと思います。

まだ詳細については継続的に検討してございますので、今日は概要という形でございますけれども、資料 3 号の方をご用意させていただいておりますので、そちらの方をご覧いただければと思います。

まず、ページ番号 1 番「1.」の所でございますけれども、我々権利者側は先程、公衆用設置複製機器とか色々な所で行為の該当性とかを申しておりますけれども、このロッカー型クラウドサービス、これは利用者に利便性を提供するサービスとしてやはり社会的に必要なサービスなのだと、これからも伸びて行くサービスなのだというふうに期待をしているのがまずベースにございます。

その上で、今後このロッカー型クラウドサービスと言うものが今後ビジネスとして伸びるためには、ステークホルダーであるサービス事業者・利用者およびクリエイターこの三者全てが WIN-WIN となるという仕組みの構築が不可欠というふうに考えております。

この今後のビジネスとしての促進、また利用者からすれば適法で安心かつ便利な環境を手に入れられるということを実現するためには、サービス事業者と権利者が密接に協力をしてそういった関係を構築し、このクラウドのビジネスの発展に取り組んで行くということが必要ではないかと考えておるところであります。

そのために、契約・契約とは言っても、色々なそこにはハードルというものがあろうかと思います。そういったハードルを下げて行くというために、今現在、我々音楽権利者 3 団体ではワンストップ型の窓口の導入による集中管理ということによって契約を円滑化できるのではないかというふうに検討しているところでございます。

1 枚めくっていただきまして、「2. 前回の検討」の所はこれは先程 50 分かけて検討したところを含んでおりますけれども、私の方から申し上げたとおり、我々権利者側はコアの汎用型、先程「純粋ロッカー」という表現を主査がされたと思いますけれども、ここについて利用行為主体が利用者であり、仮に私的複製ということに該当するとしても、その周辺にあるその他のタイプ 2 ロッカー、これについては事案によっては事業者が主体ということを認めるものもあるのではないかというふうに考えております。

そこの境界というものはやはりなかなか線引きをしがたい、従ってこういうふうに真ん中をぼかした滲みのある線を引かせていただいておりますけれども、こういったような状況ではないかというふうに考えておるところでございます。

そういうことを踏まえまして、我々が提案ということをしております次ですけれども、次の 3 ページ「3.」でございます。

このコアの汎用ロッカー、「純粋ロッカー」というものを利用者を行為主体とした場合でも、それを超えるサービスと言うものはあるでしょうと。それについては複製への関与度合、その他の司法基準を総合的に判断する必要がある訳でございますけれども、そうした基準から事業者を行為主体と解し得るものがあるのではないかというふうに考えております。

ただし、現実のサービスの境界というのは非常に曖昧でありまして、また今は行為主体が利用者とみなされるサービスであったとしても、今後のサービスの進化によっては事業者の関与度合というのが増していくサービスと言うのもこのタイプ 2 の中にあるのではないかと考えております。

そこを予測した上で、今、現段階で明文の規定を置くというのはなかなか難しいことではないかなと考えております。そこで先程の資料 2 の所にもありました、対応方法というところでございますけれども、事案によって訴訟によって明確化すれば良いというご意見もあろうかとは思いますけれども、我々権利者としてはそのような今後の多様なニーズに対応しうる、柔軟性のある契約スキーム、これを集中管理という形で提供することによって、サービスをできるようにすると、契約のハードルを下げてサービスをできるようにしていくという方向での解決策を模索する方が良いのではないかと。

それによって利用者も安心して利用できる、いわゆるポシュタルな空間というものを提供できるのではないかというのが今回の提案でございます。

そのためには契約において誰と話したら良いのかとか色々な課題も提起されておりますので、我々、現在 3 団体はワンストップ型窓口を設置し集中管理による円滑化、そういったことを図ってはどうかということで検討を進めておる所でございます。

次に 4 ページですけれども、「概念」ということで左の方がタイプ 2 ロッカーを表してろります。文化庁さんの絵をそのまま引用させていただきましたけれども、右側が権利処理をするとした場合というところの概念でございますけれども、現状は右の方は上側、ブルーの現状ということで矢印が書いてございますけれども、そちらが今の現状ということでございます。

タイプ 2 ロッカーに関して、今・現状、権利処理をしようとすれば楽曲を管理される JASRAC さま等の著作権管理事業者、レコードについてはレコード各社、それから実演に関しては各実演家、この各実演家の部分はレコード会社との契約でレコード会社が窓口をやる場合も多くございますけれども、いずれにしても各権利者と個別にお話をしていかないといけないというのが現状でございます。

これを今検討していますのはオレンジのラインでございますけれども、まず仮称で「音楽著作権管理センター」というワンストップ型の窓口を設け、そこを窓口に、事業者さまが計画されるサービスの内容、あるいは権利処理、そういったところの相談・協議に応じつつ、必要な場合はライセンスの申請・発行というものをこのワンストップ型窓口を通じて行う。そこには楽曲を管理される JASRAC さま等の管理事業者。レコードにつきましては日本レコード協会の方で一任型管理事業の範囲を広げるという形でレコード会社からの委任を受ける。また実演につきましては芸団協/CPRA さまがやっていらっしゃるこれも現行の一任型管理事業の範囲を緩めるという形での委任を受け付け、この窓口の傘の下で管理事業を行う団体が権利処理に当たるということという形で事業者さまと協力関係の下に集中管理・それによる許諾処理ということを進めていければビジネスも今後促進して行くのではないかというふうに考えておるところでございます。

次に 5 ページ目はワンストップ型窓口の位置づけ等でございますけれども、先程申し上げました通り、この「(仮称) 音楽集中管理センター」は事業者さま、それとこのセンター当事者団体 3 団体と密接に協力し、サービス内容、権利処理の相談・協議、また必要に応じて申請窓口業務を行うということで、権利処理そのものは JASRAC さま・レコード協会・芸団協/CPRA さま、三団体それぞれが当たるということを今検討しております。

ライセンスとしては原則、包括的許諾契約ということで、曲個別に契約する形ではないということで、サービスの、今後出てくるサービスの内容・機能・またサービス等の利用度合いに応じて柔軟にライセンスを出して行くということを検討しているということでございます。

最後のページに「想定される疑問点」ということで、もう何回も争点に上がっております「団体に委任をしない権利者」あるいは「著作物の取り扱い」について述べさせていただいております。

所謂、我々はこれをノンメンバーというふうに言っておりますけれども、ノンメンバーの問題はなかなかこれはゼロにはならない。ただこの集中管理、ワンストップ型集中管理スキームをやって行く上で、このセンターおよび構成団体といたしましてはまずは各団体がノンメンバーを取り込む努力を行うということ。また既存の団体に属したくないという権利者がいる場合にはこの集中管理センターを一任型管理事業者とする管理委託の受け皿を検討しようとは考えております。

また、既に色々な形で個別ビジネス、これは権利者の方と個別の協議・契約によって進行しているビジネスがありますので、そういったものを必ずしも集中管理がオーバーライドするものではないということでこの管理事業の方を検討しておるところでございます。

ワンストップ型窓口の設置につきましては著作権等管理事業法又は独禁法との関係というものを検討の必要があると思っておりますので、そういった観点からの検討を進めつつ、なるべく早期に詳細を固められるよう、またそれによって今後のクラウドビジネスの今後の発展に貢献できるように検討を進めていく所存でございます。

説明は以上でございます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。ただ今、畑委員にご説明いただきました検討中のスキームについてご質問等ございましたらお願いいたします。はい、じゃあ榊原委員。

榊原 美紀 委員 (JEITA / Panasonic):#

質問ではないのですけれども、コメントさせていただきたいと思います。参考資料の 1 で 2 ページ目ですか、タイプ 2 の左側から議論をしてきていると理解をしているのですけれども、今仰った契約のスキームというものは、タイプ 1 では当然こういうものが進んで行くということは望ましいでしょうし、タイプ 1 とタイプ 2 の混在型というものは、この文化庁さんの資料ではピンクと緑で混ざっているところがあると、まあ混ざっているものについてはこういったスキームが進んで行くと非常によろしいのではないかと思いました。

ただ、左の方と言うのですかね、左からいくと右の途中になる色々な機能については、ユーザーが左だと主体だというご意見が多い中で、じゃあ色々な機能が付いた時に契約が必要かと言われると不要な場合もある訳で、そういう時には契約自由の原則で、契約をしたい人については勿論なさったら良いと思うのですけれども、そもそもユーザーが主体で、先程、デバイスシフトとかプレイスシフトという言葉が出ましたけれども、家の中ではなくて色々な場所で使えるようにしてほしいとか、端末を色々なタイプのものをユーザーは使われているので、端末が変わると見え方がおかしくなると困るとかですね、そういう、容量も色々あるので圧縮してもらわないと困るとか、そういうニーズにあわせて色々な機能を付けた時に、主体が急に業者に変ると言うことはないのじゃないかと思います。

そこが「切り分けが困難だ」という話ではないのではないかということを再度申し上げたいなと思います。

ボタン押し理論ということは前回ご紹介されたと聞いておりますけれども、あれも左の図から右に行っても、やはり「ユーザーがコンテンツを用意する」という部分についてのその重要な要件については何ら変わらないのではないかなと思っています。

その境界線、複製の主体が変わるという境界線が不明確だからという訳ですけれども、例えばボタン押し理論などは私が聞いていて非常に要件としては判りやすい要件だと思いますので、そういう解釈で判断をして行けばよいことなのではないかと思います。

それに加えて、ちょっとしつこいようなのですけれども、もっと色々な機能があるというのであれば、やはり柔軟性のあるようなストレッチのある規定で考えていかざるをえないのじゃないかなと考えております。

それからですね、海外、今日はちょっと時間がないので前回の質問の補足は次回以降にでもさせていただければと思いますけれども、やはり競争上、ユーザーが主体だということについて、海外でも認められるようなものについては、やはり日本でも同じものを認めていただきたいという点も意見として申し上げておきたいと思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。はい、松田委員。

松田 政行 委員 (弁護士):#

3 団体の契約スキームについてという補足に対しての質問・意見ということですので、私は意見を言わせていただければと思います。

このペーパーにある限りにおいては、どこも反対するところはありません。これは進めてもらいたいと思います。

これを進めるについては、コアで適法である部分については私の意見では確定した方が良いと思います。その部分については、それを純粋にやるならば契約する必要もないのだいう判断になるのは、これはそのままです。

しかし発展部分においてグレーの部分があるならば契約を結ぼうと言って、このシステムに乗るということはこれもまた良いことだろうと思います。

このシステムをもっと確実にするならば──もうこれは意見ですけれども── 4 ページの、これは権利者 3 団体が集中管理スキームを作って行きますよと、こういうふうに言っているのですけれども、事業者側の方もですね、事業者がまとまってそしてこの管理センターと対等に話し合いをするような団体と言いますか、組織を作るべきだと私は思っております。

ただこの 3 団体はまとまるに決まっているのです。この三団体だけなのですから。もっと正確に言うと、レコ協と JASRAC がまとまればまとまるのです、これは。

そして、それでですね、利用の態様毎に使用料規定を現実的なものに書き換えていけばまとまるのです。

今の規定をそのまま適用すると、色々な問題が起こります。ですから一定の目的毎に使用料規定を柔軟に適用していく、これは JASRAC はその意向が十分にある訳です。はい、それはできると思います。ただ、その 3 団体の黄色の部分はできます。

ですけれども事業者の方は利用毎に団体が違うのですよね。このサーバーを設けたいよという団体があれば、それはプロバイダの団体なのでしょう。それ以外に違う目的というものもあります。例えば予備校でコンテンツを作る時に音楽を入れて受けの良いものを作ろう学校教材を作ろうなどと言うのも、これもある意味では利用者団体としては学校等がそういうものです。

もう一つ判りやすい例としては、利用者団体としては結婚式場なんかがありますね。結婚式場はもしかしたら一部については音楽の利用について問題があるところがあるかもしれません。それを全部クリアするというのであれば、結婚式場は全部団体を作れば良いのです。そしてその団体とこの管理センターが話し合って協約すれば良いのです。

そしてその団体とは協約したらですね、組織率が高ければ高い程良いのですが、まあ、揉めるものがあったとしても、その協約でビジネスを作り上げて行けば、だんだんそれに収斂していくと私は思います。

そういう要素を加えてもらう、つまり、使用料規定の柔軟性、それから、事業者団体の特定目的毎に受け皿を作るというか組織を作る、それとその管理センターとの協約、その協約によってある程度のシェアが握れてくれば、日本というものはそういうもので、きちんとそれに収斂して行きますから、それに期待するというのが良いのではないかなというふうに思います。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいありがとうございます。奥邨委員どうぞ。

奥邨 弘司 委員 (慶応大学):#

私自身は、そのビジネスのところはさておきまして、それは多分非常に大変な御苦労をされて、ご努力をされているということで敬意を表しておきたいですけれども、特にこの今回おまとめの 3 ページの所でですね、さっきのルートEのように難しいなと思いながら聞いていたのですが、サービスという形で境界が曖昧というものをまとめているところで、非常に意味がスッと、ストッと落ちまして、機能だけというふうに考えるよりも、実際問題は機能がリッチになるということはサービスがリッチになる訳で、サービスがリッチになる時は機能がリッチになるだけではなくて業者の関与がどんどん強まるということですから、そうなってくると当然ロクラクに照らしてもですね、業者の関与は機能プラスαでどんどん業者の関与が高まればですね、これはもう主体が変わるということはあり得る訳ですので、そうなってくるとタイプ 2 の中でそうなのか──これは定義の問題だと思いますが──タイプ 2 とタイプ 1 の、それこそ海水と淡水が混ざる汽水みたいな、そういうところがどんどん広まって行くのだろうと思いますので、そういう意味ではそういうところについてこういう仕組みを用意されるというのは非常に重要なことだろうと思いますし、そういうふうに理解をすれば非常に私としては整理としては判りやすく、納得のいく整理かなと思って聞いておりました。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいありがとうございました。他にございますか。特に……はい、杉本委員どうぞ。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

先程の報告がございまして、この小委員会で議論して、大枠においてはコンセンサスが得られつつあるようなラインに乗った、その延長線上のアイデアだというような承った次第です。

この「(仮称)センター」なる窓口が例えば遥かに柔軟な利用規約を持っていて、実質タイプ 2 ロッカー型、所謂タイプ 2 において一方のご意見である「全くの私的利用だ」という実態を伴う、実態を持ったものだとセンターさんの方で判断した時には極めて柔軟な規定条項を適用するということで、実質この小委員会で議論されていることが実現できるポテンシャルがあるのかなと伺った次第でございます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はいありがとうございます。丸橋委員どうぞ。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

私的利用のための複製はセーフで争わないという前提での包括利用許諾契約ということ自体には意義があると思うのですが、そのコアの周辺でですね、さらにまだ争う余地があるところで、審議会の利用許諾の範囲という形で事実上固定化されてしまうということに懸念を覚えます。

特にフォーマット変換とかですね、例えばフォーマット変換の一機能毎にいくらとか、フォーマット変換の実績に基づいたら利用にはいくらというふうにはお金を払いたくないのが事業者の考えです。

ユーザーが権利を持ってしかるべきということであって、そこに対して事業者がお金を払ってしまってはユーザーの権利をないがしろにしてしまうことになりますので、そうやってあらゆるスキームを通じて事実上権利を拡張されてしまうということは絶対に避けたいです。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。他にございますか。はい、今子委員どうぞ。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

ワンストップ型の集中管理スキームの整備を進めてくれるとのこと、事業者といたしましても、コンテンツの円滑な利用流通に鑑み、是非進めていただければというふうに思っております。

ただ、契約の円滑化というご提案はタイプ 1 やタイプ 3 については妥当するものだと思いますが、タイプ 2 については契約というのは基本的には適当ではないと考えております。私としてはコアな汎用型かどうかには限らず、タイプ 2 は全般的に無許諾の、契約は基本的に要らないというふうに考えております。

前回も申し上げた通り、タイプ 2 についてはどういったコンテンツがアップロードされるか判らないので、すべての権利者から許諾を得られないというような問題がありまして、契約を促進したとしても事業者にはやはり侵害リスクが残ってしまうので、タイプ 2 のクラウドの発展には直接的には結び付かないのかなというふうに思っております。

従って、タイプ 1 や 3 であれば賛同したいなと思っております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。椎名委員どうぞ。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

畑委員のご説明に補足ということなのですが、まさに先程来、「純粋なタイプ 2 というのはありませんよね」としつこく申し上げていたのは、侵害行為となってしまう「共有」機能を兼ね備えたサービスも含めて、勿論どういう共有なのかということは慎重に吟味する必要があると思いますが、このタイプ 2 とタイプ 4 の間に位置するようなもの、あるいは今後想定していないようなサービスを内包するもの、というものを事業者さんが許諾を得ることによって、利用者のリスクも法的リスクも低減するし、事業者さんもそこで得た利益を何らかの形で還元することができるというような考え方にもとづく提案でございます。

さっきタイプ 1・タイプ 3 の話が出ておりましたけれども、これは集中管理の対象としていくものではございません。あくまでもタイプ 2 とその辺縁にある様々なサービスを──「4」とはっきりと言ってしまうことはできませんけれども──様々なサービスを、まあ複製主体で切り分けることも良いのですけれども、それをまるまるっと許諾の中に落とし込むのはどうかというのが我々の提案なのです。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

まあ、今のところは色々と意見のあるところだろうと思いますけれども……ええと、じゃあ河村さんからお願いできますでしょうか。河村委員お願いします。

河村 真紀子 委員 (主婦連):#

消費者としてこのタイプ 2 ロッカー、この資料 3 のスライド 4 ページ目に「タイプ 2 ロッカー全般」と書いてありまして、しつこいようですが「タイプ 2 ロッカー」というのはプライベート型でユーザーアップロード型ですよね。

色々な変化形があるにしても、タイプ 2 はプライベート型でユーザーがアップロードすると。この図の中でもユーザーが自分のものをアップして──「①」ですね──そのものを──「②」ですね──他のデバイスで聞けると。

私の素直な解釈で言うと、この JASRAC さんを始め権利者と消費者の間に関係があるなと思うのは、その上げるコンテンツを入手するところだと思うのですね。二個目・三個目を買うことによって権利者さんたちのビジネスは──要するに一曲しか持っていなかったら一曲ぐるぐる回るだけですし──この会の最初の方の委員会でも申し上げましたけれども──一曲持っているだけならば一曲ぐるぐる違うデバイスで聞けるだけなので、そのコンテンツを増やして行きたいと、そういうところにこそ消費者と権利者さんたちとの──タイプ 2 で言えばですよ──関係なのだと私は素直に考えているのです。

一曲、自分が、私たちが持っているものがぐるっと回ってくるときに、タイプ 2 という範囲の中でこのような仕組みが必要になることが私には納得感がありません。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それでは大渕委員どうぞ。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

今まで出た意見を拝見いたしましたけれど、私これは定義が実務的定義で入っているものですから、このマトリックス、参考資料 1 で使っている、このタイプ 1、タイプ 2、タイプ 3、タイプ 4 というこの四つのマトリックスは、要するに、これは判りやすくって、配信型というのは私流に理解をするとコンテンツを事業者が提供しているし、ユーザーアップロード型というのはコンテンツをユーザーが提供しているし、これはプライベート型と共有型というのはちょっと研究者的には判りづらいのですけれども、おそらく私なりに理解すると、非共有と共有とした方が色々と綺麗だと思うのですけれども、ただこれは今までも当然すぎるかもしれませんけれども、これは30条で、これは前々回は確か補足したような記憶がありますけれども、これは30条の常識だと思いますけれども、判りやすく言うと、親兄弟と親兄弟に準ずるぐらいの本当の親友という、この広さが人によってかなり違うので、そこはもう当然、色々な論点で広く立場がありますけれども、基本線としては、30 条は本人の中には、本人に準ずるような人と、親兄弟とか親兄弟に準ずるような友人の範囲ではやりとりしてもいいけれども、これの外を超えて共有したりすることはできませんよという、そういう意味で絞ったうえで言うと、非共有というのは自分と親兄弟ないしはそれに準ずる範囲だけで共有しているというのは非共有の方に言葉は判り難いですけれども、それ以外の人と共有するのは共有だとそう綺麗に切った時に、先程出ていましたけれども、私が理解している所では先程でていた、これは実務的に今までタイプ 2 と思われてきたことと、それから理論的に、本当にシロ、純粋ロッカー型と言われているコアの部分というのはやや開きがあって、そこが議論の混乱を生じているのかなということになりますが、理論としてはさっき言ったようなことで。

これを現実的に少ないのではないかと言われるとそういう気もしますけれども、そういう現行 30 条を前提とした時に、非侵害となるような主体はユーザーでかつ共有もしないから合法になるという部分があることは間違いのないことですけれども、ここをですねあまり、今回の包括契約で、本当に純粋ロッカー型で、現行法で非侵害の部分まで含まれると色々と問題が起きてくるのですけれども、私がここで聞いておりますと、こういう理解でよろしいのでしょうかということなのですが、今まで漠然とタイプ 2 と言われてきたものが、実は本当に現行法で非侵害となる部分がかなり、それが何かと言うと、実際は共有機能があるだけではなくて共有しちゃっていればといったように、現行法上合法とは言えなくなってしまうので、そういう部分を拾おうと、奥邨委員の言われたように、今までタイプ 2 と言われた中、漠然と言われた中には、本当の意味のタイプ 2 というのは、私が思ったタイプ 2 というのはかなり少なくて、逆に言うと侵害の部分はかなりあったと。

それで侵害が成立するのであれば別に契約するのは何ら問題はないし、しなければ合法にできないから、先ほど「タイプ 2 を対象にします」と言われているのは、こう理解すると、今までタイプ 2 と言われていた中で、本当の共有実態がなくて非侵害となる部分を除いた部分のタイプ 2 について契約の対象にしているということなので、逆に言うと、本当にギリギリまで見た時に非侵害になっている部分は今回の契約の対象にはしていないという理解だと。

椎名 和夫 委員 (芸団協):#

全くその通りです。再三申し上げてますけれども、純然たる一定行為のサービスというのは事実上ですね、共有ボタンがあるかないかは別にして、使い勝手として共有がされていくという中で、共有というのは一つのアイデアですけれども、今後どういうアイデアが出てくるか判らない。そういうようなものもきちんと事業者さんにリスクを取っていただいて、話し合いの中で解決していこうと。

今、どこまでが入るなんていうことは申し上げられにくいと思いますけれども、そういう考え方です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。畑委員どうぞ。

畑 陽一郎 委員 (レコード協会):#

一口に共有と言っても、色々な形の共有があると。大渕先生が仰る通りの 30 条の範囲から、そこよりも若干よりも広いかなり特定できる範囲の共有。それから全く不特定多数であれば、これはまさにタイプ 4 で我々が違法対策としてやっていることですので、この共有というものをどこまでライセンスの柔軟性の中に取り込むことができるかということは、まさにこの 3 権利者の間で話し合い、またそのサービス事業者さんの今後のモデルみたいなこともお伺いしながら検討しなければいけないことだと思いますけれども、純粋に何も共有機能がない範囲で、中々この集中管理というのは使用ニーズがないだろうというふうには考えております。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。杉本委員どうぞ。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

すみません質問とかではなくて意見というか要望なのですけれども。

今回こういうご提案をいただいたということに関しては、これは非常に前向きな考え方として非常に敬意を表するというところを踏まえてですね、幾つか要望を。これは些細な要望なのですけれども、一つはですね、タイプ 2 にちょっと集中しすぎている。

大渕先生のお話と被ってしまうのですけれども、タイプ 2 に対しての対処法だけにですね、話が集中しすぎているので、もう少し、折角集中処理機構みたいなものをきちんと考えるのであれば、将来を見据えた形で著作権の処理そのものをどういうふうにしていくかという未来予想図も含めてですね、最終的にどこまでやるのかということも想定をしておいて頂きたいのですね。

何が言いたいかと言うと、これに関しては極めて限定的な──と言いますけれども──限定的な音楽に関しての著作権の集中的に話をされています。当然この 3 団体が主に処理している部分はそこにありますので、それは仕方が無いことなのですけれども、やはり事業者視点であったり、あるいは利用者視点であったりする時にには、当然それ以外の権利処理といったことも視野に入れて検討していただくといったことが、こういった機構──同じような機構が幾つもできても仕方がないと思いますので、そこはもう少し包括許諾を考えるのであれば権利の種類そのものも包括的な範囲で考えていただくといったところを見据えていただければと思います。

それは現段階で、その他の団体に対してはですね「これこれこういう」といった話ができていなくても良いと思うのですね。ただ、あくまでもそこまでは想定したいというような強い意志を是非持っていただきたいなと思うのですね。

それと同時に、現状色々な形で権利処理そのものがマーケットを棄損しているだったりとか、あるいはそのマーケットそのものがもしかしたら右肩下がりになっている可能性もあるという市場動向もあると思うのですけれども、決してその補填材料として考えていただきたくないと思うのですね。

あくまでも未来に向かって新しいマーケットとして作っていくだったり、あるいは著作権の処理そのものによって、色々な形でのエンターティメント等が伸びて行くということを想定した青写真というのを是非見せてほしいと思っております。

それとこういった話を進めるにあたって、やはり今日も色々な委員の方からも意見が出ている通りにですね、やはり限定的な話し合いの場で色々なことが決まっていくということに関しては、一事業者としては当然話の中に入っていない訳ですから懸念を感じます。

ですので、例えば事業者あるいは利用者ですね、こうした団体でありあるいは選抜でも結構ですので、そういったメンバーを踏まえてですね、中の仕組み造りに関しては是非議論の場とか検討の場を設けていただきたいなと思っております。

それと、すみません長くなってしまうのですけれども、後ちょっとですけれども、全体的にこの場なので仕方がないのですけれども、エンドユーザーのメリットというのがちょっと不明確になっている気がします。今、なんとなく問題になっていることに関して、権利者と事業者の間で「こうこうこういうふうに対処しよう」という話は判るのですけれども、

最終的には利用者に対してどういう恩恵を与えられるのかということが今一つ明確になっていないなということは指摘させていただきたいというところと、後、これは是非要望なのですけれども、私が以前この場で発表させていただいた内容において、権利処理という行為について包括許諾を望むというところに対して、できれば「オプトアウト」にして欲しいという話をしたと思うのですけれども、是非そういう所を前提に盛り込んでいただけると事業者側であったり利用者側としては非常に使いやすい機構になるのかなと思います。

それと、やはり大渕先生の話に乗るようなのですけれども、私共としてはタイプ 2 のロッカー型というのは現段階でシロの範囲は極めて限定的だと思っていて、当然、共有スキームというものが入って来てですね、初めてその包括処理だとか権利処理の云々という部分を、大きく話ができると思うので、いますぐというか第一段階から是非その話をして欲しいということではないのですけれども、やはりそこも未来予想図としての視野に入れた状態で話を進めて行くというような態度を持っていただければと思います。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。華頂委員どうぞ。

華頂 尚隆 委員 (映画製作者連盟):#

今、杉本委員のお話を聞いていたのですけれども、商業用映画はですね包括契約というのは馴染まないのかなと、タイプ 2 自体が、私が──8/7 でしたっけ──お時間をいただいてお話をした時に、商業用映画の利用ではタイプ 2 というのは考えられない態様であるということを申し上げましたけれども、タイプ 2 以外にこの集中管理センターの仕事を広げるとしてもですね、商業映画は包括契約というのは──繰り返しになりますけれども──馴染まないのかなと。個別具体的な契約で全て上手く行くと思っておりますけれども、一言意見を申し上げました。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。本日、畑委員にご説明いただいた契約スキームについては非常に結構なスキームではないかと私も伺っていた次第ですが、スライドの 2 枚目にあるように、本来 30 条の部分としての所もカバー、覆ってしまうような、そういうご説明もあったかと思いますけれども、こういうスキームが社会的に承認されるにはですね、権利者団体・事業者団体・一般ユーザー、その三者がなるほどというふうに思うような、そういうスキームであることが発展していく前提的な条件ではないかと思いますので、この、今後もまた議論させていただきますが、このタイプ 2 のロッカー型サービスの青になっていない、その内側にある白い線の中の部分ですね、そういう部分については極めて謙抑的なスキームを作っていただければというふうに思います。

あと、もう時間もほとんどないのですけれども、先程事業者の方が色々ご発言をいただいておるところでありますけれども、契約でやっていくのか、あるいはコアになる部分については、ここまではカナダとかイギリスのような形と同様ですね、法制化をして「こういう部分は 30 条の私的複製なのだ」というそのことを明確にすることが望ましいのかどうか、そういう法制化の必要性があるのかどうかということについて、事業者の方のご意見を最後にお伺いして終わりたいと思っているのですけれども、簡単にお願いしたいのですが、今子委員どのようにお考えでしょうか。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

ええと、立法によって 30 条の……

土肥 一史 主査 (日本大学):#

コアの部分を明確化することが望ましいのかどうか。

今子 さゆり 委員 (ヤフー):#

私としましては既に明確に 30 条で、明確に 30 条のコアの汎用ロッカーというのは私的複製に入るというふうに思っているので、この非常に限定的な立法については特に必要がないのかなとは思っております。

ただし、クラウドについて全く立法がいらないということはちょっと違うとは思うのですけれども。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

榊原委員、如何ですか。

榊原 美紀 委員 (JEITA / Panasonic):#

産業界としては、元々個別条項をちょっとずつ付け加えて行くというのは、それ以外に反対解釈されるのではないかと、だから柔軟性のある規定の方が良いという意見なので、明確なのであれば、30 条をチョコチョコチョコッと弄るのというのはどうなのかと思いますけれども、むしろ、そういうストレッチのある規定の中に、そういうものも読み込めるようにしていただきたいというのが一番の希望で、ただし 1 号ですね、30 条 1 項 1 号に関しては該当しないという御見解が多いようなのですけれども、それについて色々なものがあるので、何があたって何があたらないのかを書き分けるのが難しいということは、該当しない意見の中にも書かれていて、そうであれば、例えば立法当時に想定していたものですね、例えば、違法にしなければいけないものが無くなったのであれば、1 項 1 号自体が要らないのではないかということを申し上げたいと思います。

コンビニについてはちょっと議論になると思いますけれども、あれも 15 年ぐらいですか、放置をしたままなので、そもそもそのために必要なのかというふうに思っています。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

同じ質問なのですけれども、杉本委員、その点如何でしょうか。

杉本 誠司 委員 (ニワンゴ):#

そうですね。今日も色々な意見が出てきたと思いますし、やはり一概に、統一した意見には僕は行く気はないので、色々な方の意見とは違うかもしれませんけれども、ここに拘って色々な時間を使うよりかは、やはり、どういったケースが市場のニーズとして乗ってきていて、それを成立させるためにどういった話し合いが必要なのかというところに時間を費やした方が得策だと思います。

で、その結果論として、この 30 条の 1 項そのものというものが、要らないのであれば省けば良いし、変えた方が良ければ変えれば良いしというところで、これの解釈から話を始めるのは、済みませんが前回も言いましたけれども、時間の無駄です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それでは丸橋委員、如何でしょうか。

丸橋 透 委員 (ニフティ):#

線を引くとしたらですね、ユーザーのタイムシフト・プレイスシフト・デバイスシフト、その中間のフォーマット変換等々、様々な付加価値を含めてユーザーが自由にできる線を 30 条で明らかにすることであれば、事業者としてはそれを見た上で事業化することができるようになると思うのですね。

線を引くのであれば、コアの部分だけではなくてそこまで含めた線にしていただければと思います。

以上です。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

ありがとうございました。……ええと、今日は事業者のご意見を伺うだけにしておきたいなと思っているのですよ、あの……

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

……30 条について…… (マイク外だったため、他に聞きもらしているかも)

土肥 一史 主査 (日本大学):#

……30 条……じゃあお願いいたします。

大渕 哲哉 委員 (東京大学):#

これは前から、間接侵害の時から申し上げているのですけれども、これは間接侵害の時に、間接侵害は僕は立法提案をしましたけれども、主体の問題というのは、もうこういったことはお判りかと思いますが、事実認定部分でそれに法律を当てはめるのが、まあそちらの方は立法の対象になりますけれども、そういう意味では先程から立法要件の中でおそらく一番重要なのがユーザー主体かどうかという部分だと思うのですけれども、そこは事実認定なので、ただ私は立法論としてというか「ナントカ法理」とか言っているのは、そこは立法から手が出ないところなので、そこはだから対象から、立法の対象にならないものを立法の用に検討するのもおそらく無駄な部分がありますので、そこの所はおそらく色々考えても異論のないところだと思いますので、ちょっとそこだけ、ここは要するに事実認定なので立法の対象にならないマターだということを注意喚起させていただきます。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

はい。あの、ありがとうございました。要するに質問としてはですね、今日の 3 団体のスライドの 2 枚目の、点線の中の部分があるのですけれども、真ん中のところですね、これは 30 条の話だと思うのですけれども、さらにそこの中で、幾つかについては明確にしておく、つまり、ここは 30 条の中に入るということを、イギリスなりカナダのような限定的な要件の中で明確に法制化する、ということをどうお考えかということでお尋ねした訳でございます。

後、もう時間がないので止めざるを得ないのですけれども、本来であれば前回ですね、榊原委員の代りのオブザーバーとしてお出でになった太佐さまが、いわゆる宿題を持っておいでになって、本来は今日は榊原委員にですね、そのご説明をいただく予定で委員も準備をなさっておったようでございますけれども、誠に申し訳ないのですが時間ももう無くなってしまいましたので、次回、榊原委員にはその点をよろしくお願いをいたします。

時間が過ぎてしまいまして、本日はこれぐらいにしたいと思いますけれども、この小委の始まる頭でお話しましたように、我々の議論の取りまとめというのはもう最終段階に、時間的にはですよ、時間的にはそこに来ております。

従いまして、近々はですね、取りまとめというふうに行かざるを得ないと思っております。どの段階で行けるのかということはあるのですけれども、しかし、急に事務局に取りまとめをお願いするというのはナンでありますから、準備だけはしておいていただければと思います。

最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。

秋山 卓也 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

次回小委員会につきましては、改めて日程の調整をし、確定次第ご連絡をいたします。どうもありがとうございました。

土肥 一史 主査 (日本大学):#

それではこれで、著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第5回を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。